宝石乙女まとめwiki ひとりきりの子狐
  僕はいつの間にか、広い野原に立っていた。

  ケーーーーーーーーン。

  物悲しい獣の鳴き声が、夕日に照らされたすすき野原に響いた。
  そこには子供が立っていた。古風な着物を身にまとい、狐のような耳と、一本の尾を生やしている。

  ケーーーーーーーーン。
  (おかあさま)

  ケーーーーーーーーン。
  (おとうさま)

  あまりにも悲しげな鳴き声に、僕は近づいて声をかけた。
「どうして泣いてるの」

(だれもいなくなったの)
(ひとりはいやなの)
(だれか、そばにいてほしいの)

  その子供があまりに寂しそうなので、僕は手を伸ばし……。


  そこで、目が覚めた。
「……殺生石?」
「はい、何ですか?だんな様」
「うわあっ!?」
  寝ぼけて発した声に答えられ、僕は情けない声を上げてしまった。ちょ、近すぎだよ殺生石!
「うふふ、変なだんな様」
  そう言った殺生石の笑顔は、孤独とは縁遠いものに見えた。
「……だ、だんな様……?」
「あ、ごめん……」
  無意識のうちに殺生石の頭を撫でていたことに気づいて、僕は手を離した。
  ……夢の中では、触れてあげられなかったから。
「なんでもないよ……そばにいてくれてありがとう、殺生石」
「は、はい……?」
  頬を染める殺生石は、何がなんだかわからないようだった。まあ、当たり前か。

  僕たちは再び安らかな眠りについた。
  もう一人にはしないよ、という言葉は恥ずかしすぎるので、口にできなかったけど。

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