道中は危険がいっぱい ◆F9bPzQUFL.
「夢を……夢を見てた。
狭い部屋に多人数の男女が集められている夢だ。
そして、その数十人を見下ろす二人の男が居てさ。
片方は女っぽく見えたが……まあ、いいか。
二人の男は俺らに「最後の一人まで殺し合え」と告げた。
あれ、コレどっかで見たことあるな。なんて映画だったっけ……。
それはともかく、その後一人のオッサンがふわりと宙を浮いて。
ボンッって爆発音と共に、首が飛んだんだよ。
その後ドサッって音と一緒に首が落ちて、鮮やかな真紅の血が辺りには飛び散ったわけだ。
でも俺はまるでCGのような、そんな嘘臭さを感じたんだ。
ま、もし俺が作るならもうちょっといいCGが用意できるかな。
そこでブツリと切れたんだが……なんつーか、「ふしぎな夢」だったよ」
狭い部屋に多人数の男女が集められている夢だ。
そして、その数十人を見下ろす二人の男が居てさ。
片方は女っぽく見えたが……まあ、いいか。
二人の男は俺らに「最後の一人まで殺し合え」と告げた。
あれ、コレどっかで見たことあるな。なんて映画だったっけ……。
それはともかく、その後一人のオッサンがふわりと宙を浮いて。
ボンッって爆発音と共に、首が飛んだんだよ。
その後ドサッって音と一緒に首が落ちて、鮮やかな真紅の血が辺りには飛び散ったわけだ。
でも俺はまるでCGのような、そんな嘘臭さを感じたんだ。
ま、もし俺が作るならもうちょっといいCGが用意できるかな。
そこでブツリと切れたんだが……なんつーか、「ふしぎな夢」だったよ」
それは夢ではない。
彼がその事実に気がつくには、もう少し時間がかかる。
見たものが現実だと受け入れられない訳ではない。
夢だと思い込んでおきたいわけでもない。
本当にそれが夢だと思っているからだ。
彼がその事実に気がつくには、もう少し時間がかかる。
見たものが現実だと受け入れられない訳ではない。
夢だと思い込んでおきたいわけでもない。
本当にそれが夢だと思っているからだ。
なぜか?
あの場に居たとき彼はほぼ寝起きに近い状態だった。
脳の活性化もしていないままあの非現実的な状況を目の当たりにしても、夢だと捉えるのが普通だろう。
そして、この殺し合いの参加者達は不思議な力でどこかへと飛ばされた。
あの場に居たとき彼はほぼ寝起きに近い状態だった。
脳の活性化もしていないままあの非現実的な状況を目の当たりにしても、夢だと捉えるのが普通だろう。
そして、この殺し合いの参加者達は不思議な力でどこかへと飛ばされた。
よし、そろそろ説明しよう。
この殺し合いが行われている森のど真ん中で。
彼は、森田忍は。
寝ているからだ。
「すかー……すぴすぴすぴすぴ」
それも、凄く気持ち良さそうに。
「何が殺し合いだ、ザケんなっ!!」
一人の男、草摩夾の拳によって大樹が大きく揺れる。
降り注ぐ葉を浴びながら、悪態と共に木へもう一発お見舞いする。
一人の男、草摩夾の拳によって大樹が大きく揺れる。
降り注ぐ葉を浴びながら、悪態と共に木へもう一発お見舞いする。
気がつけば、あの部屋にいて。
慊人と金髪の男は殺し合いをその場の人間に命じ。
そして瞬時に違う場所へと飛ばされた。
慊人と金髪の男は殺し合いをその場の人間に命じ。
そして瞬時に違う場所へと飛ばされた。
何が起こっているのかを理解する間もなく、殺しあうことを命じられたのだ。
しかし、それに抵抗しようにもそうできない事実が彼の苛立ちを加速させる。
そう、自分にも嵌められているからだ。
しかし、それに抵抗しようにもそうできない事実が彼の苛立ちを加速させる。
そう、自分にも嵌められているからだ。
紫呉の命を簡単に奪い去った、あの首輪が。
そのことを確認し、もう一度怒りを込めて樹を殴る。
再び、樹は夾へ葉を降らす。
一度では気分が晴れなかったのか、そのまま立て続けに二度、三度と数回にわたって樹を殴り続ける。
拳から血が滲み始めていても、彼は構わず樹を殴り続けた。
再び、樹は夾へ葉を降らす。
一度では気分が晴れなかったのか、そのまま立て続けに二度、三度と数回にわたって樹を殴り続ける。
拳から血が滲み始めていても、彼は構わず樹を殴り続けた。
「クソッ……クソッ!!」
何も出来なかった。
目の前で紫呉の命が危ないというのに、自分は一歩も動くことが出来なかった。
しかし、仮にあの時動けたとしても。
自分が第二の紫呉になるのは目に見えていた。
まただ、あの時と同じで何も出来なかった。
そしてまた、目を背けることになるのか。
助けられなかった、事実に。
何も出来なかった。
目の前で紫呉の命が危ないというのに、自分は一歩も動くことが出来なかった。
しかし、仮にあの時動けたとしても。
自分が第二の紫呉になるのは目に見えていた。
まただ、あの時と同じで何も出来なかった。
そしてまた、目を背けることになるのか。
助けられなかった、事実に。
ふと、そこで我に帰る。
そうだ、この殺し合いには、アイツも居る。
きっとアイツのことだから殺し合いなんてダメだとか悪党相手にも説教してしまうだろう。
もし、積極的に殺し合いに参加する人間が居れば、格好の獲物もいいところである。
そうだ、この殺し合いには、アイツも居る。
きっとアイツのことだから殺し合いなんてダメだとか悪党相手にも説教してしまうだろう。
もし、積極的に殺し合いに参加する人間が居れば、格好の獲物もいいところである。
そうだ、自分にはやることがある、過去を悔いている時間などない。
守らなければいけない。
伝えなければいけない。
そして何よりも会いたい。
伝えなければいけない。
そして何よりも会いたい。
もう、守れなかった、何も出来なかったなんて。
三度目の同じセリフは、言いたくないから。
三度目の同じセリフは、言いたくないから。
最後にもう一発だけ樹に拳を打ち付けてから、風のように走り出す。
向かう先は決まっていない、とにかくここでじっとはしていられなかった。
自分が動いて、情報を集めて、一刻も早く会うために。
向かう先は決まっていない、とにかくここでじっとはしていられなかった。
自分が動いて、情報を集めて、一刻も早く会うために。
彼は走った、走り続けた、兎に角走り続けた。
「待ってろ! 透! 今行く!」
決意の声と、共に。
決意の声と、共に。
「うごはぁっ!」
聞こえたのは、違う誰かの苦悶の声。
それが人の発する声だと気がついた時、夾の体は宙を浮いており。
勢いのついていた体はそのまま山道を転がり続ける事となった。
聞こえたのは、違う誰かの苦悶の声。
それが人の発する声だと気がついた時、夾の体は宙を浮いており。
勢いのついていた体はそのまま山道を転がり続ける事となった。
そう、夾は気がつくことはなかった。
彼が走っていたルートにたまたま寝ていた森田忍が居ることなど。
前しか見ていなかった所為もあるが、この草木が生い茂った森の中でまさか寝ている人間が居るとも思わないだろう。
そして運悪く、森田の腹部に夾の鋭い蹴りが炸裂することになったのだ。
彼が走っていたルートにたまたま寝ていた森田忍が居ることなど。
前しか見ていなかった所為もあるが、この草木が生い茂った森の中でまさか寝ている人間が居るとも思わないだろう。
そして運悪く、森田の腹部に夾の鋭い蹴りが炸裂することになったのだ。
当然、強烈な一撃に森田は再び意識を失うことになった。
但し睡眠ではなく、気絶という形で。
但し睡眠ではなく、気絶という形で。
「…………はあ」
溜息をついた。
ゆっくりと、時間をかけて。
ゆっくりと、時間をかけて。
気がつけば知らない場所に居て。
知らない人に殺し合えと命じられて。
知らない人の首が飛んで。
気がついたら森の中に居て。
知らない人に殺し合えと命じられて。
知らない人の首が飛んで。
気がついたら森の中に居て。
「信じられないのが普通……で、いいんだよね?」
そう、信じられないのが普通なんだと思いたかった。
夢であればいいなと、何度も思った。
嫌にリアルで、現実味のある悪夢だったならどれだけ良かったか。
夢であればいいなと、何度も思った。
嫌にリアルで、現実味のある悪夢だったならどれだけ良かったか。
「でも、やっぱり信じられないよ。
殺し合ってください、って言われて「はいそうですか」って殺し合えるほどバカでもないし」
殺し合ってください、って言われて「はいそうですか」って殺し合えるほどバカでもないし」
少なくとも、自分は人を殺してまで生き延びようとは思わない。
かといって黙って殺されるつもりもない。
かといって黙って殺されるつもりもない。
「あの人たちは、何を考えてるんだろう……?」
色々と不思議な点はある。
なぜ殺しあう必要があるのか? 巫女を選ぶのなら男は必要ないじゃないか?
考えれば考えるほど不思議な点が次々に出てきて、頭がパンクしそうになる。
こういう考え事に長けていそうな人物を、自分は知っている。
なぜ殺しあう必要があるのか? 巫女を選ぶのなら男は必要ないじゃないか?
考えれば考えるほど不思議な点が次々に出てきて、頭がパンクしそうになる。
こういう考え事に長けていそうな人物を、自分は知っている。
「そういえば、名簿があるんだっけ」
カバンの中から名簿を取り出し、ぱらぱらとページを捲る。
そこには自分の名前、藤岡ハルヒを筆頭にホスト部のメンバーの名前が五人分記載されていた。
自分以外の名は、須王環、鳳鏡夜、常陸院光、常陸院馨。
彼等も今、自分と同じように殺し合いに巻き込まれているのだ。
出来ることなら会いたいが、どこに誰がいるのかも分からない状況ではそれもままならない。
そこには自分の名前、藤岡ハルヒを筆頭にホスト部のメンバーの名前が五人分記載されていた。
自分以外の名は、須王環、鳳鏡夜、常陸院光、常陸院馨。
彼等も今、自分と同じように殺し合いに巻き込まれているのだ。
出来ることなら会いたいが、どこに誰がいるのかも分からない状況ではそれもままならない。
「人に聞いていくしかないか……わっ!」
考え事をしながら歩くと、どうも他のことが疎かになる。
何かに躓いた彼女は、両手を前に突き出して盛大にすっ転んだ。
幸運にも、彼女は無意識のうちに山を登り、神社の方へと向かっていたのだ。
走りながら山を下っていたため、同じ場所で躓き盛大に山を転げ落ちて行った男が居ることなど彼女は知る由もないが。
何かに躓いた彼女は、両手を前に突き出して盛大にすっ転んだ。
幸運にも、彼女は無意識のうちに山を登り、神社の方へと向かっていたのだ。
走りながら山を下っていたため、同じ場所で躓き盛大に山を転げ落ちて行った男が居ることなど彼女は知る由もないが。
「いたた……あれ?」
ゆっくりと起き上がり、自分が躓いた対象を見る。
半分ほど白目をむいたまま寝ている男の姿が彼女に映る。
ヘンな寝方だな、と思いながら彼女は声をかける。
半分ほど白目をむいたまま寝ている男の姿が彼女に映る。
ヘンな寝方だな、と思いながら彼女は声をかける。
「もしもーし、そんなところで寝てたら風邪ひきますよー」
目の前の男が目を覚ますのは、かなり後の話である。
【B-7/神社付近/朝】
【森田忍@ハチミツとクローバー】
[状態]:気絶、腹部に強烈なダメージ、妙な世界へトリップ
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品(1~3)
[思考]
基本:――――――――
?:話をしよう、アレは今から36万……
?:ゲェ! 魁生ナース!
?:突然ですが自分探し二級の旅に出ます、探してください。
【森田忍@ハチミツとクローバー】
[状態]:気絶、腹部に強烈なダメージ、妙な世界へトリップ
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品(1~3)
[思考]
基本:――――――――
?:話をしよう、アレは今から36万……
?:ゲェ! 魁生ナース!
?:突然ですが自分探し二級の旅に出ます、探してください。
【藤岡ハルヒ@桜蘭高校ホスト部】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品(1~3)
[思考]
基本:とにかく、人殺しはしない。
1:目の前の男性が起きるまで待ってみる。
2:その後ホスト部員との合流。
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品(1~3)
[思考]
基本:とにかく、人殺しはしない。
1:目の前の男性が起きるまで待ってみる。
2:その後ホスト部員との合流。
どれぐらいの時間転がっていただろうか。
勢いを上手く殺す事も出来ずに、為されるがままに山を転げ落ちていたのだ。
やっと止まる事が出来たとき、夾の体は余すことなく傷だらけになっていた。
骨が折れたり、捻挫をしなかったのは不幸中の幸いだろうか。
山一つ分を転げ落ちたというのに、無事な夾の体も少しオカシイのかも知れないが。
「クッソぉ! なんであんなところで人が寝てんだよ!」
痛む体に鞭を撃ち、夾はゆっくりと起き上がる。
そうだ、ここで止まっている場合ではない、今は一刻が惜しいのだ。
ここで止まっているわけにはいかないと走り出そうとしたとき、夾は一人の少年と目が合う。
勢いを上手く殺す事も出来ずに、為されるがままに山を転げ落ちていたのだ。
やっと止まる事が出来たとき、夾の体は余すことなく傷だらけになっていた。
骨が折れたり、捻挫をしなかったのは不幸中の幸いだろうか。
山一つ分を転げ落ちたというのに、無事な夾の体も少しオカシイのかも知れないが。
「クッソぉ! なんであんなところで人が寝てんだよ!」
痛む体に鞭を撃ち、夾はゆっくりと起き上がる。
そうだ、ここで止まっている場合ではない、今は一刻が惜しいのだ。
ここで止まっているわけにはいかないと走り出そうとしたとき、夾は一人の少年と目が合う。
夾と目が合った少年、日向棗は事の一部始終を見ていた。
そう、夾が山の頂上から目の前に転がってくるまでをしっかりと見届けていた。
たまたま居合わせてしまったとはいえ、人一人が山の上から転がってきたのだ。
驚きだとか、焦りだとかは不思議と感じなかった。
その代わり、夾がゆっくりと起き上がってきたときに棗の心の中には一つの感情が沸いた。
そう、夾が山の頂上から目の前に転がってくるまでをしっかりと見届けていた。
たまたま居合わせてしまったとはいえ、人一人が山の上から転がってきたのだ。
驚きだとか、焦りだとかは不思議と感じなかった。
その代わり、夾がゆっくりと起き上がってきたときに棗の心の中には一つの感情が沸いた。
そのまま、棗は思ったとおりのことを何のためらいもなく口にする。
「ダッセぇ……」
小さく、かつ聞こえるように呟いたその一言で、夾が怒り狂うことになるのは言うまでもない。
小さく、かつ聞こえるように呟いたその一言で、夾が怒り狂うことになるのは言うまでもない。
【B-6/東部/朝】
【草摩夾@フルーツバスケット】
[状態]:全身に裂傷、右手に軽い傷、苛立ち
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品(1~3)
[思考]
基本:透を探し、伝える。
1:こンっのガキャァ……!
2:先ほどの慊人の様子に違和感が……?
3:寝てた奴は……まあ、自業自得だ。
[備考]
※参戦時期は「幻滅だ」と透に言い、退院した透と再会するまでの間のどこかです。
【草摩夾@フルーツバスケット】
[状態]:全身に裂傷、右手に軽い傷、苛立ち
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品(1~3)
[思考]
基本:透を探し、伝える。
1:こンっのガキャァ……!
2:先ほどの慊人の様子に違和感が……?
3:寝てた奴は……まあ、自業自得だ。
[備考]
※参戦時期は「幻滅だ」と透に言い、退院した透と再会するまでの間のどこかです。
【日向棗@学園アリス】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品(1~3、確認済み)
[思考]
基本:??????
1:ダッセぇ……
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品(1~3、確認済み)
[思考]
基本:??????
1:ダッセぇ……
カレラは嘘を愛しすぎてる | 時系列順 | ある騎士のためのバラッド |
投下順 | 燃え上がれ、紅蓮の炎よ | |
本編開始 | 森田忍 | [[]] |
L'ouverture de l'histoire-物語の始まり- | 藤岡ハルヒ | [[]] |
本編開始 | 草摩夾 | [[]] |
日向棗 | [[]] |
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