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沖縄タイムス:検定透明化 程遠く/教科書審査改善案/途中の情報規制は強化

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検定透明化 程遠く/教科書審査改善案/途中の情報規制は強化

文科省「全公開は無理」 執筆者「密室変わらず」 /[ニュース近景遠景]

 沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」の教科書記述をめぐる検定手続きが問題化したことを受け、文部科学省が四日に示した改善案は、教科書検定審議会作業部会で了承された。ただ、「ブラックボックス」と言われた審査の透明性向上を目指し出発した議論は「議事概要を事後公開」にとどまった。見直し策の限界を示唆し、幕引きを強調する文科省。一方、教科書執筆者からは、検定の密室性が温存されたことに「(密室検定の)本質は変わらない」と批判している。

 「静かな審議環境と透明性向上という相反する二つが両立するには、これが着地点じゃないですか」

 文科省幹部は、作業部会を終えてつぶやいた。日本軍の「強制」を削除する検定意見が付された一連の審査過程に対する不信感に押される形で始まった見直しは、審議の全面公開には至らなかった。

 「すべてをオープンにするのは無理。教科書の合否を決める行政処分ができなくなる。(この改善案でも)透明性は十分担保される」と同幹部は力説した。

 同日の作業部会では文科省の姿勢に注文も付いた。ある委員は「事後公開が問題解決ではない。究極の目標は教科書の信頼を高めること。なぜ改善するのか説明しないといけない」と指摘した。

 「多少従来より公開性を高めるような体裁を取っているが、結局本質的には変わらない」

 教科書執筆者の石山久男さんは改善案に手厳しい。部会や小委員会の事後公開は昨年の日本史小委の報告と変わらず、検定審本体の公開には一切触れられていないからだ。

 中でも問題視しているのは「審査過程の情報管理」を一つの柱に据えている点。検定の途中で審査内容が申請者以外に漏れた場合、審議停止できることが前面に押し出された。教科書会社にとって、審議が止まることは支障となり、出版できない最悪の事態も想定される。

 文科省幹部は「どういう経緯であれ、情報が出たら何らかの措置を取らないといけない。静かな環境ではなくなるわけだから」と今回の見直し作業で、情報規制が重点の一つだったことを認めた。

 石山さんは「今まで以上に守秘義務が厳しくなっている。公開性にさほど
の変化がないにもかかわらず、規制を強化するのは筋違いだ」と異議を唱えた。(東京支社・西江昭吾)


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