Scar of Braingeyser
Wise Words - Changing Archetypes
最終更新:
braingeyser
Wise Words - Changing Archetypes
- 原文
- Wise Words - Changing Archetypes
- 著者
- Gary Wise
- 訳者
- 三四郎
- 投稿日
- 2002-03-08
- 更新
- 2003-05-31
いつものことだが、今までで戦略が確立していたところに新しいセットが参入してくる時期には、構築と構築の両方でこれまでのアーキタイプが変化したり、まったく新しいタイプのデッキが生み出されたりする。そこで今週のWise Wordsでは、トーメントが加わったことによりオデッセイのリミテッドがどう変化したかをチェックしてみよう。
トーメントによって黒が増えて白と緑が減り、結果オデッセイ×2とトーメントのドラフトではみんな黒に走りだしている。となると当然、サイドボード用のカードやメインの色の組み合わせ、初手としてふさわしいカードは何か、などなどの様々な要素も変化した。というわけで、環境の変化とそれへの対応についてのオレの意見を書いてみることにした。参考になれば幸いだ。
アーキタイプ
青-白コントロール
- キーカード(オデッセイ)
-
- 《Psionic Gift/霊力》
- 《Aether Burst/霊気の噴出》
- 飛行クリーチャー
古典的ながら、オデッセイでも人気だったアーキタイプだ。オデッセイで強い2色を使い、上空を青の飛行で攻めて地上は白のプロテクションで守るという強力な組み合わせ。まぁ、白には組み合わせて強い色が青しかないのも事実。
このアーキタイプの欠点は、《Demoralize/意気沮喪》や《Overrun/踏み荒らし》のようなダメージがブロッカーを越えるカード。これには効果的なライフ回復カードがなかったことも関係している。
長所は、赤緑のような攻撃的なデッキに強いこと。《霊力》がよく効くし、サイドからの《Sphere/領域》もある。
- キーカード(トーメント)
-
- 《Teroh's Faithful/ティーロの信者》
- アンチ黒カード
トーメントの白は枚数が少なく、充分な数ドラフトできたら奇跡みたいなもの。さらに場を支配するための《霊気の噴出》+《Scrivener/公証人》エンジンがトーメントが入ったことにより集めづらくなり、テンポの面でも弱体化してしまった。
そんな状況に対抗するために取っておきたいのが、トーメントのベスト白コモンである《ティーロの信者》。こいつのライフ回復は相手の計算を狂わせることができる。
もし自分が黒を使ってない場合は、対戦3ラウンド中少なくとも2ラウンドは黒の入ったデッキと当たる事になるハズだ。で、白ほどアンチ黒カードが充実している色は他にない。《Stern Judge/厳格な裁き人》、《Strength of Isolation/孤立の力》、《Teroh's Vanguard/ティーロの先兵》、・・・。まだまだあるぞ。
これはあるプロプレイヤーが言っていた戦略だが、まず青黒を目指して、イザ黒が取れなかった場合に青白に逃げるらしい。この戦略での注意点は、充分デッキになるようにカード枚数が取れるかどうかあやしいということ。もしカードが足らないと思ったら、黒や赤の除去を足すのも良いだろう。
赤-緑ビートダウン
- キーカード(オデッセイ)
-
- 《Chatter of the Squirrel/リスのお喋り》
- 《Reckless Charge/無謀なる突撃》
- 《Rites of Initiation/入門の儀式》
このアーキタイプでのキーは、速度と攻撃力をいかに組み合わせるかという点。軽量クリーチャーの大群で押し切るには、1ターン目2ターン目の動きにかかっているのだ。
赤-緑デッキにとって黒-青はお客サマだが、ブロッカーが多い白-青には厳しい。しかしどんなに相性が悪くとも、《Diligent Farmhand/精励する農場労働者》《Mad Dog/狂犬》《Wild Mongrel/野生の雑種犬》《Ember Beast/くすぶり獣》で殴ってやって、《入門の儀式》《意気沮喪》《踏み荒らし》とバーンカードでトドメ、という理想の展開ができればなんとでもなるハズだ。
- キーカード(トーメント)
-
- 《Fiery Temper/癇しゃく》
- 《Acorn Harvest/ドングリの収穫》
オデッセイのパックが一つ減ったおかげで青-黒が強力になって人気も上がったが、代わりに緑は弱くなってしまった。おまけにトーメントは攻撃的なプレイヤーには厳しいエキスパンションだが、《ドングリの収穫》は良いカードだ。特に《入門の儀式》と組み合わさると笑いが止まらない。
ご存知《Basking Rootwalla/日を浴びるルートワラ》だけでなく、トーメントでは《癇しゃく》や《Sonic Seizure/大音響攻撃》といった優秀な火力も追加された。《Longhorn Firebeast/長角火獣》も場に出ようがライフを払われようが対戦相手の脅威となるカードだ(こういったアーキタイプでしか使えないので、序盤からドラフトしておく必要はない)。
このデッキのキーは、マナカーブをいかに低くできるかにある。もし組んでみたときに4マナや5マナが大量に入っていたら、それは失敗ドラフトだと覚悟すべき。
青-緑スレッショルド
- キーカード(オデッセイ)
-
- 《Cephalid Looter/セファリッドの物あさり》
- 《Werebear/熊人間》
- 《精励する農場労働者》
オレに言わせれば、これこそがオデッセイ環境でもっとも強力なデッキタイプだ。欠点と言えば、緑と青はこの環境のリミテッドプレイヤーに人気がありすぎることぐらい。
このデッキはコントロールとビートダウンの中間で、緑の《Springing Tiger/飛びかかる虎》や《Krosan Avenger/クローサの報復者》や《熊人間》、《Seton's Desire/シートンの願望》のようなカードと、青のバウンスと墓地を肥やすカードの組み合わせで、相手を圧倒することができる。
このデッキが素晴らしいのは、《熊人間》や《精励する農場労働者》といったカードで一気にゲームを加速できる点だ。そしてマナが溜まればスレッショルドで相手をズタズタにする。特に、デカイクリーチャーに《シートンの願望》とか付けるともう止まらない。
オレはもしオデッセイの初手に《セファリッドの物あさり》がいたら、その時点で緑-青に進むように決めている。それくらい強力でお気に入りなアーキタイプだ。
- キーカード(トーメント)
-
- 《日を浴びるルートワラ》
- 《Compulsion/強制》
話はちょっとずれるが、大抵の人はドラフトを始める時は黒を取りたいと思っているもので、それができない場合は代わりとして青や緑を取る。けど、色変えしてしまうとせっかくの初手カードが無駄になる。
そこで、《セファリッドの物あさり》《精励する農場労働者》《Rites of Spring/春の儀式》とかが取れた場合は、初手での《Ghastly Demise/恐ろしき死》のようなカードをタッチして使うことを考えておいた方が良い。この方法ならば、いざトーメントでとんでもないカードが出ても、色替えで対応できるようになることだし。
話を戻すと、《Skywing Aven/空翼のエイヴン》もかなりの強力カードだ。
黒-青コントロール
- キーカード(オデッセイ)
-
- 《Gravedigger/グレイブディガー》
- 《Scrivener/公証人》
長期戦だったらこのデッキだ。バウンスと除去を《グレイブディガー》+《公証人》で回収してアドバンテージを稼いで、さらにそれを《Malevolent Awakening/邪悪な覚醒》や《Morgue Theft/モルグの窃盗》で使いまわす。
長期戦用デッキなので白-青には強いが、白と違って《Kirtar's Desire/カーターの願望》や《Angelic Wall/天使の壁》のような軽いカードがないので赤-緑のような速いデッキは苦手だ。なので、《Crypt Creeper/墓所を歩くもの》やら《Phantom Whelp/幻影の仔》を使って2ターン目の《狂犬》に対抗しとこう。
オデッセイ黒コモンTop7(《Ghastly Demise/恐ろしい死》《Patriarch's Desire/総帥の願望》《Morbid Hunger/病的な飢え》《Afflict/苦悩》《Dirty Wererat/薄汚いネズミ人間》《グレイブディガー》《Dusk Imp/薄暮のインプ》)は良いカードだが、それ以外は微妙なのばっかりだったので黒-青はそれほど人気にはならなかった。しかし逆に青を使っているプレイヤーがこっそり黒を取りまくれば、テーブルで3勝するのも難しい話ではなかった。
- キーカード(トーメント)
-
- 《Aquamoeba/アクアミーバ》
- 《Obsessive Search/脅迫的な捜索》
このアーキタイプはトーメントの参入により、一気に強力になった。黒のカードはこのセットの王者だし、なかでも強力な《Faceless Butcher/顔無しの解体者》・《Crippling Fatigue/ひどい憔悴》・《Cabal Torturer/要塞の拷問者》といったカードはコストに黒黒必要なので、黒をメインカラーにしてないプレイヤーに横取りされる心配がない。青も、上記の《空翼のエイヴン》だけでなく《アクアミーバ》や《脅迫的な捜索》も、このアーキタイプでは非常に使えるカードがある。
黒-青に欠点があるとしたら、みんながこの色をドラフトしたがっていることだろう。もちろんパックにもよるが、テーブル中6,7人がどちらかの色を使っている可能性がある。なので、枚数あわせに《Peek/のぞき見》・《Predict/予報》・《Egg/卵》のようなカードでも多少高めにみてドラフトしておこう。この色は、一定数のパワーカードと墓地を肥やすカードさえあれば、充分戦えれるはずだ。
赤-黒コントロール
- キーカード(オデッセイ)
-
- 《Firebolt/炎の稲妻》
- 《病的な飢え》
- 《Innocent Blood/無垢の血》
このデッキはあんまり好きじゃない。緑にはフラッシュバッククリーチャーがいるし、白には《Shelter/避難》。つまりどんなに除去しようとしても、カードアドバンテージという問題が起きてくる。
まぁとにかく、このデッキの戦略はとにかく除去。《炎の稲妻》や《病的な飢え》で小さいクリーチャーを除去して、大きいのは《無垢の血》。場をコントロールしてから、ビートダウンには向かないが環境的に充分な除去にもなる《Zombie Assassin/ゾンビの暗殺者》や《Chainflinger/投鎖獣》で相手を殴り殺せばいい。
- キーカード(トーメント)
-
- 《ひどい憔悴》
黒を使うプレイヤーには青が人気なので、その面では代わりに赤を使っていることがメリットになっている。
つまり、とんでもなく強力な赤カードはさすがに無理としても、このアーキタイプでしか使えないカード(《Pardic Collaborator/パーディック山の協力者》や《Barbarian Outcast/蛮族ののけ物》など)は一度流しても一巡して戻ってくる可能性が高くなっているのだ。
このアーキタイプで組む場合に難しいのが、《蛮族ののけ物》《大音響攻撃》《長角火獣》などのカードを利用した速攻デッキにするかどうかかどうかの判断だ。もし最初は黒-緑をやろうと考えながら黒を取っていたなら、こちらの組み方のほうがうまくいく。
その他のデッキタイプ
青-赤はオデッセイ環境ではあまり見られない組み方で、トーメントが入ったからといってその状態が変わりそうにない。もちろんものすごいマッドネスデッキが組めそうな色ではあるが、トーメントで強力な赤のマッドネスがどれだけ取れるかわからないのにオデッセイの段階で決め打ち的に青-赤を取るのはうまくないだろう。
白-赤は、今回の変化で大打撃をくらってしまった。オデッセイが減ったことで白の熊(2/2クリーチャー)とクリーチャーを守る手段を失ったのだ。こういったデッキは攻撃的に組まねばならないのに、そのためのクリーチャーが現状では足らなすぎる。
白-黒は、環境で黒が強くなったことで少し後押しされた。《Auramancer/オーラ術師》+《総帥の願望》コンボが組みにくくなったのは問題だが、トーメントの黒は強力だし、白の部分でメタデッキが組めるとも言える。
緑-黒は、お互い長所を伸ばして短所を補い合う良い組み合わせだが、環境でのトップ2色を両方取れるとは思わないのでオレはこの組み合わせは好きでない。この色をドラフトする時は、トーメントのためにしっかりと上と下の色を操作しておくのが必要だ。
緑-白は、トーメントで3枚ぐらいしか欲しいカードがないので危険。つまり、この色をドラフトするとたぶん枚数が足らなくなるので、緑のマナ能力を利用して3色目を追加することをお薦めする。
今週はここまで。
来週のWise Wordsでは、トーメントのカードによるオデッセイのカードの強さの変化を紹介しようと思う。
待っていてくれ。
当ページは、2ちゃんねるの卓上ゲーム板「MTG Sideboard Online 日本語版」スレッドに投稿された記事を、426(braingeyser-lj@infoseek.jp)がまとめたものです。