宝石乙女まとめwiki

酔いどれ乙女

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匿名ユーザー

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「にゃはははぁ~♪」
「ちょっ、た、たんぱっ、くる、くるしっ、アッー」
  だんな様の首を、腕で締め上げる蛋白石。しかも笑顔で。
  その顔は真っ赤で、普段より少々だらしのない様子。
「……蛋白石、もっと行儀良くなさい」
  全ての原因は、だんな様が友人から頂いたというお酒。
  わたくしのよく知らない西洋のお酒らしいのですが、それを蛋白石がじゅーすと勘違いして……。
  気づけばこうして出来上がった蛋白石が、だんな様に絡んでいるという現状。
  まったく、そこはわたくしの定位置……じゃなくて、早く何とかしないとだんな様が大変なことに。
「にゃぅ~……」
「って、電気石まで飲んで……きゃっ、し、尻尾に抱きついてはっ」
「もふもふぅ……」
  全身に巡る妙な感覚。
  電気石に抱きつかれると、これと同時に毛が逆立ってしまう。
  だんな様は静電気と申しておられましたが……いや、今は冷静に考えている場合ではない。
「あぁーっ、おねーさまずるぅ~い」
  床に倒れているだんな様。
  そして標的はわたくしに……これは、嫌な予感が。
「わたしもぉ~……もぉふもふするぅーっ」
「え、た、蛋白石、何を……きゃーっ!」
  少女の体をしていても、蛋白石の力はわたくしも認めるほどに強靱。
  軽く押し倒され、覆い被さられる。
「えへへぇ~」
「な、何ですか、その下品な笑みは……」
「せっしょうせきぃ……チュー」
  近づいてくる、蛋白石の顔。
  こ、これは……いけない、この唇はだんな様だけのっ。
「は、離しなさ……って、そこっ、触っては……あっ」
「だいすきだよぉ、殺生石ぃ~」
  上半身は蛋白石、尻尾は電気石。
  すっかり動きを封じられてしまった……このままでは、このままではっ!
「い……いい加減に……っ」

  このわたくしが、あんなにもうろたえてしまうとは……情けない。情けなさすぎる。
「あうぅ……」
「きゅぅ~……」
  床の隅で気絶している二名の乙女。たった今わたくしが強引に吹き飛ばした結果。
  久々に力を放出したせいか、勢いが……情けない。
  そして着物は乱れ、すっかり毛が逆立ってしまったわたくし……。
  お酒は酔った者勝ちとはよく言うが、これでは泣きたくなってしまう。なかなか直すのも大変で。
  情けなくて、泣いてしまいそうな、そんな気持ち。
  ……そういえば、だんな様は。
「せっしょーせきぃ」
「え……きゃあっ!」
  だんな様の、妙に陽気な声。
  それと同時に背後から押し倒される始末。
  ……情緒不安定のわたくしに、その衝撃は力を発動させる引き金以外の何物でもなかった。

  わたくし、酔っぱらいは……嫌いです。

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