夏休みも終盤のある日の事。
その日は、梨花の様子がどこかおかしかった。
圭一の家を訪れた時は至って上機嫌だったのだが、彼がお茶とお菓子を用意しようと階下に行って戻ってきてからというもの、そのご機嫌はどこへやら。
頭を撫でられても頬をぷくっと膨らませて、終始ムスッとしたままだったのだ。
折角親が留守なのにかこつけて彼女を家に招き、二人っきりの時間を満喫しようと目論んでいた圭一は困惑しきりであった。
膝の上に座らせれば、梨花はほぼ例外なく上機嫌になる筈なのに。
「…今日はどうかしたのか?」
圭一は恐る恐る尋ねる。
「……」
しかし梨花は不貞腐れたようにそっぽを向いてしまうばかりだった。
「あ、あの…梨花ちゃん?」
「………圭一。訊きたいことがあるのです」
顔を逸らしたまま、梨花はぼそりと呟く。それは、心底震え上がるような冷たい、ドスのきいた声音だった。
「圭一も、本当はボインボインな女の人が良いのですか?」
「へっ…はぁああ?」
思わず圭一は素っ頓狂な声を上げた。梨花の言葉があまりに唐突過ぎて早くも思考が混乱し始める。
「聞いているのですよ。お胸の大きい女の人は好きなのですか?」
すっかり混乱したのか、しどろもどろになってしまった彼はつい、こう口を滑らせてしまう。
「ま、まぁ別に有るに越した事はないって言うか、むしろ望むところと言うか…」
「み~、やっぱりなのです!!」
突然顔を見上げて、上目遣いで圭一の目を睨み付けた梨花は、猛然たる勢いで彼の胸元を掴んだ。
「えっ、ええっ、なんだぁ、なんなんだよぉ~?」
頬を真っ赤に染めた梨花は、瞳に涙を一杯に浮かべてまくし立てる。
「ボクは見たのですよ。圭一秘蔵のネコさんにゃーにゃーなご本の数々を」
「ちょ、ま、マジッすかぁああ!!?」
即座にこれはヤバイと狼狽する圭一。仮にも付き合っている彼女がいる身でコレが発覚するのはあまりにも気まずい。
しかし、続く梨花の言葉は彼の考えのやや斜め上をいっていた。
「圭一はまだ若くてイロイロ持て余しているから――それをボクはまだ受け止めきれない身体だから、今の圭一がそういうご本を読むのは構わないのです!でも、でも…ボクはっ!!」



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「どうしてっ、どうして圭一の読むご本のネコさんはみんなふっかふかのボインボインなのですか!?お胸がぺったんこなボクへのあてつけなのですか?ボクの貧相な身体が不満ならはっきりそう言って欲しいのですよ!」
自らが言うように、起伏に乏しい身体に掌を当てながら、梨花は叫んだ。

圭一が入手した数々の本…偶然か、いやはたまた必然か?
そこに描かれていた女性達は、皆揃って平均以上の巨乳の持ち主ばかりだったのだ。
見つけた当初は、所持を黙認するつもりだった梨花であったが、その共通点に気付いてしまい疑心暗鬼を抱いてしまったのだ。
元々自分の身体の発育の悪さと、親しい部活メンバーは同年代の沙都子も含め、皆平均かそれ以上のボディラインの持ち主であるという現実。
それに、不安と劣等感を日々強めていた梨花は、圭一は自分に不満を抱いているのではないかとまで思い込んでしまったのだ。

「どうなのですか、圭一っ!?」
「そ、それは…」
梨花は物凄い形相で迫ってくる。
正直言って男の俺には、梨花がここまで拘る理由と心情はその半分も理解できてないと思う。
でも、ここまで怒りと不安を露わにするのだから、それはよっぽどの事なんだろう。
「やっぱりボクはダメなのです。…スタイルのいい女の人に負けるという運命には抗えないのですよ。」
――マズイ。梨花がこんな言動をするのは非常に良くない兆候だ。
折角最近の彼女は前向きになってきてるというのに。
こんな悲しい顔をしてる。誰のせいだ?そんなの決まってる!俺だ。俺の迂闊さがまた彼女を傷つけたんだ!
ならどうすれば良い?!
クールになれ、前原圭一!!

「…それは違うぞ!!梨花ちゃんっ!俺は巨乳にはまっっったく興味ない。俺は若気の至りでちょっとナースやバニーさんとかの衣装にくらっ☆とキタだけだ!女性の美しさは胸だけじゃ測れないぞ!!それに梨花ちゃんはまだ成長期なんだ、これから先成長の余地は十二分に有る!今は体形なんて気にせず、しっかり食べて、バッチリ遊んで運動してればいいんだ!そうしていれば身体は自ずと成長するもんだぜ!案ずるな!!」
「みぃ、本当なのですか?どうせ身体は大きくなってもボクのお胸は断崖絶壁、ツルツルのぺたぺたのままかもしれないのですよ?それが避けられない運命だとしても?」
どことなく投げやりな口調だった。それは常々圭一が梨花から排除したいと思い続けている、彼の最も嫌う部分に他ならない。
だからこそ、こういう時に彼がかけるべき言葉もまた、決まっていた。
「梨花ちゃん、いつも言ってるだろ。後ろ向きになっちゃいけない!校長先生が言ってるじゃないか、『どうせ』と言ったらその時点で負けなんだとな!つるぺたの袋小路がなんだ!そんなの金魚すくいの網よりも簡単に打ち破れるさ。それにこの俺が、たかが胸のことぐらいで嫌いになるとでも思うのか?俺はそんなに信用無いか?そいつぁあんまりだぜ!!そして俺達は運命が決まってるなんて信じないって決めたじゃないか?あの日の俺の気持ちを信じろ、梨花ちゃん!――それに」
そこで圭一は言葉を区切って、少し気恥ずかしそうに頭をぽりぽりと掻きながら、こう言い放った。
「もしも、だ。仮に梨花ちゃんの胸が貧弱なままでも案ずる事ぁないぜ。梨花ちゃんは…俺が嫁に貰ってやる。売れ残る心配はない!これでもまだ不満か?不安か!?」
先程とは違う意味合いで頬を真っ赤に染めた梨花は、ぶんぶんと首を横に振り、圭一の胸の中に顔を埋める。
そして、彼を抱きしめる腕にぎゅっと力を込めて言った。
「…もう、そんなこと言われたら、気にしてた私がバカみたいじゃない。恥ずかしくなるくらいに熱い言葉をいつもかけてくれる、そんな圭一が好き。その熱さが私には心地いいの。胸が熱くなって、些細な事で悩んでた自分が下らなく思える。ありがとう……そして、ごめんなさい。気の迷いとはいえ、圭一の気持ちを疑ってしまったわ」
「謝る必要はないぜ。いや、むしろこっちが詫びないとな。また俺の無神経さが、梨花を惑わせちまった。―――あぁそうだ」
そこで圭一は、そっと梨花を自分の胸から引き離し、きりりと真剣な表情に改めて言った。
「さっきの言葉さ、あれ嘘だろ?」
「えっ?」
一瞬何の事か解らず、梨花はきょとんとした顔になる。
「『自分はまだ満足させてあげられない身体だから、今は俺がそういう本を読むのは構わない』ってとこさ。そんな筈はないだろ。例え写真や絵でも、俺が他の女の人のやらしい姿を見てハァハァしているのを許せるか?平気でいられるか?」
赤坂が来訪したお祭の晩、心ならずも自身が一度ヤキモチを焼いてしまって以来、圭一は梨花への愛情を自覚して日々深めつつあった。
だからこそ、彼女が独占欲を露にするのも今では至極当然だと受け止めていた。
「…嫌、嫌よ。圭一が傍で一緒にいるようになって以来、もう自分の気持ちに嘘をついたり誤魔化したりするのが嫌になってしまった。やっぱり、私だけを見て欲しい。写真や絵であっても、圭一が他の女の人に鼻の下を伸ばしているのを想像すると…すごくムカムカするもの」
唇を尖らせ、梨花は圭一の服を掴む両手に力を込めて拗ねたような顔を見せる。
彼女自身も自覚していたが、梨花は圭一と一緒に居るようになってから、特に彼に対しては本音を隠したり自分の欲求を押し殺したりしなくなっていた。
本音を素直にぶつけるべきだと思うようになっていたのだ。それが仮に、我が儘な事柄だとしても。
或いは梨花が本音を遠慮なくぶつける、もしくは梨花の本音を引き出してしまうという役割は、かつては羽入が請け負っていたそれだったのかもしれない。
羽入が百年以上もパートナーとして過ごすことで築いた信頼関係を、「この世界」の圭一はそれに比べれば瞬きのような時間で築き上げてしまったのだ。
別の幾つかの世界の記憶という、「助走」と「奇跡」があったからだとしても、大したものだった。
「よし、わかった!」
突然圭一は、両目をぐわっと開くと、梨花の両肩に手を置いて宣言するように叫んだ。
「俺、前原圭一は、ソウルブラザー漆黒の魔王Kの座を返上、引退する!!」
突拍子も無く意味不明なことを口走った圭一を、梨花はぽか~んと見上げた。
圭一はそれには構わず、いかにも断腸の思いで…という風な芝居がかった口調で続ける。
「魂の兄弟の誓いを反故にして、背を向けるは慙愧に耐えん、がしかし!今の俺には一緒に支えあうべき大切なパートナーがいるっ!ワインで将来を誓い合った梨花の信頼を守る事は、何物にも勝る最優先事項だっ!…少なくともトミーは理解してくれるだろう、たぶん。俺はもう兄弟たちと夢も喜びも悲しみも痛みも共有することはできない!何故なら!今の俺がそれを共有する相手はただ一人、梨花ちゃんだけと決めたからなぁっ!!」
プチ固有結界を発動させ吼える圭一に、梨花は理由がよくわからないまま何故かこみ上げてくる歓喜に震えていた。
「け、圭一!?」
「……というわけで、俺はもう梨花ちゃんに隠れてコソコソとエッチな雑誌は今後一切買わないし読まないぞ。今手元にあるものは残らず処分する。いや、捨てるのはソウルブラザーに失礼だから、亀田くんあたりにでも譲渡することにしよう。おおそうだ、何気に彼の苗字は『Kameda』でイニシャルKじゃないか!ならこの際二代目として『萌えの伝道師K』の名もついでに襲名させてしまおう、そうだそれがいい!これで俺は梨花ちゃんだけのもの、どうだ異存はないだろ!」
随分前に、部活メンバーの間で「遊び人」と揶揄されたのがよほど屈辱というかショックだったのか、ここ最近の圭一は自らの貞節を些か神経質なまでに気にするようになっていた。
これもまた信頼すること、されることこそ第一と重んじる、雛見沢転校後の圭一だからこそかもしれなかった。
彼が誠意をここまで示していければ、梨花が仮にも異性である彼に対してここまで開けっぴろげに振舞ったり、無防備に身を委ねたりはしないだろう。
「有るわけないのです。…でも、本当にいいのですか?さっきも言ったように、ボクはまだ圭一の欲求を受け止め切れない身体なのです。」
照れくさいのか、恥ずかしいのか、口調が「ボク」に変化して躊躇いがちに言う梨花の頭を、圭一はそっと撫でる。
「まぁ、これも試練というか鍛錬の内だろ。梨花ちゃんのことを思い浮かべたら、どの道エロ本なんて後ろめたくて読みづらくなるしなぁ。それがスリリングで堪らないのかも…おっといけねぇ、それに抗うのが精進だな。厳しいが耐えて見せるさ」
「それでは未来の妻として申し訳ないのです。未来の旦那さまに窮屈な思いはさせたくないのです。
せめて…………こ、こ、これくらいは、今のボクにも出来るのですよっ!」
先程圭一に突きつけた本を再び手に取った梨花は、そのとある一ページの見開きを広げてみせる。
「それ」を目の当たりにした圭一は、思わず仰け反った。
「ま、待て梨花ちゃんっ!早まらんでいいっ!そ、それはマズイって!」
そこには、ナース姿の女性がベッドの上で横たわった患者と思しき男性のアレを口で…といった風なものが描かれていた。
「ひとつに結ばれるのはもうしばらくだけ待って欲しいのですが、せ、せめて、圭一の欲求不満が溜まり過ぎないように、その…口で、してあげるくらいなら…」
思い詰めたような口調で迫る梨花に、圭一はすっかり嬉しさと葛藤と困惑と動揺と焦りがカオスにない交ぜとなった風体であった。
つまりは両手で頭を抱えて、悶えまくっていたのだ。
「本番」ではなく、今回は「前座」だけでもという段階でこれでは、二人が結ばれる日はまだずっと先のようであった。
別にただ早ければイイというものでもないのだが。
「気持ちは嬉しいが…いや、待て待て。今はまだそこまでしてくれなくてもいい。梨花ちゃんにそんなことはさせられないぞ。
ここは気持ちだけ有難く受け取っておくから、な、な?」
「ボクは…いえ“私”は圭一の恋人なのです。ラブラブな相思相愛なのですよ。
その私が構わないと言っているのですから、圭一さえよければこれくらい問題はないのです」
意を決した梨花は、自らの服をその場で乱暴に脱ぎ捨てる。
まだブラはしていないので、その結果パンツと靴下以外は何もまとわないという、ほぼ全裸に近い姿を露にする。
「こうすれば、えっちな本を見るくらいには興奮できるでしょ?」
「り、梨花ちゃんっ、待て落ち着けっ、幾らなんでも俺達にそれはまだ早すぎるって!」
「私の身体じゃ…ハァハァすることも出来ない?」
「ち、違うって。…あぁダメだ!これ以上抗えねぇ!男として運命には抗えても、梨花ちゃんの誘惑には抗えねぇぞ!!本当に良いんだなっ!?」
ヤケクソになった圭一はズボンを勢いよく下ろした。その下半身にはトランクスを突き破らんばかりに力強く隆起したテントがあった。
「け、圭一?そんなに大きく…」
「当たり前だっ!好きな女の子のそんなあられもない姿を見せつけられて、興奮しない男がどこにいるっ!?」
「私のこんな貧相な体形の身体で、そこまで興奮してくれるの?」
「まだそんな野暮なことを言うのか!?俺のオットセイさんは実に正直だぞ~。口よりも雄弁に語ってくれるさ」
完全に吹っ切れた圭一は、続いてトランクスも一瞬で脱ぎ捨てる。待ってましたとばかりに、彼の分身がそそり立つ。
圭一の分身たる通称オットセイさんを生まれて初めて目の当たりにして、梨花は流石に顔を真っ赤に染める。
だが、目を覆ったり逸らしたりはしなかった。
「これも私だけのものね」
まるで愛でるかのように、梨花は圭一のオットセイさんを手で抱えてそっと撫でる。
「ほ、本当に口で…してくれるのか?」
「今の私は最高に機嫌がいいの。どうしてかは言わなくてもわかるわよね。それくらい、お安い御用だわ」
まるでアイスキャンディーを舐めるかのように、梨花はぺロぺロとオットセイさんの先端を嘗め回す。
「ちゅぱっ、れろ、んっ、ん~ん、れろ、ちゅるっ」
そこで何を思ったか、彼女は先端に舌をつつきながら、片手でオットセイさんの根元を軽くしごいて分身の皮を引ん剥いてしまった。
その刺激に対して、悲しいかな、まだ童貞である彼のリミッター数値はあまりにも低く、脆弱であった。
「やばっ、も、もうっ!…っく、うっ!!」
言葉にならない呻き声と共に、圭一の分身の先端から勢い良く盛大に白濁の液体が迸り、正面から梨花の顔に降りかかってべとりと張り付いた。
目は反射的に閉じたものの、放出が収まるまで梨花は顔を逸らさなかった。
「ふぁっ、んん、んん、あはっ、みぃ~」
「はぁ、はぁ、はぁ」
顔に張り付いた生暖かい粘着質の液体を、梨花は指先で軽く拭った。そして恐る恐る口へと指を運ぶ。
「っ!…ちょっと苦いわ…でもこれが、圭一の…味」
「ご、ごめん、つい思いっきり顔に…」
「それは構わないけど…圭一、ちょっと堪え性がないわね。
…3分も持たなかったじゃない。これじゃカップラーメンもできないわよ」
苦笑する梨花に対して、未だに快楽感に痙攣して虚ろな目をしていた圭一は、一転して敗北感に襲われる。
「すまねぇ、お恥ずかしいぜ。でもしかたないだろ、こんなことされるの初めてなんだし、滅茶苦茶気持ちよかったからな」
漸く身動きが取れるようになった圭一は、ティッシュを取り出すと、梨花の顔に付いた白濁をふき取る。
「でも、圭一のオットセイさんはまだこんなに元気ね。もう一回、して欲しい?」
顔を拭いてもらいながら、彼女は一回暴発したあともまだ意気盛んなオットセイさんをナデナデと擦る。
「それは願ってもないことだ。…出来ればさ、こ、今度は口で咥えてくれないか。無理にとは言わないが」
それに対して梨花は無言のまま、口をあ~んと最大限に開き、圭一のオットセイさんをぱくりと咥えて見せることで応える。
「うわっ、何だこれ!?あっ、あ…頭が真っ白に…!」
先ほどの舌先で舐められる感触に、梨花の決して大きいとは言えない口に包まれる感触と温もり時折接触する歯の硬さ、擦れあうことで上下から分身を愛撫する唇、口内の唾液が絡みついたことによる滑らかさ…、などが新たに加わって、圭一は再び悦楽の淵へと溺れていく。
それでも一回目に不甲斐なく過早暴発してしまった直後だけに、男としての意地なのか、少しでも長く引き伸ばそうと、消し飛びそうになる意識をどうにか繋ぎとめていた。
「はむ、ん、ん…んんっ、ちゅぱ、ん、はぁ、ん…ちゅぱ…ぢゅる…んくっ…」
だが、そんな圭一の意思もふと視線を下に降ろした途端、砂上の楼閣のごとく崩れ去る寸前にまで追い込まれる。
視線の先には梨花が瞳をとろんと潤ませて、実に妖艶な顔を股間から覗かせていたのだ。
「あぁ、綺麗だぜ…梨花ちゃん、た、堪らねぇよ、その顔が。はぁ…はぁ、可愛すぎる」
ぞくぞくとこみ上げてくる愛しさに突き動かされて、圭一は梨花の頭に両手を添えて優しく撫で始める。
彼にとって梨花の頭を撫でるのは最早珍しくもなんともない行動であったが、普段とは姿勢と位置関係が全く異なり、とても新鮮な感覚であった。
「んくっ、はむ、ふぉれはぁ、ふぉてもぉふぃもちふぃふぃのふえす…」
無性に愛おしくなって、彼女の名を何度も叫んだ。頭を撫でる仕草も心持ち荒くなる。
「あぁ、梨花ちゃんっ、梨花ぁ、梨花っ!ま、また出ちまうぞ。このままじゃ…口の中に」
「ふぃふぃのふぇすよ。ふぉのままふぁしてふぃふぃのふえす」
「うっ、んっ!!くふっ!!」
ついに、二度目の絶頂を迎えた圭一は梨花の口内に精液を解き放った。
「っ!!んっ、もごっ、んぐっ、ごぼっごぼっ、げほっ…げほ、はっ、…はぁ」
少し顔を歪めながら、梨花は必死に彼の出したモノを飲み干そうとするも、流石に果たせず吐き出してしまった。
本には「最後の一滴まで飲み干す」みたいなことを書かれていて、それを実践しようとしたらしい。
「…あ、そんなことしなくていいって、不味いだろ、無理すんな」
咳き込んだ梨花の呻きで虚脱感から我に返った圭一は、慌ててティッシュで梨花の口元を拭う。
「…圭一、満足してくれた?」
口周りを拭かれながら、やや未練ありげな顔でおずおずと問いかける。
「満足もなにも、最高だったぜ。こいつはお礼だ」
「ふぁっ、ちょっ、けーいちっ!!」
興奮した面持ちの圭一は、いきなり梨花に覆いかぶさり、曝け出されたままの胸に噛り付く。
本当に微かな膨らみを手で揉みしだきながら、もう一方の乳頭を口に含んで吸い始める。
「ひゃっ、んあっ、そんなぁ、つよく…すわないでぇ…でも、…きもち…いい」
「はぁはぁ、胸が無いなんて気にすんな。気にしなくていいからな!」
ぴょこっと隆起したさくらんぼを、圭一は左右交互に夢中でしゃぶりつくす。
「んっ、いいっ、あはん、けーいちのてがきもちいいのぉ、んんっ」
よくわからないけど病み付きになりそう、と胸を揉まれる快感でとろけそうになりながら思う梨花だった。
しばし堪能した後、梨花の胸から顔を上げた圭一は、彼女の後頭部と背中にそれぞれ掌を回して引き寄せるや、今度は唇を重ねる。
そのままいつものように、舌を濃密に絡ませ、互いの熱い吐息と唾液を交換し合うのだった。
キスを終えた圭一は、しかし抱擁は止めようとせずに梨花の耳元でそっと囁いた。
「改めて誓うぜ、俺はもう梨花ちゃん一筋だ。よそ見もつまみ食いもしねぇよ。その必要もない」
「本当にいいのね?そこまで言ってくれるのなら本当にえっちな本も許さなくなっちゃうわよ」
「いつも言ってるだろ、男に二言はない」
「にぱ~☆じゃあこれからオットセイさんをパクッとする時は、ネコ耳、しっぽ、首輪に鈴、スク水、ナースにメイド服と、圭一が望むがままにオプションを付けてあげますですよ」
にっこりと微笑む梨花に、圭一は完全にKOされ、鼻から盛大に血を流してしまうのだった。
「はぅ、やべえよ梨花ちゃん、それは刺激が強すぎるっ」
「…だから約束よ。たとえ本の絵や写真でも、私以外の女の人を見て……しないで。私だけを見て。我慢できなくなったら、何時でも私に言って。圭一が…私以外を見てハァハァするのは耐えられない」
「あぁ、梨花ちゃんがここまでしてくれるってのに、裏切るようなマネをしたら…それこそバチが下るっつうか、祟られてしまいそうだしな。ハハハハ―――俺は裏切らないぜ、信じろ」
まぁ、この先一度や二度、魔が差したくらいは不問にしてあげても良いけど、と梨花は内心で呟く。
若い男子故に、些細な綻びくらいはあるだろうと彼女は頭では割り切っていたのだが、しかしそれは裏切られることになる。
想い人に選んだ彼の意志の固さと愛情が半端ではなかったことを、この後の梨花は改めて深く実感することになるのだった。

予行演習に続く

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最終更新:2008年05月08日 18:08