15年戦争資料 @wiki

安定ヨウ素剤予防服用の考え方・はじめに

最終更新:

pipopipo555jp

- view
管理者のみ編集可

はじめに


平成11年9月30日に株式会社ジェー・シー・オー(JCO)ウラン加工工場において発生した臨界事故(以下「JCO 事故」という。)は、我が国で初めて周辺住民の避難等の防護対策が行われるとともに、3名の作業員が重篤な放射線被ばくを受け、2名が亡くなられる前例のない大事故となった。

JCO 事故以降、この事故の対応の反省を踏まえて、原子力災害対策特別措置法が制定されたことを受け、原子力安全委員会は、原子力防災対策の技術的、専門的事項を取りまとめた「原子力施設等の防災対策について」(以下「防災指針」という。)の改訂を平成12年5月に行った。その後、緊急被ばく医療については、平成13年6月に、原子力発電所等周辺防災対策専門部会において、緊急被ばく医療の基本的な考え方やその体制について、「緊急被ばく医療のあり方について」として取りまとめ、その要点を防災指針に反映した。

しかしながら、事故発生時は、原子力発電所等からの放射性ヨウ素の放出に対する安定ヨウ素剤の予防的な服用については、吸入による放射性ヨウ素の甲状腺への集積を抑制する効果があると認められているが、安定ヨウ素剤の服用に係る防護対策をより実効性のあるものとするためには、さらに検討に時間を要すると考えられたことから、今後の検討課題とした。平成13年6月には、緊急被ばく医療に対する検討の重要性等をも踏まえ、原子力発電所に限らず他の原子力施設等における災害対策に関する課題について、より的確かつ総合的に対応するため、従来の原子力発電所等周辺防災対策専門部会を再編して、原子力施設等防災専門部会を設置し、被ばく医療についても引き続き検討を行うこととした。今回、原子力施設等防災専門部会被ばく医療分科会ヨウ素剤検討会では、原爆被災者に対する長期追跡調査から得られた科学的知見、チェルノブイリ原子力発電所事故等の疫学的調査結果及びヨウ素と人に係る生理学的、病理学的な知見を踏まえ、

  • 安定ヨウ素剤の効果及び副作用
  • 被ばく時年齢と甲状腺がんとの関係
  • 安定ヨウ素剤に係る防護対策を開始するための線量
  • 安定ヨウ素剤の服用対象及び服用方法

等について医学的見地から検討し、その考え方を示すとともに、甲状腺の内部被ばくに対する安定ヨウ素剤の予防的な服用を、屋内退避、避難等の防護対策の一つとして位置付け、より実効性のある安定ヨウ素剤に係る防護対策を提案し、本報告にまとめた。本報告の要点については、防災指針に反映することとしている。

国、地方公共団体、原子力事業者、医療関係者等が、本報告の内容を十分に参考にして、安定ヨウ素剤に係る防護対策を構築することを期待する。

なお、今後の調査研究の進展等を考慮し、新たな知見等を積極的に取り入れ、
必要に応じて本報告を見直すものとする。


目安箱バナー