宝石乙女まとめwiki 朱色のアレ

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友人から蛸を譲り受けた。
何でも 『運良く見つけたからお裾分けだ』 とか何とか……。
旨いから良いけどさ。
早速料理してやろう。
「……。 なんですか、それは」
「え、蛸だけど」
ホープが少し離れたところからおずおずと聞いてきた。
声色から察するに興味があるというよりは、警戒してるような雰囲気だ。
苦手なのかな……。
ちょっとした悪戯心が芽生えて蛸をひょいとホープに向けて近づけてみる。
「ほい」
「ひゃっ!」
やっぱりか……。 悪い癖だ、もっと反応を見たくなってきた。
蛸を持ったまま一気にホープに近づく。
「きゃあああああ!」
金切り声を上げて、それこそ漫画のようにすっ飛んで逃げてしまった。
ちょっと罪悪感を感じてしまうな……。
にしても、よっぽど苦手なんだなぁ。
克服させておくのも悪くないか。
「おーい、ホープ」
皿を片手にホープを探す。
探すといってもそこまで広くない家だし、すぐに見つかった。
「……」
泣きそうというか、恨めしそうというか、そんな目でこっちを見てる。
さっきのことを根に持ってるみたいだな。
「さっきはごめんごめん。 つい悪乗りしちゃってさ。 それでお詫び代わりにこんなものを作ってみたんだけど、食べる?」
ホープはゆっくりと皿の上の球体を覗き込んだ。
「なんですか、これは?」
「日本の伝統的なお菓子、というか軽食というか、そんなの」
いや、伝統とか詳しくは知らないけど。
興味を持ったのか、ゆっくりとした動作で楊枝に手を伸ばして、球体を口に含んだ。
「おいしい」
途端、笑顔になった。
現金な、というかなんというか。
本当に、不機嫌な時には旨い物食わせればなんとかなるもんなんだな。
「これ、なんていう名前なんです?」
余程おいしかったんだろう、ホープが聞いてきた。
「たこ焼き」
「え……」
「だから、たこ焼き」
聞き終わった瞬間、ホープは硬直してしまった。

克服できたことは出来たんだろうけど、ホープはそれから数日ほど口を聞いてくれなかった。