宝石乙女まとめwiki

こいのぼり?

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匿名ユーザー

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  お空に浮かぶ、大きなお魚。
  ひらひらで、青とか、ピンクとか、いろんな色。
  ……あまりおいしそうじゃない。皮だけ?
「鯉のぼりがどうかした?」
「んー?」
  こい、のぼり?
「うちの大家さん、いつもこうして大きな鯉のぼり立てるんだよ」
  こい、のぼる……お空に?
  んー……。
「僕の家でもこんな感じの立ててたけれど……電気石、何してるの?」
「のぼりー……のぼれない」
「しょんぼりする気持ちは分かるけど、危ないから登っちゃダメだよ」
  マスターの、だっこ。
  ……あまりのぼれない。

  こい、のぼり……。
  こい……?
「そんなに鯉のぼり気に入ったの?」
  マスターから、おやつをもらう。
「あんまり見上げてると首が疲れちゃうよ。食べながら休憩しよう」
  チョコレート……。
  ……あまーい。
「おいしい?」
「うん」
「よかった。結構高いチョコレートなんだよ、これ」
  高くて、おいしい……。
「蛋白石だったら、全部食べちゃうから……いないうちに食べないとね」
「独り占め……めー」
「あー……今日だけ。ね?」
  マスター、悪い子。
  でも、チョコおいしい。
「それにしても、もう5月かぁ」
「……あったかい」
「うん。暖かいね」
  マスターと、一緒。
  こい……。
「ん、電気石?」
  ……マスターの、お膝。
  もっと、あたたかい……。
「甘えん坊さんだね」
「……めー?」
「ううん、めーじゃないよ」
  ……こい……恋?
「マスター……」
  ……好きぃ。

          ◇

「ご主人様ーっ、ただいまー♪」
  蛋白石のにぎやかな声が、電気石の寝息をかき消す。
「蛋白石、しーっ」
「え? あ、お姉様……可愛いー♪」
「そうだね」
  頭を軽くなでる。
  少しだけくすぐったそうな、そんな感じで体を動かす。どんな夢見てるのかな?
「それよりご主人様、この箱……」
「え?」
「ペロ……これは! 高いチョコレートっ!?」
  ……箱、処分し忘れちゃった。
  つまり蛋白石に黙って全部食べたのもばれたわけで……あぁ、涙目で拳を震わせてる。
「た、蛋白石、女の子が箱をなめるなんて行儀の悪いこと……」
「チョコ……チョコぉ……」
「いや、落ち着いて、ね? ほら、電気石も起きちゃうよ」
「チョコ……ご主人様ーっ!!!」
「アッー!!!」
  食べ物の恨みは、恐ろしい……。


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