第八話


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「ここか・・・。」
やっとの思いで鍛治屋に着いた刹那だったが、既に日が暮れて夜になっていた。
「ごめんください。」
恐る恐る店に入ると男がいた。名前は『堂島軍二』年齢は30代くらいで大柄、筋肉質。眼鏡を掛けてる。
「ん~、客か・・・。ここは刀を鍛える工房だ。なんの用だ?」
「実はこれを・・・。」
刹那は夕凪を差し出した。堂島は黙って受け取ると夕凪を抜いた。真剣な顔で刃こぼれを調べている。

「・・・三十八円かかるが、いいか?」
「はい。お願いします。」
刹那は内心ホッとしていた。すずの話によると以前一人の侍が代金を踏み倒したが、そのまま帰らぬ人となったらしい。
現在手持ちは五十円。もしも先程の井ノ頭に罰金を払っていたら・・・。考えるだけでも恐ろしい。
「わかった。少し待ってくれ。すぐに終わる。」

~1時間後~

「おわったぞ。・・・いい刀だな。大事に扱え。」
「はい!ありがとうございます。ではこれを・・・。」
刹那は約束のお金を渡すと夕凪を掲げその刀身を見る。先程のボロボロの刃が嘘のように綺麗に磨き上げられている。
その職人技にしばらく見惚れてると急に得体のしれない胸騒ぎを感じた。
(なんだ、この感じ・・・?すずさん?)

「他に用は・・・」
言いかけたその時、刹那は猛スピードで店を出て行った。
「なんだよ、いっちまいやがった。」
呆れた表情で後ろ姿を見送る。
「・・・いい目をしてた。それにかなりの達人だ。俺より強いか?フッ。」
空を見上げる。綺麗な満月が地上を照らしている。
「彼女なら“奴”を止められるかもしれないな。」
何か決意めいた表情でそう呟いた。

宿場に着くと店の前ですずが立っていた。
「はぁはぁ・・・。すずさん!!」
「・・・!!刹那さん!?大変です!ドナドナさんが・・・!!」
誰の目から見てもすずの気が動転してるのは明らかだった。刹那はまず彼女を落ち着かせる事を優先した。
「落ち着いてください。それでドナドナさんがどうしたんですか?」
すずのパニックぷりにただ事ではない事を感じた刹那は静かに、真剣な眼差しで問い掛けた。

「はい。実はドナドナさん、一人で黒生屋敷に忍び込んだみたいなんです・・・。」
「何故そんな事を!?」
「わ、私にもわかりません。でももし見つかったらただでは済みません。
 ・・・お願いです!ドナドナさんを助けてください!もう刹那さんしか頼れる人がいないんです!」
正直な話、無事に帰れるか刹那自身もわからなかった。一度屋敷に入った事はあるが、かなりの人数がいた。
加えて坪八や知床などの手練も何人かいる。圧倒的に不利だった。
「わかりました。すずさんは安心して待っててください。」
それでも彼女を安心させるために強がりを言った。彼女の眩しい程の笑顔を護るため決心した。

そんな二人のやりとりを見ている影が二つ・・・。
「あいつ俺達に楯突くつもりだ!」
「どうする?いま殺っちまうか?」
「いや、まずは屋敷に報告だ!」
どうやら今回は今までのように簡単に済みそうにない。ドナドナは無事なのか?刹那は無事に帰ってこれるのか?
先程までの綺麗な満月とは打って変わって不気味に見えた・・・。


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