平成四年、夏―――

「くすくす。圭一、今夜は私が『ご主人様』。そして語尾に必ず『ワン』とつけるのよ。じゃないと、このロウソクのロウを垂らしてお仕置きよ」
私は勝ち誇ったように嗜虐的な笑みを浮かべ、手首を縛られて布団に横たわった夫を見下ろした。
「わかりました…ワン」
圭一の頭には犬耳のカチューシャ、首には首輪。そして顔には犬の鼻をデフォルメに模したパーツを付けてある。
更に、その身に纏うはフリフリのメイド服にガーダーベルト。
足はだらしなく開かれ、スカートは捲れて、股間に突き立つ男根が丸見えだ。それはびくんびくんと私の中に入りたくてうずうずしているようだ。
食後のゲームの結果、今晩の閨は勝者たる私の思うがまま。
それが、私達夫婦のルールだ。
そして今はもう無き雛見沢分校の四次元ロッカーから持ち出したパーツを付けて、より刺激的に弄びあう。
因みに数々のコスプレ衣装は、魅音と詩音から結婚祝いと称して贈られたものだ。
「古手家再興のために、圭ちゃんにはこれから励んでもらわないといけませんからね~。その助けになればと思いまして」なんて詩音は言ってたっけ。
「ふふふ、いい子ね。今夜はたっぷり可愛がってあげる。明日は日曜なんだし、お祭りも終わったからちょっと羽目はずしちゃおうかしら」
ますます笑みを深める私に、圭一は無様にこくんこくんと頷く。
「う、嬉しいですワン、梨花…熱っ!!」
すかさず圭一の上にロウを一滴垂らす。びくんと彼の身体が痙攣するのが解かる。
結婚前、付き合っていた頃には間違っても出来なかったプレイだ。こんな真似をしたら、嫌われて彼を失ってしまうかもしれないと恐れて。
でも、こうして全てを曝け出せるのも、圭一相手だからだろう。彼とはもう十年近く、別の世界を全部合わせれば百年を優に越える付き合いなのだ。圭一も幾つかの世界の事は覚えているし。
つまり私達はほやほやの新婚であると同時に、すっかり年季の入った夫婦でもあるのだ。
「ご、主、人、様よ。やっぱりダメな子なのかしらねぇ、圭一は?」
「すみませんですワン。あぁでも…これはこれで気持ちいい、ご主人様ぁ…いいですワン」
じっとりと汗を流して苦悶の表情を浮かべつつ、しかし圭一はどこか喜んでいるようでもある。
結婚して、私の方からの過激なプレイも解禁してわかった。そう圭一は…責められるの「も」好きなのだ。
勿論自分がリードして私を責め立てるのも大好きだし、私もそれはそれで気に入っていて大いに望むところだ。初めての夜からずっと。
でも、こうして大好きな人を上から組み敷き跨いで、完全な支配下に置くのもまた、私は大好きなのだ。
「さぁ、今宵は私の犬たる圭一はどうして欲しいのかしら?言って御覧なさい」
「早く…ご主人様の中に挿れたいですワン」
なんだかんだで既にバッチリ濡れている秘唇を、私は圭一の男根の亀頭に擦り付ける。
「ふふっ、しょうのない子ね。じゃあいくわよ―――あっ。はっ、はぁん…いいわ、やっぱりあなたはいつも私を楽しませてくれるっ!まだまだ飽きそうにないわ、圭一っ!」
騎上位宜しく、私は最愛の夫の上で悦楽に溺れる。
自分でも信じられないくらいに腰がよく動く。解いた髪が揺れる。あぁ、こんなにも乱れてしまうなんて…

ごめんなさい圭一。こんな酷いことしてるけど、大好きなのよ。私の大事な旦那様。


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最終更新:2008年05月08日 18:22