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沖縄戦「集団自決」展示に関わる要請

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沖縄戦「集団自決」展示に関わる要請


国立歴史民俗博物館 御中

         沖縄戦「集団自決」展示に関わるご要請

 私たちは「高嶋(横浜)教科書訴訟を支援する会」の後継である、教科書検定・採択問題などに取り組んでいる「教科書・市民フォーラム」と申します。私たちはまた、沖縄戦「集団自決」に関わる「大江・岩波沖縄戦裁判」にも取り組んでおります。この度の貴館の「現代」常設展示室における「沖縄戦「集団自決」展示をめぐる対応について、要望させていただきます。

琉球新報によれば、『集団自決』について「沖縄戦の犠牲者のなかには、戦闘ばかりでなく、「自決」による死者も含まれている。米軍の上陸後、住民たちのなかにはガマ(自然洞窟)のなかに避難した人びとがいた。そして、米軍からの投降の呼びかけを前に、集団自決をはかった人びとが多くいた。その背景には、住民への軍国主義教育や、軍人からの指示や命令など、住民の意思決定を左右する戦時下のさまざまな要因があった。」という解説文が、『戦場の民間人』として「激しい戦闘で多くの人びとが生命を落としたほか、犠牲者の中には、戦闘ばかりでなく、『集団自決』に追い込まれた人びともいた。」と決定されたとあります。

 最終校正とされる『集団自決』についても日本軍の明示がないなど、申し上げる点はありますが、決定稿とされる『戦場の民間人』では主述が不明確であり、沖縄戦で「集団自決」があったことの説明にはなっておりません。

 展示解説を変更した理由として、軍命の有無をめぐって係争中の大江・岩波沖縄戦裁判の最高裁判決が確定していないことや、社会的に意見が分かれる問題であることなどがあげられています。しかし歴史博物館の展示にせよ、教科書にせよ、歴史記述の歴史の専門家ではない裁判所の判決に依拠すべきものではなく、あくまでも学問研究の成果にもとづいて記述すべきものであることは自明のことです。

 なお、沖縄戦における『戦場の民間人』の説明としては、すでに教科書に記述されている「日本軍(皇軍)による住民虐殺」も歴史的事実として、記述すべきことを要望します。

 貴館では、実証的な学問研究に基づいた展示がなされ、児童・生徒・学生の学習の場として定評があります。しかし、今回のような記述では、史実が正しく伝えられていないため、沖縄の人々や研究者から疑問や反発が出るのは、当然のことと思われます。このままでは、新設の「現代史」については、はじめから信用がなくなります。

 この間、アジア太平洋戦争における「南京大虐殺」「軍隊慰安婦」などが「新しい歴史教科書をつくる会」などの働きかけで、歴史教科書の記述から脱落されてきました。研究の成果を提示する貴館で上記のような曖昧な表現が出されることは残念です。

 アジアの一員として生きる、次の世代の人びとに伝えることのできる内容に修正していただけることを強く願っております。

2010年3月15日

横浜市中区相生町1-18 光南ビル6F    
「教科書・市民フォーラム」


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