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歴史教科書「対立」と「歩み寄り」交錯 併合・竹島深入り回避

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pipopipo555jp

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歴史教科書「対立」と「歩み寄り」交錯 併合・竹島深入り回避

2010/3/23 19:22

 日韓両国の歴史学者らでつくる「日韓歴史共同研究委員会」(日本側委員長・鳥海靖東大名誉教授)は23日、第2期研究報告書を公表した。両国の歴史教科書を研究する新設の「教科書小グループ」では互いの主張に一定の理解を示す一方、制度や記述を巡って対立した分野もあった。今年は日韓併合100年に当たるため、国民感情に配慮して併合や竹島領有権問題は深入りを避けた。

 報告書は「古代史」「中近世史」「近現代史」「教科書小グループ」の4つのテーマを設定し、日韓双方の委員がそれぞれ論文を執筆して互いに批評文を付けた。

 教科書制度を巡っては、日本側が「韓国の反日教育は日本の帝国主義的な思考様式が再び流入してこないようにするための政策だった」と明記。韓国側は批評文で「韓国を理解しようとする真摯(しんし)な努力の一環」として理解を示した。

 検定制度については韓国側が「日韓ともに国家の影響が大きい」と指摘。日本側は「国家権力が意のままにコントロールしているかのような結論は的外れだ」と反論し「共同研究は不毛だった」と批判した。

 教科書の記述では、韓国側が従軍慰安婦問題に関して「慰安婦についての叙述の縮小とともに日本が自国中心の叙述へと方向を変えた」と断じた。日本側は「『挺身(ていしん)隊』との混同がある」と反発した。

 歴史認識問題の克服に向け、日本側は「韓国の教科書は日本の平和憲法や天皇、歴代首相の謝罪と反省を記述してほしい」と要請。韓国側は「日本の教科書は過去清算の観点が弱い」と記した。

 近現代史では、韓国側が竹島や北方領土、尖閣諸島について「日本が侵奪した領土」と日本の領有権の主張を批判。日本側は「国際関係論や外交史的蓄積を踏まえていないか、蓄積が不十分だ」と反論した。「日清戦争で日本が勝利した結果、朝鮮は名実ともに清から独立した」とした日本側の論文は韓国側が「誤りだ」と非難した。

 日韓併合や竹島問題などをメーンに取り上げた論文は一つもなかった。韓国内で日本批判が高まる可能性などに配慮し、対立必至なテーマを避けた格好だ。関係者は「竹島問題について日本側が論文を書いたが、直前に韓国側の反発で取り下げた」と明かした。

 岡田克也外相は23日の記者会見で「歴史は多様な見方が可能なので簡単に一本化することは困難だが、議論することで共通する部分が増えていけば相互の認識が近付く」と意義を強調した。

 韓国側委員長のチョ・グァン高麗大教授は同日、ソウル市内で記者団に「近現代史では見解の差があったことを認めなければならない」と指摘。一方で「対話を通じて新しい研究のための基盤をつくる契機になった」と強調した。

 日韓歴史共同研究は教科書問題で悪化した両国関係の修復を目指して2002年に始まった。今回の報告書全文は日韓文化交流基金のホームページで見ることができる。


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