Scar of Braingeyser
Psychatogs and Enforcers
最終更新:
braingeyser
Psychatogs and Enforcers
- 原文
- Psychatogs and Enforcers
- 著者
- Brian Kibler
- 訳者
- 34
- 投稿日
- 2002-02-21
- 更新
- 2003-05-23
最近のネットでは、《Psychatog(TO)/サイカトグ》デッキがマスターズ・サンディエゴを支配したことについての文章をよく見るようになった。なにしろマスターズデッキの半数に《サイカトグ》が入り、Top4にも3つ、決勝戦では両者《サイカトグ》、最終的には悪名高きRyan Fullerにタイトルを授けたのだから、これは当然と言える。
そして当然、これだけの結果を残したデッキだけに様々な討論も行なわれている。《サイカトグ》だけで充分なのか? それともフィンケル(《影魔道士の浸透者》)や《夜景学院の使い魔》も入れるべきなのか? 《Upheaval(OD)/激動》は必要か? 《Aether Burst(OD)/霊気の噴出》は? 《Probe(IN)/調査》は? そして最大の疑問点、このデッキを倒せるデッキは何なのか?
この最大の疑問への私の答えが、エイトグを使わずしてサンディエゴTop4ながら、あまり注目されていないBrian Hegstadによってデザイン・プレイされたデッキだ。Hegatadは準々決勝でBen klauserの《サイカトグ》デッキを破るも、準決勝では最終的にチャンピオンとなるRyan Fullerに敗れてしまった。が、この時の敗因は土地事故だった。
私の意見で言えば、現在あまり注目されていないこの処罰者デッキは、現在のスタンダードでもトップクラスの競争力を持ち、さらに言うなら《サイカトグ》だらけの海の中でのもっとも強い希望の光だと思っている。
- Brian Hegstad
-
- Land
-
- 7 Island/島
- 4 Adarkar Wastes/アダーカー平原
- 4 Coastal Tower(IN)/沿岸の塔
- 3 Brushland/低木林地
- 3 Yavimaya Coast(AP)/ヤヴィマヤの沿岸
- 2 Sungrass Prairie(OD)/サングラスの大草原
- Creature
-
- 4 Mystic Enforcer(OD)/秘教の処罰者
- Spell
-
- 4 Peek(OD)/のぞき見
- 4 Counterspell/対抗呪文
- 4 Repulse(IN)/排撃
- 4 Fact or Fiction(IN)/嘘か真か
- 3 Disrupt(IN)/撹乱
- 3 Opt(IN)/選択
- 3 Memory Lapse/記憶の欠落
- 3 Absorb(IN)/吸収
- 3 Wrath of God/神の怒り
- 2 Predict(OD)/予報
- SIDEBOARD
-
- 4 Call of the Herd(OD)/獣群の呼び声
- 4 Meddling Mage(PS)/翻弄する魔道士
- 3 Wild Mongrel(OD)/野生の雑種犬
- 2 Questing Phelddagrif(PS)/探索するフェルダグリフ
- 2 Aura Mutation(IN)/オーラの突然変異
この処罰者デッキは、新しいメカニズムであるスレッショルドを試してみるために作ってみたものが原型になっている。State Championshipsの準備として、《選択》や《排撃》、さらには《のぞき見》や《予報》といったカードまで使ってキャントリップを満載し、そこにオデッセイの中でも使われていなかったカード("Sleeper")、《秘教の処罰者》を突っ込んだのだ。
初期のテストでは、当時有望と思われていたデッキ(主にインベイション主体のデッキ)に対してかなり有望な結果を残した。特に、クリーチャー主体の環境なので《神の怒り》の強さと、《秘教の処罰者》がほぼ除去されないのが強かった。たとえば、インビテーションでのFinkelデッキのコピーと対戦した時は、一度《処罰者》を出してしまえば、相手のデッキにはこのプロテ黒を突破できるクリーチャーも除去できるカードも入っていないないので、あっさりと勝利することができた。
他のデッキとのテストも、似たような結果だった。相手の序盤の速攻さえ止められたら、《秘教の処罰者》で場のコントロールを奪えれる。この状態になったら、6/6飛行とダメージレースして勝てるデッキはそうはない。
このプレイの結果、Ben RubinはカリフォルニアのState Championships用にこのデッキを金を払っていった。実は私自身は、私がインビテーショナルで使ったデッキの方が良い気がしていたのだが。
Statesが終了後、私はさらにこのデッキの強さを信じるようになった。Benの結果自体はそれほど良くなかったのだが、このデッキはState Championships後のメタゲームではさらに活躍できると確信したからだ。
つまりStatesで活躍したのはJon SonneのSnaketongueや私のフラッシュバック/《対立》デッキであり、この手のデッキはさらに場をコントロールするデッキには弱いし、さらにこの手のデッキが速攻デッキを駆逐していくと思われたからだ。つまりここで、《サイカトグ》と《処罰者》の時代になるのだ。
実際にこの2つのデッキは、パッとではそう見えないかもしれないが、基本的な戦略はとてもよく似たものになっている。
- Ryan Fuller
-
- Land
-
- 9 Island/島
- 2 Swamp/沼
- 4 Underground River/地底の大河
- 4 Salt Marsh(IN)/塩の湿地
- 4 Cephalid Coliseum(OD)/セファリッドの円形競技場
- Creature
-
- 4 Psychatog(OD)/サイカトグ
- Spell
-
- 4 Peek(OD)/のぞき見
- 4 AEther Burst(OD)/霊気の噴出
- 4 Counterspell/対抗呪文
- 4 Memory Lapse/記憶の欠落
- 4 Predict(OD)/予報
- 4 Fact or Fiction(IN)/嘘か真か
- 3 Repulse(IN)/排撃
- 3 Undermine(IN)/蝕み
- 2 Force Spike/魔力の乱れ
- 1 Gainsay(PS)/反論
- SIDEBOARD
-
- 4 Slay(PS)/殺戮
- 3 Disrupt(IN)/撹乱
- 3 Hibernation/冬眠
- 2 Lobotomy(IN)/ロボトミー
- 1 Divert(OD)/方向転換
- 1 Force Spike/魔力の乱れ
- 1 Gainsay(PS)/反論
この2つのデッキのもっとも大きな違いは勝利手段が《サイカトグ》か《処罰者》かという点であり、そしてこれによって他のカードの選択が変化しているだけでしかない。
処罰者は早くスレッショルドに達さなければならないため、《選択》・《のぞき見》・《予報》と大量のキャントリップが搭載されているが、たいていの《サイカトグ》デッキは《選択》だけしか入っていない。(Fullerは《選択》を使わずに代わりに《のぞき見》と《予報》という、珍しい選択となっている)
《サイカトグ》自身も序盤の優秀なブロッカーとして機能するが、とは言え《サイカトグ》1体だけで防ぎきれるわけでもなく、そのためGodzillaバージョンでは《魔力の乱れ》、Fullerのには《霊気の噴出》が投入されている。
《秘教の処罰者》は大きくなるのに時間がかかり、序盤のブロッカーには向いていない。そこで古典的かつもっとも有効なクリーチャー対策である《神の怒り》が入っており、クリーチャーデッキを簡単にあしらえる。さらに対戦相手が《神の怒り》を警戒してクリーチャーを出し渋れば、当然その分だけ有利になる。
コントロールデッキに対しては、呪文のマナ効率によって優位に立てる。例として、ポピュラーなSnaketongueと処罰者デッキとで比較してみよう。この二つのデッキがカウンター合戦をした場合、勝つのはどちらか?
Snaketongueでは《神秘の蛇》の場所が、処罰者では《吸収》になっている。同じようにSnaketongueでは《中略》の場所が、《記憶の欠落》に。いざカウンター合戦になった時には、このコストの軽さが大きな差となるのだ。これはサイカトグデッキででも同じこと。
特に、Snaketongue側がもっとも通したがる呪文である《嘘か真か》(2・3ターン殴るだけでゲームを終わらせれるクリーチャーと同じくらい危険なカード)をいかにカウンターするかが重要なポイントとなるので、カウンター合戦が勝敗を別ける事になる。
さて、どんな環境であってさえ、結局は正しい知識が成功の秘訣であるのは間違いないところだ。
しかし、処罰者デッキには普通のアドバンテージ論では入りそうもないカードが採用され、しかしそれによってデッキが強化されている。要するにスレッショルドのためにキャントリップカードを大量に投入しているのだが、そんなカードの中で特に面白いのが《のぞき見》だ。普通のコントロールデッキでは《選択》が入っているスペースを《のぞき見》というちょっと変わったカードにしているのだが、これが非常に重要な働きをするのだ(また、Fullerのサイカトグデッキも同様)。
新しいフロアルールでは、《のぞき見》などで見た相手の手札をメモして良い事になったのだが、処罰者デッキを使った場合ではどんなデッキと当たってもこの情報が無駄になることがない。対戦相手のカウンターをチェックできればマナとタイミングを測ることで自分に有利にゲームを進められるし、《ウルザの激怒》や《火炎舌のカヴー》が手札にあるかどうかで《秘境の処罰者》を4ターン目に召喚して良いのか、相手のクリーチャーをブロックして良いのかを判断できるようになる。さらに《のぞき見》最大のメリットは、サイドボード後での相手の手札を見た後での《翻弄する魔道士》だろう。
コントロール重視の環境なことを考慮して《選択》を減らして《のぞき見》をフルに投入したように、環境の変化によってはデッキを少し変更することも必要だ。実際、メタゲームは間違っていなかったのに準決勝でBrian Hegstadが事故で負けてしまった以上、マナベースはいじる必要がありそうだ。
例えば2枚の《サングラスの大草原》。これは緑赤のビートダウンとの対戦時に、ダメージ無しで《神の怒り》や《秘教の処罰者》用の白マナや緑マナを出したいがための選択だった。しかし現在のコントロール偏重の環境では、《吸収》などのために青マナと白マナが必要なのだが、この土地ではそれがうまく出ない。これによりカウンター合戦が不利となり、実際、Hegstadの準決勝2本目3本目はこれで落としてしまった。そこで、ダメージ系のデッキへの耐性を落とさないためにも、1枚をダメージ無しで多色が出る《トリーヴァの》に代えるのはありそうだ。
さらに、このデッキの緑マナはサイドボード後の《獣群の呼び声》のようなカードを序盤から使えるように多めの調整してある。しかし、サイドボードは現在では変更されているので、《ヤヴィマヤの沿岸》1枚を《島》にするのも良さそうだ。
以上の変更で、メインはマスターズ後の環境でも充分だろう。が、サイドボードは少々変更が必要だ。
《サイカトグ》入りのコントロールデッキが増えたので《獣群の呼び声》の有効性が下がってしまった。これは抜いてしまおう。
《詠唱する魔道士》はさらに重要性が上がった。できることならサイドに8枚入れたいぐらいだ。
《野生の雑種犬》は、対Finkel、対《平等化》用のカードだったが、これは思ったほどは有効でなかった。
《探索するフェルダグリフ》は、《火炎舌のカヴー》が効かないほどのデカブツという点で緑赤青や緑赤のデッキに対して恐ろしいほど有効であり、5枚目6枚目の《秘教の処罰者》として活躍する。
《オーラの突然変異》は《機知の戦い》と《対立》デッキへの対策。現在の環境ではそれほど脅威ではないが、それでも処罰者デッキにとっては充分脅威となるデッキへの対策だ。
さて、《獣群の呼び声》と《野生の雑種犬》を抜いたことで、サイドボードにかなりの余裕ができた。ここに私は、コントロールデッキとの対戦用の《反論》と4枚目の《錯乱》、さらに《Hobble(PS)/足縄》、《Dodecapod(AP)/十二足獣》、《Compost/たい肥》を加えたい。最初の2枚は当然のカードだが、後者の3枚には説明が必要だろう。
《足縄》は《影魔道士の浸透者》や《サイカトグ》に対する有効な解答であり、《翻弄する魔道士》でのビートダウンを妨げられることもなくなる。またキャントリップもあるので普通のクリーチャーデッキに対しても悪くない。
《十二足獣》は《平等化》デッキに対して強烈に効くカードであり、《平等化》の際に相手より手札が多ければタダで5/5のアタッカーとなる悪夢のようなカード。
《たい肥》はサイカトグデッキの使う《脅迫》や《蝕み》のようなカードに対してアドバンテージが取れ、さらにR&Dが意図するようにトーメントの参入で環境が黒くなるなら、さらにこのカードのパワーは上がるだろう。
他のサイドボード候補としては、本当にサイカトグデッキを倒したいなら《Llanowar Knight(IN)/ラノワールの騎士》や《Mystic Crusader(OD)/秘教の十字軍》といった選択もある。現在のマナバランスでは序盤から出すには少し厳しいカードだが、有効なアタッカーだし、《サイカトグ》を永遠に止め続けるカードでもある。今後、もしも《Nantuko Shade(TO)/ナントゥーコの影》がポピュラーなカードとなった時には、《秘教の処罰者》が大きくなるまでの有効なブロッカーとしてさらに活躍するだろう。
トーメントで使いされるカードで処罰者デッキにとってもっとも問題なのが《チェイナーの布告》なのは間違いない。対象を取らない除去なので、いくら《秘教の処罰者》や《サイカトグ》が大きくなろうとも簡単に除去されてしまう。チェイナーの名を冠するカードを満載した黒速攻は、スタンダードの王と皇太子を打ち倒す存在となるのだろうか? これにはまだ、いずれ時間が答えを出すとしか答えようがない。
処罰者デッキは次の環境でもトップデッキでいられるのだろうか? そうかもしれないし、そうでないかもしれない。しかしトーメントがどんな大きな影響を及ぼそうとも、この記事を読んでくれたあなたの傍に巨大なプロテ(黒)のドラゴンがいることを私は信じている。
当ページは、2ちゃんねるの卓上ゲーム板「MTG Sideboard Online 日本語版」スレッドに投稿された記事を、426(braingeyser-lj@infoseek.jp)がまとめたものです。