※未完
今は無きBlossomy Ghostにてにゃん味噌氏が掲載していたweb漫画の、妄想編です
441 : 2008/05/29 20:23:08 ID:iAb5pU3M0 [24/36回発言]
「けーいちー?レナちゃん来ちゃうわよー!早く起きなさーい!」
「う、う~ん・・・。もう朝か・・・」
「この時期は布団が恋しくなるぜ・・・」
圭一はもぞもぞ動きながら上体を起こし、万歳しながら体を伸ばした
「ふ、く~っ」
ふと、圭一は自分の体に違和感を覚え、伸びをした状態で視線を下方にずらした。
「!」
「・・・胸が、ある」
かつては年頃の男子相応のある程度筋肉のついていた胸板は見る影も無く、レナほどの大きさの乳房が衣服の上から確認できた。
「嘘だろ・・・」
まさか、と思い圭一は慌てて自分の股間を触り、
そろそろ皮が剥けるであろう性徴途上の男性器があるかどうか確かめようと手を伸ばした。
「・・・」
「ねぇぞ・・・」
446 : 2008/05/29 20:37:20 ID:iAb5pU3M0 [25/36回発言]
「どうすんだよ・・・俺」
このまま着替えて何事も無かったように振舞うか、それとも開き直るか・・・。
どちらを選択したにせよ、自分の口先の魔術が必要になってくるだろう。
それでもいつかはバレる。
やはり、親やレナたちに知れ渡ることを前提にこれからのことを考えておいた方がいいだろう。
「けい・・・いち・・・?」
いきなり声がして驚いて振り向くと、母親の藍子がこちらを見て目を丸くしている。
「あ、あんた・・・圭一よね?」
「そうだよ、母さん・・・」
「女の子みたいになってるわよ・・・」
「朝起きたら、こうなってたんだ・・・」
「・・・」
「キラーン☆」
いきなり藍子の目の色が変わり、表情も驚きから喜びへと変化していった。
「そう、わかったわ。母さんはこの変化を受け入れる。惨劇は回避できるのよ!」
「え?ちょ、待ってよ、母さんって、アッー!」
448 : 2008/05/29 20:45:45 ID:iAb5pU3M0 [26/36回発言]
いきなり服をはがされ、裸に剥かれる圭子。
母親に裸の状態で押し倒され、隅々まで観察される。
「ふぅ~ん、・・・ほんとに女の子なのね・・・」
「もういいでしょ、母さん・・・?」
藍子はハッとした顔になり、頬を赤く染めた。
「ごめんなさいね、圭一。母さん、なんだか恥ずかしくなってきちゃった☆」
(それは俺のセリフだろ・・・)
「とりあえず、学校に行って来なさい。隠してても、どうせいつかバレるわよ。だったら初めからバラしちゃいなさい」
「う、うん。わかったよ」
圭一改め、圭子は藍子に脱がされたトランクスを穿き直し、制服へと着替えた。
もちろん、学ランである。
着替えながら背後で「服も考えないといけないわね・・・」などと藍子が呟いていたのを聞いて、圭子はいまさら憂鬱な気分になった。
453 : 2008/05/29 21:00:05 ID:iAb5pU3M0 [27/36回発言]
圭子は藍子が出すいつもの隙の無い朝食を食べた。
伊知郎は朝食の席にはおらず、藍子との二人だけの朝食であった。
藍子は圭子の食事中テーブルに肘を着き、手の甲に顔を乗せ終始ニヤついた目でで圭子の顔を見ており、
圭子は非常に食べづらかったがレナを待たせては悪いと考えて早めに食事を済ませた。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい。・・・しっかりね」
相変わらずニヤついたままの藍子はガッツポーズをしながら圭子を見送った。
圭子はそんな藍子に一瞥もくれずに、顔を伏せたまま自宅を走り去った。
藍子の余計な気遣いやこれからのことを考えて頭の中がグチャグチャになった状態で走っていると、
いつの間にかレナとの待ち合わせ場所に着いた。
レナが圭子を認めて、いつもの通り手を上げて圭子に挨拶しようとした。
「あ!け~いちく~・・・ん」
やっぱりな、と圭子は思った。
レナは戸惑っているだろう。昨日まで元気でガサツで下品な男子が女になっているのだから・・・。
「お、おはよう、レナ」
「圭一くん、おはよう・・・。な、なんだか女の子みたいかな、かな・・・」
レナは圭一をまじまじと見つめた。
「朝起きたらさ、女になってたんだ・・・」
「・・・・」
456 : 2008/05/29 21:10:41 ID:iAb5pU3M0 [28/36回発言]
「・・・ッブ」
レナが鼻血を出して倒れた。
「お、おい、レナ!大丈夫かっ?」
圭子は盛大に鼻血を噴き出したレナを慌てて抱き起こそうとした。
しかし、腕に力が入らない。朝急いでいたから気づかなかったが、腕も華奢になっている。
落ち着こうと思い、圭子は深呼吸した。
空中にはレナの血潮が霧のように残り、生臭い残り香を漂わせていた。
どうする俺、クールになれ。熱くなるな・・・。
「ちょっと~、何やってんの~?遅いなぁ。・・・って、ホントに何やってんのよ?」
「魅音!」
いつの間にか魅音が駆けつけていた。
おそらく余りにも俺たちが遅いため、心配になってこちらに来たんだろう。
「圭ちゃん・・・、なんでそんな微妙なコスプレしてんの?」
(マジ空気嫁よ)
「話は後だ魅音。とりあえず、レナがいきなり鼻血を出して倒れた。俺の力だけじゃ不十分だ。肩を貸してくれ!」
「う、うん。わかったよ」
(女の子っぽい圭ちゃんも可愛いなぁ、はぁはぁ)
459 : 2008/05/29 21:19:25 ID:iAb5pU3M0 [29/36回発言]
「そうだな・・・とりあえず、学校に運ぼう!一応の設備は整ってるだろうし」
「ふふ・・・・ぷふ。ぞうだね、げいぢゃん」
「魅音!・・・お前、お前も鼻血出てるぞ」
「ぎにじないで、げいぢゃん」
「お、おう」
レナの両脇に二人の首を通し、レナを立ち上がらせた。
レナは目を閉じうわ言のように「ふくらみかけ、はぅ・・・ふくらみかけ・・・」と小声で言っていた。
「レナ、もうちょっとで学校だからな!安心しろ!」
「とにかく、急ごう」
いつの間にかもう片方の手で鼻血を拭いて、聞き取りやすい声になった魅音が圭子に言った。
顔に血を拭いた後が残っている。
学校までもう少しだった。
465 : 2008/05/29 21:38:01 ID:iAb5pU3M0 [32/36回発言]
「それでは始めます。委員長」
「先生、園崎委員長は欠席です」
「そうですか、珍しいですね・・・ッハ!」
留美子はその実戦により裏づけ、洗練された勘でこれからただならぬ事が起きると直感した。
自分でも気づかないうちに右手の指の間にバトル用のチョークを握り締めていた。
来るなら来い・・・。
留美子は違う世界にいたときのありえない記憶が舞い戻っていた。
某対吸血鬼機関の腕利きエージェントだった時の記憶。
力や勘はまだ鈍ってはいない。
勢い良く教室の引き戸が開かれる。
「すみません、遅刻しました!」
留美子は目を大きく見開き、訪問者が誰かを一瞬で見極め、そして混乱した。
「女、だと・・・?」
かつては黒服を着込んで吸血鬼を埋葬していた記憶が薄らいでゆく。
数百年もの間ずっと吸血鬼を狩り、どんな状況でも雪風のように必ず舞戻った。
しかし、これは予想外。
人間の男子が、いきなり女子になる。
ありえない。
卒倒しそうであったが、教師の使命感がそれを許さなかった。
生徒たちの前で恥をさらすわけには行かない。
「事情を説明して下さい」
467 : 2008/05/29 21:50:57 ID:iAb5pU3M0 [33/36回発言]
「レナが鼻血を出していきなり倒れたんです!」
「おじさんも鼻血出してるけどね・・・」
「そうですか、わかりました。とりあえず竜宮さんを保健室へ運んでください」
留美子は誰にも悟られないように右手のチョークをワンピースの隠しポケットへしまった。
教室が騒がしくなる。
生徒たちを混乱させてはいけない、そう思い留美子は静かにして下さい、と大声で言い、とりあえず生徒たちを静めた。
「先生はこれから保健室に行ってきます。それまで静かに自習していてください。戻ってきたらちゃんと事情を説明します」
生徒たちは少し憮然としながらもハーイ、と返事をして各々ノートを出して自習を始めた。
やはりここの生徒たちは良い子たちだ、そう思いながら保健室へと出て行った。
保健室ではベッドにレナが寝かされており、その周りに圭子と魅音、そして校長の海江田がベッドを取り囲んでいた。
圭子のことが激しく気になったが、今はレナの事を優先的に進めるべきだと思った。
「校長先生、竜宮さんの容体はいかがですか?」
「うむ、安定はしておるな。時々、なにかうわ言を言っておる。一応、入江先生を呼んでおいた」
「そうですか、・・・ありがとうございます」
「そろそろ、入江先生が来ても良い頃なんじゃが・・・」
「失礼します、入江です。レナさんの・・・ハッ!」
474 : 2008/05/29 22:05:04 ID:iAb5pU3M0 [34/36回発言]
入江はレナの近くにいる圭子に目が行った。
入江(ま、前原さんが女の背格好をしている?まさか朝から罰ゲームを受けているのでしょうか?それにしても、なんというセンス。
外装は男のまま、しかし中身、つまり体のほうを弄り、体自体を女装させている。かなりレベルの高い女装です。まさしくプロの犯行。
全国メイド衣装秘密結社の会合で今年はショタ執事を前面に押し出していくことが決まりましたが、この前原さんの女装は我々の感性の2世代、
いや4世代以上も先取りしている!来年こそは女装ショタメイドを押し出して行こうと我々の派閥で決めましたが、
この女装は一体どこがやったのでしょうか?まさか、園崎派閥?いや、あそこはかなりの保守派でこんな奇抜なことはしないはず。
では、『Mの集団』の存在アピール目的?そういえば、『Mの集団』のMとは、は!まさか前ばr)
「入江先生?どうなされました?」
目を見開き、文字通りフリーズした状態の入江に留美子が怪訝な表情で声を掛ける。
入江も我に返り、結社の一員ではなく、医者としての意識を取り戻した。
「すみません、それでレナさんは」
「こちらです、入江先生」
入江は圭子のほうをチラチラと見ながらレナの前に座り、脈を取ったり熱を計ったりした。
「聴診器を当てますので、男性の方は外に出ていてください」
「わかりました」
入江が診察を終えて、男二人に戻ってきても良いとドアの外に声を掛ける。
「それで、レナは?」
「安心してください。ただの鼻血による貧血でしょう。少し眠れば治ると思います」
480 : 2008/05/29 22:18:19 ID:iAb5pU3M0 [35/36回発言]
その場にいた全員がほっ、と胸を撫で下ろす。
場の緊張が解け、圭子はイスに座り込んだ。
「よかったぜ。いきなり鼻血出してぶっ倒れるんだもんなぁ。ビックリしたぜ」
「レナのことがひと段落したから聞きたいんだけどさ、圭ちゃん。・・・どうしてそんな体になってるの?」
それはここにいる全員――もちろんレナも含めてだが――が一番聞きい事であった。
「それは・・・、俺にもわかんねぇ。朝起きたらこうなっていたんだ・・・」
(女装じゃないだと・・・?)
入江の眼鏡が光る。魅音が口を開こうとしたが、それよりも早く入江がしゃべった。
「それはいけませんね。もしかすると重大な病気の可能性があります。知恵先生、前原さんをお借りしてもよろしいでしょうか?」
「ええ、最近環境ホルモンによる女体化とか聞きますし。前原君を診ていただきませんか」
「わかりました。さ、前原さん行きましょう」
半ば強引な理由であったが、そこは村の名士である入江が言うともっともらしく聞こえた。
入江がチラッと圭子を見る。入江の瞳に宿る光は何色であったか。圭子は本能的に目を逸らしたため、それはわからなかった。
最終更新:2013年04月18日 20:33