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沖縄タイムス:『軍強制認めず・教科書検定緊急インタビュー』宮城恒彦・「集団自決」体験者

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軍強制認めず・教科書検定緊急インタビュー(5)

宮城恒彦・「集団自決」体験者 (12月31日朝刊社会19面)


旧軍の非道 わびるべき
若い世代へ引き継ぎ必要

 ―訂正申請の結果は納得できるか。
 落胆した。文部科学省は、沖縄の意志を通さない厚い壁をつくった。

 沖縄戦の実相とは、体験していない人には「知る」ことはできても「理解する」ことは難しいものだ。理解に近づくには、体験者を自分や近親者と重ね合わせて話を聞くなど、共感しようとする努力が必要だ。

 沖縄戦の教科書記述にかかわった文科省職員や審議委員、執筆者らに、どれだけその努力をしてみたのかを問いたい。

 政府が沖縄を日本の一県として思いやるなら、戦時中の日本軍の非道をわびるのが素直な気持ちだ。それができないのは、沖縄への差別意識があると思わざるを得ない。

 ―「日本軍の」という主語は復活した。

 私たち座間味、渡嘉敷の「集団自決(強制集団死)」体験者にとって、「集団自決」に対して「日本軍」という主語は切り離せないもの。

 その間をつなぐ言葉が「命令」だった。これが消されて「強制、誘導」となり、今度はそれさえも消されて「関与」という薄っぺらな言葉にされた。体験者は絶対に納得できない。

 強制とは、直接に命令されたというだけではなく、「玉砕せよ」という逆らえない雰囲気をつくり出したことも指す。文科省はなぜ、「強制」という言葉を使うことをこれほど嫌うのか。同じ米軍が上陸した慶良間諸島でも、日本軍がいた島でしか「集団自決」が起きなかったことを、どう説明するのか。

 ―「軍強制」の記述回復のためには何が必要か。

 教科書で、沖縄の記述だけがどんどん書き換えられている。次回の検定で、さらに後退した記述になるのではと心配だ。

 ここで引き下がってはいけないが「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の活動にばかり期待をするのも酷だ。七十代の幹部が、気力、体力を振り絞って国との交渉を続けている。若い世代にうまく引き継ぐ必要がある。

 検定意見がこのまま残れば、沖縄戦体験者がいなくなった後に、もっと教科書を悪くされる。県民大会で県民の心についた灯を絶やさないよう、若い世代につないでいく工夫が求められている。(聞き手=社会部・吉田啓)(おわり)
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