――ハローウ……ナイスバディー沙都子。それと……泥棒猫。

 つるぺたな床を腹這いで滑ってきたつるぺた梨花は立ち上がるなり、そのつるぺたっぷりに驚く沙都子と入江にそう挨拶をすると、まったく無い胸をぺしぺし叩きながら「『ぱちぱち〇んち』で巨乳化よ! ぼいんぼい~ん」などとどりーむをほざくわ、「えぶりばでぃ」を「ないすばでぃ」って(笑)。冗句のねたが、梨花は魅音並みにおじさn「…………羽入。アンタだけ、もういっぺん死に戻ってみる……? ジョーダンよ冗談。ジョークごっくん。……だっ、だからホラっ! 私が冗句を言ってあげたのに、そんな眼で怖がるんじゃないわよ……。……って言うかっ!
 沙都子みたいな純真な村の子供が見たら真似しかねないから、今後は止めなさいよね。それとレナの前でも、ゼッタイに禁止! ったく! あんまり危なっかしいことをするんじゃないわよ!」
「あ゙ゔゔゔ。ごれ゙ば梨゙花゙のお゙や゙じぎゃぐが寒゙がっだの゙も゙原゙因゙な゙の゙でず。ぞれ゙ど冷゙蔵゙庫のことはごめんなさいなのです。反省。なのでお詫びに、鬼に見つかったときに言おうとしていた決め台詞を言うのです!
 呼ばれて飛び出てはにゅにゅにゅ――ん!」
「……濁点雑じりで煩い。それと、人を指さして寒がるな。止めに、その決め台詞パクリだから」
「あうちっ!」
「外人か!」
「とんでもねぇ。僕ぁ~は神様なのです」
「だからパクるなっての!」
「それは梨花もなのです!」


「さて、と。これで掴みはおkよね」
「あう! ばっちりなのです」

「……でも、沙都子も入江も固まったままなんだけど……もしかして滑った?」
「それは梨花だけなのです」
「喧しい。いちいち話を胸に結び付けるんじゃないわよ。って言うか『地の文』を入れなさいよね、まったく。まだアンタの視点なんだから、せいぜい体裁を整えて、それっぽく騙りなさい」
「語るなら、毎月ちぇりおっている梨花の方が」
「先に、口の減らない牛女を黙らせようかしら……」
「あううーっ?!」

 がちん!
「ん゙んっ!」
 手に持った注射器の針から液を飛ばして迫る梨花に怯えた羽入が後ずさると、彼女の角と八重歯とがぶつかった。
「……っと。大丈夫ですか? 沙都子ちゃん」
 そうなる前にと、彼が間に入ってきたものの、それはほんのタッチの差で叶わなくて。
「ほ、ほほっ! ちょちょ……っと、びっくりしただけですわ」
 入江は羽入の角についたソレを拭き、沙都子の口元にも医者の眼を向け、気にかけてくる。
「なかなかいい音がしたけど、それより沙都子。あなた、さっき様子が変だったけど……」
 そう問いかけてくる梨花の眼。それは羽入も入江も、その眼と言わず表情は憂いに満ちていて……。
「ぁ……ああぁ……。おほほほほほっ! 大丈夫で……ぐ…………え゙あ゙ッ?!」
「沙都子ちゃんっ!!」「沙都子……?」
「…………沙都子」
 あんなにも……今回は特に、ジューズよりもおいしく感じていた、彼の精液。
 その入江がさり気なく、梨花と羽入から隠すように沙都子の顔についていた精液を拭き取る際にソレが口……舌に触れるとだんだんと苦く。そして叔父の味を思い出した。
「だ、だっ…………だいじょう……ぶ。大丈夫で、すか、あ゙ッっ?! やあ゙、ぁ……げ、え゙はっ! ア゙が……うえぐっ!! げあ゙ア゙ア゙ーッ!!」
 だんだんと欲深く……異常に彼が欲しくなった。あのひとの、例の……鬼を欺くほどの衝動。
「…………すみません。すみませんでした……沙都子ちゃん」「沙都子、貴女は強い。強くて優しいレディなんだから負けるんじゃないわよ! 貴女の隣には私が! 女王の私が居てあげるんだから!!」
「沙都子、ご……っ! がんばるのですっ!!」
 流し台に覆い被さって吐き続ける沙都子の両隣には、謝罪の彼と哀願の親友。それと後ろからしがみついてくる温もりに、旨くコトが水に……事が運んでいることに、沙都子は笑った。
「監督はそんなに……謝らないでくださいまし。梨花も……ごめんなさいまし。私、またあなたを……」
「沙都子ちゃん」「沙都子ぉ……」
「ぁ、うぅ……」
「もう……みなさんして、まったく……。もう……えいっ!」
「あう?!」
 ぐにゅん。
「……おほほ。スキ有り……でしてよ。羽入さん」
 やんわりと入江と梨花を解きほぐしたり、羽入の双房を軽く寄せたりして気を逸らせ、汚れた流しを綺麗にする。
「をほほほ。梨花ったら、せっかくの美人さんが……あら。そうでもないですわねぇ……。
 詩音さんが、巨乳と涙は女の最強の武器だと言っていましたし。でしたら、私の嘘泣きも胸も……恥ずかしいくらいにありますし。けど、梨花の涙はもう、反則すぎですわね……」
「ヱっ? なっ?! ナニ沙都子っ?! ほほっ、頬に手を当ててきて……ゆっ、ユリキスねっ?!」
 涙を拭ってあげようとしただけなのに、梨花はなにを勘違いをしたのか。意味不明な単語を、そのタコみたいにすぼめた口で呟きながら、沙都子に抱きついてくる。
「は……はは……。はぁぁ……」「ちょっ?! かか? 監督っ?! いきなりへたり込んでどうしましたのーっ?!」「ンなの、今になって腰に来たに決まってんじゃない。それより、私にもこのけしからんミルクタンクにバチフェラバキュームをさせなさいって、ソレは今夜でいいのよ! クールになれ、私! 
 具合はっ?! 頭は大丈夫なのっ?! って言うか、あのぐげげ女房。私の沙都子に妙なことを吹き込んだりしていないでしょうねえッてソレは入江だ入江ええエエッ!! このヘタレ鬼畜眼鏡がああアアーッ!! よくも私の沙都子のでかぱいをろり☆ばくなんて、レアなシロモノに魔改造してくれたわねっ! 私にもしなさいよーッ!!」
「…………梨花……。あなた少し、頭の方を落ち着かれた方がよろしいですわよ……?
 私は、だいじょうぶ。お見苦しいところを見せてしまいましたけど……もう大丈夫ですのよ」
「こんぐらっちゅれ~しょーん!!」
「きゃっ?」「……なに、羽入? 私たち、これからコングラッチュするところなんだけど……んー」
「や……ンっ! り、梨花あぁん、みゅっ……んぷぱっ! い、をぷン、ん……」
 羽入のファンファーレに驚いた沙都子の口が、それまで胸の谷間に埋めていた梨花が顔を上げるなり、熱烈なキスによって塞がれた。
「あうあう、あうう あうう、あうあう♪
 沙都子の『鬼の衝動』は、入江と梨花の愛によって最小限に沈静化。これでもう今までどおりシテいれば、そんなに心配しなくてもいいのですよ」
「……鬼の…………衝動……」
 いつもの、優しくもやや大人びた表情の羽入が『鬼』と。沙都子と同じく、あの性衝動をそう捉えた。
「本当……羽入さんって時折とっても鋭い、的を得たことをおっしゃいますのね……」
「アイタタタ。
 爆乳同士で何が『鬼の……衝動……だと?』よw。やーい。この中二びょーウっ?!」
「沙都子、ぐっじょぶなのです」
「羽入さん。あなた、私の『アレ』が誰なのか」
 沙都子は、すまきにした梨花の茶々を絞めて黙らせて、羽入を見つめて。
(梨花……もしくは、村の誰かから。まあ、知られたところで別に構いはしませんわ。それよりも……)
「沙都子、入江。しばらく僕と、大事なお話をしましょう」
 それから入江の、渋くなった思案顔を見上げた。


 派手に嘔吐をして見せて、先の淫行を同情でうやむやにできたと思ったのだけど、そうは問屋は卸してはくれなかった。
「道理で、山に籠って六月を越えても、この光景は拝めないわけよね」
「なのです」
「い、いや~……。あ、ははは……」
「山に……籠って…………? 梨花? それってなんのことですの?」
 水を注す為にも、沙都子は話の合間に質問を挿み込んだ。
「って言うか、沙都子爆乳化って、どの世界でも起こっていたのかしら?」
「世界によって人の性質は微妙に違いがありますですから。沙都子の身体的、身持ち次第。それと入江の、沙都子への変質的な愛情がこの爆乳を生んだのですよ! あうあう♪」
 しかし、見向きもされなかった。
「愛情と言うより、ペドフィリアってヤツよ、コレは。
 沙都子はいつでも、どの世界でも所構わずぷるぷるしていたから、胸が欲しいだなんて思いもしなかったでしょうし? ……ねぇ、沙都子。試しに『あのー……にーにー? 男の人におっぱい揉んでもらうと大きくなるって聞きましたの……。その……こ、こんなこと頼めるのにーにーしかいなくて。あの……うう……』って言ってみて?」
「えっ?! いいっ、イヤですわよ恥ずかしい」
「だったら僕が。
『あのーぉ……にーにー? ぁ……。男の人におっぱい揉んでもらうと、大きくなるって聞きましたの……。その……。こ、こんなこと頼めるのにーにーしかいなくて、あの…………ううぅ……』
 こんなんでどうですか?」
「誰がアンタが言えって言うか、細かいところまで雪〇声で演じられていて、べらぼうに上手いわねーっ! ご褒美に、後でお腹を壊すほどシュークリームを奢ってあげるから覚悟しなさい!」
「あう~ん! 梨花の太っ腹~」
「太っ腹じゃなくて、梨花様とお呼び!」
「い、いや~……。あ、ははは……」
「野郎がいつまでもデレてるんじゃないわよ!」

 羽入の言った『大事なお話』は、まずは沙都子と入江の馴れ初めから話すことになった。
 梨花と羽入のふたりは、ここではない別の雛見沢うんぬんの話を抜きにしても、こちらの話そうとする内容……沙都子と入江の関係をすでに知っている節があった。
 入江がこのざまなので沙都子がそのことを、羞恥に耐えかねついでに訊くと「「前からずっと覗いていたのです♪」」などと異口同音でのたまってくれたので、もれなく新作トラップの実験台にしてあげた。
 沙都子はともかく、猫を被る入江は、梨花と羽入の話術の前にたじたじにされ、そして止む無く沙都子と入江は今日までの自分たちを話した。
 六月の二十四日。沙都子の誕生日に入江から告白をされ――それから週に一回、それもすぐに土日となり、夏休みに入ってからは毎日。時間と、ふたりの気力に体力の許す限り――胸を愛されて……その結果。
「ちなみにコレ……いくつあ」
「バスト89、アンダー60のHカップですが何か?」
「喧しいっ!!」
「きゃっ?!」「くっ……っ!」
「あう。胸では沙都子に負けたのです」
 問い掛けを途中で邪魔されたからか。梨花が怒り、トラップに掛かったまま手に持っていた麦茶を投げつけてきた。そこへ入江が割って入り、今度はしっかりと沙都子を守った。
「監督! あっ……ありがとう、ございますわ」
「…………いえ……」
 彼が繕ってくれた、卸し立ての制服が濡れることはなく。制服の件も含め、沙都子は麦茶に濡れた広い白衣の背中にハンカチを当てる。入江はでれでれと鼻の下は伸ばしてはいるものの、言葉数は硬いその一言だけ。振り向きかけた眼鏡越しのまなざしは、沙都子と交わることはなく。
「あうう……」
 代わりに、羽入の悲しげな声が耳に届いた。
「ふん。すでに、歳の差夫婦が透けて見えるわね」
「そんな、夫婦だなんて」
 梨花の物言いに、沙都子は頬が熱くなるのを感じた。
「あうう~! 胸が邪魔で僕には、このとらっぷは抜けられきゅー!!」
「……そんなに胸が邪魔なら、私が手伝ってあげるわね……」
「あうう~。これがほんとの、おっぱいがぽろり…………なの……ですっ!!」
『悪魔に挑む無謀な少年』と名づけた束縛系のトラップは、梨花のスリムボディを捕らえることは叶わなかったが、羽入はその大きな胸が災いして全身を縛られていた。それと梨花が下から足を引っ張ることで、特にその胸が食い込み、隙間からはみ出た巨房が今にも制服のボタンを弾き、はちきれそうな様相で。それも羽入がトラップに、その豊かな長髪を絡めてうにうにともがくと見事、てのひらに握られたねこじゃらしのように抜け出して見せる。
「……では、お話も済んだ様なので、私はこれで……あ。そうです、沙都子ちゃん」
 新作のトラップの出来栄えを視ていた沙都子に、入江が鞄を手にして話しかけてくる。
「明日から念の為、注射を一日三回にして……ああ。そうすると、今週の分が足りなくなりますか……」
「でしたら……これから私も、診療所に伺いますわ」
 沙都子もランドセルを背負って、入江の隣に寄り添う。
「あううー! まだなのですー! 僕の話を聞くのですー!」
 帰りかける自分たちを、羽入があわてて回り込んで、保健室の出入り口を塞いでくる。
「……そうね。沙都子も入江も、もう少し、羽入に付き合いなさい」
「……はぁ。梨花までですの? 監督も素直に聞いて……まったく」
 いつもはなにかと沙都子の肩を持ってくれる梨花も、今は羽入と真剣な顔で目配せをして、入江も椅子に腰掛けた。
 まさかここにきて、自分と入江との関係を解消するように、なんて言うつもりでは……。それに入江の態度もどこかよそよそしく。身を挺して沙都子を庇ってくれたその前……。思い返せばそのとき、彼の精液を吐いてしまったときから……沙都子の好きな、やさしい顔は悔恨のまま硬く。
「沙都子。入江。ふたりを不安にさせるお話ではないのです。沙都子も知っている『症候群』のことについてなのです」
 自分たちの顔色から思っていることを察した羽入の言葉に、沙都子はとりあえず胸をなで下ろすも、入江の表情に変化は見られない。
「まず始めに。
 僕も梨花も、ふたりの御付き合いを反対しているわけではないことを伝えておくのです」
「えっ?」「……っ?!」
 次いで語った羽入の言葉に声をあげた沙都子の態度が、彼女にはいたく心外だったらしい。梨花は同じく驚いている入江も睨み、今やそれが地なのではというはすっぱな態度で毒づく。
「……ったく。んなこと、当ったり前でしょう? って言うか、私の沙都子を嬉し鳴き以外で泣かせたら極刑ものだから。OK? 入江」
 入江の顔の前に白く細い人差し指をすくい上げるように指し出し、梨花は沙都子への愛情と剣呑を彼に突きつけた。
「お……っk、です。梨花さん」
 彼女に気圧された入江は掠れた声で、思わず梨花をさん付けで呼んだ。
「よろしい。で、沙都子。
 よりにも、私の一番の親友があんまりな態度を取ってくれちゃったから、あ゙~。一言余計な羽入にツッコミ入れる気が萎えた~……と思わせて、打つべし! 撃つべし!」
「なんの! 神・無限のおっぱい!!」
 梨花は肩を竦めたかと思うと、右のジャブの連打を放つと羽入は胸を張ってガード。
 そんな親友のじゃれあう姿に……正確には、梨花の拳を弾いて受け流すたびに上下左右にたわみ、変幻自在に形を変える羽入の胸に、入江の眼鏡越しの瞳もキラキラと揺れ、手は”わにわに”といやらしい手つきで。口と言わず顔はだらしのない、助平顔に変わり果てて。
「……88の59。羽入ちゃんも〇学生にあるまじき、実に素晴らしいおっpあいいっ?!」
「……そんな慌てなくても……ヤキモチなんて私、焼いたりしませんわよ?」
 ようやく……。ようやくいつもの、締まりのない顔つきになったおっぱい馬鹿に強がりを言って。
「後は、雛見沢症候群のことですかしら? ほほ。それなら毎日、あのお注射を打っていますから大丈夫ではございません?」
 この村特有の風土病のことなら以前に境内で、入江たち大人と梨花を交えて話しているのを聞き、魅音の家でも説明されたので知っている。だから自分の状態も、頭の中にいる『これ』の正体も沙都子なりに捉えてもいる。
「でも、あなたの場合はね、沙都子」
「家では梨花と僕とで。外では、さっきも言った様に入江としっぽりよろしくシテいれば大丈夫なのです。ですよね? 沙都子」
「え……ぇえと。あぅ……」
「シテいればってねぇ……。でもまあぶっちゃけ、セックスはストレス解消になるからって、私もいくつかの世界でソレを、入江と発症したあの子たちとで実証してみたりもしたけど……」
「とゆーわけで沙都子。この場で入江をめちゃくちゃにシテおしまい! なのです~」
「この淫獣。人の話をいちいち蔑ろにするんじゃないわよ」
「……監督をめちゃくちゃに…………」
「私は受け決定ですかって、沙都子ちゃん……?」
「沙都子。これが僕たちからの、最後の試練なのです。
 ふたりのらゔいパイズリしーんを見せて欲しいのです。それも『もうひとりの沙都子』と仲良くできているところを、なのです」
「……? なに、その『もうひとりの沙都子』って? また中二設定?」
「そんなのじゃないのです~! 梨花なら、その……ぁ……あううぅ~……」
「ぁ、ああぁ……」

 同居人が、かつてはとんだ不良娘、癇癪持ちだと。
 雛見沢に来てからまだ二ヶ月ほどの羽入が、あの頃の沙都子を知るはずもなく。これも村人か、それとも梨花が話して聞かせたのだろう。
 羽入の浮かべた哀れみの表情に梨花も合点がいったらしく、すぐにその白い顔に同じ感情を浮かべた。そしてオヤシロさまの生まれ変わりの少女は、ときどき自らを村の守り神だとふざける彼女の、やさしい泣き顔に慈愛の微笑みを贈る。だと言うのに彼女<沙都子>は、またふたりの巫女に――そして入江に対し、妖しく瞳を細めて見せ……。
(…………く。さっき、あれだけ愉しませてあげたのに……彼女<私>はまだ、満足しませんのっ?!)
 その胸の内で、沙都子は治まらぬ自分の劣情に恥じらう。
「でも、その前に。まずは私の用件を済まさせてもらうわ」
「……梨花ちゃん、も実は意外、と空気が……読め、ない人……なんですねー」


「――圭ちゃん。今、おじさんのこと呼んだ?
 ――はあ? 何でテスト中に、魅音に話し掛けなくちゃならねえんだよ?!
 ――園崎さん、前原くん。答えが埋まったら静かに見直しをしていてください。でないと、埋葬しちゃいますよ?
 ――魅ぃちゃんもやっと、オヤシロさまの声が聞こえたんだね。でも…………村を捨ててどこかへ行こうだなんて……そんなこと、魅ぃちゃんに限って、考えていないよね? あははははははははははははははははは!!
 ――レナのニーソバカ!! よりにも、何でテスト中にオヤシロモードになってんだよっ!! 先生に埋葬さr。
 ――今日の放課後は三人共、カレー菜園の肥やしになってもらいます♪
 ――アルェ~?
 ――理不尽だあああ――ッッ!!
 ――あははははははははははははははははははははは…………はあ。で、圭一くん。『レナのニーソバカ』…………かぁー。とっさの一言にしては不自然……だよね?
 圭一くんってレナのこと、いつもそんな風に見ていたっていうことでいいのかな……かな…………?」

「あう? どうやら、今日の部活は無くなっちゃったみたいなのです」
「圭一の命も、亡くなり掛けているみたいだけどね……」
 職員室の奥にあるこの保健室にまで聞こえてくるクラスメイトたちのやり取りに、放課後に穴が開いたことを知る。
「エアコンもないのにホント、元気よねぇ……って言うか。
 向こうからの声は窓を全開にしているからとして、なんでこっちからの『空気を読め』が聞こえたのかしらねぇ……?」
 梨花はベッド代わりの長椅子の上で脚を組み、優雅にじろり。麦茶を傾けながらこっちに来いと、入江に手招きをする。
「あう~。文明の利器の勝利なのです~。
 それが『みおんくおりてぃ~』というものなのです~」
 羽入は丸椅子に座って、クーラーの冷風を直に受けて和んでいた。
「ん~、そう……ですねぇ。少し、落ち着かせる為にも先、に梨花ちゃんの用件を聞きましょうか」
 入江はさっきからずっと、羽入の突飛な申し出を聞いてからソレを取り出そうとしていた。彼には恥じらいというものがないのだろうか……? でも、そんなにも彼は……梨花と羽入の前だというのに。それに、自分もまだ……彼を欲しているから。
「あう~……。それで、空気嫁の梨花は入江に何の用があるのでででにゅにゅ――っ?!」
「だから、一言余計だっての。……ふん。用というのは他でもない。
 入江。あなたのそのゴットハンドを、私の……私のこの胸にも、揮って欲しいの」


 ――少しだけ、私たちに時間をください。

 入江はそう断って、梨花と羽入と入れ替わりに、沙都子を連れてカーテンの向こうに。
「カーテンに仕切られた保健室のベッドでふたりっきり……。
 これじゃあ、あなたの言う『最後の試練』とやらが拝めないわね」
 梨花はガムの辛味で平伏させた羽入の上に腰を下ろし、味が薄くなってきたらまた一枚。 ガムの甘辛さが口に蘇る度に羽入が声をあげ、梨花の溜飲を下げた。
 沙都子ばっかり胸を大きくさせて……。これ以上“差”を付けられるのは正直、面白くない。でも入江の、沙都子を想う気持ちは解らないわけはなく。故に、入江に時間を、断ってもいいという選択肢を与え。
(……て。このペラい小娘はナニを偉そうに、上から目線でほざいているんだか……)
 ガムの、鼻に抜ける辛さで頭もクールになったお陰で己の矮小さを。そして何より、沙都子と入江のしあわせを願う親友としての心を改めて自覚し……愛の囁くまま、いつもの様に。
「……あ、あうぅ……? り…………梨花……?」
「ん……」
 羽入の声に梨花は曖昧に頷いて、指を……羽入のその硬く湾曲した角に添えた。羽入には苦痛……苦汁としか感じていないものを軽減させてあげようと……五指一対で双角を撫で擦る。
 梨花と羽入は、仲睦まじい沙都子と入江の姿を見つめていく内に、身体を重ね愛う関係になった。
「はあ……っ! り、梨花あぁ……」
「……どう、羽入。まだ辛い? それとも気持ちいい?」
「ああん……イイのれ、すぅ……」
 梨花の愛撫に羽入は、まるでペニスに手淫を受ける男性の、否――梨花に甘美極まる声で鳴いて魅せる。
「……羽入。もっと……鳴かせてあげる」
「ンあっ! あはああーっ!」
「んん……。くぁ……は……」
 馬乗りになった羽入の背中からの微熱で「女」が疼き、股間でぐりぐりとウエスト越しにふたなりを刺激してあげる。
 羽入のその硬さと声に。それと先程から聞こえ出した“ガヤ”と、カーテンの向こうからの声に嬲られ、梨花は急速に上り詰めていき……。
「はあっ、あアっ! くはっ! あ! く、あっ……くうっ!」
 びびくうっ!!
 もどかしい弓なりの背中ではなく、胸と同様、こんもりとした尻に肉芽を押し付けて、梨花がまず達した。
「あああっ?! あうっ、うう――っ!!」
 びゅびゅびゅるるっ!! びくっ、びゅくくっ!! びるる!! びぶしゃばるるるっ!!
「アひゃっ? うああっ!!」
 股下からの不意を衝いた震えに、梨花は立て続けにトばされ……。
「えやっ? うっ、やあ……! でっ、でちゃううーっ!!」
 ぷしゃ……しゃあああああー。
「あ、あうぅ……。梨花のおしっこが熱くて……気持ちイイのれすうぅ……」
「ば、ばかぁ……。そんなこといンっ! 言わ、ないで……」
 羽入は脚で梨花の背中をぐいぐいと前へと押し、しかも“落ちてくる梨花の速度を緩めて受け止める”が如く尻を振って、しかも同時に再自家発電までこなしている様だった。

                         ※

「……なあ、岡村」

「そろそろ、隠れないか?」

「中の古手たちに覗いているのがバレたらまずいし、鬼が来るから……」

「監督と北条も中で……やっぱり、また」
「あんなからい黒★黒をかむ梨花ちゃんの口がなにかを……たぶんお尻の下の羽入ちゃんに話しかけているみたいだね。そしてかわいいお尻をふりふりしていたらおしっこを漏らして……。おまるでおしっこする梨花ちゃん、絶・萌へーッ!! …………僕は岡村傑<すぐる>。キン〇マンじゃないよ」
「い、いや……そんな間違いは誰もしないし。それに、ガン見していたと思ったら、いきなり説明口調でなに言って」
「そして僕のとなりで保健室を覗いているのは、また沙っちゃんのおっぱい見たさに来たらまたまた監督に寝取られていたことにへこんでいる、このへたれめがね青びょうタンは富田大樹<だいき>。はっぱの絵描きさんと同じ『樹』だなんて……。豆腐屋だからってちょっとなまいきだよね? ゔぃんちょうタンみたく『タン』なんて、つけてやるんじゃなかったよね? 駄めがねだよね?」
「オイーっ!! ナニそのツッコミどころ満載な、あからさまなこけ下ろしっぷりは!!」
「あ。やっと元気になった。それで僕たちは今、かくれんぼのまっさい中なんだよ」
「人の話を聞けよー!」
「あ。富田のココも元気にはみちん」
「うそっ!! ちょ……うっ、うぁ……」

                         ※

「それで他には……。私には、用事はござ」
「はい、お話は以上です。ではさっそくぅおぷっ?!」
 大事なお話があると、入江にこの保健室の白いカーテンに囲われた空間に誘われて。
 こういうときの男女はですねと、こんなときばかりリードの上手な入江を長椅子のベットで膝枕をしてあげて。
「…………用件だけすませて、後は梨花とお愉しみ……。私が許したとたんに、ずいぶんと乗り気ですわねぇ? ……まったく。いつもはがつがつと、私の胸の中でいつまでも暴れているくせに」
「おぱっ! こっ……れ、はっなんとい、うおっぱい天獄ッ!!」
「ふあっ! くっ……お、おほほっ! ですから、お……おっぱい空間に引きずり込めですわっ!」
「イーッ!」
「ほほっ!」
 起き上がろうとした入江の頭を、つい膝を上げて、胸で挟み込んでいて……。
「あ……」「ぅっ!!」
 両手をどうしようかと……。だったら膝裏に回して締め付けて、もっと悦ばせてあげようと思いつき、途中で偶然に手が、ソコに触れて。すると、自分が驚くよりも彼の方が強く反応して見せたので。
「……あは。監督ってば、梨花を相手にする前からこんなに腫らして…………ふふ……」
 もしくは偶然などではなく、故意に……?
「……相変わらず、熱いですわよ……監督のおちんちん。ズボン越しでも分かるくらいに」
 この胸の中の母が……それとも、自分の悪戯……?
 それを確かめる術も気も、すでに沙都子の胸中には無く、自分たち“三人”を悦ばせる想いしかなかった。
「こんな長いと、取り出すのも苦労しますわよねぇ……」
 一手一殺とばかりに、体育座りの膝からはみ出した脇乳に入江の右手を喰い込ませて、左手はおしりの下敷きに。
「……すぐに、済ませて差し上げますわ。監督が窒息する前に」
 入江を撫で擦っていた悪戯な左手。その人差し指をズボンのチャックに挿し込んで、じじじ……と拡げ、彼が苦労していたペニスを苦も無く、慣れた手つきで取り出して見せた。




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最終更新:2010年12月04日 21:08