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日中歴史研究 継続で理解を深めたい
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pipopipo555jp
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日中歴史研究 継続で理解を深めたい
2月2日(火)
継続は力なり-。日中の有識者による歴史共同研究委員会の報告書に、そんな言葉を思い起こした。
報告書は、それぞれの研究論文をならべて公表したものだ。歴史観の違いは当然ある。
ここで目を向けたいのは、両政府の肝いりで始まった研究が一定の成果を挙げつつあるという事実である。課題を一つ一つ乗り越え、両国による歴史研究を粘り強く続けてもらいたい。
両政府が2006年に合意したプロジェクトである。双方が10名の研究者からなる委員会を設置し、「古代・中近世史」と「近現代史」の分野にわたって意見交換を続けてきた。
報告書は、これまでの積み重ねを論文として公表している。執筆者名を記した個人の論文の形をとっているが、「討論を経て得られた共通認識」や「相手方の主張でも共感できるもの」は、「論文中に体現されている」という。
報道された論文の要約を比較するかぎり、重要な事件について見解の差が目につく。
例えば、しばしば論議される南京大虐殺。犠牲者数について、日本側は「20万人を上限」とし、さまざまな推計があるとした。これに対して、中国側は「30万人以上」との見方に言及し、食い違いを見せている。
一方で、日本側は、日本軍による「集団的、個別的な虐殺事件が発生し、強姦(ごうかん)、略奪や放火も頻発した」と明記。日中戦争についても、「中国に深い傷跡を残した」「原因の大半は日本側がつくり出した」などと書いている。
歴史を見る目がそれぞれの当事国によって違うのはやむを得ない。にもかかわらず、戦争についての大きな流れでは、共通の見方が深まりつつある印象を受ける。
共同研究は安倍晋三政権下で始まり、政権交代後の今日まで引き継がれている。共同研究の存在自体が、日本政府の歴史認識や対中外交にプラスの影響を及ぼしているとみるのが自然だ。これをてこに、文字通りの「一衣帯水」の関係を築いてもらいたい。
日本の歴史教育は近現代史が弱いと指摘されてきた。学校現場でも、研究の内容を授業に生かす工夫をしたらどうか。双方の論述を読み比べていけば、歴史がもっとよく分かるだろう。
経済成長著しい中国はいま、国際社会のなかで責任ある役割が求められている。今回の歴史研究の成果を踏まえたより柔軟な歴史観が必要とされるときである。