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03(東京新聞)

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「福島の『集団疎開』裁判 仙台高裁」2013/05/03(東京新聞)



<書き起こし>大友涼介です。さん
http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11522928508.html

低線量被曝の危険性を認める 仙台高裁
福島の「集団疎開裁判」
訴え却下も内容「画期的

 訴えは却下でも、画期的な決定内容。福島県郡山市の小中学生が市に対し、「集団疎開」を求めていた抗告審で、仙台高裁(佐藤陽一裁判長)は先月二十四日、仮処分申請を却下した。だが、低線量被曝の危険に日々晒され、将来的に健康被害が生じる恐れがあるとはっきり認めた。(出田阿生・中山洋子記者)


 「この決定の特徴は、低線量被曝の危険性を強い口調で認定していることだ。それについては大きな成果といえる」

 福島の子供たちの支援を続ける元裁判官の井戸謙一弁護士は同日、こう内容を評価した。

 決定の事実認定の文書は歯切れが良い。「低線量の放射線に長期・継続的に晒されることで、生命・身体・健康に対する被害の発生が危惧される」とし、「チェルノブイリ原発事故後に発生した子供の健康被害をみれば、福島第一原発周辺で暮らす子供にも、由々しい事態の進行が懸念される」と明言した。

 さらに放射性物質を無害化したり、完全に封じ込める技術は未開発と指摘。汚染物質の置き場不足で除染作業が進まない現状は「被曝の危険から容易に開放されない状況」とも言及した。

 「年間被曝量が一〇〇ミリシーベルト以下なら問題はない」と「安心神話」に徹した一審の福島地裁郡山支部の決定(二〇一一年十二月)とは、同じ却下でも格段の違いだ。

 ただ、結論は「現在の空間線量では、直ちに健康に悪影響を及ぼす恐れがあるとは認め難い」と逆転。井戸弁護士は「決定分は、異なる二つの文書が組み合わさっているようにみえる。裁判官同士で議論があったのでは」と推測する。

 この裁判を担当する柳原敏夫弁護士は「決定分の後半は、読んでいると狐につままれたような感じだ」と話す。

 そこには「郡山市内に住み続けるならば、学校外での生活が年間一ミリシーベルトを超える被曝をする計算になる。学校だけを疎開させても意味がない」ので却下するといった理屈が展開されている。

 そうなると、低線量の地域に移住するしかないが、それは「自主避難すればいい」という。しかし、原告側は「疎開」は「子供らの安全確保のために行政が果たすべき義務」と訴えた。行政の責任が「自己責任」にすり替えられ形だ。

 とはいえ、低線量被曝の危険を司法が認めた意義は小さくない。昨年六月、「避難の権利」などを定めた「子ども・被災者生活支援法」が国会で成立した。だが、その後、政権が再交代し、いまだ具体的な避難の施策は講じられていない。

 柳原弁護士は「決定では『集団疎開は被曝被害を回避する一つの抜本的方策として教育行政上考慮すべき選択肢』と指摘した。国や自治体は子ども被災者支援法の運用で、この決定の指摘した内容を生かさなければならない」と訴えた。


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