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【琉球新報】岩波・大江「集団自決」訴訟、あす控訴審判決 検定との関連も注目

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岩波・大江「集団自決」訴訟、あす控訴審判決 検定との関連も注目

2008年10月30日

 岩波・大江「集団自決(強制集団死)」訴訟の控訴審判決は31日午後2時、大阪高裁で言い渡される。ことし3月の一審・大阪地裁判決は、梅澤裕・元戦隊長ら原告側の請求を棄却し、元戦隊長らによる自決命令の事実について「合理的資料もしくは根拠があると評価できる」と判断した。控訴審では一審同様、座間味島と渡嘉敷島の集団自決をめぐって隊長命令の有無が争われたほか、「集団自決」への日本軍強制の記述が削除・修正された2006年度高校教科書検定に関し双方が主張を展開。裁判と検定問題が深くかかわっていることがあらためて浮き彫りになった。教科書検定と訴訟の関連性や新たに提出された住民証言など争点をまとめた。(謝花史哲)

 05年8月の提訴から3年2カ月余。係争中に06年度高校教科書検定で「集団自決」に関して軍の命令や強制の記述が削除・修正された問題について、原告側は控訴審の最終口頭陳述で「訴訟の目的の一つを達したと評価できる事件だった」と明言。さらに「訴訟が政治的目的を併有していることは珍しいことではない」と述べ、政治的な意図が絡む訴訟であることを鮮明にした。

 控訴審では、原告と被告の双方が教科書検定問題で示された文部科学省や教科用図書検定調査審議会(検定審)の対応を踏まえた主張を展開し新たな争点となっている。

 原告側は、06年度教科書検定において「隊長命令は否定された」と主張し、教科書会社の訂正申請に対する検定審の調査・審議を踏まえた大臣承認後の文科省の立場は「変わっていない」との見解を示した。その上で、一審判決が文科省の立場を「05年度検定までは隊長が自決命令を出したとするのが通説だと認識」と判断して隊長命令を推認したことを批判。「文科省の立場を援用して真実相当性を認定した判決は根拠を失った」と指摘している。

 これに対し、被告側は訂正申請の調査・審議と大臣承認を通じて「06年度検定意見は事実上撤回された」との認識で主張した。

 隊長命令の有無を判断する上で、高裁が検定問題を踏まえた文科省の立場をどう評価するか注目される。

 また控訴審では、双方が新たな住民証言を提出し、隊長命令の有無で主張を補強した。原告側は、座間味村住民で当時15歳の宮平秀幸さんが梅澤・元戦隊長は自決命令を出していないとする証言を提示したが、被告側はほかの住民たちとの証言と食い違うと反論している。

 被告側も座間味村の戦争体験者、垣花武一さんの証言を提出し、隊長命令はあったと強調。これに対し原告側は「垣花証言は伝聞で信用性に乏しい」と指摘している。



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