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質疑 吉井英勝君(共産)

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質疑 吉井英勝君(共産)




○川内委員長 次に、吉井英勝君。

○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、四人の参考人の皆さんに貴重な御意見をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。

 私は、最初に、医学、物理学をやってこられたお三方に伺っておきたいと思うんですが、あらかじめいただいておりました資料の中で、久住参考人は、四月十日の臨時会議で、二十ミリシーベルトに急に上がるということを大変心配されるのではないかと思いますが、しかし、あくまで、一年間に百ミリシーベルトまでは、確定的影響という、被曝をしたときに短期間にあらわれる身体的影響も、長期的に起こってくる晩発的、確率的影響も起こらないということをはっきり御理解いただきたいというお話でありました。

 では、百ミリまで大丈夫というお話になりますと、その場合の考え方としては、閾値を幾らにとれば、そこから上は確定的にリスクが出てくるけれども、もちろん、そこまでは発がんのリスク等あるんだけれども、そっちは確率的リスク、要するに、確率的リスクと確定的リスクの両方のお考えということになってくるのかなというふうに思うわけです。

 その考え方について、先ほどDNAについてのお話のときに、閾値を考えないで確定的というお話もありましたので、久住参考人、矢ヶ崎参考人、崎山参考人から、この点についてのお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。

○久住参考人 お答え申し上げます。

 確定的影響と申しますのは、放射線の被曝を受けたときに短期間にあらわれてくる影響でございまして、これは先ほど崎山参考人からも御説明がございましたように、百ミリ以下では、確定的、被曝直後あるいは二、三カ月の間にあらわれてくる影響はないという意味でも、私も同様な考えで申しました。

 それから、確率的影響というのは、次の世代ではなく、その後の長期的な被曝を受けた人の影響、主にがんの影響、悪性腫瘍の影響でございますけれども、それは先ほども申しましたけれども、今、ICRPあるいは国際的な理解では、千ミリシーベルト、一シーベルトで五%であるということですと、百ミリシーベルトというと〇・五%、千人に五人ということになります。

 現在、日本人ががんで亡くなるという割合が、先ほど半分ぐらいと申しましたけれども、軽く見積もりまして三〇%、四〇%といたしますと、千人のうち三百人か四百人ががんで亡くなるということになります。そのうちの五人を検出できるかということになりますと、私どもは、臨床的影響というのは疫学調査という手法でやっておりますので、その方法では検出ができない。

 放射線防護委員会、ICRP、あるいは今の国際防護基準が、ゼロから比例して線量がふえればふえるほど多くなるということを採用しておりますのは、あくまで百ミリシーベルトを、しっかりした閾値とは申しておりませんけれども、ここにはいろいろな科学的データがまだ不備なところもございますので、はっきりとそうは申しておりませんけれども、百ミリシーベルト以下では少なくとも明らかな影響は検出できないという認識のもとに、だけれども、放射線防護のためにはできるだけ安全サイドを考えましょうということで、閾値を設けないで、ゼロから比例的に増加するという考え方をとりましょうということで、ここは若干、全くの科学的なところと違う、放射線防護での世界という位置づけというように思っております。

○矢ヶ崎参考人 矢ヶ崎でございます。

 数字の問題に関しましては、私は基本的に、国民の被曝をどういうふうにとらえるか、この視点なしには数字を云々することは決してできない、そういう立場でございます。

 具体的には、たとえ二十ミリシーベルトというような値を出すにしても、政府がそのときに、住民の放射線被害をどうやって回避するか。マスクを与える、水を与える、帽子を与える、バッジを与える、そういうことを総力を挙げてやって、国民との合意で、ここの土地を守る人がどうしても離れがたいというような、そういうことに対してどういうふうに協議していくか。それは住民と政府の間のかかわりで協議でき得る事柄だと思いますけれども、今は逆の立場。

 原子力発電所がこういうふうに危機的な状況になったときに、住民はそのままにしておいて、被曝だけはたくさん、ここまでやっても法的には触れない、だから、二十ミリシーベルトまでいったって法的には面倒見ないし、東電に責任とれとも言わない。そういうことを国家で決めているというような、そういうまさに住民切り捨ての数字が進んでいる、ここのところに日本の政治の構造のおかしさがあるんじゃないかなと、一住民としては痛切に感じます。

 二十ミリシーベルトだなんということは、ヨーロッパ放射線リスク委員会などの人間の健康第一ということで考えるところでは、とんでもない数字になります。

 日本の数字云々というのは、被爆者のことで申し上げましたけれども、実際は、二キロ以上で放射線をさんざん浴びている人たちもいっぱい病気にかかっているんですよ、がんでも亡くなっている。この人たちをゼロラインだということで、それよりもちょっとはみ出した人だけ被爆者と勘定して、それでいろいろな症状がないとかあるとか言っている、それが日本の状態です。

 ですから、数字云々という前に、住民に対する視点をどういうふうにするか、大事な日本の国民をどういうふうに守るか、この視点がない限り、絶対に私は何ミリシーベルトと数字が出ても納得するものではありません。

○崎山参考人 今、原子力安全委員の方からおっしゃられた、これはずっと前から東大の放射線科の准教授なんかもおっしゃっていたんですが、日本は、大体二人に一人はがんで死ぬ、それが〇・五%ふえるだけだ、そういう議論が医師から出されたということは非常に問題だと思うんですね。〇・五%死亡率が上がるということはすごいことですよ、もしほかのことでしたら。

 あと、被曝というのは一様になされているもので、例えば二人に一人はがんで死ぬというのは、日本は世界で一番長寿国です。がんというのは大体が老人の病気ですね。天寿を全うしていくということは、先ほどお見せしましたように、がんの多段階説ですから、いろいろな遺伝子の変化が積み重なってがんになる。そういう時間軸の上に立って、五〇%の人ががんで死ぬ。

 この場合、特に子供たちが二十ミリシーベルト浴びるということは、子供たちの将来、例えば、今六十歳の人が放射線を浴びて、二十年後、三十年後にがんになっても、その人の寿命かもしれない。でも、ゼロ歳から九歳とか、小学校、高校生ぐらいの人が二十ミリシーベルトを浴びて、だって、彼らの方が放射線の感受性が高いわけですから、老人よりも早くがんになるかもしれませんし、発がん率も高くなるかもしれない。

 そういうことを一様に、なべて、〇・五%死亡率が上がるから大したことないというような議論は、もうほとんど論外だと私は思います。

○吉井委員 時間が参りましたので、武田参考人への質問は、後の自由質疑のときにまたお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。



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