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イルカ漁映画「入り江」立教大が上映中止 漁協側の抗議受け
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イルカ漁映画「入り江」立教大が上映中止 漁協側の抗議受け
2010.3.2 21:15
和歌山県太地町で伝統的に行われているイルカ漁を隠し撮りし、批判的な視点で描いた米映画「ザ・コーブ(入り江)」の上映会を計画していた立教大学(東京都豊島区)が、太地町側から抗議を受けて上映を中止していたことが2日、分かった。同作品は米アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門にノミネートされているが、国内では「地域の伝統的食文化に対する一方的中傷」などと批判が集まっていた。
同作品は、米コロラド州に拠点を置く「海洋保護協会(OPS)」が制作。太地の入り江で、隠れてイルカ漁を撮影するなどしているが、イルカが銛で突かれ海が血に染まるなど残酷さを強調するようなシーンがあり、太地町と漁協側では「長年続いていた伝統文化と食文化だ」と強く反発している。
反捕鯨団体などが強い米国などでは評価され、日本国内でも昨年10月に東京国際映画祭で上映されたが、これまで一般の映画館では上映されていない。立教大では6日に上映会を計画し、インターネットなどで告知していた。
これに対して、太地の漁協側では「イルカ肉が水銀で汚染されていると思わせるなど事実誤認・虚偽の部分がある」「撮影を拒否したのに、作品で顔を出された人がいる」などと主張。作品上映は「名誉棄損に当たる」として、立教大側に対して強く抗議・警告した。
これを受けて上映を中止した形の立教大は「太地町、漁協と制作者との間に法的紛争が生じていることから、解決のめどがつくまで大学として上映は見合わせる」と理由を説明をしている。ただ、太地側の代理人弁護士によると、作品の制作者は海外の団体のため、訴訟などは起こしていないという。
太地では江戸時代から捕鯨産業があり、イルカ漁も古くから行われてきた。現在は政府の資源管理と県許可を受け、捕獲頭数を制限して漁が行われている。