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社説:日韓歴史研究 対立乗り越える努力を

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社説:日韓歴史研究 対立乗り越える努力を



 23日公表された第2期日韓歴史共同研究の報告書は、歴史認識で相互理解を深めることの困難さを改めて認識させる。

 共同研究は両国首脳の合意を受けたもので、07年6月から2年半かけ双方の有識者34人が67回の会議を重ね、その成果を論文などの形式でまとめた。古代史、中近世史、近現代史の3分野と、今回新たに加えられた歴史教科書を研究対象にした。

 目的は「歴史認識について共通点を明らかにし、相違点を把握して相互理解を深める」ことだった。古代史などではいくつかの合意点を見いだすことができたが、近現代史や教科書の分野ではむしろ見解の相違が際だつ結果となった。

 一つの例として教科書小グループの報告書の中から対立ぶりの一端を紹介する。日本側のある委員は両国教科書の現代史の記述ぶりを分析し、韓国の教科書の問題点として「『日本人はすべて悪』とするナショナリズムを克服できない状況がある」「日本国民が戦争を反省し平和憲法を制定した事実に触れていない」「過去に対する反省と謝罪に関する天皇陛下の『お言葉』と『村山首相談話』を記述していない」などと指摘した。

 一方、韓国側委員は「韓国社会は日本の歴史教科書問題に対日過去清算の側面から接近するが、日本の歴史教科書にはこうした観点が非常に弱いか、初めから抜け落ちている場合が多い。侵略責任と戦争責任をまったく自覚できないでいるためだ」などと主張した。

 また、「複数の歴史認識の共存を認め合う社会の方がはるかに自由で魅力的だ」との日本側委員の意見に対しては、韓国側委員が「日本が過去の侵略と戦争、植民地支配をいかに認識しているかが核心だ」と反発するといった具合である。

 今回は竹島(韓国名・独島)や日韓併合の問題などについては本格的な議論は行われなかったという。それでもこれほど対立すること自体が歴史認識問題の難しさを物語っているといえる。

 同グループでは一時、合同会議を開催できない事態にも直面したという。そうした経緯もあり、関係者からは「共同研究はもう限界だ」との声も聞かれる。

 しかし、ここは冷静に考える必要がある。確かに、一向にかみ合わない論争には歯がゆさを感じざるをえないが、双方が率直に意見をぶつけ合うことの意義を否定することはできない。特に、教科書をめぐる問題を議論し報告書にまとめたのは初めてだ。共同研究を継続するなら議論が前向きに進む仕組みを工夫すべきだろう。

毎日新聞 2010年3月24日 2時30分


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