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【主張】日中歴史共同研究 「南京虐殺」一致は問題だ

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【主張】日中歴史共同研究 「南京虐殺」一致は問題だ

2010.2.1 03:21

 日中の有識者による歴史共同研究の報告書が発表された。両国の歴史に対する考え方の違いが一段と明確になった。

 この共同研究は、平成18年10月の安倍晋三首相(当時)と胡錦濤国家主席の合意に基づき、3年がかりで行われた。両国の認識の隔たりが大きく、両論併記の形がとられたのは当然である。

 近現代史の部分を読むと、日本側の記述はおおむね客観的な資料に沿って書かれている。これに対し、中国側の記述は中国共産党史観の域をほとんど出ていない。

 ただ、南京事件(昭和12~13年)のくだりで、中国側の主張に引きずられているのは問題だ。

 日本側の記述は「日本軍による捕虜、敗残兵、便衣兵、及び一部の市民に対して集団的、個別的な虐殺事件が発生し、強姦(ごうかん)、略奪や放火も頻発した」と「虐殺」を認めている。その数は、東京裁判で認定された「20万人以上」、中国が主張する「30万人以上」などの数字を挙げ、「日本側の研究では20万人を上限として、4万人、2万人などさまざまな推計がなされている」としている。

 しかし、「南京虐殺」や「南京大虐殺」は当時の中国国民党が宣伝したものであることが最近の実証的な研究で分かってきた。日本軍による集団的な虐殺の有無も、はっきりしていない。こうした日本側の研究状況を過不足なく正確に記述すべきだった。

 「南京虐殺」で認識が一致したといっても、共同研究に参加した学者間でのことだ。それがあたかも歴史の真実であるかのように、日本の教科書などで独り歩きするようなことは避けたい。

 今回、中国側が戦後史の部分の発表を拒否し、それに日本側が同調したことも問題である。このため、日本側の研究論文まで非公開にされてしまった。中国当局は天安門事件(1989年)に関する厳しい言論統制を行っており、日本側の論文が公表されることで当局への批判が誘発されることを恐れたためとみられる。

 日中両国の共同研究の成果は、等しく両国民に公開されるのが筋だ。日本政府は改めて中国側に公表を求めるべきである。

 共同研究は今後も続けられる。そもそも、独裁国家の中国と学問の自由がある日本との間で、大きな成果は期待できない。日本側の学者はこのことをよくわきまえて共同研究に臨む必要がある。


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