突然足下が崩れ、鉄平に鉈を振り下ろすことが出来ずに転んでしまった。その隙を鉄平は見逃さなかった。私は奴に蹴り飛ばされ、ゴミ山の下へと転がり落ちていった。
そのあとは……武器はアイツの手にある。
私は追い詰められていた。
「ふふん。今からお前さんにこいつをぶち込んでやるからの。……覚悟せぇよ」
私の鉈をその手にしながら、北条鉄平が下卑た汚らしい表情を浮かべてイチモツを取り出す。
冗談じゃない。誰が貴様のような男に黙ってやられるものか。
落ち着くんだレナ。クールに、クールになるんだ。
そう……こんなときは――

かぁいいモードでなんとか出来ないだろうか?

「くっくっくっ……。泣いても知らんからな……。もっとも、最後にゃよがり泣くことになりそうだがの」

恐れるな、鉄平のイチモツを直視しろ。かぁいいものを連想しろ。思いこめ、あれはオットセイ☆だと。男性器とオットセイ☆の違いなど無いに等しい。

腰が抜けているのかふるふると震える目の前の少女。
よくよく見てみれば、青い果実ながらなかなか整った顔立ちをしていてそそるものがある、先ほど殺されかけた腹いせはともかくとしても、これならなおさら楽しめそうだ。
その目は焦点が定まっていないのか、ぼんやりと自分のイチモツを眺めている。ゆらゆらと頭が揺れ、物欲しげに口元がゆるんでいる。
「ああん。……なんや、所詮は女か。そんなに熱ぅ見つめて、俺のもんが欲しくてたまらないらしいな。ぎゃはははははっ」
そういうことならそれでもいい。律子も悪くはないが、やはり女は若いに限る。
鉄平は上機嫌でレナに近づいた。
「…………ほれ、お待ちかねのもんやぞ。さっさと奉仕しぃや? ……って、ああん?」
しかし、目の前の少女は、わざわざ鼻先にイチモツを持ってきたにも関わらず、ただぶつぶつと呟いているだけだ。
「……お…………」
「お?」
…………『お』………って? 何だ?
鉄平がそんなことを考えた瞬間。
「はぁう~っ☆ おっ持ち帰り~~~~~っ☆!」
わしっ
鉄平のオットセイ☆がレナの手によって鷲掴みにされた。
「~~~~~~~~~っ」
声にならない鉄平の悲鳴が、むなしくゴミ山に響く。
「こっ……このや…………ああああっ!」
ずりずりずりずりっ
一瞬、象にやられているのかと錯覚するほどの激しい頬擦りがイチモツに開始される。
レナを殴りつけようとしたがさらなる痛みが鉄平を襲い、彼にはそれが出来ない。ただひたすらに頭を抱えるだけだ。
「こっ……この野郎っ!」
歯を食いしばる鉄平……そして、少女のきょとんとした視線が自分の顔に向けられる。
がばっ
その次の瞬間、鉄平の顔は少女の胸の中に埋められていた。
少女の胸がその頬に押しつけられる。
「あああああああああああああっ!!」
だが、鉄平は悲鳴を上げた。
それは抱擁なんかじゃない。頭蓋骨がきしむような締め上げを抱擁などと呼んでは断じてならない。
「こんの……ダラズがあっ!! ぜってい犯してやるらぁっ!!」
すぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぁんっ!!!!
れなぱんの連打。
打たれた鉄平は確かに浮いた。しかも、この近距離でいつ彼女が自分の頭から手を離し、どうやって自分を攻撃したのかも分からなかった。
地面に仰向けになって倒れながら、鉄平はレナを睨み付けた。
「あははははははははははっ! 青筋かぁいいよぅ。はう~☆」
しかし、彼女は昔テレビで見た特撮怪獣のように拳を構え、ただただゆらゆらと頭を揺らしているのみ。
ゆっくりと、鉄平はその場で立ち上がる。
「はぁう~☆ オットセイ☆がおっきしてるよ。かぁいいよ~」
無論それは快楽のためなんかじゃない。ただの刺激と、そして狂わんばかりの怒りの結果だ。
「お前は……誰だ?」
同時に、鉄平は恐怖していた。間違いなく、目の前の少女は冷酷な殺人者ではない。がたがたと陵辱に怯える被害者でもない。ましてや快楽を期待するメスでもない。鉄平が相対していたはずの少女とは、まったくの別人だった。
「あははははははははははは」
しかし少女は答えない。
鉄平はふと思った。こいつ、自分のことなど眼中にないのではないかと……そして、それは文字通りの意味なのではないかと。
コイツが見ているのは俺のイチモツ……狙われているのは……これかっ!
慌ててズボンの中にそれをしまい込もうとする。
(なんだと?)
その思考は、本来あり得なかった時間に起こったもの。だから、結果を知った鉄平が想像した時間の中にしか存在しない。
自分のイチモツに拳が打ち込まれていて……しかも踏み込みの音がその後になって聞こえたなど、誰が信じられよう。つまりそれは、音よりも早い打ち込み。
今一度言おう……竜宮レナのかぁいいモードに敵はない。ありとあらゆる物理法則は一切通用しない。
RFI(レナフラッシュインパクト)。
かぁいいモードのレナが使用する最強最速の近接攻撃技。その威力は一撃で大木を折り、コンクリートの壁すら打ち抜く。
それを回避できる生命体はこの世界に存在しない。
彼女はそんなかぁいいモードのときでさえ、普段はお持ち帰りの対象(沙都子、梨花、メイド圭一……etc)に怪我をさせないため、手加減をしていた。

その手加減を――
初弾からやめるッ!
だから一撃で粉砕する
微塵ほども容赦なく

いかなる防御法も意味を成さない。どのような手段で身を守ろうと、レナの前には意味を成さないのだ。
そんな萌える拳が鉄平のオットセイ☆に打ち込まれ、彼はその一撃ですべての心を砕かれていた。それこそが、RFIの破壊力の恐ろしさを物語っていた。
「………………あ………あ…………あ……」
鉄平の下半身からすべての感覚が奪い去られ、彼はその場に崩れ落ちる。しかしそれでもなお、死に直面した本能は彼のオットセイ☆を勃起させていた。
かろうじて鉄平のオットセイ☆が原形を保っていたのは、彼の退廃的な生活が鍛え上げた、ある意味の努力の賜物でしかない。
「あはははははははっ オットセイ☆が震えてるよぅ~☆ はう~☆」

意志と反して正座するを得ない鉄平の前に、レナがしゃがみ込む。
そして、彼のオットセイ☆に顔を近づける。
なんだよ…………次は何をする気なんだよ…………。
もうとにかくここから逃げ出したい。目の前の少女から一ミリでも遠くに離れていたい。
ちろっ
だが、鉄平の思いに反して、少女は自分のイチモツに舌を這わせた。
玉を……裏スジを愛おしそうに舐めていく。
しかし鉄平に快感はない。彼女の行為は子供が玩具をくわえているのと同義。ただおしゃぶりで遊んでいるのと同じなのだ。いつまたどんな目に遭わされるか分かったものではない。
あむっ
舐めるのにも飽きたのか、今度はそれを口に含んだ。れろれろと濃厚に舌を絡めてくる。それでいて……時折当たる歯が途方もなく恐ろしい。
ピストン運動を開始する。
じゅぶじゅぶと唾液が音を立て、そして信じられないような……それこそブラックホールに飲み込まれているかのような、バキュームで吸われる。
レナは行為に夢中だ。
鉄平がレナを拳で打ち据えることなど、本来ならば容易だっただろう。しかし彼は放心して……そんなことすら思い浮かばない。
夕闇の中……ゴミ山の上……ひぐらしの声……。
どろっ どろっ どろっ
やがて、何の快楽もなく……鉄平は力無く射精した。
満足げにレナは鉄平のオットセイ☆から口を離した。
そして、その場に立ち上がる。
ぺっ と鉄平に精液を吐き付ける。
べたりとした感触が鉄平の額を濡らす。
そんな屈辱的な行為にも……鉄平は何も思うことが出来なかった。
すたすたと…………彼女が離れていく。
解放される?
自分の背後から遠ざかっていく少女の足音。
(頼む……そのままここから立ち去ってくれ)
そんな願いを込めて振り返ると…………。
彼は即座に希望を打ち砕かれた。
がしゃっ
いつの間にか……おそらく最初にれなぱんを喰らったときだ……落としていた鉈を彼女が拾っていた。
そして、一分のよどみもなく自分へと近づいてくる。
その瞳は既に人間のものではない。人間の感情では推し量ることの出来ない何か……神や悪魔のみが有することの出来る、ある意味の狂気……畏れを掻き立てるものが宿っている。
「あ…………あ…………あああ…………」
哀れなる子羊には、もはや何も出来ない。出来ることは、ただ呻き祈るだけ。
「はぁう~☆ おっ持ち帰り~~~~~っ☆!」

そしてその後のことは……ひぐらしだけが知っている。

―END―

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最終更新:2007年03月10日 21:33