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北海道新聞社説:教科書検定 一層の透明化が必要だ

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教科書検定 一層の透明化が必要だ(12月11日)


 「密室審議」との批判が出ていた教科書検定について、文部科学省は検定作業の一部を透明化する改革案をまとめた。

 文科相の諮問機関である「教科用図書検定調査審議会」(検定審)の大まかな審議内容などを公表するというのが主な内容だ。

 一歩前進とはいえる。しかし、公表はあくまで検定終了後で、詳しい議事録の作成、公開も見送られる方針だ。これでは十分とはいえない。

 文科省には検定審議の傍聴実現など、一層の透明化を求めたい。

 教科書検定をめぐっては、安倍内閣時代の高校日本史教科書検定で、沖縄戦の住民集団自決への旧日本軍の関与について、自決を強制したとの記述が改められ問題となった。

 地元・沖縄で検定意見の撤回を求める大規模な集会が開かれるなど批判が高まり、教科書会社の訂正申請を認めるという形で、検定を事実上修正する事態になったことは記憶に新しい。

 検定方針が、時の政権の歴史観に影響されているのではないかとの不信感も強まっていた。

 教科書検定は、まず文科省の教科書調査官が、教科書会社の申請本をチェックする。そこで作成された意見書を検定審にかける。

 今回の改革案では、調査官の氏名や職歴を公表し、検定終了後に調査官の意見書も公開する。

 現代史などの分野で学説が複数ある記述に意見を付ける場合や、高度な専門性が必要な記述の審査には、専門委員の任命や外部専門家の意見聴取ができるようにもする。

 匿名性の影に隠れて、誰が、どんな意見を付けたか分からない現状から比べれば、透明度は高まった。

 ところが、肝心の検定審の審議は非公開のままだ。

 文科省は「静かな環境で、自由闊達(かったつ)に論議してもらうため」としている。しかし、詳細な議事録さえ作らないのでは、「結果が出るまで待て。なぜそうなったかを詳しく説明する必要はない」と言っているのに等しいではないか。審議過程もチェックできる体制づくりが必要だ。

 教科書に求めるものは時代とともに変化している。

 文科省は、学習指導要領の範囲を超えた発展的な学習内容の教科書への記載について、制限を撤廃する方針をすでに示している。

 義務教育を終えた高校生の教科書まで検定が必要なのかという指摘も以前からある。

 学ぶ意欲をかき立ててくれるような魅力的な教科書づくりには何が必要で、何が不要なのか。検定制度そのものの是非も含めて、根本的な議論が必要だ。


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