「お~いお前ら、そろそろ出てきていいぜ~?」

圭一が倉庫の物陰に声をかけると、そこからヒョッコリと二人の少年が現れた。
てっきりこの場には圭一と沙都子と梨花の三人しかいないだろうと思われていたのに、どうやら彼ら二人はずっとその物陰で息を潜めていたらしい。
圭一のあたりまえのような声かけを見る限り、どうやら少年たちは彼の指示でそこに待機していたようだ。

「悪ぃな、ずっと待たせちまって。 ほら、遠慮せずにもっとこっち来いよ?」

「は、はい……」

圭一に声をかけられると、二人の少年はオズオズとした感じで三人の元に歩み寄ってきた。
沙都子と梨花は一瞬、圭一は一体どこの誰を呼びつけたのかと不安になったが……その二人の見たことのある服を見て少しだけ安心した。
一人はメガネをかけ、いかにも真面目な優等生ですといった感じの少年。 そしてもう一人は野球帽をかぶり、活発なスポーツ少年といった風貌の少年だった。
それは沙都子と梨花もよく知っている人物。 自分たちのクラスメイトでもある、あの富田と岡村であったのだ。

「あ、あのぉ前原さん……」 「言われたとおり来ましたけど……」

「ははは、まあそんなに硬くなるなって? 別にこんな校舎裏に呼び出してシメるとかそんなんじゃねえからさぁ、ははははは♪」

「は、はぁ……」

バンバンと自分達の背中を叩きながらそう言う圭一に、富田と岡村は曖昧な返事しか出来なかった。
別にシメられるなどとは思ってはいないが、自分たちがこんな校舎裏に連れて来られた理由が到底思いつかなかったからだ。

一方、沙都子と梨花の方も二人と同じようにこの状況がいまいち飲み込めずにいた。
てっきり圭一にイタズラでもされるだろうと思っていたところに、この富田と岡村の登場……。
最悪の状況にはなっていないものの、二人は一抹の不安を感じずにはいられなかった。

「な、なんなんですの? どうしてここで富田と岡村が出てくるんですの……」

「みぃ……ボクにもわからないのです。 圭一の考えていることは……」

得体の知れない不安感から、沙都子と梨花はいつのまにかギュっとお互いの手を握りあっていた。
さっきまではお互いを庇おうという想いから圭一を誘惑するようなことまでしたのに、それらは全て肩透かしだった。 このスケベ男は自分たちの想像を超える、もっとすごいことをしようとしている……。
それがまったく予想できない(少なくとも沙都子と梨花には)のがまた恐ろしく、今すぐにでもこの場から逃げ出したい衝動に駆られていった……。

「ちょっとこっちに来い、富田くん岡村くん。 じつはだなぁ……ごにょごにょごにょ……」

そんな怯える沙都子と梨花を尻目に、当の圭一は二人からは少し離れると富田と岡村に何やら耳打ちをしていった。
その無邪気な表情はまるで大傑作なイタズラを思いついた子供のように輝いていて、それが一層沙都子と梨花の不安感を煽り立てていく……。

「そしてだな……………と、いうわけだ。 どうだ、できるだろう?」

「え、えええっ!? ダ、ダダダダメですよそんなのぉ!」

「そ、そうです。 いくら前原さんの言うことでもそれは……」

圭一が耳打ちを終えると、富田と岡村は揃ってビックリしたような声をあげる。
圭一が何を言ったのかは知らないが、それはよほど彼らにとって予想外のことだったらしい。 おまけにその内容は何か恥ずかしいものだったらしく、ウブな二人はモジモジと身体を揺らし顔を真っ赤に染めていった。

「北条と古手に、そ、そんなことするなんて……な、なあ?」

「う、うん、絶対怒られるよぉ。 ただでさえあの二人にはいつも痛い目に合わされてるのに……」

少し遠くに立っている沙都子と梨花の様子を見ながら、二人はそんなことはできないと弱気な発言をしていく……。 男のくせに情けないといったところだろうが、二人が沙都子と梨花にあまり大きく出られないのには複雑な事情があった。

富田にしろ岡村にしろ、この二人は普段から沙都子にトラップの練習台として様々な罠を仕掛けられている。 ケガを負わされているというわけではないが、それこそ彼らの心の中には沙都子のトラップに対する一種の恐怖症のようなものが植えつけられているのだ。
ましてや富田の方はこれに加え、沙都子に少年特有の淡い恋心まで抱いてしまっている。

梨花の方は梨花の方でまたクセがあった。
彼女は特に沙都子のようにトラップや直接的な危害は加えてこないのだが、その特別な環境ゆえの性格……というかそのタヌキっぷりに二人はいつも振り回されていた。
そして今度は岡村の方が、この一癖も二癖もある梨花に惚れてしまっているという事実があるのだ……。

簡単に言うと、二人は大好きな沙都子と梨花に頭が上がらないのだ。
最近ではまともに顔すら見ることが出来ないし、休み時間に何かのきっかけで話をするだけで顔が真っ赤になってしまうほどだ。
もっともそれはこの年齢のウブな少年にはしょうがないことではあるのだが、圭一はむしろその二人の純情さをこの罰ゲームに利用できると考えたのだ……。

「なぁに言ってんだ、富田くん、岡村くん! お前らはあの二人が好きなんだろう!」

「!? ま、前原さん、そんな大声で言わないで下さい!」

「そ、そうです。 二人に聞こえちゃいますよ……」

「隠すな! そしてテレるな! 男はすべからく変態だ! それを自分で認められるかどうかで男の器が決まる……と、前にも教えただろう!」

「それはたしかに聞きましたけど……へ、変態とかは関係ないです! 僕はあくまで、じゅ、純粋に北条をですね!」

「そ、そうです! ぼくはあの古手のにぱ~な可愛い笑顔が見られれば満足なんです! へ、変態のあなたと一緒にしないでください!」

「ほっほ~、そこまで言うか二人とも……。 まったく素直じゃねえなぁ?」

年上の先輩に対して何気に失礼なことを言う二人だが、圭一は特に怒るわけでもなく、ただにんまりと妖しげな笑みを浮かべていくだけだった。
圭一にはある確信があったのだ。 純粋だ満足だなどと言ってはいるが、この二人の幼い少年達がしっかりとオスとしての性欲を備えていることに……気づいていた。

「それならなぁ富田くん、岡村くん。 なんで君達のソコは……そんなになってるんだ?」

ふっふっふといやらしく口元を歪ませながら、圭一はピっとその二人の身体のある一点を指差していった。
そこは男にとってなによりも正直な部分。 うっすらと半ズボンを押し上げている二人の股間だった。  

「!?……こ、これは……えっと、ち、ちが」

「隠すなと言っただろう! そして照れるな! それは何も恥ずかしいことじゃあない! 好きな女の子のことを考えて『 反 応 』してしまう! 男としては至極まともなことだ! ましてやあんなエッチな仕草を見たらそれはなおさら! 見ていたんだろう覗いていたんだろう、さっきの沙都子と梨花のいやらしい姿を!」

「!? あ……うぅ……そ、それは……」

自らのオスとしての本能を知られ、富田と岡村は更に顔を紅潮させていった。
二人の股間が膨らんでいる理由……。 それは何も大好きな沙都子と梨花がすぐそこにいるからというわけではない。 スケベ大王の圭一ならともかく、ウブな二人はまだそこまで変態上級者ではないのだ。
その理由は少し時間を遡ればすぐに行き着く答えだった……。

富田と岡村の二人は、あらかじめ圭一の言いつけで倉庫の物陰に隠れていた。 ということはつまり、さきほどの沙都子と梨花の圭一への誘惑行為(もっとも演技だが)もしっかり覗き見ていたということなのである。
男の身体に悩ましく腕を絡ませ、その小さな胸をグイグイと押し付けていく沙都子と梨花……。 普段の生活ではけっして見られない、好きな女子の痴態をほんの少しだけ垣間見ることが出来たのだ。
まだ自慰行為すら知らないであろう少年達にはそれだけでもとても甘美な光景で、まだ男として大成しきっていないペニスをヒクつかせるのも致し方ないことであったかもしれない。

「くっくっく、なんだかんだしっかり勃起しちまってんじゃねえか……。 なあ、沙都子萌えの富田くん! そして梨花大好きっ子の岡村くん!」

「あ、あう……」

「萌えたんだろう! 興奮したんだろう、沙都子と梨花に! 好きな女の子のあんな姿を見たんだ、それも無理はない! 男としてビンビンになっちまってもしょうがねえよなぁ~!」

「…………………」

「さあ、もういいだろう二人とも? 自分に素直になれ! こんなチャンスは二度とないぞ! 責任は全て俺が取ってやる! するのが恥ずかしいのなら、俺にむりやり命令されたとでも言えばいいんだ! だから……男として本能のまま生きるんだあぁぁぁぁ!!!」

「ほ、本能のまま……」 「生きる……」

やけに気合の入った圭一にやや戸惑いは覚えたが、富田と岡村はまるで催眠術にかけられていくようにその言葉に心酔していった。
何よりもすぐそこにいる沙都子と梨花……。 あの二人のほんのり膨らんだ胸元やフリフリと風に揺れるスカートを見ていると、身体の底から何ともいえないモヤモヤとした劣情がわきあがってくるのを感じた。
そしてついに二人は圭一の悪魔のようなその申し出に……コクンと頷いてしまうのだった。


「な、なにやら話し合いが終わったみたいですわよ、あの三人……」

「……怖いのです。 悪いネコさんが一匹から三匹になったのですよ……」

ニヘラニヘラと笑いながらの圭一と、それに付き従ってくるように近づいてくる富田と岡村……。 沙都子と梨花の二人が不安がるのも無理は無かった。
冗談抜きに逃げた方がいいんじゃないかとも思った二人だが、一歩でも駆け出したらすぐさまあの三匹の獣が襲い掛かってくる。 そんな嫌な光景が頭の中に浮かんでしまい、結局沙都子と梨花は彼らが戻ってくるのをただ身を寄せ合って待つことしかできなかった……。

「おうおう、待たせたなー二人とも。 それじゃあこれからお待ちかねの罰ゲームを始めるぜー? ひっひっひ♪」

「みぃ……待ってなんかいないのです。 今すぐおうちに帰りたいのですよ……」

「まぁまぁ、そう言うなって梨花ちゃん。 さっき約束したとおり、俺はなぁ~んにもしねぇかやよぉ? 君のこのかぁいい身体には指一本触れないぜぇ? へっへっへ……」

「く……り、梨花をそんないやらしい目で見ないで下さいまし! 圭一さんがしないなら誰が……わ、わたくし達に何をするつもりなんですの!」

「くくく……沙都子ぉ、強がって見せても身体が震えてるぜぇ? それに誰がするかはうっすら気づいてるんじゃないのか……?」

富田と岡村を説得していたたっぷりの時間が、二人の心を余計に追い詰めていたらしい。 沙都子と梨花が今にも襲いたくなるほど怯えきっているのを確認すると、圭一はそばにいた二人の下僕たちに合図をしていく。

「おし、じゃあ始めるか富田くん、岡村くん! どうするかはわかってるよなぁ、二人とも?」

「「は、はい……」」

圭一に肩をつかまれビクっと体を震わすと、富田と岡村は決心したかのように目の前の沙都子と梨花の身体に近づいていった。
どうやらあらかじめ圭一に何をするかきっちり説明されているらしい。 二人は一つの決意のようなものを秘めて、大好きな女子の身体へと歩み寄っていく……。

「な、なんですの……。 と、富田、それ以上わたくしに近寄らないで下さいまし……」

「お、岡村が怖いのです。 いつもと様子がちがうのですよ……」

普段のあのバカで無邪気な男子とはちがう雰囲気に、沙都子と梨花はおもわずそんなことを口走っていた。 まるでレイプされそうな女が言うようなセリフである。
幼い彼女たちでもしっかり本能で感じ取っていたのだ。 この男は自分の身体に何か危害を加えようとしていると……。

「はぁ、はぁ……北条……ぼ、僕……」

「ふ、古手……目の前に古手がいる……はぁはぁ」

ついに二人の目の前にまで近づくと富田は沙都子に、そして岡村は梨花の身体をまじかに見ながらゴクリと生つばを飲み込んだ。
大好きな女子が目の前に立っている……。 手を伸ばせば触れられるほどすぐそこに。
ほんのりと漂ってくる女の子の匂い……。 沙都子と梨花の身体の匂いが少年達の鼻をくすぐり、どうしてもその息づかいがはぁはぁと荒くなってしまうのだ。
ましてや今は性的に興奮しているのだから、彼らに息を乱すなというのが無理というものであった。

「はぁはぁ……ほ、北条……」

「な、なんですの富田。 圭一さんに何を吹き込まれたのか知りませんけど、ヘタなことはおやめなさ……」

「あああ、ほ、北条! 好きだぁ北条ぉぉぉぉぉ!!!」

「!?……きゃ、きゃあぁぁぁ!!!」

突然の富田の行動に沙都子が悲鳴をあげる。
なんと岡村はガバっと大きく両手を広げると、目の前の沙都子の身体に抱きついたのである。

「な、ななな、なにをするんですの富田! は、離しなさい……は、離して!」

「あああ、ほ、北条! 北条の身体すごく柔らかい……そ、それにすごくいい匂いで……」

「な、何を言っているんですの! は、離して! こ、こんないやらしいこと……」

富田に両腕ごとしっかりと抱きしめられ、沙都子は身動きが出来ずにただもがくことしかできなかった。 もっとも腕が自由だったとしても力の差で振りほどけたかどうかわからないが……。
それをいいことに富田は更にギュウギュウと沙都子の華奢な身体を抱きしめ、おまけにその金色の柔らかそうな髪に自分の顔を押し当てていった。 かけているメガネがずり落ちそうになるのもおかまいなしに、がむしゃらに沙都子のサラサラとした髪を味わっていく。
さきほどかすかに感じられたシャンプーの良い匂いが、今度はその鼻先に存分に感じられていった……。

「ああ、す、すごくいい匂い。 北条の髪、すっごく甘くていい香りがするよぉ……」

「や、やめて。 レディーの髪に、そ、そんな鼻を押し付けるなんていけないんですのよ…ん……んん……♪」

くすぐったいような何ともいえない感触に、沙都子はおもわずくぐもった声をあげてしまう。
彼女がいくら止めろといっても、今の富田は大好きな沙都子の髪の匂いを嗅ぐことに夢中だった。 それどころか沙都子の腰に回した手をサワサワと動かし始め、徐々にその小さなお尻にまで降ろしている始末……。 
圭一が自分の身体を好きにしていいと言ったのだろう。 沙都子は今さらながら、自分の感じていた不安が的中していたことを再確認したのだった。 

「ああ……ど、どこ触ってますの! そこはお尻……んん! こ、こんないやらしいこと、いくら圭一さんに言われたからといって許しませんわ……よぉ……あ、あん……」

「ああ、す、すごく柔らかい! 女の子の身体ってこんなにきもちいいんだ……。 お尻もちっちゃくて柔らかくて、あああ、すっごく可愛いよぉ北条! ああ可愛い可愛い僕の北条ぉ……」

「……っ!? そ、そんな何度も可愛いだなんて……言わないで下さいまし……」

しきりに『可愛い』を連呼してくる富田に、沙都子はほんのりと頬を染めている自分を感じていた。 同い年の男子に言われるそれは、ある意味レナの『かぁいい』よりも破壊力があった。
こんないきなり抱きしめられ、お尻までかすかにまさぐられているというのに……少し喜んでしまっているような自分もいる。
自分を大好きだと言う富田に抱きしめられることに動揺を感じつつも、その男らしさに驚いていた。
普段あんなにトラップの実験台にしてイジメていた男子が、実際はこんなにも自分を身動きが取れなくなるほどに抱きしめる力があることに戸惑いを感じていたのだ……。

「おやめなさい富田……も、もういいかげん止めないと後でひどいですわよ。 わたくしとっておきのトラップで、い、痛めつけられたいんですの……?」

「ん……い、いい。 いいよそれでも! 大好きな北条とこんなことできるなら、僕どんな目にあってもいい……。 だって北条の身体、プニプニしててとっても抱き心地いいんだもん……」

「!? な、何を言ってるんですの。 そんなこと言っても、な、何も出ませんわ……よ……はぁ、ん……」

富田のおもいのほか甘いセリフに、沙都子の胸がキュンっと高鳴った
このセリフも圭一に言えと言われたのだろうか……。 もし自分で考えたのなら大したものだ。
もっともウブな富田のこと、ただ沙都子を初めて抱いた感想をそのまま言葉にしただけかもしれないが……。
とにもかくにも富田のその囁きをすぐ耳元で聞くと、沙都子はだんだんと身体の抵抗を弱めていくのだった。
元々村八分にされていた彼女は、こんなふうに人に求められることは慣れてなかったのかもしれない。
それに何よりもこれは罰ゲームだったということを、沙都子はこの光景をさぞ楽しそうに眺めているあの男によって気づかされていくのだった……。

「んぅ……♪ あぁ、と、富田、そんなに強くしないでくださいまし……ん、んん……!」

「くっくっく……。 どうだぁ沙都子、富田くんに『抱かれた』感想はぁ? 意外と力強い抱擁にちょっとクラっときちまっただろ~?」

「!? な、何言ってますの圭一さん。 わたくしは、ば、罰ゲームだからしかたなく……」

「へへへ、それは嘘だなぁ! 最初は本気で嫌がってたくせに、今はちょっとまんざらでもないです~って顔だぜぇ? ちょっときもちいいんだろう……?」

「ち、ちがいます! ちがいますわ……う、嬉しくなんて……」

「素直になれよ、沙都子……。 生まれて初めて男に抱かれて、たまらなくなっちまったんだろ? 自分がこんなに求めてもらえるなんて……って、ちょっと嬉しかったんだろう? なぁなぁ沙都子~、にーにーにだけこっそり教えてくれよ~? うひひひひ♪」

「ちがう……う、嬉しくなんて、嬉しくなんて……うぅ……」

いまだ富田に熱い抱擁を受けながら、沙都子は自分を執拗に辱めてくる圭一をうらめしく感じた。
普段は超が付くほどの鈍感なくせに、こういうことにだけなぜそんなに敏感なのか……。
おまけにその相手の心を弄んでくるようなネチっこい言い方が、彼のドSの本性を垣間見せているようだった。
沙都子はけっしてMではない……。 少なくとも本人はそうだと自負しているのだが、この男の口先に踊らされているとまるで自分が生粋のドMのような気がしてきてしまうのだ。
それを知ってか知らずか、圭一は更に目の前で羞恥の表情を浮かべていく妹(と呼べる関係の少女)にいやらしい罵声を浴びせていく……。

「まったくいやらしい妹だぜ。 その年でもう男に抱かれる喜びを感じちまってるなんてなぁ? 愛しのにーにーとしては、我が妹がそこまでスケベだと嬉しいやら悲しいやらちょっと複雑だぜー、なあ沙都子ー?」

「や、やめてくださいまし……わたくしそんな女の子ではありませんわ。 ス、スケベだなんて、圭一さんじゃありませんのよ……」

「へっ、じゃあなんでそんな顔真っ赤にしてんだよ? それはおまえが喜んでる時にする顔だって、圭一にーにーはよぉく知ってるぜぇ? ああ、きっと悟史でも同じことを言うだろうなぁ……。 沙都子が同い年の男子に『 抱 か れ て 』ヒィヒィ喜んでるなんざ、あの純情な悟史にーにーが知ったらどう思うんだろうなー。 なぁ沙都くぉー? くっくっく♪」

「!? や、やめて……。 にーにー、も、もういじめないでくださいまし……んん……」

ドS圭一の獲物を追い詰めていくような口先が、幼い沙都子の身体にビシビシと浴びせかけられていく。
圭一にーにーに見られているという比喩だけでなく、しまいには実の兄のことまで引き合いに出されて罵倒されてしまう始末……。
いまだ富田に髪の匂いをクンクン嗅がれ、タイツに包まれたお尻をサワサワと撫で回されながら……。 沙都子は自らの身体が今まで感じたことのない火照りを抱いていくのを感じていた。
幼い彼女自身まだ気づくはずも無いのだが、その火照りはそれこそ圭一の言う女の喜びのようなものであることはほとんど明白だったのだ……。

(な、なんなんですの、これは……? いやらしい言葉を浴びせられるたび、わたくしの身体がどんどん熱くなって……。 こ、これじゃあまるで、圭一さんの言うように喜んでいるような……あ、ああ……)

生まれて初めて覚える熱い感覚に、沙都子は身体を小さくよじることしか受け止める術を知らなかった。
富田にしっかりと抱かれながら腰をモジモジとよじり、その可愛いお尻を犬のようにフリフリする仕草がなんともいやらしい……。
沙都子の快感をガマンするような悩ましい仕草に、それを見ていた圭一はおもわず舌なめずりをした。

「へ、やっぱり感じてやがるのかこのメスが。 普段あんな上品な言葉を使って隠してたって、やっぱりお前はいやらしいメス犬なんだよ沙都子ぉ……レディーが聞いて呆れるぜ」

「ち、ちがう。 わたくしそんな……メ、メス犬なんかじゃありませんわ……」

「いいやメス犬だ! おまけにこりゃあ生まれつきのドMだなぁ……? 富田くんにむりやりいやらしいことされてるってのに、もうすっかりされるがままじゃねえか。 おまえ、もう罰ゲームなんてどうでもいいんだろう? にーにーに口汚らしく罵られながら、クラスメイトにめちゃくちゃにされたいだけなんだろ? なぁどうなんだよメス犬沙都子ぉ……♪」

「う……ち、ちがう。 あぁ……ダ、ダメ……こんなのダメですわ……んん……」

トドメと言わんばかりの『メス犬』という言葉に、沙都子はイヤイヤと首を振りながらかぶりを振る。
ダメダメというその言葉の意味は純粋な拒否反応か。 それとも圭一の言うことが正しいと認めたゆえでの自分への嫌悪感なのか……。 沙都子は徐々に圭一によってマゾメスとしての資質を目覚めさせられていた。
そしてそれに更に追い討ちをかけるように、圭一は更により直接的な行為を彼を使って沙都子へと仕掛けていく。

「おい、富田くん。 さっきから沙都子の髪の匂いを嗅いだり、スカートの上から尻を撫でているだけだが……君はそれで満足なのか?」

「…………え?」

すっかり沙都子の身体の感触の虜になっていた富田が、圭一の言葉にピクリと反応する。
圭一に沙都子のことを好きにしていいと言われたのだが、まだそういった知識の乏しい富田にはせいぜいそれぐらいのことしかできなかった。
これ以上の卑猥なことは想像できなかったし、何よりも好きな女の子だからということが彼の行為に知らず知らずのうちにブレーキをかけていたのかもしれない。
だが圭一は更に沙都子を恥辱に見舞わせるために、そのままアクセルを踏めと命令していったのである。

「スカートの上からなんて生ぬるい……そのままパンツも降ろしちまえよ。 好きにしていいって言っただろう?」

「!? ま、前原さん、それは……」

「やれよ……なぁに平気さ。 もう沙都子はすっかり抵抗してないだろう? 富田くんにもうすっかり惚れちまってるのさ、そのメス犬はよぉ。 くっくっく……♪」

「え……ほ、惚れてるって……」

圭一のその言葉に富田はドキリとする。 今日は色々刺激的な経験をさせられているが、その言葉が彼にとって一番心を揺らしたかもしれない。
その言葉を確認するべく沙都子のことを見てみると、たしかにその表情は自分と同い年とは思えないほど色っぽいものに変わっていた。
ハァハァと熱い息を吐きながら、まるで発情しているかのようにその頬も赤く染まっている……。
もっともこれは圭一のさきほどの罵倒術によるものが強いのだが、今の富田にとってはそんなことはどうでもよかった。 ただもっともっと沙都子にいやらしいことをしたい。 好きな女子の身体を思う存分めちゃくちゃにしたいと、彼は圭一の言葉に従っていく。
沙都子の身体は抱きしめたままそのスカートの中に手を差し込み、言われたとおり下着を脱がそうとする……だが。

「ん……ま、前原さん、ダメです。 北条のこれ……タ、タイツが邪魔で脱がせられないです……」

下着を脱がそうとした矢先、沙都子愛用のあの黒タイツがそれを邪魔した。
もっともそのお尻を包んだスベスベとしたタイツの感触だけでも富田にとってはとても心地よいもので、何度も何度もまさぐりそのツルツルとした感触を味わう。
圭一はそんな貧欲な彼の欲望に敬意を称し、その解決策を伝授していく。

「…………破れ」

「……え? あ、あの……」

「聞こえなかったか? そのままビリビリに破いちまえって言ったんだよ……タイツは脱がさずに破くのが基本だぜぇ? そしてそのメス沙都子をもっともっといやらしい格好にしちまえ! ほらほら富田くん、やるんだ! ここが君の男としての正念場だぞ!!!」

「は、はい……や、やります!」

圭一の気迫に押されてかそれとももうガマンできなかったのか、富田は沙都子のそのお尻を包んでいるタイツを掴むとそのまま乱暴に引き絞った。
左右におもいきり引っ張られると、その黒い布がビリビリとした音を立てて引き裂かれていく。
その音にハっとしたのか、今までされるがままだった沙都子が悲鳴のような声をあげる。

「あ、ああっ! な、何してますの富田……そんな、や、破かないで……」

「ご、ごめん。 前原さんの命令だから……ご、ごめんね! はぁ、はぁ!」

「ああ、う、嘘ですわそんなの……ああ、や、やめてぇぇぇ……」

沙都子の悲痛な叫びを興奮のスパイスにしていき、富田は更にビリビリビリと彼女お気に入りの黒タイツを引き裂いていく。
その悲痛な音が沙都子にはまるで服を破かれているようなものに聞こえ、まるでレイプされているような被虐にまたも身体が熱くさせられていくのだ……。
やがてすっかりパンツを降ろせるところまでそれが破かれると、ふとももからお尻にかけて……沙都子の下半身に黒いタイツと肌の色による楕円形の穴がいくつも彩られていった。
それはタイツフェチならばたまらないであろう、なんともいやらしいコントラストだった……。

「ああ……い、いやですわこんなの……パンツも丸見えで、は、恥ずかしい……」

「す、すごくやらしいよ北条……。 タイツがビリビリになって、可愛いパンティが見えてる……」

「う……と、冨田まで、そ、そんなふうに言わないで下さいまし……ん、んんん……」

ある意味脱がされるようも恥ずかしい格好に、沙都子は羞恥の声をあげる。
そのなんともいえないイジメたくなる表情に、圭一はまたもやとめどない加虐心をゾクゾクと感じた。 

(ほんと……スケベな顔するようになったぜ沙都子の奴……。 おっと……まずいまずい、このままじゃまた罵りたくなっちまう。 もっとゆっくり楽しまねぇとなぁ、くくくくく……♪)

このまままた沙都子をドMの世界に突き落としてしまいたい衝動に駆られながら、圭一はなんとかその黒い欲望をグっとガマンした。
今回の罰ゲームはあくまで自分は脇役……。 そのためにこの少年達を使っているというのに、これでは元の木阿弥だ。 それにもう一匹のメスもちゃんと可愛がってやらなければならない……。
そう自分に言い聞かせていくと圭一は、身悶える沙都子の横でまた別の恥辱を味合わされている女の子。 もう一匹のメス猫の方へとその矛先を向けていくのだった……。


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最終更新:2008年06月16日 02:23