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【健康調査委運営】再調査し、改善図れ(10月10日)福島民報・論説

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【健康調査委運営】再調査し、改善図れ(10月10日)福島民報・論説


県は県民健康管理調査検討委員会の運営方法をめぐる調査結果を9日公表した。「事前の意見調整や口止め、(発言の)振り付けなどの事実は認められなかった」とした。ただ、「進行表の配布など県民に意見調整などの疑念を抱かせかねない行為があった」と一部に問題を認めた。

 県による内部調査であり、佐藤雄平知事の指示からわずか4日後だ。十分な調査と言えるのか。県民の信頼を回復するためにも県議会や第三者を含めた再調査が望ましい。

 検討委員会は東京電力福島第一原発事故による健康管理調査に助言するのが目的で、医学者、県幹部らで組織する。県と検討委員による事前打ち合わせ(準備会)が非公開で開かれ、事前に議事進行表が作成、配布されたとの指摘を受けた。県は5日、調査委員会を設置し、9月定例県議会福祉公安委員会で公表した。

 調査は検討委員と事務担当職員ら計40人を対象とした。全員と面談しておらず、一部は電話調査で済ませた。公表の席で、調査委の担当職員が進行表の記載経過について「よく分からない」と発言する場面があった。3日の県議会一般質問であった「意見などを事前に調整した事実はない」との県答弁と、その後の調査結果の食い違いの理由についても説明はない。

 検討委は運営の公平性、透明性を確保する必要性がある-と調査委は指摘した。指摘を受けて、検討委を所管する保健福祉部は外部委員の増員、定例開催、委員に対する資料の事前配布の徹底-などの改善点を列挙した。

 しかし、現時点で次の段階に進むのは早計に過ぎよう。まずは徹底して経緯を調査し、問題点を洗い出した上で改善策を講じるべきだ。でないと、県が今回打ち出した検討委運営の改善点が妥当かどうか判断できない。

 会議の開催に先立って審議の項目や内容を委員に事前説明する「慣例」は震災前から県の各審議会、検討委員会であった。膨大な情報を1回の会議で整理し、突っ込んだ議論を交わすのは専門家でも難しい場合がある。

 より充実した審議が期待でき、隠し事はないというなら、事前説明の場を公開すればいい。9日も、事前説明の意義を評価する検討委員の声が紹介されたほどだ。

 原発事故後、健康や環境に対する県民の感覚はより鋭敏になっている。1人1人が事態を正しく理解し冷静に判断を下すためにも、正確な情報は欠かせない。県は透明性の確保を県政全体の課題と捉えるべきだ。(鞍田 炎)


( 2012/10/10 08:12カテゴリー:論説 )



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