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沖縄タイムス:『軍強制認めず・教科書検定緊急インタビュー』山口剛史琉大准教授

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http://www.okinawatimes.co.jp/spe/syudanjiketsu/kinkyu_interview01.html
軍強制認めず・教科書検定緊急インタビュー(1)

山口剛史琉大准教授 (12月27日朝刊社会26面)



研究結果とずれ明らか


 ―訂正申請の結果をどう見るか。

 日本軍が明確に強制したとか、強要したという文章は認められていない。「追い込まれた」という表現はぎりぎり可能だが、「強いられた」という言葉も使えなくなっている。

 教科書会社が、訂正申請し、取り下げられた記述内容を見ると、執筆者も、沖縄の人々が声をあげたこと、軍の強制という事実確認の成果を記述しようとしていたことがわかる。しかし(複合的要因を書かせる)文科省の「指針」を反映し後退させられている。

 私たちが求めたのは、「集団自決」が日本軍によって追いやられた死であり、沖縄戦の住民虐殺と同質同根であるという記述だった。これまで沖縄戦の犠牲の典型として書こうとしてきた趣旨からすると、今回の記述は「集団自決」の本質には、踏み込んでいない。

 ―記述は詳しくなったように見える。

 二社が「強制集団死」を使ったが、実態を書くのではなく、そういう見方もあるという記述でしかない。

 また、東京書籍は「日本軍によって『集団自決』においこまれたり、スパイ容疑で虐殺された一般住民もあった」と元の記述に近い形で復活させても、側注で「教育・指導されていた」と、指針通りに書き加えさせた。

 体験者による軍命証言も、手榴弾配布に関する証言に差し替えさせている。住民証言としてはっきり軍命を認識していることさえも認めない。

 手榴弾配布の記述はさせるが、あくまで複合的要因としてとらえさせる。配布そのものが軍の命令であり、強制なのだということを明確にさせない。沖縄戦研究が解明してきたものと、明らかにずれている。

 ―検定意見撤回を求めた県民の声は生かされたか。

 一九八二年の住民虐殺を削除させた検定、八四年の家永訴訟での記述変更と今回も似ている。背景や要因を加えることで、良くなった印象を持たせながら、真実を明らかにはさせない。本当に教えたいポイントが読み取りにくい記述になっている。その点で、検定意見は生きているし、範囲内でしか書かせていない。(聞き手=編集委員・謝花直美)

 「集団自決」記述に関する教科書検定で二十六日、文科省は教科書会社が申請した訂正申請を承認した。県民が求めてきた検定意見の撤回はなされず、軍の強制を明確に記述させなかった。この結果をどう見るか、関係者に聞いた。
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