Fujica 35 AutoMの分解(2011.1)
SE,EEときたら次はオートMでしょうと悪魔の声が。というわけで早速分解。
レンズは前玉回転式で、裏側にはたっぷりグリスがついているので注意。
無限遠位置を必ずマークしておくこと。(例によって忘れた)
どんどん分解してゆくとシャッターユニットの蓋が出てくる。
この蓋を安易に開けてはいけない。
開けたが最後、地獄が待っている。(開けちゃった)
蓋を開くとコパルマジックがあらわれる。
上のほうに真鍮の歯車があるが、押さえがないので裏返すと落ちてくるので注意。
向かって左側のギアがSS、右側のギアが絞りを制御する。
蓋をはめるときはチャージして、二つの真鍮の歯車(絞り側は大きいほう)を反時計回りいっぱいに回してSS最速、絞り全開にする。
蓋についてる絞りとシャッターの突起も最速(反時計回りいっぱい)、絞り全開(時計回りいっぱい)の位置に合わせる。
また、ロックの腕木を下に押してチャージカムの突起にかませること。
鏡筒と前板を安易に外すとさらなる地獄が待っている。(ここも外しちゃった)
鏡筒を前板から外すと、シャッターと前板の歯車の連動が外れ、SSと絞りが連動しなくなる。
シャッターの裏側には、SS、絞り、チャージの三つの突起が出ている。SSと絞りの突起は前板のノブでかみ合う。
SSと絞りは前板の裏側にある歯車と連動して動作する。シャッターの動作は前板の裏側の歯車が決める。
前板のノブとシャッターの突起をはめるには、まず片方をはめて、前板裏の歯車を回して位置合わせをしながら
もう一方をはめる必要がある。
この時は絞りを16に合わせてシャッターをリリースしておくと絞りの突起がある程度回せるので楽である。
と、ここまでわかったが、まだ完全動作に至っていない。
現在マニュアル動作時にシャッタースピードが常に最高速になるのでこれを直したい。
うかつに蓋や鏡筒をはずすと単にはめるだけでは元に戻らない悪魔のような作りである。
分解する方がもしいればご注意あれ。(まだまだ地獄は続く…)
追記:2011.7
コパルマジックと思しき特許を見つけたので置いておく。
追記2:2011.8
コパルマジックに関係すると思われる特許をもう一本見つけたので置いておく。
この特許の発明者、佐藤隆郷氏の名前が特公昭42-2672「絞り優先の電気式レンズシャッター」にも記載されている。
こちらの特許はコパルエレク(ヤシカエレクトロハーフのシャッター)のものと思われる。
すなわち、フジカオートMとヤシカエレクトロハーフのシャッター発明者は同じ人である可能性が高い。
追記3:2011.8
旧ソビエト製のカメラ、ロモ・ソコール(Lomo Sokol)とフジカオートMが機構も含めて酷似していることがわかった。
ソコールは
英語版Wikipediaによれば、1966〜1986年に40万台以上が生産されたとある。
ソコールとフジカオートMとの外見上の相違点は、
1.露出計がセレン式からCdS式に変更された
2.巻き上げレバーとシャッターボタンの位置が変更された
が主な点である。
取扱説明書の英訳版を見ると、露出によりシャッタースピードが自動的に変更される5組のプログラムを持ち、
巻き上げないと絞り、シャッター速度が変更できないこと等から、コパルマジックと同等のシャッターを持つと考えられる。
ソコールはオートMの改良版と考えられるが、日本からソビエトに技術移転があったのか、
あるいはオートMの機構を模倣し、独自の改良を加えたのものなのかは現時点では判明していない。
なお、富士フィルムは同時期(1964年頃)にオートXというオートMの後継機を試作している。(試作のみで市販せず)
シャッターにコパルマジックを使用しているが、外見は後のフジカV2に似ており、ソコールとは全くの別物である。
(Thanks to Ferdiさん)
追記4:2011.8
ロモソコールを入手して分解しました。やはりコパルマジックが使われています。詳細は
こちら。
追記5:2011.9
コパルマジックのパーツリストを入手しました。
こちら。
追記6:2011.9
オートMのリペアマニュアルを入手しました。
こちら。
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最終更新:2011年09月22日 19:57