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福島県放射線健康リスクアドバイザー山下俊一先生が答える放射線Q&A

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長崎大・山下俊一教授の『語録』
福島県立医科大学パンフレット

福島県放射線健康リスクアドバイザー山下俊一先生が答える放射線Q&A


  • 転載ご自由。5月30日採録。



(H23.5.10)
福島県放射線健康リスクアドバイザー山下俊一先生が答える放射線Q&A

公立大学法人
福島県立医科大学

監修:長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 附属原爆後障害医療研究施設 教授
   福島県放射線健康リスク管理アドバイザー
   福島県立医科大学理事長付特命教授
   山下 俊一


Q&A


Q&A
このリーフレットは、チェルノブイリ原発事故の被ばく研究において世界的第一人者の研究者である、福島県放射線健康リスク管理アドバイザー・山下俊一先生の講演会および報道取材にて行われた質疑応答を元に構成したQ&A集です。

Q1


【Q1】地域の環境放射線は一時間あたり数マイクロシーベルトとなっていますが、数週間、数ヶ月この環境に住みつづけることで、蓄積した数ミリシーベルトを超えることもあるかと思われます。子どもへの影響やお腹の赤ちゃん、または将来妊娠した場合のリスクはどのくらいなのでしょうか?

【A1】報道されている値はあくまでも屋外での空間線量です。それが屋内では一般的には2~10分の1くらいに減りますので、実際の被ばく線量は少なくなります。もちろん、蓄積されてどうなるか、を心配されるのはごもっともですが、現在の状況が継続すれば健康リスクが出ると言われる年間100ミリシーベルトまで累積される可能性はありません。そして、同じ100という線量でも、1回で100受けるのと、1を100に分けて受けるのとでは、影響が全く違います。少しずつならリスクははるかに少ないのです。

妊娠しているお母さんが特に心配されるのも当然です。ナガサキでは妊娠初期に被ばくした場合、小頭症の例が増えたのは事実ですが、しかし原爆とは被ばく線量が桁違いですので、現在の福島の被ばく量でしたら、なんら心配はいりません。また、チェルノブイリでは、事故当時0~5歳の子どもを中心に甲状腺ガンの発生率は増加しましたが、その時お腹にいた子どもの中での増加の報告はありません。将来の妊娠に対してもまったく心配はいりません。

お子さんに対しても、現在の減少していく線量の環境で影響が出ることはありません。


Q2


【Q2】現在妊娠しています。飲み水も味噌汁にまでもミネラルウォーターを使っています。野菜を洗うのも怖いのですが、どう対応すべきでしょうか?

【A2】基準値異常の放射性ヨウ素が検出された水は飲まない、飲ませない、というのは賢明な選択でしょう。ただし、それでも。数回飲んでしまったからといって心配する必要は、今の放射線レベルならまったくありません。また、ミネラルウォーターがないから、水を飲ませない、ミルクをあげられないというのは、逆に乳幼児の健康によくありません。また、野菜を洗ったり、顔を洗ったり、お風呂に入ったり、と生活用水に使うのはなんら心配いりません。

Q3


【Q3】小学生の子供がいます。外で遊ばせても大丈夫なのでしょうか? 4月から学校が始まるのですが、普通に通学させるのも心配です。洗濯物も外で干していいのでしょうか? 家には24時間換気システムがついているのですが、切ったほうがいいのでしょうか?

【A3】1時間当たりの環境線量が10マイクロシーベルト(その後3.8マイクロシーベルト)以下であれば、もう外で遊ばせて大丈夫ですよ。

もちろん普段どおりの通学も問題ありません。ただし、指についた土をよく洗わせたり、着ていた上着のホコリを払わせたりしたほうがよいかもしれません。

洗濯物についても、取り込むときに少し丁寧にホコロを払う程度で問題ありません。布団干しも同様に大丈夫です。換気についてもシステムを切ったりナーバスになる必要はありません。

Q4


【Q4】万が一これからまた環境線量のレベルが上がってきたら、どのくらいで気をつけるべきでしょうか? また、どのくらいで退避するべきでしょうか?

【A4】国の指標では、放射性物質の放出による被ばく線量の累積値が、外部被ばくで10~50ミリシーベルト、内部被ばくで100~500ミリシーベルトになる可能性がある場合に、国が屋内退避又は退避を指示することとされています。

このため、一時的な環境放射線量で判断することはできませんが、国や研が公表している放射線量のデータの推移に注意するとともに、屋内退避や避難については、国、県、市町村の支持に従って行動してください。

Q5


【Q5】20Km圏内の避難指示の地域から避難しています。まさかこれほど長期の避難生活になるとは思っていなかったので、身の回りの物しか持ってきていません。家の中の物を取りに帰ってもいいのでしょうか? 何時間くらいであれば。20Km圏内にいても健康への問題がないのでしょうか?

【A5】20Km圏内は、避難指示が出ていますので、国から許可があるまでは絶対に入らないで下さい。

Q6


【Q6】テレビでは、被ばくを防ぐために、マスクをする、手を洗う、帰宅したら衣服をビニール袋に入れる、などという防護策が語られていて、過敏になっています。被ばくを防ぐために手を洗う、マスクをする、衣服をビニール袋に入れる、雨に濡れない方がよい、濡れた傘も洗う方がよい、など言われていますが、外出する際はどの程度の防護策を講じたらよいのでしょうか?

【A6】マスクには、放射性物質を防ぐ効果は実はあまりありません。外出した際の上着は、家に入るときに軽くホコリを払う程度でよいでしょう。ビニール袋に詰めてしまう必要はありません。雨も、多少濡れた程度では全く問題ありませんが、念のために傘をさすほうが、心理的に安心が得られるでしょう。傘も玄関先に立てかけておいて問題はありません。手を洗ったり、髪を洗ったりするのも、帰宅直後に直ぐにしないといけないという訳ではありません。


Q7


【Q7】飲料水について、浄水器で放射性物質がきれいに除去できるのでしょうか?沸騰させるとよいとも聞きますがどうでしょうか?

【A7】まずセシウムについては、浄水場で濾過(ろか)される際に吸着されるので、水道水には出てきません。ヨウ素については、水道水にでてきてしまいます。浄水器では残念ながら濾過されないと思われます。また、ヨウ素の沸点は高いので、沸騰させてもあまり蒸発はしないでしょう。


Q8


【Q8】被ばくは移るのですか?

【A8】被ばく自体は移りません。放射性物質をチリのようなものだと考え、それをきちんと衣類などから払い落とせば、移ることはありません。

Q9


【Q9】「ただちに健康には影響はない」という言い方をよく聞きますが、「ただちに」をどう理解したらよいのでしょうか?

【A9】基準値は、そのレベルの放射線量の食品(または水)を1年間食べたら影響が出る可能性があるので、摂取しないほうがよいでしょう、という目安です。ですので、この場合の「ただちに影響はない」は、数回または1週間などの短期間、基準値を多少超えた食品を食べたとしても影響はありません、ということを意味しています。

ニュースウォッチ9(2011.4.1)抜粋

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NHK(ニュースウォッチ9)(23.04.01)
「原発周辺 現地の碑銘 現地に入る医師」中継
飯舘村訪問時のインタビューより(抜粋)
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(ナンバーリングは引用者による)

(1)きょう飯舘村に入って、多くの人と言葉を交わしているが、どのような印象をもったか?
▲農家では、外で働く時間が長く、特に不安が大きい。高い放射性物質を検出した土への不安も重なる。健康への影響は大丈夫と考えるが、土については、さらに多くのデータが必要。

(2)健康への不安を訴える人も多いが、専門家として、どう伝えているのか。
▲現時点で、健康に影響を与える年間100ミリシーベルトという被ばく線量にまったく達していない。不安を感じるのは理解できるが、正しく恐がって。

(3)放射線は目に見えないだけに、住民の人達は不安を感じているようだが、どういったことを伝えていくべきか。
▲現時点で放射線の影響はほとんどない、ということを伝えている。政府などが正しい情報を出し、メディアが正しく伝え、市民が正しい行動をする、という3つのどれもが欠けてはいけない。パニック状態を鎮めるために、正確に伝えることに注力している。

(4)山下さんは、チェルノブイリ原発事故のあと、周辺に住む人たちへの診療を続けている。今回の事故が起きてから、チュエルノブイリ事故は、しばしば比較として出されているが、違いはどういった点か。
▲チェルノブイリは、炉心がさらけ出されて、大量に放射性物質が放出された。今回は、圧力容器の中にあり、異なる。
一方で、放射線の人体に与える影響はチェルノブイリのような事故を教訓に国際機関や、各国の様々な研究機関がデータを蓄積してきた。実際の被ばくの例は少ないので、貴重なデータになる。

(5)それでは、今回はまず、どういったことを見ていけばいいのか。
▲子どもの甲状腺のがん。放射性ヨウ素は、子どもに必要な甲状腺ホルモンを作る材料として取り込まれ、成長期の子どもに大きく影響する。
実際に、チェルノブイリでは15歳未満で事故後20年間で、およそ5000件発生した。
しかし、当時は全く摂取制限もなかったが、日本の場合、基準値を超えるものは出回らない点で大きく異なる。
実際、子どもの放射線量の調査を福島県内で行っているが、非常に低い値が出ている。したがって、大きな心配はない。

(6)「ただちに健康に影響が無い」という言葉を、多く聞いてきたが、その根拠となるものはあるのか。
▲一つはデータ。チェルノブイリ事故後の放射性セシウムの放出された量。非常に広範囲に拡がった。しかし、放射性セシウム137は体内に入ると筋肉に入るが、筋肉のがんは一例も出ていない。今回の福島第一原発の事故でも放射性セシウムが放出されたが、今回の量では問題ないと考えられる。

(7)山下さんは、福島県にリスク管理のアドバイスをする立場だが、どういった提言をしているのか。
▲まもなく学校がはじまるが、校庭で子どもたちが遊んでいいか。しっかりとグラウンドの土のデータを集める必要があると伝えている。

(8)今後、わたしたちは、どのような点に注意していけばよいのか。
▲福島県では、地元で頑張ろうという人たちが多い。そうした人たちを支えていくために、いたずらに風評に左右されることなく、放射線への正しい判断をして、福島県を支援していかなければいけない。


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発行:公立大学法人福島県立医科大学 災害対策本部   (2011.05 発行)
   〒960-1295 福島県福島市光が丘1番地
   TEL:024-547-1111(代)/FAX:024-547-1995 http://www.fmu.ac.jp
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