15年戦争資料 @wiki

3-1 地域の範囲の考え方

最終更新:

pipopipo555jp

- view
管理者のみ編集可
「原子力施設等の防災対策について」原子力安全委員会
第3章 防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲

3-1 地域の範囲の考え方


原子力施設において、放射性物質又は放射線の異常な放出が発生した場合、緊急に講ずべき応急対策は、周辺住民等の被ばくを低減するための防護措置である。

原子力施設からの放射性物質又は放射線の異常な放出による周辺環境への影響の大きさ、影響を与えるまでの時間は、異常事態の態様、施設の特性、気象条件、周辺の地形、住民の居住状況等により異なり、発生した具体的事態に応じて臨機応変に対処する必要がある。その際、限られた時間を有効に活用し、周辺住民等の被ばくを低減するための防護措置を短期間に効率良く行うためには、あらかじめ異常事態の発生を仮定し、施設の特性等を踏まえて、その影響の及ぶ可能性のある範囲を技術的見地から十分な余裕を持たせつつ「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」(以下「EPZ:Emergency Planning Zone」という。)を定めておき、そこに重点を置いて原子力防災に特有な対策を講じておくことが重要である。この範囲で実施しておくべき対策としては、例えば、周辺住民等への迅速な情報連絡手段の確保、緊急時モニタリング体制の整備、原子力防災に特有の資機材等の整備、屋内退避・避難等の方法の周知、避難経路及び場所の明示等が挙げられる。

原子力施設からの放射性物質又は放射線の影響は、放出源からの距離が増大するにつれ著しく減少することから、EPZをさらに拡大したとしても、それによって得られる効果は僅かなものとなる。また、EPZ内においても、施設からの距離に応じて、施設に近い区域に重点を置いて対策を講じておくことが重要である。

なお、放射性物質によって汚染された飲食物の摂取による内部被ばくの影響については、飲食物の流通形態によってはかなりの広範囲に及ぶ可能性も考えられるが、飲食物の摂取制限等の措置は、原子力施設からの放射線や放射性プルームによる被ばくへの対応措置とは異なって、かなりの時間的余裕を持って講ずることができるものと考えられる。


目安箱バナー