燃え上がれ、紅蓮の炎よ ◆F9bPzQUFL.
この殺し合いが始まってから二時間が経とうとしている。
一人の少年、羽山秋人の額には汗が滲み始めていた。
ひたすらに歩き続けて実に二時間。
探し人はおろか、人っ子一人の姿を見ることも無く。
ただ体力を無駄に消費するだけに終わってしまった。
一人の少年、羽山秋人の額には汗が滲み始めていた。
ひたすらに歩き続けて実に二時間。
探し人はおろか、人っ子一人の姿を見ることも無く。
ただ体力を無駄に消費するだけに終わってしまった。
焦り。
一刻も早く探し人、倉田紗南に会いたいと思う気持ちも相まって、知らぬ間に秋人の足を速めていた。
この際誰でもいい、誰か人に会うことができればそれでいい。
二時間の間に、紗南の姿を見ている人間がいるかもしれない。
ほんの少し、顔を見た程度の情報でも今は欲しいのだ。
すぐに探し人と合流できるなんて幻想だということは分かっている。
それでも誰かに会うなら紗南がいいと思ってしまう自分は傲慢だろうか。
一刻も早く探し人、倉田紗南に会いたいと思う気持ちも相まって、知らぬ間に秋人の足を速めていた。
この際誰でもいい、誰か人に会うことができればそれでいい。
二時間の間に、紗南の姿を見ている人間がいるかもしれない。
ほんの少し、顔を見た程度の情報でも今は欲しいのだ。
すぐに探し人と合流できるなんて幻想だということは分かっている。
それでも誰かに会うなら紗南がいいと思ってしまう自分は傲慢だろうか。
自分の中で考えうる最悪中の最悪の展開を防ぐために、秋人は足を進める。
「さって、と。これからどうしようか」
体よく青年の胸にナイフを突き立てて川に突き落とした。
これで自分は立派な人殺し、人一人の命を奪ったのだ。
まだほんの少しだけ、手が震えている。
それは後悔の意からか、恐怖から生まれているものなのかは分からない。
「ははっ。決めたって言うのに、このザマか……」
震える手を握り締め、込み上げる感情を押さえ込む。
自分の目的はどんな手を使ってでも光を生き残らせる事。
つまり光が最後の一人になるまで、自分が他の人間を殺さなければいけないということ。
最後は、自分の自殺によってこの殺し合いは幕を引くのだ。
体よく青年の胸にナイフを突き立てて川に突き落とした。
これで自分は立派な人殺し、人一人の命を奪ったのだ。
まだほんの少しだけ、手が震えている。
それは後悔の意からか、恐怖から生まれているものなのかは分からない。
「ははっ。決めたって言うのに、このザマか……」
震える手を握り締め、込み上げる感情を押さえ込む。
自分の目的はどんな手を使ってでも光を生き残らせる事。
つまり光が最後の一人になるまで、自分が他の人間を殺さなければいけないということ。
最後は、自分の自殺によってこの殺し合いは幕を引くのだ。
そう、自分が幕を引かなければならない。
「ごめんね、殿、鏡夜先輩、ハルヒ」
静かに知り合いの名前を呟く。
そう、彼等とて例外ではない。
光以外の、これから殺さなければいけない人間でしかないのだ。
「僕は、決めたから」
手を握り締め、再び始まった震えをもう一度止める。
そう、知り合いだからといって躊躇っている場合ではない。
その道を選んだのだから、もう後戻りもできない。
「ごめんね、殿、鏡夜先輩、ハルヒ」
静かに知り合いの名前を呟く。
そう、彼等とて例外ではない。
光以外の、これから殺さなければいけない人間でしかないのだ。
「僕は、決めたから」
手を握り締め、再び始まった震えをもう一度止める。
そう、知り合いだからといって躊躇っている場合ではない。
その道を選んだのだから、もう後戻りもできない。
なのに。
心のどこかでは、そんなことしなくてもいいのではないかと思ってしまう。
必死に振り払っても、その考えは何時までもついて来る。
必死に振り払っても、その考えは何時までもついて来る。
断ち切らなくてはいけない。迷いは、何時しか自分の弱みになる。
もう一度、決心しなくてはいけない。
自分は人殺しとしてこの惨劇を彩り、そして幕を引くのだと。
もう一度、決心しなくてはいけない。
自分は人殺しとしてこの惨劇を彩り、そして幕を引くのだと。
決心のための殺人。
その為に、馨は次のステップへ進む。
その為に、馨は次のステップへ進む。
自分の残りの支給品であるマチェットだけでは、先のことを考えると厳しい。
一緒に入っていた血糊も、使う場面が限られるだろう。
先ほど殺した男のデイパックを漁る。
まず、出てきたのは滑り止めのついたごく普通の軍手だ。
庶民の生活を楽しんでいた際に、何度か使用したことがある。
コレがあれば手が返り血でぬかるんで武器を手放してしまう、なんてことを無くすことができる。
軍手をはめ、続いて出てきたのはごくシンプルな機械。
同梱の説明書を見ると、参加者の命を握る装置である首輪を探知するもののようだ。
中心に書かれた「29」の白丸が自分を示しているのだろう。
とりあえずその機械を置いておき、もう一つの支給品を漁る。
出てきたのはたった一つの白い卵。
パッと見ればそれはただのはずれ支給品だろう。
できることといえば、質素な食事を少し彩ることぐらいだろう。
しかし、馨はその卵を見て笑う。
そして、おもむろに自分の体とマチェットに血糊を塗り始めた。
一緒に入っていた血糊も、使う場面が限られるだろう。
先ほど殺した男のデイパックを漁る。
まず、出てきたのは滑り止めのついたごく普通の軍手だ。
庶民の生活を楽しんでいた際に、何度か使用したことがある。
コレがあれば手が返り血でぬかるんで武器を手放してしまう、なんてことを無くすことができる。
軍手をはめ、続いて出てきたのはごくシンプルな機械。
同梱の説明書を見ると、参加者の命を握る装置である首輪を探知するもののようだ。
中心に書かれた「29」の白丸が自分を示しているのだろう。
とりあえずその機械を置いておき、もう一つの支給品を漁る。
出てきたのはたった一つの白い卵。
パッと見ればそれはただのはずれ支給品だろう。
できることといえば、質素な食事を少し彩ることぐらいだろう。
しかし、馨はその卵を見て笑う。
そして、おもむろに自分の体とマチェットに血糊を塗り始めた。
もう一度、探知機を見つめる。
「28」の点が近くに現れたのを見てから、馨は倒れこんだ。
「28」の点が近くに現れたのを見てから、馨は倒れこんだ。
秋人がようやく見つけた人間は、死体だった。
辺り一帯に飛び散った赤い血、そして死体の傍には一本の刃物。
殺人者は何故、刃物を置いて逃げたのか?
いざ、殺人を犯した後に怖くなって逃げ出したのだろうか?
どうにもおかしい点が複数ある。
恐る恐る死体に近づいていくと、左手に何かを握り締めていることが分かった。
一体何を握っているのか?
左手の傍に寄り、ゆっくりと指を解く。
その中から現れたのは一個の卵だった。
何故? 何故彼は卵を握り締めながら死んでいるのか?
正面から斬りかかられたのならば、敵と相対しているはずだ。
まさか、卵を武器にしようとでも思っていたのだろうか?
そんなことを考えていたそのときだった。
目の前の卵が、音を立てて爆発したのだ。
辺り一帯に飛び散った赤い血、そして死体の傍には一本の刃物。
殺人者は何故、刃物を置いて逃げたのか?
いざ、殺人を犯した後に怖くなって逃げ出したのだろうか?
どうにもおかしい点が複数ある。
恐る恐る死体に近づいていくと、左手に何かを握り締めていることが分かった。
一体何を握っているのか?
左手の傍に寄り、ゆっくりと指を解く。
その中から現れたのは一個の卵だった。
何故? 何故彼は卵を握り締めながら死んでいるのか?
正面から斬りかかられたのならば、敵と相対しているはずだ。
まさか、卵を武器にしようとでも思っていたのだろうか?
そんなことを考えていたそのときだった。
目の前の卵が、音を立てて爆発したのだ。
高温の卵の中身が秋人の顔を中心に飛びかかる。
目に入り込んだ卵の一部が、秋人の目をじんわりと焼いていく。
思わず目を押さえ、その場に倒れこんでしまう。
「は~、こんな古典的な手段に引っかかるなんて君ってバカ?」
焦りすぎた。と秋人は心の中で舌打ちする。
死体だったのだから、構わず走り去っていればよかったのだ。
なぜ構ってしまったのか? それは自分でも分からない。
ひょっとしたら、息がまだあるかもしれない。
ひょっとしたら、紗南に会っているかもしれない。
そんなことを考えてしまったのが、いけなかったと言うのか。
「ま、今から死ぬからそんなことはどうでも良いよね」
目はまだうまく開かない。
音だけを頼りに、自分の左腕に嵌っている武器を射出する。
「おっと、危ないなあ」
難なく避けられてしまったようだ。
死体だった人間が、自分に向けて何かを突きつけているのが分かる。
それは、金属の冷たい感触。
「一回で楽にしてあげるからさ、ジッとしててくれないかな?」
その言葉と同時に、風を斬る音が聞こえる。
目はまだ開かない。
必死に体を捩るが、右肩が裂ける様な痛みに襲われる。
「早く、死んでくれ……よっ!」
激痛に悶え苦しんでいる間に、第二撃が自分の脳天をカチ割るのだろう。
結局、自分は紗南に会うこともできずにこんなところで死んでしまうのか。
自分の無力さを嘆きながら、振り下ろされる刃を待とうとしていた。
目に入り込んだ卵の一部が、秋人の目をじんわりと焼いていく。
思わず目を押さえ、その場に倒れこんでしまう。
「は~、こんな古典的な手段に引っかかるなんて君ってバカ?」
焦りすぎた。と秋人は心の中で舌打ちする。
死体だったのだから、構わず走り去っていればよかったのだ。
なぜ構ってしまったのか? それは自分でも分からない。
ひょっとしたら、息がまだあるかもしれない。
ひょっとしたら、紗南に会っているかもしれない。
そんなことを考えてしまったのが、いけなかったと言うのか。
「ま、今から死ぬからそんなことはどうでも良いよね」
目はまだうまく開かない。
音だけを頼りに、自分の左腕に嵌っている武器を射出する。
「おっと、危ないなあ」
難なく避けられてしまったようだ。
死体だった人間が、自分に向けて何かを突きつけているのが分かる。
それは、金属の冷たい感触。
「一回で楽にしてあげるからさ、ジッとしててくれないかな?」
その言葉と同時に、風を斬る音が聞こえる。
目はまだ開かない。
必死に体を捩るが、右肩が裂ける様な痛みに襲われる。
「早く、死んでくれ……よっ!」
激痛に悶え苦しんでいる間に、第二撃が自分の脳天をカチ割るのだろう。
結局、自分は紗南に会うこともできずにこんなところで死んでしまうのか。
自分の無力さを嘆きながら、振り下ろされる刃を待とうとしていた。
心の奥底で「ふざけるな」と呟き続ける。
死にたくない、ここで死にたくない。
会いたい人が居る。守らなきゃいけない人が居る。
こんなところで倒れるわけには行かないのだ。
死にたくない、絶対に、絶対に死にたくない。
死にたくない、ここで死にたくない。
会いたい人が居る。守らなきゃいけない人が居る。
こんなところで倒れるわけには行かないのだ。
死にたくない、絶対に、絶対に死にたくない。
秋人のその思いは。
「うわっ、熱ゥッ?!」
彼の持っていた赤い石へと伝わり。
「なんだよ……なんだよそれ!!」
紅蓮の炎へと姿を変え、現世へと現れた。
「うわっ、熱ゥッ?!」
彼の持っていた赤い石へと伝わり。
「なんだよ……なんだよそれ!!」
紅蓮の炎へと姿を変え、現世へと現れた。
ようやく開くことができた両目で、襲撃者が退いていくのを見る。
そして、自分の周りが炎で包まれていることも確認する。
なぜ、辺りは炎に包まれているのか?
一体、今何が起こったのか?
そんなことを考えながら、秋人は火事からの脱出を計る。
探し人、倉田紗南に会うのは、まだまだ先のようだ。
そして、自分の周りが炎で包まれていることも確認する。
なぜ、辺りは炎に包まれているのか?
一体、今何が起こったのか?
そんなことを考えながら、秋人は火事からの脱出を計る。
探し人、倉田紗南に会うのは、まだまだ先のようだ。
痛い、痛い、痛い。
あの炎に焼かれた体が痛い。
卵のトリックが上手く行った時、全て上手く行くと思っていた。
相手の抵抗も避けきったし、あとはマチェットを頭に叩きつければ終わるハズだった。
「やっぱり、僕は……弱いな」
あと少しのところで逃がしてしまった。
いや、自分の方から逃げ出してしまった。
「こんな弱音、言ってる場合じゃないんだけどな」
頭へと振り下ろそうとした瞬間、あの少年の体を包み込むように炎が巻き起こった。
ほぼ密着していたため、全身を焼かれてしまったのだ。
深追いは危険だ、あの炎でもう一度攻撃されればひとたまりもないだろう。
だから、一時撤退を選んだ。
「ごめんね、光。少し時間はかかるけど。僕が絶対に守ってあげるからね。」
形はどうあれ、人を殺すことはできなかった。
最初の男のように躊躇いなく殺せるはずだったのに。
逃げ出してきた本当の理由は、これ以上人殺しをしたくないという本心なのか?
そんなことはない、と振り切るために頭を振る。
とにかく、まずはこの火傷の治療だ。
それから、どうやって人を殺していくか。
あの炎に焼かれた体が痛い。
卵のトリックが上手く行った時、全て上手く行くと思っていた。
相手の抵抗も避けきったし、あとはマチェットを頭に叩きつければ終わるハズだった。
「やっぱり、僕は……弱いな」
あと少しのところで逃がしてしまった。
いや、自分の方から逃げ出してしまった。
「こんな弱音、言ってる場合じゃないんだけどな」
頭へと振り下ろそうとした瞬間、あの少年の体を包み込むように炎が巻き起こった。
ほぼ密着していたため、全身を焼かれてしまったのだ。
深追いは危険だ、あの炎でもう一度攻撃されればひとたまりもないだろう。
だから、一時撤退を選んだ。
「ごめんね、光。少し時間はかかるけど。僕が絶対に守ってあげるからね。」
形はどうあれ、人を殺すことはできなかった。
最初の男のように躊躇いなく殺せるはずだったのに。
逃げ出してきた本当の理由は、これ以上人殺しをしたくないという本心なのか?
そんなことはない、と振り切るために頭を振る。
とにかく、まずはこの火傷の治療だ。
それから、どうやって人を殺していくか。
また、考えればいい。
【E-6/草原と林の境界/午前】
【常陸院馨@桜蘭高校ホスト部】
[状態]:強固な決意(?)、全身に火傷
[装備]:滑り止め付き軍手、マチェット、血糊、首輪探知機
[道具]:基本支給品*2
[思考]
基本:光のために他の参加者を皆殺しにする
1:山火事から脱出(西へ)、そして火傷の治療。
2:遠距離で戦える武器が欲しい(欲を言えば拳銃)
【常陸院馨@桜蘭高校ホスト部】
[状態]:強固な決意(?)、全身に火傷
[装備]:滑り止め付き軍手、マチェット、血糊、首輪探知機
[道具]:基本支給品*2
[思考]
基本:光のために他の参加者を皆殺しにする
1:山火事から脱出(西へ)、そして火傷の治療。
2:遠距離で戦える武器が欲しい(欲を言えば拳銃)
【羽山秋人@こどものおもちゃ】
[状態]:右肩損傷、顔に軽い火傷
[装備]:菊音の飛び出す爪(コミックス16巻の)@BASARA、炎のアリスストーン@学園アリス
[道具]:基本支給品、不明支給品(0~1、確認済み)
[思考]
基本:まずは紗南と合流、殺し合いに乗るつもりは無い。
1:山火事から脱出(南へ)
2:右肩の治療、休める場所が欲しい。
[備考]
※少なくとも腕を刺された後からの参戦です。
※自分の持っているアリスストーンの力で炎を起こしたことに気がついていません。
[状態]:右肩損傷、顔に軽い火傷
[装備]:菊音の飛び出す爪(コミックス16巻の)@BASARA、炎のアリスストーン@学園アリス
[道具]:基本支給品、不明支給品(0~1、確認済み)
[思考]
基本:まずは紗南と合流、殺し合いに乗るつもりは無い。
1:山火事から脱出(南へ)
2:右肩の治療、休める場所が欲しい。
[備考]
※少なくとも腕を刺された後からの参戦です。
※自分の持っているアリスストーンの力で炎を起こしたことに気がついていません。
時系列順 | あの背中を想い | |
道中は危険がいっぱい | 投下順 | ある騎士のためのバラッド |
光の闇、馨の影 | 常陸院馨 | [[]] |
本編開始 | 羽山秋人 | [[]] |
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