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琉球新報コラム:永井荷風は1948年11月12日付の日記「断腸亭日乗」に

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金口木舌 2008年11月15日


 小説家、永井荷風は1948年11月12日付の日記「断腸亭日乗」に「夜俄に寒し。旧軍閥の首魁荒木東條等25名判決処刑の新聞記事路傍の壁電柱に貼出さる」と記した
▼この日、戦争犯罪を裁いた東京裁判の判決が市谷で言い渡された。時流と距離を置き、冷めた筆致で世相を評した荷風は、東条英機らA級戦犯の判決という戦後日本の節目を日記にとどめた
▼東京裁判を「勝者の裁き」とする批判は今も根強い。被告無罪を主張したパール判事の意見書をめぐる論争もある。60年過ぎてなお、裁判の評価は定まらない
▼法廷が置かれた旧陸軍省の建物は今も市谷の防衛省の敷地に保存されている。その防衛省で航空自衛隊トップにあった田母神俊雄氏は「東京裁判はあの戦争の責任を全て日本に押しつけようとしたものである」と論文で批判した
▼東京裁判に起因するというマインドコントロールが「日本人を惑わしている」と断じる田母神氏は、戦後日本に憤りを感じるのだろう。だが「勝者の裁き」に憤りつつ灰燼(かいじん)の中から民主国家を目指してきた戦後日本の歩みを「惑い」と形容していいのか
▼11日の国会参考人招致で田母神氏は「言論の自由」を掲げ、持論を展開した。「言論の自由」は戦後日本の財産たる日本国憲法に根差すものだ。持論のために武器のごとく振り回すものではない。


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