長い冬の寒さも一段落し、日を重ねるごとに暖かさが増してくる今日このごろ。
冬場はバス通勤だった俺も、明日から自転車通勤に切り替えだ。
「あ、マスターおかえりなさーい」
自転車の点検を終えて帰ってみると、金剛石が玄関前で出迎えてくれる。
「ただいま。何かあったの?」
「ううん、違う……違いますよ。マスターの自転車を見たいなーって思って」
そう言って、僕の自転車の横に立つ。
宝石乙女には大きすぎるそれは、俺が大枚叩いて買ったちょっといい自転車だ。
「かっこいいー。テレビに出てくるやつみたい」
「ありがと。そうだ、これで散歩でも行こうか」
「えっ、いいのっ!」
喜んだのも束の間、自分の口調に気づき、慌てる金剛石。相変わらずだなぁ……。
「もっとおしとやかに、ね」
「はぁい……じゃあ、後ろに乗っていいですか?」
冬場はバス通勤だった俺も、明日から自転車通勤に切り替えだ。
「あ、マスターおかえりなさーい」
自転車の点検を終えて帰ってみると、金剛石が玄関前で出迎えてくれる。
「ただいま。何かあったの?」
「ううん、違う……違いますよ。マスターの自転車を見たいなーって思って」
そう言って、僕の自転車の横に立つ。
宝石乙女には大きすぎるそれは、俺が大枚叩いて買ったちょっといい自転車だ。
「かっこいいー。テレビに出てくるやつみたい」
「ありがと。そうだ、これで散歩でも行こうか」
「えっ、いいのっ!」
喜んだのも束の間、自分の口調に気づき、慌てる金剛石。相変わらずだなぁ……。
「もっとおしとやかに、ね」
「はぁい……じゃあ、後ろに乗っていいですか?」
春の南風を切って、自転車が進む。
後ろには金髪の少女。俺の身体をしっかりと掴み、さっきからはしゃぎっぱなしだ。
「マスターっ、もっと速く! BダッシュBダッシュ!!」
「マリオじゃないっつーの。あと口調」
「あわわっ……こほん。マスター、是非ともここは自転車の最高速度でギネスを目指してみては?」
「無茶言わないの。口調直しても駄目」
結局、口調を直しても金剛石は金剛石だからなぁ。
「暖かくなったなー」
「そうですねぇ。冬に自転車乗ると寒いんですよね?」
「そ。だから雪なくても乗らない」
目の前に、河川敷の遊歩道が見えてくる。
少し坂になった道を気合いで漕ぎ、遊歩道へ。
「わぁ、綺麗ですねー」
「春ごろのこの辺はお勧めの散歩コースだぞ」
季節の花が何でも咲いているわけではないが、春は特別いろいろな花が咲くいい場所だ。
まだまだつぼみが多いが、冬場は漂うことのなかった草の匂いが鼻をくすぐる。
そして、川の流れる音。山からの雪解け水が加わり、普段よりも大きく感じた。
「あー、あそこサッカーしてる……してますよー」
「だな。俺も昔は高校でやってた」
「あっ、なら今度あたしの相手してくださいよぉ」
「あはは……遠慮する」
「えー」
なんだか金剛石とやってたら朝から晩までPKやらされそうだ。
いや、でも宝石乙女全員集めて試合やらせたら結構面白く……駄目だ、絶対修羅場になる。蛋白石ちゃんのドライブシュートとか、ありそうで怖い。
あぁ、置石ちゃんがボールを爆弾にすり替えたり……いや、置石ちゃんなら虎目石ちゃんとスカイラブハリケーン……。
「マスター、何で黙っちゃうんですかー?」
「え、あぁ悪い悪い」
ついつい宝石乙女のデスサッカーを思い浮かべてしまった。
「そうだ、これからどっか昼飯でも食べに行くか」
「ホントっ? じゃああたしオムライスが食べたい……ですっ」
「了解。確か近所に店があったと思うから、そこいってみよう」
後ろには金髪の少女。俺の身体をしっかりと掴み、さっきからはしゃぎっぱなしだ。
「マスターっ、もっと速く! BダッシュBダッシュ!!」
「マリオじゃないっつーの。あと口調」
「あわわっ……こほん。マスター、是非ともここは自転車の最高速度でギネスを目指してみては?」
「無茶言わないの。口調直しても駄目」
結局、口調を直しても金剛石は金剛石だからなぁ。
「暖かくなったなー」
「そうですねぇ。冬に自転車乗ると寒いんですよね?」
「そ。だから雪なくても乗らない」
目の前に、河川敷の遊歩道が見えてくる。
少し坂になった道を気合いで漕ぎ、遊歩道へ。
「わぁ、綺麗ですねー」
「春ごろのこの辺はお勧めの散歩コースだぞ」
季節の花が何でも咲いているわけではないが、春は特別いろいろな花が咲くいい場所だ。
まだまだつぼみが多いが、冬場は漂うことのなかった草の匂いが鼻をくすぐる。
そして、川の流れる音。山からの雪解け水が加わり、普段よりも大きく感じた。
「あー、あそこサッカーしてる……してますよー」
「だな。俺も昔は高校でやってた」
「あっ、なら今度あたしの相手してくださいよぉ」
「あはは……遠慮する」
「えー」
なんだか金剛石とやってたら朝から晩までPKやらされそうだ。
いや、でも宝石乙女全員集めて試合やらせたら結構面白く……駄目だ、絶対修羅場になる。蛋白石ちゃんのドライブシュートとか、ありそうで怖い。
あぁ、置石ちゃんがボールを爆弾にすり替えたり……いや、置石ちゃんなら虎目石ちゃんとスカイラブハリケーン……。
「マスター、何で黙っちゃうんですかー?」
「え、あぁ悪い悪い」
ついつい宝石乙女のデスサッカーを思い浮かべてしまった。
「そうだ、これからどっか昼飯でも食べに行くか」
「ホントっ? じゃああたしオムライスが食べたい……ですっ」
「了解。確か近所に店があったと思うから、そこいってみよう」
「ただいまーっ」
「おかえりなさい。マスター、お疲れ様です。荷物持ちますね」
「あぁ、ありがと黒曜石」
結局、夕方まで自転車であちこちを回ることとなった俺たち。
冬場の運動不足が一気に解消されそうな、そんな疲労が身体を襲う。
「そういえばびっくりだったよー。今日お昼ご飯にオムライスの店行ったんだけどね、そしたらレッドベリルちゃんのマスターが……」
まぁ、金剛石は充分楽しんだみたいだし、よしとするかな……明日筋肉痛にならなきゃいいけど。
「マスター、早く晩ご飯食べよ……食べましょうよー」
「あー、はいはい。今行くよ」
「おかえりなさい。マスター、お疲れ様です。荷物持ちますね」
「あぁ、ありがと黒曜石」
結局、夕方まで自転車であちこちを回ることとなった俺たち。
冬場の運動不足が一気に解消されそうな、そんな疲労が身体を襲う。
「そういえばびっくりだったよー。今日お昼ご飯にオムライスの店行ったんだけどね、そしたらレッドベリルちゃんのマスターが……」
まぁ、金剛石は充分楽しんだみたいだし、よしとするかな……明日筋肉痛にならなきゃいいけど。
「マスター、早く晩ご飯食べよ……食べましょうよー」
「あー、はいはい。今行くよ」