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近藤宗平・ブルーバックスをよみました

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近藤宗平・ブルーバックスをよみました


近藤宗平著
「人は放射線になぜ弱いか」第3版
少しの放射線は心配無用
講談社BLUE BACKS B-1238

きょう(5/5)届いたので読んでみました。
図書館でハ゜ラハ゜ラしたときにはなかった巻頭言が急遽つけられていました。

第三版第六刷にあたって
東日本大震災による原発事故にともなう放射線被ばくリスクに国内が大揺れしています。今回の被ばくは生命に危険を与えることは全くありません。本書はその科学的根本をしたためています。
(略)
2011年3月 著者


ななめ読みしてわかったこと

(1)長崎大学教授で福島県放射線健康アドバイザーである山下俊一氏が強力に推し進め、NHK日本放送協会が総力をあげてバックアップして推進してきた、「100mSvまで無害」説。この本は、その元祖・教祖・バイブルだということ。

(2)近藤宗平氏が超大ボスで、山下俊一氏が大ボス、あとは放射線医学会や保健物理学会などは右へならえ! 東大病院中川恵一氏、東工大松本義久氏、国立がんセンター総長氏、近畿大伊藤哲夫氏、同山西弘城氏など、並み居る中ボスや小増たちがテレビを私物化して喋ってきた内容は、金太郎飴のように一緒。すべてこの新書に書かれている。

(3)近藤宗平氏自身は、国際放射線防護委員会ICRPの「しきい値なし線形理論」をボロクソにいっている。それが「本書第3版の執筆動機」だとすら書いている。だから、本書を踏襲する山下俊一氏も実際は反ICRPなのだ。

(4)ただしこの本が初版のころは「放射能は怖い」という本だったそうだ。第3版に至って「放射能は怖くない」に変ったところがミソ。「転向書」がもつ訴求力というのも「怖い」。

(5)話を(3)にもどせば、原子力安全委員会が錦の御旗にしているICRP国際放射線防護委員会に山下俊一氏が背いている、とうことが国民に知られては拙い。そこでNHKが総力をあげて情報操作をはじめた。
「年間1mSvは余りにも保守的だ。ICRPの内部では年間100mSv安全論が大勢を占めている。」
というデマを大々的に流した。NHKでは、科学文化部、ニュース製作部、現場の記者の隅々まで、「極秘」の内部通達が配付されたそうだ。その流言飛語の大波は、OBになったはずの元NHK科学番組ディレクターの小出五郎氏のサイトにまで及んでいる。
http://koide-goro.com/?p=108

(6)山下俊一氏に指導された福島県教育委員会は、4月6日から3日間掛けて学校の線量調査をおこなった。そのときの合格ラインは、「一時間当たり10μSv」つまり「一年間あたり100mSv」であった。
10μSv/h×24時間×365日=87600μSv/y=87.6mSv/y
その調査では、飯舘の学校などをのぞいてその合格ラインを下回った。山下氏は9日、文科省にその判断を追認するように迫った。
http://www16.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/3040.html
その結果4月9日から文科省と原子力安全委員会との間で、極秘協議がはじまったのである。

(7)それに対して文科省は「20mSv/Y」とすることで、反ICRPとICRPの両方の顔を立てることを目論んだ。それが4月19日文科省通達による「20mSv/Y」の強行である。

(8)ミスターICRPともいえる古荘教授の首相参与小佐古敏荘東京大学教授の内閣官房参与辞任によって、NHKが流しつづけてきた(5)のデマもふっ飛んでしまった。反ICRPとICRPの両方の顔を立てることもできなかった。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0502&f=column_0502_008.shtml

(9)しかし反ICRPであろうと親ICRPであろうと、日本の原子力村の学者達には共通の認識が
あるらしい、それは、
  1. 100mSv/Yまで放射線量では人体には何にも起こらない
  2. 放射性セシウムCs-137ではがんは発生しない
この2つにはかなりの自信があるのか、山下俊一氏などは、ICRP違反、防災指針違反も、気にしないようだ。ただ官僚は法律法規に違反しているといわれればビビるし、ICRPの規準を金科玉条としてゲンパツの安全性を訴えてきた小佐古氏などは、まったく立場がなくなってしまう。


以上が、
この国が自爆(アポトーシス)へ向う現在進行中のバックグラウンドですが、
近藤宗平氏のこの本の目的は、
ICRPの閾(しきい)値なし線形性がんリスク理論を粉砕すること
だそうです。

この本の論点は、
  • A-1 ヒロシマのデータでは低線量域で直線が乱れる
  • A-2 低線量域ではノイズのない動物実験の方が疫学データよりも確か。閾(しきい)値がの存在を示す動物実験2例の紹介。
  • A-3 放射線は「発がん(イニシエーター)」ではなく「がん促進(プロモーター)」
  • A-4 アポトーシス機能が間に合うあいだはがんにならない、それが閾(しきい)値の本質
  • A-5 チェルノブイリで白血病が増加しなかったのは、閾(しきい)値説完全勝利の証し
  • A-6 だいたい、人間という生物は宇宙の放射線によって鍛えられ進化してきた生物だ。チェルノブイリ事故がごときで、人間の体が影響を受けるはずがない。

A-3とA-4は「分子生物学」ですから、とっても格好良いでございます。ブルーバックス愛読者の高IQ自慢者には、適度に難しく知的刺激があって、泥臭い「疫学」なんかよりシビレルでしょう。「がん遺伝子」「がん抑制遺伝子」「細胞周期」「細胞修復」にかんする「最新」の知見をもちいて述べています。

しかし、観念の中でバベルの塔を築いているともいえるのです。素人の私はそれを見透かすことができます。

「このクスリはなぜ効くか」という映画を製薬会社は学者を動員してよくつくりました。それと全くよく似ていまして、幾つかのアンノウン(unknown)の箇所を、仮定として論者の好ましいように選択してゆけば、製薬会社に都合がいいシナリオはいくらでも書けます。アンノウン(unknown)の関所こそ言い切れないところを敢えて言い切ってしまうというのが、シナリオを作成する基本です。私もさんざんその経験をしてきました。

もし「分子生物学」に造詣がある「閾(しきい)値なし線形性がんリスク論者」が、近藤氏と全く同じ最新知見を用いて全く逆の結論を導くことも、きっと可能でしょう。


したがって、A-1とA-5を実証的に論破し、A-2の実験のプロトコールの不備を突くことさえできれば、日本の放射線医学会や放射線防護学会を支配している「近藤理論」も、簡単に葬ることができるでしょう。

そして最後に
近藤宗平氏が驚嘆する「アポトーシスの美学」って?

不良分子、不良品は断乎として葬れ!
綻びをもちながらも細々と生きる少数者、
異端を粛清する美学とも読めます。

私だけでしょうか?


以上、ド素人だからできる法螺吹きでした。
だったら、とっくに近藤宗平批判はありますよね。
どこにあるか、知ってる方は教えてください。

ni0615拝


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