rァ 梨花ちゃんかもしれない

俺以外にまだ眠れない奴がいるのかと思い。そっと布団から抜け出し、障子へと移動する。
「梨花ちゃん? ……どうしたんだよ? こんな時間に」
戸を開けると、そこには梨花ちゃんが立っていた。
「圭一。魅ぃと沙都子のいびきがうるさいのですよ。……しばらく圭一と一緒にいていいですか?」
俺はなんとなくその様子が容易に想像出来て、苦笑した。
「そうなのか? まったくしょうのない奴らだなぁ。……いいぜ、入りな」
「ありがとうなのですよ。にぱ~☆」
すたすたと梨花ちゃんは俺の寝室に入り込んで……。
「ちょっ……ちょっと梨花ちゃん。俺の布団に……」
「みー。あったかいのです☆ 圭一も早く入るといいのです。いつまでも夜風に当たっていると、風邪をひいてしまうのですよ?」
屈託のない笑顔を浮かべて、梨花ちゃんはそう言ってきて……俺も苦笑を浮かべて布団に戻った。
梨花ちゃんの横で、俺は目を瞑った。
でも……それは長く続かなかった。
「圭一は、何故まだ起きていたのですか?」
「いや、……別に。ちょっと眠れなくてさ。明日、もしも誰か欠けることがあったとしたら、俺はきっと身を引き裂かれるより辛いんだろうなって……、そんなこと、なるはずがないのに……」
「それは、ボクもなのですか?」
「ああ。……梨花ちゃんがいない世界なんて、俺には悲しすぎる」
「……ごめんなさいです。今までボクは、圭一達の気持ちのことを忘れていたのです」
「? 何で梨花ちゃんが謝るんだ?」
しかし俺の問いかけには答えず、梨花ちゃんは俺の手を握ってきた。
「圭一。……ここはボクにとって最後の世界なのです」
その口調は、どこか淡々としたものだった。
「ボクはこの世界で明日を乗り越えるために、考えられるすべての手を打ってきたと思っています。だから、もしみんな一緒に明日を乗り越えられないようなことがあったとしても、ボクはそれを受け入れなくてはいけないのです」
梨花ちゃんが何を言っているのか……そしてどんな表情をしているのか俺には分からない。
「でも、どんな結果になってもボクは受け入れる覚悟は出来ているつもりなのです。ただ……」
「ただ……?」
梨花ちゃんは自嘲するように溜め息をついた。
「ボクの覚悟が本物かどうかは分からないのです。……思い返すと、ほとんどが知っている結果を選んでいただけのような気がするのです。何故なら、ボクは臆病だったから……」
「あの……梨花ちゃん。ゴメン。俺には梨花ちゃんの言っている意味がよく分からないんだけど?」
俺は梨花ちゃんの方へ顔を向けて訊いた。
「みー☆ 別に構わないのですよ。これはボクしか知らないことなのです……」
梨花ちゃんも俺の方を向いて、笑みを浮かべた。
でも、その梨花ちゃんの表情には、普段彼女が見せないような大人びたものが混じっていた。
「……圭一。全く未知のどんな結果でも受け入れる……最後の世界でそんな真似を……臆病なボクに出来るかどうか……それをボクは知りたいのです」
梨花ちゃんは布団の中で、もう片方の手も俺の手に重ねてきた。
「圭一……ボクは圭一が好きなのです。ボクと付き合って欲しいのです。言っておきますけどボクは本気なのです。部活メンバーとしての好きとかそういうのではないのです。ボクを恋人として見て欲しいのです」
梨花ちゃんの瞳はどうしようもなく真剣だった。
「今の圭一にとってはたった一ヶ月の付き合いしかないボクですけど、ボクはずっと圭一が好きでした。初めて会ったときから100年間想ってきたのです。だから、圭一が来るこの六月が楽しみだったのです。そして、これはボクが初めて圭一に言う言葉なのです」
「梨花ちゃん……」
意外だった。いつも大人しい梨花ちゃんが俺に対してこんな感情を持っていたなんて想像もしていなかった。
きっと、俺は梨花ちゃんの言葉の意味をほとんど理解出来ていないと思う。しかしそれでも、そこに込められた想いがとても、重いものだということは理解出来た。
前原圭一。ならその想いは真摯に受け止めるべきだ。お前は梨花ちゃんが嫌いか? いいや、そんなわけない。梨花ちゃんは魅力的な女の子だ。そして、大事な女の子だ。
なら、俺は梨花ちゃんが好きなのか?
…………そうだな、この胸の奥から芽生えたこの感情……ちりちりと痛くて、切ないものを恋だというのなら、俺はきっと……。
俺は梨花ちゃんから手を離し、そして抱き寄せた。
「圭一?」
「ありがとう梨花ちゃん。俺なんかでよかったら、喜んで相手させてもらうよ」
「圭一……、ありがとうなのですよ。本当に……本当に嬉しいのですよ……」
俺の胸の中で、梨花ちゃんは心の底から幸せそうな笑顔を浮かべてくれた。
俺達は固く抱きしめ合い、互いの想いを再確認する。
梨花ちゃんの細い体を抱いているうち、俺は絶対に梨花ちゃんを守りきってみせようと……そんな誓いを思い出していた。
「圭一。ボクからのお願いを聞いてもらえませんか?」
「なんだい? 梨花ちゃん?」
俺が訊くと、梨花ちゃんは軽く唇を尖らせた。
「……二人きりのときだけでいいのです。ボクのことを梨花と……名前だけで呼んで欲しいのです。なんだか恋人同士のような気がしないのです」
梨花ちゃんを……呼び捨て?
あれ? あれ? 何か急に気恥ずかしくなってきた。他の部活メンバーだって呼び捨てなのに、梨花だけは何か特別っていうか……。
「あ……ああ、いいぜ。……梨花」
たったそれだけのことなのに、俺はさっきよりぐっと梨花を恋人として意識していた。
「…………圭一、実はもう一つお願いがあるのです」
「なんだよ? 梨花?」
「ボクと…………大人の関係になってくれませんか?」
「えっ? ……ええっ?」
あまりに急な言葉に、俺はただ驚くことしか出来なかった。
「圭一。ボクにとってはこれが最後のチャンスなのかもしれないのです。だから、悔いが残るようなことだけはしたくないのです……」
その願いの意味を理解していくにしたがって、俺の顔は赤くなっていく。
「あ、あのよ……おい。最後のチャンスってそんな……別に急がなくても……、これからだって……」
しかし、梨花は首を横に振った。
「確かに、性急と言われればそうかもしれないです。これから先、後悔することもあるかもしれないと思います。けれど……ボクはこの時間を……今を精一杯、圭一にこの想いを伝えることに使いたいのです」
それは梨花の切ないまでの願いだった。
恋人として……愛する女のこんな真剣な願いを断るような真似は、俺には出来なかった。
俺は優しく、梨花へと微笑んだ。
「分かった。梨花が望むっていうんなら……俺は……構わないぜ……」
「ありがとうなのですよ。圭一」
「でも、一つだけ言わせてくれ。梨花」
「みー?」
「俺達は、必ず明日を乗り越えてみせる。……だから、どんな結果でも受け入れるなんて言わないでくれ。どんな方法でもいいから、何があっても全員で生き延びられるよう足掻き続けると、約束してくれ」
くすくすと、梨花は笑った。
ちゅっ と軽く俺にキスをしてくる。
「…………もちろんなのですよ。ボク達はいつまでも一緒なのです」
梨花は小指を曲げて俺の目の前に出してきた。
指切りをして俺達は約束する。
そして、俺達は掛け布団をはがし、その場に座った。
互いに向き合って正座する。
「それじゃ梨花……よろしくな」
「みー。こちらこそよろしくなのです」
俺は梨花のパジャマに手を伸ばした。
梨花の小さなパジャマの、小さなボタンを外していく。
薄くて柔らかいパジャマの衣越しに梨花の体温が伝わってくる。
パジャマの上着を脱がしていくにつれ、梨花の白い肌が露出していく。
そして…………俺は完全に梨花から上着を剥ぎ取った。
梨花は魅音やレナとは対照的で、未だ胸も薄くて腰にもほとんど括れが無くて……女性特有の豊満さといった魅力には乏しい。しかし、その人形のように整った体は、背徳的な欲望を掻き立てる妖しい魅力を纏っていた。
俺が梨花の平らな胸に手を這わせ、撫で回すと、梨花はぴくりと体を震わせた。
うっすらとした膨らみの中で、ぽっちりと乳首が隆起してくる。
その甘酸っぱい感触に、俺は息を呑んだ。
俺は次に、梨花のズボンを脱がしていった。細長い脚が露わになっていくにつれ、禁忌を犯していくという興奮が脳を灼いていく。
やがて、残すは梨花のパンティのみとなった。
そう、この小さな布を脱がすだけで、梨花の体を覆うものはすべて無くなる。
俺はごくりと唾を呑んだ。
自然と息が荒くなる。緊張で手が震える。心臓が破裂しそうだ。
今すぐ梨花の幼くて無垢な肢体を思うがままに蹂躙したいという欲望を……抑え込むだけで意識が遠のいていく。
落ち着け前原圭一、クールになれ。
そして、とうとう梨花は生まれたときと同じ姿を晒した。
腿の間にから梨花の秘部が覗いていた。そこはぴったりと閉じた小さな蕾だった。
「圭一。圭一も脱いで欲しいのです。ボクだけが裸じゃ恥ずかしいのです」
「あ、ああ。ごめん。つい見とれていた」
梨花の声に、俺は我に返った。
我ながら滑稽だと思いつつも、俺は慌てて自分もパジャマと下着を脱いだ。
「みー☆ 圭一のオットセイ☆さんがおっきしているのです」
「ごめん。俺、梨花の裸見てたら……」
「みー。いけないオットセイ☆さんなのです。ボクがお仕置きしてあげるのです」
四つんばいになって、梨花は座っている俺に近づいてきた。
そして、俺の膝にもたれる形で横になる。
「り、梨花? …………ああっ」
俺の下半身にぞくりと電撃のようなものが駆けめぐった。
梨花が俺のものに手を添え、そして舌を這わせてきたのだ。
梨花の小さくて柔らかい唇が俺の亀頭を刺激し、そして子猫が甘えるかのようにちろちろと竿を舐めている。
それは一見すると無邪気な戯れのようにも見えて、しかしその行為の意味はまったくの正反対なもので……。
「あ……ああぅ。気持ちいい……気持ちいいよ、梨花」
俺は思わず手を梨花の頭に置いた。
艶やかで柔らかく、癖の無い髪の感触が手のひらに伝わる。
そのまま、いっそのこと梨花の口の中に自分のものをねじ込んでしまいたいとも思う。
そんなぎりぎりの理性の中、俺は梨花の髪を撫でていく。
頭から、首筋へ、そして背中……お尻へと愛撫の位置を移動していく。
俺は荒い息を吐きながら、梨花の股へと手を差し込んだ。
その瞬間、きゅっと梨花の太股が俺の手を締め付け、そして俺のものをしゃぶっている口が震えた。
そのまま、俺は梨花の秘部を手のひらで覆った。
くにくにと、梨花の幼い秘部を揉みしだき、指先で突いて刺激する。
「ん……んふっ」
梨花の口から小さく喘ぎ声が漏れる。
俺は堅い蕾を柔らかく、そしてあくまでも優しくほぐしていった。
「みっ、……みぃ~っ」
指先に粘り気のある感触が混じってくる。
その淡い湿り気を馴染ませるように、俺が執拗に梨花の秘部を掻き回すと、梨花は俺のものから口を離した。
俺のものに頬を当てて震える。
「圭一。……ボクの、ボクのお股がじんじんして熱いのです。中に挿れて欲しくて堪らないのです」
いつしか、梨花の秘部から溢れるとろとろとした露はその量を増し、そして秘部も柔らかく息づいていた。
「梨花。実を言うと俺ももう、梨花の中に挿れたくて我慢出来ないんだ」
「みー。圭一もなのですか? いいのですよ。ボクの方こそお願いなのです。早くボクの中に挿れて欲しいのです」
「あ……、ああ。分かったよ」
俺がそう言うと、梨花は俺の前で、膝を抱え込むような形で横になった。
俺のものは、もうはち切れそうになっていた。
でも、不安もある。俺のこんなものを梨花に挿れて、本当に大丈夫なのだろうか?
ほっそりとした梨花ちゃんの入り口に亀頭を当てながら、俺は躊躇していた。
「圭一? 何をしているのですか? ボクなら大丈夫なのです」
「で……、でもさ。梨花……」
「恐がることはないのですよ? 圭一が困っているとボクも嫌なのです」
「わ、分かった。……じゃあ、いくぜ?」
「はいなのです」

俺がそう言うと、梨花は俺の前で、膝を抱え込むような形で横になった。
俺のものは、もうはち切れそうになっていた。
でも、不安もある。俺のこんなものを梨花に挿れて、本当に大丈夫なのだろうか?
ほっそりとした梨花ちゃんの入り口に亀頭を当てながら、俺は躊躇していた。
「圭一? 何をしているのですか? ボクなら大丈夫なのです」
「で……、でもさ。梨花……」
「恐がることはないのですよ? 圭一が困っているとボクも嫌なのです」
「わ、分かった。……じゃあ、いくぜ?」
「はいなのです」
きゅっ と梨花が目を瞑ると同時に、俺は梨花を貫いた。
ぎりぎりと、俺はそれこそ強引に押し込んでいく。
いつ処女膜を破ったのかなんてのも分からない。気が付けば俺の先は梨花の奥まで届いていた。
「……大丈夫か? 梨花」
梨花は震えながら……、しかし呻き声一つあげずに俺のものを受け入れていた。
「平気なのですよ。生きたままお腹を割かれるのに比べたら、こんなのは何てことないのです」
それよりも、と梨花は続けた。
「圭一。圭一はボクの中で感じてくれていますか?」
「ああ、もちろんだよ。……梨花の中、温かくて……でもって凄く締め付けてきていて」
「その言葉が聞きたかったのです。……そう言ってもらえるなら、ボクはこんな痛み、なんてことないのですよ」
馬鹿……何でそんなこと言うんだよ。ついその言葉に甘えて、無茶苦茶にしてやりたくなるじゃないか。
でも、実際にはそれは出来ない。
俺のものを半分もくわえることが出来ない梨花の中では、俺はまるでピストン運動が出来そうになかった。
それなのに、ぶるぶると痙攣する俺のものの動きに合わせて、梨花の中が先端部分を刺激している。
「あ……あああっ」
その刺激をもっと味わいたい。もっと……もっと根本まで……。
でも、それは出来ない相談で……。
俺は体をよじらせることしか出来ない。
気持ちいいのに……苦しい。
射精したいのに……、それが出来ない。
「圭一。……これで、感じてくれますか?」
「あ……あああうっ」
梨花は俺のものの根本にその細い指を絡め、ゆっくりと擦った。
「あ……ああ、それいいよ。す……ごく、気持ち……いい」
梨花の手の動きが、俺の満たされない欲求を補ってくる。
俺の腰は、もう本能的に震えていた。
「みぃ~っ。みぃ~っ。圭一のものが、どんどん固くなっていくのです」
「あ……ああ、梨花。……俺、俺もうっ……」
「みぃ~っ。みぃ~っ。みぃ~っ。みぃぃ~~~っ!!」
「あっ。あああああああぁぁっぁぁっ!!!!」
「みいいいぃぃぃぃぃ~~~~~~~~っ!!!!」
俺は叫びながら、梨花の中へと射精した。
それと同時に、びくんっと梨花の体が大きく反り返る。
ぬるぬるとした結合部から、俺は自分のものを抜いた。
俺は四つんばいになって、梨花の上に覆い被さって……。梨花は笑いながら、俺の頭を撫でてくれた。
「みー☆」

翌日。
パアアアアァァァァァァァァァァンンッ!!
追い詰められた鷹野さんが羽入に向かって銃の引き金を引いた。
真っ直ぐに、その弾丸が羽入の胸へと迫っていく。
うおおおおおおおおおあああああああああぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!
俺の脳裏に、仲間の胸から血しぶきが飛ぶ光景が浮かび上がる。それは、あり得ない記憶の光景。でもどんなに叫ぼうと回避出来ない悲しい結末。
それを止めることは誰にも出来ない。
「くすくすくすくす。くっくっくっくっ。あはははははははははははははははははっ!!」
鷹野さんの狂った笑い声が、凍った世界に響き渡る。

そして………………………………。
俺は、凍った世界から現実へと意識を引き戻された。
鷹野さんの持っている銃から硝煙が立ち上っている。
俺は、恐る恐る仲間を見渡した…………………………………………でも、誰一人地面に倒れていなければ、怪我もしていない。
「へ、へへへ…………、……は、外しやがった……?」
口に出してその結果を確認する。
どっと、緊張が解ける。
そう、鷹野さんの撃った銃弾は誰にも当たらなかった。……これは、まさに奇跡。
やがて、番犬が鷹野さんを捕らえて……富竹さんの胸で鷹野さんが泣いて……。
その光景を眺めながら立ちつくしていると、梨花が駆け寄ってきた。
「圭一。奇跡が起きてよかったのです」
「ああ、…………まったくだぜ」
俺は素直に頷いた。
「圭一は言っていました。誰一人として欠けるのは嫌だって……」
「ああ、そうだな」
梨花はにっこりと笑みを浮かべた。
「だからボクはきっと奇跡を起こせたのです。圭一がそう言ってくれなければボクはきっと奇跡を起こせなかったのです」
「………………へっ?」
「愛の力なのですよ。にぱ~っ☆」
そう言って羽入の元へと駆け出す梨花を見ながら、俺はいつまでも疑問符を浮かべつつ……それならそれでもいいのかもと、笑みを浮かべた。

―梨花END―

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最終更新:2007年03月10日 21:51