MSを軽く一掃し、駐機姿勢を取らせると、俺はキラと名乗る少年とバケ乳女を押しのけ、外に出る。足元に、数人の少年少女が見えた。男が3、女が2! どいつもこいつも甘ったれたツラしてやがる!親にもまともに殴られたことありません、って生意気そうな顔だぜ!

 「僕の…クラスメイトです」

 だからそんなウルウルした泣きそうな目で俺を見るな! 思わず『男の証明』を現実に確かめたくなるじゃあ無いか! いっちょやったるかね! オラァ! 男はどっしり構えてろ! 股にしっかり金玉2個をぶら下げてんだろうが! 

 「うぐっ…ああ…ああああああああああ! 」
 「ちぢんどるぞ? まだ本番の戦闘前だ、しっかりせい! 」

 少女達の眼が見開かれている。そりゃそうだ。今の俺の格好と来たら、軍服を好き勝手に俺の趣味でアレンジしたもんだからな! 黄色い軍服にはだけた褐色の胸、アクセントにブルータートルのシール!何処の誰が見てもまともな軍人には見えんだろうさ!

 「やだ…しっかり握ってる…」
 「あのヒト…ゲイ? キラ君みたいなのが好みかもぉ」

 問題はそこかよ! 俺はキラ少年の股間をコリコリと弄ぶと、ストライクのコックピットから華麗に飛び降りる。女が胸を揺らしながらそれに続く。…マリュー? 魔乳と改名したらどうだ? 肩こりひどく無いか、それは?
 見ると、いきなり少年少女に拳銃を突きつける。オイオイ! 民間人にそれをやるたぁ、俺に対する挑戦だな!

 「…ストライクは軍機です、それを見たものは…あぅ! 」
 
 俺はマリューの右乳を鷲掴みにし、右腕の拳銃を怒りに任せた上段蹴りで吹き飛ばす。頭が軽すぎるんだよ!こんな事をしたのがマスコミに流れたら俺達連合は即座に悪名が付く! ここは中立のコロニーだろうが!
 
 「馬鹿か貴様は? それでも連合軍人か! 武装せん子供を脅す軍人がどこに居る! 頭に行く養分が全部チチに行ってるだろ! 」  

 皆、呆気に取られている。…見るからに悪役顔の俺が軍人として正しい行為を行ったに過ぎないのだがな…?


 「其処のメガネ! 名前は! 」
 「さ、サイ、サイ・アーガイルです…」
 「其処の卑屈そうなチビ! そう、オマエだ! 名乗れ!」
 「カズィ・バスカーク…」
 「カズィマスカク? はんッ! ピッタリだな! 次! そこの影薄そうな奴! 」
 「ちょっとオジサン! それはあんまりよ! 私のトールに向かって! 」
 「いいんだよミリィ…。僕はトール・ケーニヒ」
 「気に入ったぞ僕ちゃん! 芯は強いな! でミリィ? 」
 「ミリアリア・ハウ! ミリィって呼んで良いのは…」
 「彼氏だけってか! ハッ、妬けるなぁ? で、黙りこくってる赤毛女王! 
  オマエだオマエ! 睨むか普通? あぁ? 」
 「…フレイ・アルスター…連合の軍人でヤザン中尉? 無礼な人…お父様に言いつけてやるんだから! 」
 「アルスター議員の娘だろ? 知ってるさ! だがなぁ…ここは戦場なんだぞ?親がなんだろうが俺には関係無い。解るのはオマエが甘やかされたむかつく餓鬼だって事だけだ。俺が今、テメエの髪の毛引っ掴んで引き摺り廻したい程に怒ってるのが解るか? 」
 「や、やめて下さい! フレイは僕の…」
 「…だが、勇ましいメガネ君に免じて許してやる。おい、貴様等! 手伝え!ストライクはこのままじゃあ使いモンにならん! 各種パックが必要だ!車を運転できる奴、手を挙げろ! 」 


 「ヤザン中尉! 彼らは民間人で、しかも子供と言ったのは貴方でしょう?!しかも彼らは一人を除いて、皆、オーブの国民です! 問題があり過ぎます! 」

 小五月蝿い女だ…! この俺のナイスな妙案も知らずにキャンキャン喚くな乳牛! 

 「そ、そうです…僕達は民間人なんですよ、ヤザンさん…」
 
 ハン! 全く! 餓鬼に抗弁させるいいネタをやっただけだと言う事だよ、女ぁ!

 「そうだ。だから、この俺がお前達を見捨てても俺は全く痛くも痒くも無い訳だな? 」
 
 餓鬼どもと魔乳の顔色が蒼白に為る。やっと解ったか! そうなんだよ! 理屈を言うならな! 俺は地球連邦の大西洋連合国家の軍人で、オーブ国民など知った事では無いのだ。中立国の国民には手出し無用だ。そのリスクを承知の中立政策なのだ。だが…裏道は有る。

 「だが、志願兵なら話は別だ。貴様等が今ここで、連邦軍に志願すれば、俺の仲間だ。俺が守ってやる道理も生まれるし…このMS、ストライクを見た事も免責される。このマリュー大尉とやらが貴様等を撃とうとしたのは、コイツ自体が最重要な軍事機密だったからだ。極論を言えば、許可無く見た奴は殺しても良い程なのさ。それを俺は…停めた。どれだけ俺が優しいか解ったか? なあ、ヤマト少年よぉ? 」
 「アグゥ! 」
 
 ようやく己の立場に思い至りブルッている奴等の中の、手近なキラ少年の睾丸を俺は掴む。

 「ちぢんどるぞ? 話はまだ終っとらん! しっかりせい! 」
 「は、はひぃ! 」
 「返事がなっとらんなぁ? んぅ? 」
 「私は…守ってもらえるんでしょう? ヤザン中尉? 」

 赤毛の雌餓鬼が俺に余裕たっぷりで話しかけてくる。…己一人だけ助かろうってのかよ!ハン! 甘ったれだぞアルスター議員令嬢さんヨォ! 俺はそんな性根の汚い奴が大ッ嫌いなんだな!

 「ハァン? カンタンに仲間を見捨てる奴など、守る気なんざこれっぽっちも俺には無いな!一人で死ねよ! よくそう言う事を言えたモンだな! 普通は思っていても言わんぞ! 」
 「フ…フレイ…まずいよ…ヤザンさんを怒らせると…」
 「サイは黙ってて! 」
 「黙るのはお前だ雌餓鬼! ビッチ(雌犬)以下だ! 少しばかり顔と身体が良いからって増長するんじゃねえぞ! 何かあったらテメエの貞操すら差し出そうとする奴だろ!絶対!漢を、この俺を舐めるなよ? 貴様等に言っておく! 選択肢は2つ! 連邦軍に志願するか否か! それだけだ! 決めるのは貴様等の意思だ! 俺は強制はせん! だが、生き残るには最良の選択をせねば為らん事だけは覚えておけ」

 俺はそこまで言って黙る。戦闘による地響きがタイミング良く鳴ってくれる。さあ、選べ少年達!隣りのアホ士官はポカン、と口を開けたまま俺を見ていた。士官学校を出ただけの低脳には思いもよらん展開だろう。戦時任官に戦時徴収。戦争をリアルで経験せんからこうなる! 甘いんだよ、全てが!

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最終更新:2006年12月14日 11:56