15年戦争資料 @wiki

パートI おわりに

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おわりに


 景気が長期に亘って低迷し回復の兆しがなかなか見えない。日本経済は外国資本に乗っ取られる恐れも出てきているという。北朝鮮の日本人拉致問題の解決も遅々として進まない。また自虐的歴史教科書問題等いわゆる歴史認識に関しては中国や韓国から言いたい放題言われている。国民のフラストレーションも逐次増大しつつある。日本国民は今これらの諸問題を解決してくれる強いリーダーを求めている。先の東京都知事選で石原都知事が投票総数の約7割、308万票という票を集め圧倒的強さで再選された。石原都知事は中国や韓国に対してもまったく卑屈になることなく、堂々とものを言い、南京大虐殺や慰安婦の問題などで日本人の心にたまっている鬱憤を見事に晴らしてくれる。北朝鮮の日本人拉致問題でも、「どうして日本政府は報復を考えないのか」と勇ましい。中国や韓国の日本政府に対する内政干渉に辟易している日本人にとっては、石原都知事のような強いリーダーの出現を待ち望んでいる。強い知事の下で都民も元気が出る。わが国では一部の人たちが、彼を右翼だとかタカ派だとか批判するが、石原知事くらいで普通の国の普通のリーダーである。多くの国民はそれを理解している。

 自衛隊においても今、強い指揮官の出現を隊員が待っている。日本の国がよく外圧に弱いといわれるが、国内においては自衛隊も外圧に弱い。部隊指揮官等は外圧から部隊等を護ることにもっと意を用いる必要がある。従来自衛隊で事故や事案が起き、マスコミ等で報道された場合、やや公正を欠いている報道も多かったような気がする。今までは「またやられた」の繰り返しだから、自衛隊も次第に元気をなくしていく。指揮官や上級司令部に対する信頼が損なわれ、部隊の士気が低下し団結が崩れてゆく。東京裁判史観、日本悪玉論を信奉する反日的グループは事あるごとに自衛隊を攻撃し弱体化を図ってきた。しかし今東京裁判の呪縛から日本国民も少しずつ解放され、自衛隊に対する国民の期待も高まりつつある。強い自衛隊であることを国民も望んでいる。隊員が元気をなくし部隊の士気が低下するようでは国民の意に反することになる。部隊長等は自衛隊に対する不当な攻撃に対しては断固戦う必要がある。空幕の広報室等もその都度きちんと反論しなければならない。きちんとした対応ができないと、その場は収まっても次回はもっと人手も金もかかることになる。今後はもっとしたたかに対応することが必要である。

 指揮官は部下から見て、さすが、強い、頼もしいと言われる存在でなければならない。それが軍事組織に絶対的に必要とされる指揮官を中心とした部隊の強固な団結を生む。強い指揮官のもとで部隊にも元気が出る。自衛隊を元気にしておくことは、国民に対する我々自衛隊員の責任である。元気であってこそ部隊等を錬成し精強な自衛隊を造ることができる。以上述べてきた10の提言は強い指揮官になるために私自身がこれまでの勤務の自己反省を含め心に留めているものである。指揮官によって部隊は大きく変わる。部隊に対する指揮官の影響力は絶大であり、多くの隊員が身をもってこれを体験している。指揮官の部隊統率要領によって部隊は元気にもなるし、不元気にもなる。「最近の若手幹部はどうも云々」などと部隊等でよく耳にすることがある。しかしその責任は彼らにあるのではない。自衛隊のより上級の指揮官の部隊指揮要領が彼らの隊務に対する取り組み方を規定しているのだ。下を変えるのには上が変わるのが一番早い。指揮の要訣は「部下を確実に掌握し…」と教わると真面目な人ほど部下指揮官の仕事の中身まですべて掌握し管理しようとする傾向がある。それが徹底されると管理される側、即ち部下指揮官はどんどん意欲を失っていく。人は自分に裁量の幅があるとき心底意欲をかき立てられる。自衛隊は今管理が行き過ぎている気がする。空幕や上級司令部等も部隊等に任せることができることについては努めて部隊等に任せることだ。我々はもっと部下に対してはのびのびと仕事をさせ、部下の振り付け通り踊ってやる覚悟が必要ではないか。それが将来航空自衛隊を担ってくれる強い指揮官を育てることになるのだ。そしてそれによって空いた時間は、部隊の改革、一歩前進のための創造的な仕事や部外に対する広報、国防意識の高揚のための活動に振り向ければいい。それによって自分自身もまた強い指揮官になれるのではないかと思う。

 時代は大きく変化している。今有事法制が国会を通過する情勢になり、自衛隊が行動する時代になって来た。自衛隊も変革を求められ、防衛庁をあげて防衛のあり方検討が実施されている。陸海空3自衛隊の統合運用も17年度の法制化を目指し鋭意検討が行われている。これらに追随するためには自衛隊が元気でなければならない。元気がなければ新たなことに取り組む情熱もわかない。その鍵を握っているのは自衛隊の各級指揮官である。なかんずくそれは自衛隊の上級指揮官等の隊務に対する取り組み方に掛かっている。

  • (引用者注)太字は引用者による


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