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第2の1 事案の概要

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pipopipo555jp

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1 事案の概要



ア (請求の概要)*


  本件は, 控訴人梅澤及ぴ控訴人赤松が, 控訴人梅澤については被控訴人らが出版し若しくは執筆した原判決別紙書籍目録記載1の書籍(「太平洋戦争」)及ぴ同記載2の書籍(「沖縄ノート」)によつて, 控訴人赤松の実兄である赤松嘉次(赤松大尉)については「沖縄ノート」によって, 太平洋戦争後期に座間味島及び渡嘉敷島の各住民にそれぞれ集団自決を命じ, 住民を多数強制的に死なせながら自らは生き延ぴたという虚偽の事実を摘示され, 控訴人梅澤及び赤松大尉の社会的評価を著しく低下させられて, その名誉を甚だしく毀損され, もって控訴人らの人格権や, 控訴人赤松の赤松大尉に対する人間らしい敬愛追慕の情を内容とする人格的利益が侵害されたとして, 次の各請求をした事案である。

[1] 被控訴人岩波書店に対し, 人格権に基づき, 「太平洋戦争」及ぴ「沖縄ノート」の出版, 販売, 頒布の差止め

[2] 被控訴人らに対し, 不法行為に基づき,
  [ア] 謝罪広告の掲載
  [イ] 慰謝料の支払

イ (請求及ぴ訴訟物)*


  本件の請求及ぴ訴訟物は以上のとおりであり, その法律構成はマスメディアによる一般の名誉毀損事件と異ならないが, 本件訴訟の内容的な特色は次のような点にある。

[1] 太平洋戦争後期の沖縄における集団白決という63年前の歴史的事実についての日本軍の各隊長の命令に関する記述について, その名誉毀損等の有無を問うものであること

[2] 名誉毀損等にあたるとして出版の差止めが求められている各書籍は, その第1版が, 昭和43年(40年前)及ぴ昭和45年(38年前)に出版され, その後も版を重ねるなどして継続して出版されてきた書籍であること

[3] 各書籍中の各記述は, 出版当時にはいわば通説とされていたものであるが, 控訴人らは, その後昭和48年ころから平成12年ころに公刊された資料等に基づき, その時から真実相当性が失われたと主張して, その後の出版継続の不法行為責任を問うものであること

[4] 提訴の動機は, 単に個人への名誉侵害にとどまらず, 本件各書籍や高等学校の歴史教科書(平域17年度検定)等の公の書物に, 集団自決が日本軍の命令により強制されたふのごとく記載されているのを放置できないという点などにあるとされ, 集団自決の歴史を正しく伝えていくことが本件訴訟の目的であるとされていること


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