15年戦争資料 @wiki

Team Nakagawa:水道水中のヨウ素からの被曝について

最終更新:

pipopipo555jp

- view
管理者のみ編集可

水道水中のヨウ素からの被ばくについて

東大病院で放射線治療を担当するチームです。医師の他、原子力工学、理論物理、医学物理の専門家がスクラムを組んで、今回の原発事故に関して正しい医学的知識を提供していきます。 >Twitter:team_nakagawa
by teamnakagawa
  • (引用者注)デマ汚染源の一つとして再録しました。

(twitter更新日2011.3.24の再掲)

3月23日、東京都葛飾区金町にある都の浄水場の水から210Bq/L(1リットルあたり210ベクレル)の放射性ヨウ素131が検出されました。

水道水中の放射性ヨウ素濃度の上昇は、空気中のヨウ素が昨日の雨と共に江戸川などの河川に流れ込んだことによると考えられます。

原子力安全委員会が定めた飲食物摂取制限に関する指標値は、300Bq/Lとなっており、210Bq/Lは基準内です。ただし、食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な指標値の100Bq/Lを超えてしまっています。

このため、東京都は、23区と武蔵野市、町田市、多摩市、稲城市、三鷹市の都民に対して、乳児に限って水道水の摂取を控えるよう呼びかけました。(注1をご参照ください。)

これを検証しましょう。もし210Bq/Lが長期間続くと仮定し、成人でがこの水を毎日1リットル飲むとすると、約1年間飲み続けた場合に1ミリシーベルトに達します。本来は、ヨウ素は「崩壊」によってどんどん減っていくので、実際はもっと少ない被ばく量になります。

人体に被ばくの影響が出てくると言われている線量は100ミリシーベルト(累積)です。つまり、210Bq/L(1リットルあたり210ベクレル)のヨウ素が含まれる水道水は、一年間飲み続けても、人体に被ばくの影響が出てくる線量の1/100程度ですから、問題のないレベルであることが分かると思います。

胎児と乳児でも、少なくとも10ミリシーベルト(累積)以上の被ばくがないと、身体的な影響が生じないことが知られています。乳児の場合、粉ミルクなどで、一日1L飲むとすると、約1年で、やっと10ミリシーベルトに達する計算になります。

3月23日以降、水道水を飲み続けていると心配される方がおられるかもしれませんが、上で示したように、乳幼児、成人ともに、全く問題のないレベルです。

(注1) 23日以降、国の指標を上回る放射性の「ヨウ素131」が検出された自治体では、26日までにいずれも数値が国の指標を下回りました。3月29日現在では、福島県の一部の自治体以外、乳児に対する摂取制限はいずれも解除されています。

【水道水の煮沸によるヨウ素低減の効果の有無について】
放射性ヨウ素131に汚染された水道水を「煮沸」(しゃふつ)することについて、私たちは、当初の見解を撤回しました(3月24日)。その上で、煮沸を「ただちに止めるよう」お願いいたしました。(以下に続く、一連の投稿をご参照ください: http://bit.ly/fgt5jw

3月24日来、多数の方から、「水を煮沸することで、水中の放射性ヨウ素の濃度が上がるため、煮沸は好ましくない、というのであれば、調理・料理もやめるべきではないだろうか」というお問い合わせを多数頂戴していますので、お答えしたく存じます。

我々は、放射線医学総合研究所の環境放射線能の専門家にお願いし、煮沸による水道水のヨウ素濃度変化を検証する“実験”を行いました。その結果、煮沸することによって、ヨウ素があまり気化せず、水だけが気化し、水道水のヨウ素濃度は高くなる、という結果になりました。

ただ、注意すべきは、煮沸によって水道水のヨウ素濃度が高くなる、といっても、煮沸した水に含まれるヨウ素の全体量が増えるわけではありません。水が蒸発により減っただけですので、煮沸した水を全部飲んだとしても、ヨウ素の摂取量は、煮沸前後でほとんど変化がない、ということを理解して頂けたらと思います。

つまり、煮沸によって水道水中のヨウ素の全体量が減らせるわけではないので、わざわざ普段以上の時間をかけて余計に煮沸する必要性は全くありません。調理、料理、哺乳びんの煮沸、消毒等、普段通り行って頂けたらと思います。

また、大前提として、人体に影響の出てくると言われている被ばく量100ミリシーベルト(累積)に比べると、今水道水中の放射性ヨウ素からの被ばく量は、【水道水中のヨウ素からの被ばくについて】で示したように、健康に影響を与えるレベルではないことを重ねてご理解頂ければと思います。


目安箱バナー