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赤松資料:「戦史資料 昭和二十一年一月九日調整」

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赤松資料:「戦史資料 昭和二十一年一月九日調整」


防衛庁 戦後資料  配架場所:B03防衛庁
整理番号: B03-5-194
収蔵文書名: 海上挺進第3戦隊[戦史資料](昭和21.1.9調製)
簿冊名: 沖縄方面部隊史実資料綴
原本所蔵機関: 防衛研究所
請求番号: 沖台 沖縄021
http://www.okinawa-sen.go.jp/view.php?no=B0305194

現存する赤松嘉次による最も古い手記です。

これは1945年8月米軍に投稿した赤松元第三戦隊長が沖縄の石川収容所に収容された後、同年12月末複員船で出港。翌1月はじめ、神奈川県浦賀に到着。そのとき復員局に提出したものです。

注目すべきは、
  1. 「敵の上陸に備え非戦闘員及緒資材を複廓陣地と予定せる留利加波東方高地に移動せしむ」以外、
    渡嘉敷島住民について何も言及がないことです。
  2. 集団自決に関してもなにもありません。
  3. 特攻艇を海に浮かべたのは、大町大佐の命令によって行なったとなっており、曽野綾子『ある神話の背景』とは完全に背理してます。
書き起こしに際しては、原文では○にレを入れた文字を「マルレ」としました。また、送りカタカナをひらがなにしました。漢字の左肩の「*」があるのは原文では旧字です。
(ni0615)



昭和21年1月9日調整
戦*史資料
海上挺進第三戦*隊 赤松印




戦*史資料
海上挺進第3戦*隊(沖縄慶良間渡嘉敷島)
戦*隊長 陸軍少佐 赤松嘉次

一、編成装備関係

1、海上挺進第三戦*隊

    編成 長       1
       中隊長     3
       附将校    11
       下士官(船舶兵特別幹部候補生) 79
    装備 マルレ艇  100
       120瓩爆雷  210
       一○○式機関短銃 5 仝弾薬 6、000 
       二六式拳銃 104
       三○式軍刀  79

   海上挺進第三勤務隊
    編成 長       1
       将校      7
       下士官 兵 153
    装備 三号無線機   1
       五号 〃    4
       電話機     8
       九二式重機   2  仝弾薬 12000
       九九式軽機   4
       一一式軽機   2
       八九重擲弾筒  7
       小銃    152
       黄色薬   550瓩


   海上挺進第三整備隊
    編成 長       1
       将校      2 (内技術1)
       下士官 兵  52
    装備 軽修理車    1
       小銃     45

   特設第4水上勤務中隊の一小隊 
    編成 長(将校)   1
       下士官 兵  13
       軍夫(鮮人)210

2、職員表 別紙の如し

3、人員兵器ノ増減ナシ

4、鮮人現地住民使役ノ関係

    鮮人並ニ現地住民ハ主トシテ作戦*準備ニ使用セリ 
    戦*況下ヲ除キテハ概ネ順調ニ作業進捗セリ

ニ、部隊履歴ノ概要

 昭和19年9月1日  宇品船舶司令部ニ於テ編成完結
 昭和19年9月10日  第32軍司令官ノ隷下ニ入リ宇品出港南西諸島ニ向フ
 昭和19年9月27日  慶良間列島渡嘉敷島ニ上陸任ニ著ク
 昭和20年3月24日ヨリ沖縄天号作戦ニ参加
 昭和20年8月24日  渡嘉敷駐屯米軍ニヨリ武装解除ヲ受ク

三、指揮隷属関係其ノ変遷ノ概要

 編成完結直後第32軍司令官ノ隷下ニ入リ 昭和19年11月軍ニ船舶団ノ設立セラレルヤ 第11船舶団長ノ指揮下ニ入リ沖縄作戦ニ至ル

四、作戦準備関係



1、作戦計画ノ概要 別表

2、陣地の状況

 部隊到着後直ニ本然ノ任務タル海上作戦*ノ為基地施設ノ作業ヲ実*施ス而シテ三月中旬ニ於テ概ネ完成シ敵機動近迫時ニハ全舟艇洞窟或ハ軽掩蓋ニヨリ秘匿掩護シ得タリ然レドモ地上戦闘ノ為ノ陣地ハ殆ト皆無ニシテ辛シテ蛸壺ヲ有スル程度ニシテ戦闘ニ入レリ
(以下ひらがな表記とします---転載者)

3、作戦*準備に関する主要なる命令の内容

 イ、軍は慶良間部隊に対しては海上作戦*の準備を第一とし陸上戦*斗は慶良間部隊は第二とする旨命じありたるを以て主として海上作戦*の準備に専念し陣地構築は殆ど実*施せず
 ロ、三月二十四日甲号戦*備の命を受領す
 ハ、三月二十五日沖縄本島に転*進の命を受く

4、軍需品の集積状況

 部隊全員に対する半年分の糧秣を集積す
 其の他特記事項なし

5、訓練の状況

 任地到着後主として海上作戦*の為舟艇訓練慣海教育を実*施す

五、戦*斗状況

1、参加せる主要なる作戦*(戦*斗)の概要

三月二十三、四日両*日の爆撃に引き続き二十五日には敵艦艇慶良間海峡にも進入し艦砲射撃を加ふ 連日の砲撃により舟艇に若干の損傷を受くるとともに泛水施設の大半は破壊され臂力搬送の止むなきに至る 二十五日二十時本島転*進に関する左の命令を受領し折りから阿嘉島より来島せられたる第十一船舶団*長大町茂大佐の命により遂に転*進を決し泛水に着手す


命令の要旨
「状況有利ならざる時は戦*隊を率い本夜中に本島に転*進すべし」

部隊は勇躍泛水を開始せるも敵艦艇の妨害を受け意の如く進捗せず阿波連に於ては敵艦港湾内に進入し遂に泛水不能となる 一方渡嘉志久中央基地も艦砲と加ふるに半島出身軍夫の訓練不充分と施設の破壊により予定の如く進捗せず全舟艇の泛水の完了セルは二六日○五○○にして転*進は不可能となりまた揚陸も不可能となる。

白昼*敵艦船に斬込んか他五戦隊の企図を暴露すべし涙を振ひ愛艇を自沈す誰か之が心情を察せらる 二六日亦砲爆撃前日に倍し敵上陸の算大なり 二三○○船舶団*長を率ひて揚陸せる二艇により本島に護送す 海上挺進の作戦*を断念を余儀なくされたる 部隊は敵の上陸に備え非戦*斗員及緒資材を複廓陣地と予定せる留利加波東方高地に移動せしむ 砲爆撃により全島火に包まれたりと雖も仝地域は樵深き山にして昼*尚暗く為に何れが所望の地点なるや判明せず

明くれば二十七日早朝戦*車数十輌を伴う約一ケ連隊の敵は留利加波 渡嘉志久 阿波連の三方から上陸す 部隊は一部水際戦*斗を実*施し二十八日早朝複廓陣地に撤退し配備を完了す 敵は三方より陣地の包囲*攻撃の態勢を示し攻撃し来るも密林の為小戦*斗を実*施せるも之を撃退すれば三方より攻撃し来る 之に対し部隊は夜間斬込を実*施す かくして数度攻撃し来るも之を撃退す

三十一日夜敵は戦*車並に艦砲掩護の下に撤退す時に敵情不明にして之に乗じ得ざりしを遺憾とす 敵撤退せると雖も眼下慶良間海峡には百数十の艦船並に飛行艇あり亦毎日の如く渡嘉敷島に上陸し部隊を捜索す時に部隊は糧秣の大部分部落付近にありし為大半焼却せられ一人一日平均マッチ箱一杯の米を以て現地自活を始め然るに五月十日約一ケ大隊の敵は上陸し来るを以て部隊は之と相待侍し戦*斗を開始す 幸ひにして部隊陣地は概成しありて敵の攻撃に微動たるにせず終戦に至る迄に前進陣地一を奪取せられたるのみなり





然るのみならず却って斬込により敵は陣地を構築し鉄条網地雷等障碍を設置し積極的なる行動をもなし得ず此の間部隊は第二の「ラバール」建設を目指し陣地構築と現地自活に邁進せり かくして陣地は益々l鞏固となりたると雖も糧秣方面の苦斗は実*に言語に絶す かくして終戦*に至る迄一ケ大隊乃至一大隊半の敵と戦*斗を続*行せり実*に此の間の戦*斗は敵と糧秣に対する戦*斗というべし 話に聞く南西諸島の状態に勝るとも劣らぬものと思考す

八月十五日諸情報を綜合し終戦*の確*実なるを知り十八日敵と協定

二十三日涙を呑みて調印を実*施す


2、機動部隊来襲状況

沖縄本島に仝じ


六、給養衛生

給養は前述の如く困難を極め雑草、蘇鉄、蛇、トカゲ等総*てを食し得るものは食し現地自活態勢整はんとする頃終戦*となれり 之が為多数栄養失調者を出し銃を持ちて起ち得るもの約半数とす 而して薬品の不足により亦食物の関係上脚気*、マラリア、下痢等に悩まされたり

七、終戦*より帰還迄の行動の概要

昭和20年8月18日 渡嘉敷島駐屯米軍指揮官 カンノリ中佐と会*見 停戦協定を結ぶ
昭和20年8月23日 武装解除調印式


昭和20年8月24日 武装解除 夜間行進(---解読不能---)移動
昭和20年8月25日 沖縄本島石川収容所に移動部隊は編成を解き
            将校 下士官 兵別に収容さる
昭和20年12月30日 帰還の為乗船
昭和21年1月3日  沖縄出発*
昭和21年1月7日  浦賀上陸 


別紙 海上挺進第三戦隊職員表


海上挺進第三戦隊職員表
職  官   氏名 期別 適用
戦隊長 陸軍少佐 赤松嘉次 53   
  附 陸軍中尉 張間興国 特18   
  同 陸軍少尉 知念朝睦   
第一中隊長 陸軍中尉 中村 彰 57   
   群長 陸軍少尉 岸川岩男   
   同  同   高取徹昌 昭20.6.13戦死
   同  同   佐藤博彦 昭20.3.27戦死
第ニ中隊長 陸軍中尉 富野 稔 57   
   群長 陸軍少尉 多里五郎 昭20.8.11戦死
   同  同   連下政市   
   同  同   鈴木啓一郎 昭20.6.17戦死
第三中隊長 陸軍中尉 皆本義博 57   
   群長 陸軍少尉 池田恒茂   
   同  同   中島一郎 昭20.3.26戦死
   同  同   小松原三郎 昭20.6.17戦死

配属部隊
第三勤務隊長 陸軍大尉 西村市五郎   
    附 陸軍中尉 田所季彦   
    同 同    辻 政弘   
    同 陸軍主計中尉 楠原利家   
    同 陸軍軍医少尉 浮田堅太郎 昭20.7.18戦死
   小隊長 陸軍少尉 小泉英太郎 同    
    同 同    杉本庄太郎 同    
    同 同    高塚春次郎 同  昭20.3.27戦死
第三整備隊長 陸軍中尉 木林 明   
    附 陸軍少尉 日根芳一   
    同  陸軍技術少尉 小川俊夫   
水上勤務隊小隊長 陸軍少尉 斎田重雄   




別紙 配備図




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