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第四章  安全保障戦略を支える基盤の整備

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第三章  防衛力を支える基盤の整備 目次 新安保防衛懇報告(付録)

新たな時代における日本の安全保障と防衛力の将来構想
―「平和創造国家」を目指して―

第四章  安全保障戦略を支える基盤の整備



本章は、第一章で提起した日本のとるべき安全保障戦略をより効果的なものとし、また、防衛力を安全保障の手段として適切に活用するために必要な、様々な制度や体制などの基盤をどのように整備すべきかについて述べる。日本の制度はいまだ受動的な性質を残しており、使いにくい制度については早急な改善が必要である。

第1節  内閣の安全保障・危機管理体制の基盤整備


[1]内閣の安全保障機構の強化

安全保障に関わる判断は総理大臣を中心とした内閣でなされる。内閣において安全保障会議や内閣官房といった安全保障・危機管理を担当する機構(内閣の安全保障機構)は、これまで累次の制度改革を経ている。

まず日本の現行制度では、国会が文民である内閣総理大臣を指名し、内閣総理大臣が内閣を代表して自衛隊の最高指揮監督権を有するとともに、防衛省・自衛隊すべてを適切に指揮監督する防衛大臣を任命するなど、国会、内閣、防衛大臣と様々なレベルでシビリアン・コントロールが制度的に担保されている。

ここで重要なことは、文民指揮監督者が十分な情報と知識をもって指揮監督権を行使できる体制を整備することである。現状では、内閣レベルの会議体である安全保障会議が設置されており、安全保障上の重要問題について、内閣総理大臣を長として関係閣僚が情報を共有し議論をする場として機能している。特に、自衛隊の任務が多様化するにつれ、防衛力整備の問題に加え、自衛隊の活動や各種事態への政府の対処に関する重要事項を審議・決定する頻度が増え、その役割は増大している。また、近年、安全保障問題について緊密に協議するため、少数の関係閣僚による会合が随時開かれ、安全保障会議の機能を補完するようになっている。

次に、危機管理・安全保障政策の司令塔である内閣総理大臣を補佐する組織である内閣官房は、その役割を強化し、有効性を増してきた。内閣危機管理監を中心とする現在の危機管理体制は、これまでの実績を見ても、自然災害、重大事件および事故等の危機に対して有効に機能していると評価できる。また、武力攻撃事態や周辺事態等への対応に関しては、官房長官を委員長とする事態対処専門委員会が置かれ、安全保障会議を補佐する態勢となっている。

こうした基盤に立って、今後取り組むべき課題の一つは、自然災害等の危機への対応とともに、武力攻撃事態のような国家的な緊急事態が発生した際にも、内閣の安全保障機構が十全に機能を発揮するための準備と検証であろう。そのためには、武力攻撃事態や周辺事態、あるいは大規模サイバー攻撃といった事態を想定し、平素から、政府全体としての総合的な演習を定期的に実施することにより、現行態勢の問題点を洗い出すとともに、平時から有事への国としてのシームレスな対応が確保できるよう、所要の改善措置を講じていくべきである。また、こうした演習には、内閣総理大臣と関係閣僚の参加も必要である。どのような制度にしても、それを指導者が使いこなす意思と能力を持つことが最も重要だからである。

もう一つの課題は、内閣の安全保障機構における国家安全保障戦略の策定である。日本の内閣の安全保障機構と米国等の国家安全保障会議(NSC)とを単純に比較することは適切ではないが、両者の大きな違いは、日本の内閣の安全保障機構が、高次元での国家安全保障戦略そのものを策定する態勢になっていないことである。その態勢整備のためには、法改正による機構改革が必要となるケースもあるが、新たな機構にNSCという名称を冠するかどうかは本質的な問題ではなく、実効性のある制度を整備することが重要である。ただし、米国をはじめとして多くの国がNSCを有していることに鑑み、日本における彼らのカウンターパートがどの部署の誰であるか、いわば「誰に電話をかければよいか」が時に不明になってしまうという通弊は早急に改善されるべきである。内閣の安全保障機構を強化し、そのトップを職務に専念できる一元化した安全保障・危機管理の責任者として対外的にも明確化することが求められる。

[2]情報機能の強化

安全保障に関わる政策判断を支える重要な基盤は情報(インテリジェンス)である。内閣における情報機構もまた、累次の制度改革を経て、強化されているが、課題は残っている。まず縦割りの弊害を克服し、政府全体の情報を一元的に集約した上で分析するオール・ソース・アナリシスを強化する必要がある。次に内閣レベルでインテリジェンス・サイクルが効果的に稼働するよう強化することである。情報は、戦略的なニーズに基づき、政策サイド(カスタマー)から発注され、それに応えた情報をカスタマーが受け取り、評価をし、それに基づく政策を行うという形で初めてサイクルが回り始める。つまり、政策サイドの情報関心が示されなければ、情報サイドがたとえどれほど優秀でも独り相撲をとらざるを得ない。政策サイドと情報サイドの間で情報関心について意見交換を行うことにより、インテリジェンス・サイクルを機能させなければならない。

その場合、内閣における情報のカスタマーは、内閣総理大臣をはじめとする官邸の幹部のみに限定されない。上述のように、内閣の安全保障機構が安全保障戦略を策定する役割を果たすことで、同機構が情報のカスタマーとして効果的に機能できる。政策サイドと情報サイドが平素から互いを鍛え合う取り組みを地道に継続することこそ、日本の安全保障・危機管理体制の発展につながる。政策サイドと情報サイドの改革は、まさに車の両輪である。ただし、「情報の政治化」を防ぐため、政策サイドと情報サイドの分離についても注意を払わなければならない。

また、これまで実施されてきた様々なタイプの情報収集に加え、日本が今後、特に力を入れるべき領域として、宇宙やサイバー空間の状況監視、対外人的情報収集(ヒューミント)などが指摘される。日本としては、これらの情報収集・分析能力の強化に取り組むとともに、中長期的に安全保障を目的とした衛星システムの整備に努める必要がある。また、デュアル・ユース技術を利活用して、陸域・海域観測衛星、海洋探査、地理空間情報システムを整備し、日本とその周辺における海洋監視能力を向上させる必要がある。これら日本が独自に収集した情報を適切に保護するためにも省庁間における秘区分および取扱手続の共通化など、政府横断的な取り組みとして情報保全の強化を一層進めるべきである。なお、情報保全の強化とともに適切な文書管理にも配慮する必要がある。

また、今日の世界で、日本だけで安全保障上の課題に取り組むことは不可能である。インテリジェンスの分野で日本のパートナーを増やし、他国との情報協力を進めるためにも、情報保全機能を強化して日本に対する信頼を増進しなければならない。こうした情報保全の強化の取り組みに法的基盤を与えるため、秘密保護法制が必要である。

[3]安全保障戦略策定方式の改善

日本の安全保障戦略・防衛戦略を策定する方式にも、改善の余地がある。日本には、1957年に定められた国防の基本方針と1987年の閣議決定(専守防衛、軍事大国にならない、文民統制の確保、非核三原則のいわゆる四方針)が、日本の安全保障と防衛に関する基本方針として存在する。米国が公表しているような「国家安全保障戦略」は日本には存在しない。さらに、防衛力整備に関して、防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画が策定されている。このなかで、防衛計画の大綱策定の参考にするため、過去三回と同様、今回も内閣総理大臣が有識者を集めて懇談会を開催し、政府の検討の出発点とする方式を採用してきた。

しかし、防衛大綱のような重要な政府の方針は、情勢の変化に照らし、継続的に見直しを加える作業が必要であり、従来の有識者懇談会方式から決別すべきではないだろうか。内閣官房のような組織において、有識者会議を常設して対話を行いつつ、防衛大綱・中期防の進行管理の作業を行うことも一案である。その場合、当該有識者にはみなし公務員として守秘義務を課し、秘密情報を共有できるようにすることも必要となる。

また、懇談会での議論から政府による検討までの連続するプロセスが防衛大綱の見直しをゴールとすることとの関連で、本懇談会は名称に「安全保障」を冠しつつも、防衛力のあり方に焦点を当てて議論することが求められた。将来、新方式をとる場合には、安全保障をより広い視野でとらえた議論を行い、ODA大綱のあり方なども含め、外交・防衛をはじめとする政府の関連施策を遂行する上で指針となる安全保障戦略を策定することについても期待したい。なお、安全保障戦略・防衛戦略策定方式の改善については、前述した内閣の安全保障機構の強化と併せて、総合的な検討を加えるべきであることを提言したい。


第2節 国内外の統合的な協力体制の基盤整備


[1]オール・ジャパン体制の構築

より効果的な危機管理・安全保障行政を推進するには、省庁間、中央・地方間の垣根を越えた連携が必要である。防災や国民保護の分野では、中央・地方間の協力体制、特に、自衛隊と地方自治体の協力体制をしっかりと構築することが、オール・ジャパンで国民の安全・安心を守ることにつながる。破綻国家の復興などについても、治安、司法など、関係する省庁が連携した取り組みが重要であり、関係省庁の意識改革を進めるとともに、省庁連携のための新たなフォーラムを設けるべきであろう。

また、今日のグローバル化の時代において、他国との信頼関係を強化するには、NGOや経済界を含めた民間セクター主導の有識者間、市民間の交流がますます重要となっている。政府セクターの努力との相乗効果を生み出すための協調的関係を考えるべき時代にきている。

国際平和協力活動の現場では、平和構築における民軍協力も重要な課題となっている。他方NGOの側も、国際平和協力を本来任務化した自衛隊とどのように連携していくべきかという問題意識を持つようになっている。具体的な協力事例を積み上げ、官民が協力してオール・ジャパンとしての平和構築能力を高めていくべきである。日本が縦割りの弊害を克服し、オール・ジャパンの対応をすることが、国際的な場における協力をさらにスムーズに進める前提ともなる。

[2]日米の共同運用の実効性向上

第一、二章において、日本の安全保障と防衛力について、本報告書は日米同盟の重要性について繰り返し強調してきた。防衛に割り当てられる資源が限られる中、日米の共同運用の実効性を高めることは日本の防衛にとって合理的な選択肢である。現状および近い将来において、日米安保体制をより一層円滑に機能させていくためには、改善すべき点が存在するが、その中には自衛権行使に関する従来の政府の憲法解釈との関わりがある問題も含まれている。

これまで様々な場で、弾道ミサイル防衛や米艦艇の防護など具体的な類型を提示しつつ提言が行われてきたように、弾道ミサイル防衛技術の進展など、近年の科学技術の進歩により安全保障環境も大きく変化している。加えて宇宙、サイバー空間の安定した秩序が保たれることも重要な課題となっている。こうした環境の変化に、日米の共同運用に関する法制が十分追いついていない。

たとえば、日本防衛事態に至る以前の段階で、ミサイル発射に備えて日米共同オペレーションに従事する米艦にゲリラ的攻撃が仕掛けられた場合に、これを自衛隊が防護することは従来の憲法解釈では認められていない。また、弾道ミサイル防衛について、日本のイージス艦がハワイ等米国領土に向かう弾道ミサイルを撃ち落とすことが、将来能力的に可能となったとしても、従来の憲法解釈では日本防衛以外のシナリオでの弾道ミサイルの迎撃は認められていない。つまり、日本は、現在、米艦艇の防護や米国向けの弾道ミサイルの撃墜を、国益に照らして実施するかどうかを考えるという選択肢さえないのである。

平時と有事の間の明確な線が引きにくい事態が想定される21世紀の安全保障環境と軍事技術状況を前にして、20世紀的な解釈や対応には限界がある。国の防衛や同盟の維持の必要性から出発して柔軟に解釈や制度を変え、日米同盟にとって深刻な打撃となるような事態が発生しないようにする必要がある。こうした対応策を事前に決めず、先送りすることは、平素からの想定や訓練の点でも難があり、望ましいことではない。政府が責任をもって正面から問題に取り組み、事前に結論を出して、平素から準備をできる状態にすることこそが大切である。

本懇談会が強調したいことは、憲法論・法律論からスタートするのではなく、そもそも日本として何をなすべきかを考える、そういう政府の政治的意思が決定的に重要であるということである。これまでの自衛権に関する解釈の再検討はその上でなされるべきものである。

[3]国際平和協力実施の枠組みの見直し

日本は現在、国際平和協力活動を重視する立場にある。実際、カンボジアPKO以来、日本は少なからぬ貢献をしてきたし、イラクやインド洋への自衛隊派遣といったPKO以外の国際任務にも参加するようになった。しかし、国際社会の課題の変化(破綻国家の出現等)に対応して、国際平和協力活動は国家再建までを含む多機能型へと進化しつつある。破綻国家の復興など「国づくり」は日本の得意分野にできる可能性がある。ところが、日本の国際平和協力の実施体制は、冷戦終結直後に作り出されたPKO参加五原則(参加五原則)に基づいており、時代の流れに適応できていない部分がある※16。

まずは、参加基準であるが、参加五原則は、1992年に国際平和協力法が制定された時に想定されていた国連PKOミッションの形態をもとに作られたものであり、停戦合意、受け入れ同意、中立性の三つの原則は、紛争当事者に該当する明確な主体の存在を前提としていた。しかしそうした前提では、脆弱国家や破綻国家における紛争の場合、参加する必要性が認められ、能力的に参加が可能でも、形式的に基準に合致しないために参加が許されないケースが出てくる可能性がある。このような体制は、平和創造国家として日本が応分の貢献を行う上での障碍となる。

次に、参加五原則は、「武器の使用を要員の生命等の防護のために必要最小限」に制限しているが、複雑な法解釈を熟知した上での対応を求めることで、現地に送り出す個々の自衛官にかなりの負担を強いている。また、業務が限定的になってしまうため、参加可能なPKOが限られ、あるいはPKO部隊の派遣に際して過度に慎重にならざるを得ないなどの事例が起きている。こうしたことが自衛隊のPKOに対する態度にも影響している可能性がある。今後、こうした点を考慮し、参加五原則を国際平和協力の実態(停戦合意の当事者要件、武器使用基準等)に合致するものに修正するよう、積極的に検討すべきである。

脆弱国家や破綻国家においては、住民や避難民の防護が必要であり、また、多機能型PKOでは文民や民生活動に従事する軍人も多数参加することから、文民等の警護が活動実施の鍵となっている。そもそもPKOは国際紛争を解決するための武力の行使ではない。したがってこうした武器使用は、海外における武力の行使とは無関係であり、自衛隊の任務として他国の要員の警護を追加すべきである。同様に、PKO活動に参加している他国の活動に対する後方支援もまた、「武力の行使との一体化」とは無関係であり、自衛隊の任務として当然認められるべきである。こうした点は、国際的な常識や基準に照らし合わせて、必要であれば従来の憲法解釈を変更する必要がある。

さらに、国連PKO以外の国際平和協力活動に関して、国連決議や地域的合意などにより国際的な正統性が確保されている場合には、これまでも特別措置法を制定するなどして対応してきた。ただし、新たな事態に合わせて毎回特別措置法制定を繰り返すことは、法秩序の安定といった点からみても好ましいことではない。また、国として国益および国際社会の利益を見据え、主体的・能動的に国際平和協力に取り組むため、その基本的な考え方を明確にする必要がある。その実現のための立法上の方策としては、国際平和協力法の全部改正なども考えられるが、いずれにせよ、日本が、国際平和協力活動に関する基本法的な性格を持つ、包括的かつ恒久的な法律を持つということが極めて重要である。

※16  日本は1992年に制定された国際平和協力法に基づき、以下の基本方針(PKO参加五原則)に従い国連平和維持隊に参加することとしている。[1]紛争当事者の間で停戦の合意が成立していること(停戦合意)。[2]当該平和維持隊が活動する地域の属する国を含む紛争当事者が当該平和維持隊の活動および当該平和維持隊への日本の参加に同意していること(受入れ同意)。[3]当該平和維持隊が特定の紛争当事者に偏ることなく、中立的な立場を厳守すること(中立性の維持)。[4]上記の原則のいずれかが満たされない状況が生じた場合には、日本から参加した部隊は撤収することができること。[5]武器の使用は、要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること。


第3節 知的基盤の充実・強化


[1]安全保障コミュニティの充実

安全保障の裾野が広がり、日本の安全や国際社会の安定はグローバル化した世界の様々な事象と従来以上に直接的、間接的な関連を持つようになってきている。政府の安全保障に関わる意思決定過程において、より専門的な知見を反映させるため、研究者の政権スタッフとしての登用機会は今後増加すると考えられ、その人材プールも必要となるであろう。

また、安全保障環境を改善するためには、国内外における軍・安全保障当局者の対話・交流の拡大に加え、それを知的側面で裏打ちする研究者、NGO活動家等を交えたコミュニケーションや共同研究を通じた幅広い専門的知見の交換・共有が不可欠である。特にアジア太平洋地域では、域内諸国の国防・安全保障研究機関等のネットワークが、ARF等における政府レベルの議論やアイデア、規範形成に影響を与えてきたことに留意すべきである。

知的基盤の根本は人である。日本は安全保障に関わる政府職員や軍当局者、安全保障研究を志す学生の留学、研究者の派遣、海外からの留学・派遣の受け入れ規模を拡大することにより、この分野で国際的に活躍しうる新たな人材供給に努めるべきである。

一方、知的基盤を安定的に維持・発展させるための担い手として、シンクタンクとその国内外でのネットワークの果たす役割はますます高まっている。しかし、近年の日本政府はその重要性に対する認識が不足しているように見える。安全保障分野で活躍すべきシンクタンクの多くが財政的逼迫に苦しんでおり、安全保障分野における国際知的共同体での日本の存在感、発言力は急速に縮小している。安全保障に関わる知的基盤を育成するのには何十年もかかるが、それを壊してしまうのにはわずかな時間で済んでしまうのであり、危機感をもって早急に対応を図らなければならない。

国家安全保障等、商業ベースに必ずしもなじまない公的活動を補完しているという観点から、シンクタンクなど非営利法人等が安定的に活動できるよう、税制や寄付制度等の財政基盤も含めたあり方についても検討する必要がある。

[2]対外発信能力の強化

日本の国と国民が安全保障についていかなる考え方を持っているかを世界に正確に伝え、理解を得る努力をすることは、地域および世界の安全保障環境の予測可能性を高める上で非常に重要である。

危機対応時を含め、安全保障に関わる政府の考えや施策を、総理大臣がタイムリーかつ明確に国民のみならず世界に向けて発言することが、国民に安全・安心を与え、世界に正確なメッセージを発するために不可欠であることは、いくら強調しても、し足りないほどである。指導者の対外発信を適切に補佐するため、外国語のサポートを含め、対外発信体制の強化に努めるべきである。

また、平素からホームページ等を通じた、政府の特に英語による迅速・正確な情報発信を強化する必要がある。特に防衛省の英語ホームページは、改善の余地が大きいと言わざるを得ない。海外の研究者やジャーナリストの意見を参考にするなどして、広報を改善し、一層の透明性確保に努める必要がある。

さらに、対外交渉や国際会議、国際交流の場や、国際機関において説得力を持って日本の立場を語り、かつ全体にとって利益ある合意形成をリードできるような人材を育成したり、そうした育成への支援を強化したりすることも必要である。これまで、日本では政府部門のみならず、民間部門が経済、文化、学術等の様々な分野で強い発信力を誇ってきた。日本のソフトパワーの増進と安全保障環境の改善促進につながるという観点から、今後もこうした知的基盤を維持・強化することこそ、対外発信能力強化の鍵となる。


第三章  防衛力を支える基盤の整備 目次 新安保防衛懇報告(付録)

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