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集団自決、軍関与削除し展示 国立歴史民俗博物館に沖縄反発

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集団自決、軍関与削除し展示 国立歴史民俗博物館に沖縄反発

2010年3月16日 夕刊

国立歴史民俗博物館内にオープンした沖縄戦の展示を見る来館者=16日午後、千葉県佐倉市で


 千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館に十六日、常設展示室「現代」がオープンした。しかし、沖縄戦の集団自決について、日本軍の指示や命令に言及せずに展示するため、沖縄の市民団体が反発。歴史認識をめぐって、議論を呼びそうだ。

 この展示室は「戦争と平和」「戦後の生活革命」をテーマに、一九三〇~七〇年代の生活用品や出版物などを展示。日本軍の兵舎や戦後の闇市を再現した模型もある。

 同館は展示内容を検討するため、館内外の研究者やジャーナリスト計二十一人で委員会を発足。委員会代表の安田常雄副館長によると、戦争関連の展示は二〇〇五年に委員五、六人で作業を始めた。

 作業の中で同館側は沖縄戦の集団自決について、日本軍による強制を示唆する内容を示したが、委員の間で意見が分かれた。沖縄の元守備隊長らが作家の大江健三郎さんらを訴えた「沖縄ノート」訴訟が継続していることなどを理由に、複数の委員が「慎重を期すべきでは」と指摘したという。

 同館が賛否双方の意見を取りまとめた結果、日本軍の指示や命令については言及を避け「『集団自決』に追い込まれた人々もいた」との表記に決まった。パネル名も「集団自決」から「戦場の民間人」に変更された。

 こうした動きを知った沖縄の六つの市民団体は十二日に「『軍関与の削除』行為は悲惨な体験を教訓として平和を願う沖縄県民の心を踏みにじるものであり、怒りを持って強く抗議する」との声明を発表。「(歴史教科書問題で)文部科学省は日本軍の深い関与を示す記述への改善を認めた。(沖縄ノート訴訟では)大阪地裁は日本軍が『深く関与』という表現で強制性を認めている」と訴える。

 六団体世話人の玉寄哲永さん(76)は「どこが集団自決に追い込んだのかという主語がないあいまいな表現は許せない」と強調。安田副館長は「反響次第で修正すべき点は修正していく」と説明し、数カ月内に展示内容を再検討する委員会を立ち上げるとしている。

 <沖縄ノート>1970(昭和45)年に刊行された大江健三郎さんの著書。太平洋戦争末期の沖縄戦で、軍指揮官が集団自決を命じたとする記述について、沖縄・慶良間諸島の当時の守備隊長らが、大江さんらを相手取り、出版差し止めなどを求めた。

 大阪地裁に続き、大阪高裁は2008年10月、請求を棄却。元隊長らは判決を不服として上告している。


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