SIDE:レナ

眠れない…。

「はあ…」

私は枕元に置いた目覚まし時計を見て溜息を吐く。
午前一時を回っても睡魔が襲ってこないのだ。
いっその事、ずっと起きておこうか?学校が辛いだろうけど、今から寝れたとしても五時間寝れるかどうか。最低でも六時には起きて朝食とお弁当の準備をしないといけないから。
寝過ごして遅刻なんかしたら圭一くんや魅ぃちゃんに迷惑を掛けてしまうだろう。
うん。やっぱり起きておこう。
そう決めた私は頭の中で圭一くんの事を夢想する。
圭一くん…。私の大好きな人。
いつから彼に恋してしまったのだろう。気が付いたら目で圭一くんの事を追ってしまっている自分が居た。
ちょっと意地悪で鈍感。けど、優しくて面白い事を言って皆を笑顔にしてくれる。だから私は毎日が楽しい、圭一くんが転校してくる前よりも楽しいかもしれない。
日に日に私の中で圭一くんへの想いが大きくなっていき、彼の事を想って眠れない日もある。そして…圭一くんに抱かれる妄想をして、火照った身体を自分で慰めてしまう事も多くなってしまうのは自然の流れだった。
初めは些細な切っ掛けだった。
その日、眠れず圭一くんの事ばかり考えて悶々としていた私は、熱くなった身体を冷やそうと、ベッドの脇に置いてあった抱き枕に足を絡ませて強く抱き締めた。
その瞬間身体に電気が走った様な気持ち良さが全身を駆け巡った。
その頃の私は自慰の事なんて、やり方すら知らなかった。
何が起こったか分からなくて頭が混乱したけど、とても気持ちの良い事だというのは解った。
怖い物見たさ的な感じで恐る恐る、また抱き枕を抱き締めると甘く痺れる刺激が襲ってきた。
そして夢中になって抱き枕を抱き締め股を圧迫して擦り付ける。盛りの付いた犬の様に…。
その日から寝る時に自慰をする事が多くなった。
次第に股を圧迫するより手でした方が気持ち良い事に気付き、何度も何度も慰めた。
妄想の中の圭一くんは優しく、時に荒々しく私を求めて来た。
この指は圭一くんの指なんだと思って興奮しつつ、声を押し殺して彼の名を呼びながら果てる。
そして事が済み冷静になってくると、自己嫌悪が私を襲うのが常だった。
大事な仲間を妄想の中でとはいえ慰み者にして彼を侮辱してしまった自分に、又、はしたない事をしてしまった事に。
そんな自分が嫌で何回も、こんな事は止めようと思った。
でも、これで最後だからと言い聞かせながら、また自慰に耽る私が居た。そう自慰する癖が付いてしまったのだ。
絶頂を迎えた時の目の前がフェイドアウトしてフワフワ飛んでいる様な感覚。その心地よい甘さに酔って、忘れる事が出来なくなったのである。
そして今日も…。
いけない事。しては駄目と自分の中の小さな良心が忠告してくる。
でも欲望と欲求に、そのちっぽけな良心は勝てず、ベッドの台に置いてある電気スタンドの電源を付けて、その横に飾っている写真立てを見える位置に持ってくる。
先月の…仲間達で鷹野さんの雛見沢を絶滅させる、おぞましい計画を阻止した後の、綿流しの祭で撮って貰った圭一くんとのツーショット写真。
『二人共、御似合いだねぇ』と揶揄しながらも魅ぃちゃんが撮ってくれた大事な私の宝物。
そんな大事な物を自分の欲望を満たす為に使っても良いのかと残った理性が警告する。
だが今の私には、その背徳感すら興奮材料、つまり『オカズ』になってしまうのだった。
寝間着のボタンを外して胸元から手を差し入れる。

「ん…」

こうして胸を揉んでいると、圭一くんに後ろから悪戯されている気分になる。

「んん…はあ…ん」

そうする内に乳首が熱を帯びた様に熱くてなり硬くなってきた。
自己主張する様にツンと立っているソレを人差し指と親指で摘んで、優しく揉む様にして刺激すると少し痛いけど気持ち良い。

「はぁ…んぅ…ん…ん」

まだ発育途中の身体が成長痛を伴うという事を保健体育の授業で習った。もちろん胸も例外じゃない。私も近頃では、乳首がちょっとした刺激にも敏感に反応してしまうのだ。
身体が大人になっていく過程なのだから仕方無い事だけど…。
もっと刺激が欲しい。そう思った私は寝間着のボタンを全て外して胸をさらけ出す。
少し汗ばんだ肌が夜の涼しい外気に触れ、私は軽く身震いした。両手で胸を揉みながら、先程と同じ様に乳首を刺激してやる。
チクチクとした軽い痛みと共にピリピリとした気持ち良さに脳天が蕩けてしまいそう…。

「ふぅ…ふぁ…あ…けぇ、い…ちくぅん…ふぁ」

ちょっと鼻息荒く、声を押し殺して彼の名を呼ぶ。
脳内の圭一くんが私の乳首を指で弾く。何度も何度も…。

「はっ…はっ…はぅ…」

指で乳首を弾く度に私の身体がピクピクと跳ねる様に反応する。そして私の大事な所も一緒にジンジンと熱っぽくなって刺激を求める。

「はあはあ…はぁん…」

それを内股を擦り合わせモジモジさせて耐える。限界まで我慢してから触った方が気持ち良いと経験で知っているからだ。

「はぅ…あ…あ…んん」

しばらく胸だけを愛撫していたが、そろそろ限界だ。
寝間着のズボンの中へ手を滑り入れて、下着の上から触ってみると微かに水音が聞こえる。

「はぅ…ふ…ひゃっ!」

下着の脇から指を入れて割れ目に沿って触っていたら、指が滑って一番気持ち良い所に…クリトリスに触れてしまい大きな声が出てしまった。
部屋の外に聞こえて無いかな…。
一、二分程待って私は自慰を再開する。

「あっ…う…ん…ん」

下着の上部から右手を入れてクリトリスを中指の腹で転がし、左手で胸を揉みしだく。
蕩けてしまいそうな気持ち良さで頭がボンヤリしながら、顔を横に向けて写真を見ながら呟く

「は、あ…んくっ!…ん!け、圭っ!…一くん…レナは…レナは、とっても悪い子っ!なんだよ…んん」

写真の中で照れくさそうだけど、とびっきりの笑顔で笑う圭一くん。その無邪気な笑顔を私はオカズにしている。
そう思うとゾクゾクとした震えが止まらない。

「はっ…!あっ!ああ…!」

段々声が抑えきれなくなり、そろそろ限界が近いと悟った。
秘部を縦に中指と薬指を使って刺激しながら、親指の腹で素早く上下に擦る。
気持ち良過ぎて、全身が強張る。圭一くんの顔が私の頭の中でチラつく。
まるで圭一くんに私の恥ずかしい姿を見られているみたいだ。

「んぅ~っ!んっ!んっ!!!」

寝間着の端を口に含み思い切り噛みながら私は果てた。

「ふぅ…ふぅ…ん…はぁ…ふぅ」

さっきからヒクヒクと身体が痙攣し続けている。私は口から寝間着を離して呼吸を整えた。
そして下着から手を引き抜き顔の上まで持って行き電気スタンドの灯で照らす。
愛液でびしょ濡れになった手を見たら気分が冷めた。

「はあ…」

私は何をやってるんだろう…。
今晩二度目の溜息を吐き、ティッシュ箱を手繰り寄せる。
身体を起こして、ティッシュを引き出し手を拭く。その後、寝間着と下着を脱いで秘部周辺を綺麗にする。
生え揃ってきた陰毛に付いた愛液を拭き取って、お尻まで垂れた愛液も同じく拭き取る。
何も考えずに淡々と事後の処理を行ない、新しい下着と寝間着をタンスから出して着替える。汗も拭いておけば良かったかな?
まあ良いや…学校に行く前にシャワーを浴びよう。
ベッドに寝転がり、写真立てを元の位置に戻す。申し訳無くて写真なんか見れない。
時計を見たら、一時三十分。
あと四時間以上も眠ずに過ごすのかと思うとウンザリする。
電気スタンドの電源を切り、虫の鳴き声に耳を傾ける。
早く朝にならないかな。皆と授業を受けて、お昼ご飯を食べて、部活をして楽しもう。それかダム現場にかぁぃぃ物を探しに行くのも良いかもしれない、そうだ圭一くんも誘ってみようか。
楽しみだな…。

「礼奈。お父さんはもう行くよ。行ってきます」
「お父さん。行ってらっしゃい!お仕事頑張ってね!」

仕事に出かけるお父さんにお弁当を持たせて玄関先まで見送る。
それは、いつもと変わらない朝の光景。
私は再就職したてのお父さんの後ろ姿にエールを送って家の中に入った。
あの後、結局私は寝てしまい、早朝六時に目覚ましの音で起こされた。
二時間寝たかどうか。ふらつく身体を引きずってシャワーを浴び、朝食とお弁当を作って、お父さんと一緒に朝食を食べ、今に至る。
制服の上に掛けていたエプロンを外してテーブルに置く。

「ふわぁ~~」

大きく欠伸をして壁掛時計を見上げる。
そろそろ行くか…私は鞄を持って玄関に向かう。ちょっと足取りがおぼつかないけど大丈夫。

「レナは元気なんだよ。だよ」

声にも覇気が無いかな?でも圭一くんや魅ぃちゃんと合流したらテンションが上がって元気になるはず。
靴を履いて外に出て鍵を閉める。夏の朝独特の涼しさが私を包んだ。
夏の雛見沢は過ごしやすい。日差しは強いけど蒸し蒸ししていないからクーラーも要らない程だ。

「おはようございます!」
「おお!おはよう!レナちゃんは今日も元気だねぇ、気をつけて行くんだよ!」
「はい!行ってきます!」

野良仕事をしているおじさんに挨拶をして、私は先を急ぐ。待ち合わせ場所にある木の下で涼みたいのだ。
寝不足の身体には、この日差しは辛い。徹夜明けならともかく、中途半端に寝てしまったので倦怠感が酷い・・・。
待ち合わせ場所に着いて、私は木の幹に身体を預けて圭一くんが来るのを待つ。

「はぅ…」

空を見上げて、太陽を見たら頭がクラッとした。疲れている時に太陽を直視したら黄色く見えるってのは本当なんだな。
気が滅入ってしまいそうなので、私は腰を屈めて道端の花を見て魔法の言葉を呟く。

「かぁぃぃよう~。白いお花さんが、すっごくかぁぃぃよう~!!」

うん。ちょっと元気になった気がする。
この白い花をお持ち帰りしたいけど草花にだって命があるのだ、惜しいけど諦めよう。
私は腰を上げて、圭一くんの家の方角に目をやる。
まだ来る気配は無い。
再び木にもたれ掛かって夜中の秘め事を思い出す。確かに気持ちは良いんだけど、そろそろ止めよう。あんな事は圭一くんに対して失礼だ。
とは言っても、またしてしまうだろう。そもそも止めれたら悩んではいない。止めれる方法があるなら教えて欲しいくらいだ。
私ってこんなに意思が弱かったかな?
そういえば圭一くんも私や魅ぃちゃんをオカズにして、一人でする事もあるのだろうか?
体育の時間に魅ぃちゃんが胸を揺らしながら動く姿とか、私のブルマ姿を目に焼き付けて、お家に帰って自分の部屋でオットセイをシコシコして…。
あ、あはは!圭一くんだって男の子なんだからしてるに違い無いよね?
でも、それって私に対して欲情しているって事…なのだろうか。
いつもの悪い私みたいに仲間をオカズにして猿みたいに……止めよう。
私は朝から何を考えているんだ…まるで淫乱みたいじゃないか。
私だって若い女なのだから欲求不満になる事だってあるけど、年中発情期の兎じゃあるまいし、近頃の私はやっぱり変だ。

「…ナ…あ…ってば!」

五月蠅いなあ…今、私は考え事をしているんだ静かにしていてくれないだろうか。

「お~い。レナ~起きてるか~?」
「っ!あ…け、圭一くんお、おはよう!」
「ったく!呼んでも気付かねぇし、何かブツブツ言ってるし。」
「あ、あはは!ご、ごめんね圭一くん。ちょっとボーッとしてたんだよ。だよ!」

気付かなかった。その前にブツブツ言ってたって…まさか聞かれた?

「あ、あのね!ち、違うんだよ!レナは…レナはそんな事考えて無いんだよっ。だよっ!」
「はあ?俺には何の事だか解らないけど・・・ってレナ!顔が赤いぞ!熱でもあるのか!?」

圭一くんが私の額に手を伸ばす。私はそれを避けて言った。

「ううん!レナ寝不足なの!夜中に…んんっ!目が覚めちゃって寝れなかっただけ!」
「あ、ああ。そりゃ大変だったな。大丈夫か?」
「うん。大丈夫だよ。それより行こう?魅ぃちゃんを待たせちゃうよ」

私は圭一くんと並んで歩きだす。
今日の部活は何をするのか、沙都子ちゃんのトラップが段々凶悪になっている事とか、二人で話していると魅ぃちゃんが手を振っているのが見えた。

「圭ちゃんにレナおはよう!」
「おう!おはよう魅音」
「おはよう魅ぃちゃん」
「あれぇ?レナ元気無いねぇ。どしたの?」
「ああ、何でも寝不足らしいぜ。俺は逆に元気が有り余ってるけどな」
「そうなんだ。まあ無理せずに体調が悪くなったら保健室で休みなよ?」
「うん。ありがとう」
「ところで圭ちゃん。朝っぱらから、元気が有り余ってるなんて話をされてもなあ…おじさん困っちゃうよ。くっくっく」
「おお。俺も思春期の少年だから毎朝大変なんだよ」
「はぅ…何が大変なんだろ。だろ?」

わかってる。下ネタに違いない。

「レナ。ほらアレだよ。圭ちゃんのオットセイが毎朝元気一杯になってね…」
「は、はぅ…圭一くんのオットセイが元気一杯…か、かぁぃぃよう」
「くっくっく!よっしゃ。お前ら、とくと見ておけ。圭一様のオットセイの晴れ姿をな!」

と言って圭一くんがズボンのチャックを降ろし始める。
私も悪ノリし過ぎた、そろそろ止めないと。
私と圭一くんとの距離は2メートル程開いている。私は右足を一歩踏み出して…
ガクッ
急に右足の膝から力が抜けて私はバランスを崩し、れなぱんを放ちながら圭一くんの方に倒れ込んだ。

「ぐあっっ!?」

拳に何か柔らかい物を捕らえた気がする。そしてそのまま私は地面に倒れ込む。

「ちょっ!?ふ、二人とも大丈夫!?」

魅ぃちゃんが焦った声を出しながら、私達の所に駆け寄って来る。

「け、圭一くん!大丈夫…っ!?」
「…ぐっ!ああ…!うぐっ!」

起き上がった私の目に飛び込んで来たのは、脂汗を大量に流しながら苦悶の表情を浮かべ、股間を押さえて地面でのたうち回る圭一くんの姿だった。

魅ぃちゃんと一緒に圭一くんを急いで診療所に連れて行った。
あの状態はただごとでは無かった。

「ええ…はい。そうです。はい」

魅ぃちゃんは何処かに電話している。圭一くんは今診察中だ。
対して私は待合室のソファーで自分を責めていた。
あの時私が圭一くんを殴ろうとしていなかったら…もっと早く止めていたら…私のせいだ、全部私が悪い。
そのせいで圭一くんの大事な所を駄目にしてしまったかもしれない。と。

「レナ…知恵先生に連絡しておいたよ。今日は遅刻するって」
「…うん」
「あのさ、自分を責めちゃ駄目だよ。わざとした訳じゃないんだし。それにまだ、どうなってんのか分かんないじゃん?」
「ううん。魅ぃちゃん。全部レナが悪いんだよ…レナが圭一くんを傷付けちゃったんだよ。レナが殴っちゃったから」
「…」

沈黙。
重い空気が私達にのしかかる。ただ私は自分を責め、圭一くんが無事な事を祈るしかなかった。
診療室のドアが開き、監督がこちらに向かって来る。

「監督っ!圭ちゃんは大丈夫なの!?」

魅ぃちゃんが監督に詰め寄る。

「ええ。幸い損傷等はありません。少し腫れているだけです。後遺症も無い筈ですから、大丈夫ですよ」
「はあ…良かったぁ」

魅ぃちゃんが溜息を吐いて安堵するのを横目で見た。
そして監督が私の横に座って話し始める。

「竜宮さん。性器はとてもデリケートな部分です。大事には到らなかったので安心してください」
「痛みや腫れは、二、三日で引くでしょう。故意で無かったとはいえ、もう少し考えて行動するべきでしたね。」
「はい…。すみません」

静かな声で監督が私を叱咤する。私は無事で良かったと安心すると同時に圭一くんに申し訳無くて、顔を伏せてポツリポツリとしか話せない。

「強打して痛みの余りショック死する事だってあるんです。今後は気をつけてください」

私はうなづいて肯定し、立ち上がる。圭一くんに謝るのが先決だ。
殴られて罵倒されても仕方無い、私がした事はそれ位されて当たり前なのだ。診察室の前まで行き圭一くんが出て来るのを待つ。

ガチャ

「圭一くん…」
「…よう」


顔色の悪い圭一くんが一言そう言って私を見る。

「圭一くん。ごめんなさい。酷い事しちゃってごめんなさい!」

深々と頭を下げ謝罪する。
すると頭に手が乗せられ優しく撫でられる。

「気にすんな。レナが悪い訳じゃねぇよ。俺が調子に乗り過ぎたのも悪いんだ。顔上げてくれよ、心苦しいからさ」
「でもっ!凄く痛かったよね!ごめんなさい!」
「そりゃそうだけど、もう良いじゃねぇか。何事も無く無事だったんだ。レナも反省して謝ってくれてるし、俺は気にしてないから」

私は恐る恐る顔を上げて圭一くんを見る。まだ痛いだろうに微笑んでくれている。
でも、これでは私の気が済まない。何かしてお詫びするべきだ。

「とりあえず俺は今日学校休むから、二人は学校に行けよ」

決めた。お詫びに看病しよう。押し付けがましいけど、そうでもしないと私の気が済まない。
圭一くんが待合室の魅ぃちゃんの所に行って何か話している。私は遅れて二人の所に行き、こう言った。

「魅ぃちゃん。レナも今日休むよ、先生には適当に言っておいてくれるかな。かな?」

魅ぃちゃんに目配せして伝えると理解したのか
「へ?…ああ~なるほどね。うん、分ったよ。頭が痛いとでも伝えておくよ」
と言ってくれた。

「うん、お願いなんだよ。じゃあ圭一くん行こう」
「ちょっと待て、俺には状況が掴め無いんだけど…」
「レナに圭一くんの看病させて欲しいな…駄目かな?」

腕を組んで圭一くんが考えている。しばらくして圭一くんが口を開く。

「じゃあお願いしようかな。魅音。そういや知恵先生には何て伝えたんだ?」
「圭ちゃんの具合が悪いから診療所に連れて行った。って伝えてあるよ。とりあえず、この事は伏せとく?」
「ああ。騒ぎになると面倒くさいから、腹痛って言っておいてくれ」
「了解!学校が終わったら皆でお見舞いに行くよ!じゃあ、おじさん行くね!」

魅ぃちゃんが、そう言って学校に行き、私達は圭一くんの家に向かった。
ちなみに診察料は要らないらしい、手当てに必要な物まで分けて貰えた。監督ありがとう。

「今日は圭一くんの御両親は居ないの?」

圭一くんの部屋に上がらせて貰い、少し早いけど一緒にお弁当を食べながら聞いてみた。

「ん。何でも親父の師匠って人が倒れたらしくてな。二人して東京に行っちまったよ」
「そ、そっか…」

圭一くんと二人きり…不謹慎だけど胸がドキドキする。

「だから、悪いんだけど晩飯とか作って貰っても良いか?材料は冷蔵庫にあるからさ」
「う、うん!勿論だよ!」

少し声が裏返ってしまった。凄く緊張する。
私が…看病すると言ったんだ。私が今からする事は間違っているかもしれない。でも私の誠意を圭一くんに解って欲しい。

昼食が終り、私は決意を胸に話を切り出した。

「あ、あのね。圭一くん。お願いがあるの…聞いて貰っても良いかな。かな?」

食後のお茶で痛み止めの薬飲んで、圭一くんが聞いてくる。

「何だよ?言ってみ」

心臓がバクバクと音を立てている。顔が熱い。手の平も汗をかいている。緊張して震えも止まらない。

「レナ?」
「圭一くんの…オ、オオオットセイにレ、レナにお薬…ぬ、塗らせて欲しいな!」
「…え?」

ミーンミーンミーン!!

面食らった顔で固まる圭一くんと顔を真っ赤にした私。どちらも口を開かず、部屋の中には蝉の鳴き声だけが響き渡る。

「き、気持ちは有り難いんだけど、流石に恥ずかしいからさ!それにレナだって、こんな汚い物触りたく無いだろ?」

両手をブンブンと振って断る圭一くんに私は四つん這いになって近付いていく。圭一くんはジリジリと後退りし、やがて壁まで追い詰める。

「け、圭一くんのオットセイは汚くなんかないんだよ。だよ。レナに原因があるんだからレナに手当てさせて欲しいな!」
「あ、う…で、でもあれだぞ!昨日の晩寝る前に色々と恥ずかしい事したから匂いとかするぞ絶対!烏賊だぞ!烏賊の匂いがすんだぞ!なっ?汚いだろ?だから…」
「レ、レナだって!そういう事…一人Hするんだよ!今日寝不足なのだって!そういう事してたからなの!だから大丈夫!恥ずかしくないから!」

思わず勢いで言ってしまった。自分でも何故言ったのか解らない。しかし、これで引くも地獄進むも地獄であるという事はハッキリした。
二人して恥ずかしい事をカミングアウトしてしまった事実はどちらにせよ残ってしまうのだから。
再び固まる圭一くんを前にして、後は私の口がマシンガンの様に勝手に言葉を紡いでいく。

「圭一くんの事が大好きで、気になって気になって!我慢できなくって何回も何回も一人でしてしまうの!レナはそういう悪い子なんだよ!だよ!」

もはや関係無い事まで言ってしまう。それも出来れば圭一くんには隠しておきたい自分の想いや恥部まで・・・。恥も外聞も無い。好きな異性に自分の女の部分まで言ってしまい、開き直ってしまったのか寝不足のせいで頭が上手く働かないのか定かでは無い。
ただ解っているのは興奮しながら圭一くんを捲し立てている自分が居るという事だけだ。

「それにっ!それにっ…!」
「解った!解ったから皆まで言うな!落ち着け!深呼吸しろ!」

圭一くんに抱き締められて私は我に帰った。そして自分がしでかしてしまった事を思い返して、血の気が引いていくのを感じる。

「あ…う…」

何か言わなくてはと口を開くが言葉にならない。圭一くんに抱き締められている事と先程の事で混乱しているのは明白である。

「レナ…俺のオットセイに塗ってくれないか?薬を。コイツもレナに塗って欲しくて我慢出来ないんだとよ」

圭一くんが私の手を取って下半身にあてがう。

「ん…圭一くんのオ、オオオットセイが…レナに…?」

生唾を飲み込んで圭一くんの言った事を反復して言う。まだ痛いだろうから軽く触れるだけ、でも布越しでも熱く、硬くなってるのを感じる。

「ああ。それにコイツもレナにイジメられて泣いてるんだよ。だから仲直りしないと駄目だろ?」
「う、うん。そうだよね。オットセイと仲直りしなきゃ…うん」
「それにレナから薬を塗ってゴメンナサイしたい言ったんだから、俺も恥ずかしいけど…レナとコイツの為に一肌脱ぐよ」
「は、はぅ…レナの為…」
「そうだよ。正確にはレナと俺の為だけど、比率的には九割はレナの為だ。だから…なっ?」
「う、うん」

端から見たら、圭一くんが私を言いくるめている様に見えるだろう。けど実際は私が圭一くんに迫って、彼が許可をくれただけ。それに圭一くんが言った
『レナの為に』
という、まるで恋人に対して紡ぐ様な言葉に気分が高揚している。それにさっきから、子供をあやすみたいに背中を擦られながら耳元で囁かれ甘く酔っていた。
私は診療所から貰った紙袋の中から軟膏を取り出して、圭一くんを万年床になっている布団の方に手招きする。

「け、けけ圭一くん!ここに来るんだよ!だよ!は、早く!」

二人共、顔を真っ赤にして布団の上で向き合って正座する。

「じゃ、じゃあ!お願いします!」
「こ、こちらこそ!レナの我儘を聞いてくれてありがとうなんだよ!だよ!」

圭一くんがペコリと頭を下げ、私も同じ様に頭を下げる。さぞ滑稽な光景に違いない。
圭一くんが足を崩したのを見て、震える手で圭一くんの学生ズボンのベルトとボタンを外し、チャックを下げる。

「あ、あは…寝て貰った方がやりやすいかな。かな」

圭一くんが寝転がり、私は横に移動した。
下着をオットセイに引っ掛からない様にしてずらしズボンと一緒に膝まで下げる。

「…はぅ」

ちょっと竿…いやオットセイの胴体が赤く腫れていて痛々しい。
そして、お父さん以外の初めて見るオットセイは凄く大きくて元気一杯に上を向いてヒクヒクと動いていた。

「かぁぃぃよう~。オットセイが元気一杯でかぁぃぃよう。…お、お薬塗る前に綺麗に…消毒しておかなきゃ駄目なんだよ。だよ」

それは、ちょっとした好奇心。魅ぃちゃんから借りたHな少女漫画で知った行為を消毒と称して自分を納得させ、してしまう私。

「消毒って…あ!ああ…」

むせ返る様な匂いのするオットセイをゆっくりと口の中へと含んでいく。大きくて全部は入らないけど、顎が外れるんじゃないかってくらい口を開けて、何とかオットセイの頭だけは含む事は出来た。

「ふ…う…じゅる…は…」

初めてだから要領が分らないので、舌で舐めるだけ。圭一くんも、こういう事をされるのは初めてなのだろう。単調に舌を動かしているだけでも身体を震わせてオットセイをヒクヒクさせている。

「レ…レナぁ…!気持ち良い…はぁ…」

オットセイの頭の下は汚れが溜まりやすいらしい、普段は皮が被っているからだとか。そう詩ぃちゃんが言ってた。
詩ぃちゃんの事だから、入院中の悟史くんに同じ事をしてあげているのだろう。私はそこを舌で少し強めの力で擦る、口の中でオットセイがまた大きくなった。

「も…もういいよ!綺麗になっただろう!」

圭一くんが上体を起こし、私の肩を持ってオットセイから離させられた。

「あ…圭一くんに怒られちゃったんだよ。だよ。痛かったのかな?」

涎の垂れた口元を隠す様にして言うと、圭一くんが真っ赤な顔をさらに赤くして言った。

「い、いや!怒った訳じゃねぇし、痛くも無かったぞ!む、むしろ気持ち良かった…ぜ」
「そ、そっか…えへへ。そろそろお薬塗ろっか?」
「お、おう!頼むぜ!」

缶の蓋を開けて指で軟膏を多めに掬って手のひらに馴染ませる。両手がベタベタになっちゃったけど、後で拭くなり洗うなりすれば良い。
両手でオットセイを包み込み優しく揉む様にして軟膏を擦込んでいく。別にやらしい事をしている訳では無いのに、クチュクチュとした音と圭一くんが洩らす吐息が部屋の中に響く。
それだけで私もHな気分になってくる。さっきからアソコが切ない、太股をモジモジさせて我慢するだけで精一杯だ。流石にここでしちゃう訳にはいかないから。

「ん…圭一くん終わったよ」
「はあはあ…う、うん」

目をトロンとさせて返事をする圭一くん。なんだか女の子みたいだ。
軟膏を塗り終わっても私はオットセイから手を離せないでいた。ある事を言おうか迷っている。
このままだと先に進まないし、多分圭一くんも望んでいる事だから言ってしまおう。
上目遣いで圭一くんを見つめる。圭一くんが気付くまで。
私が見ている事に圭一くんが気付いたのを確認して口を開く。

「圭一くんのオットセイ…まだ元気一杯なんだよ。これだと服着れないし…スッキリさせちゃおうか?」
「でも…」
「大丈夫。誰にも言わないレナと圭一くんだけの秘密なんだよ。圭一くんは気持ち良くなりたくない?」
「…なりたい。して欲しい」

かぁぃぃ…。
私はクスッと笑って、またオットセイを揉み始める。本当はシコシコしてあげたいけど、それは痛いだろう。
だからオットセイの頭と、その少し下の辺りを両手で持って愛撫してあげる。
軟膏でヌルヌルしているから、凄く気持ち良いはず…ううん。気持ち良過ぎるのかな?
圭一くんが身体をビクビクさせて声をだしている。

「うあっ!…あうっ!」
「気持ち良い?」
「すげぇ気持ち良い!はあ…う!」

揉む動きから擦る動きに変えると、身を捩らせる。勿論オットセイの先だけ擦ってあげてる。自分でするのとは違う気持ち良さなんだろう。
私が一人でする時と同じ要領で弾き、指を絡めて刺激していると圭一くんの顔が見たくなる。
私も横に寝転がり、圭一くんにすり寄る。身体に胸を押し付けて甘えた声で
「レナに圭一くんの顔見せて?こっちを向いて欲しいな」
と言った。

「うあっ…こ、こうで良いか?」
「うん。ありがとうなんだよ。だよ」
「レナ…!俺そろそろ…」

私は何も言わず、手を素早く動かしてやる。

「う…は、ああ!あ…」

手の平に熱い液体が勢い良く出てくる。オットセイがビクンビクンと脈打って何度も精液を吐き出す。私は全部出しきるまで手を休めない。
吐き出す物が無くなっても脈打っているオットセイから手を離して見てみると、両手共、軟膏と精液でドロドロになっていた。

「凄い出たんだよ。いつもこのくらい出るのかな。かな?」
「はあ…ふ…いや、いつもより多いな。レナがしてくれたからだな」
と言って圭一くんが頭を撫でてくれる。

「はぅ…そうなのかな。かな?」
「ああ。レナがしてくれたから気持ち良かったんだよ」
「うん。分ったよ。あ、圭一くんちょっと水道貸してくれないかな。手を洗いたいから」
「おう。下に降りたら分ると思うから、洗って来いよ」
「うん。ちょっと待っててね」

私は部屋から出て一階へと降りながら考える。
私は越えてはいけない一線を越えてしまったのでは無いかと。もしかしたら、この後部屋に戻ったらお互い気まずくなって関係がギクシャクしてしまうんじゃないか。
私は手を洗って部屋に戻る。階段を上がり終わった所で深呼吸した。
あと数歩歩いて襖を開けたら嫌でも結果が解る。そう思うと足が竦む。
けど勇気を振り絞って足を進めるて襖を開く。

「レナ。さっきはありがとうな。その…気持ち良かったぜ」

私服に着替えた圭一くんが照れくさそうに言った。

「はぅ…御礼を言われる様な事はしてないよ」
「いや嬉しかったぜ。レナがこんなに大胆だとは思わなかったから驚いたけどな」

私は圭一くんの横に座る。

「圭一くん。こんな事をしたレナの事嫌ったりしない?」

私にとって一番の恐怖は日常が壊れてしまう事。引き金を弾いてしまったのは私だが。
でも今の圭一くんを見る限りは大丈夫だろうと漠然に思う。だからこそ確証が欲しかったのだ。

「まさか!そんな事ある訳無いじゃねぇか!むしろ…ん!何でも無い!ともかく俺はレナを嫌ったりしないからさ!」
「…ありがとう。レナは今ホッとしているよ」
ともかく私の心配は杞憂で終わった訳だ。
「ふわぁ…」

気が抜けたら、なんだが眠くなってきた。

「なんだよ。レナも眠たいのか?俺も眠たくてな」

さっき飲んだ痛み止めが効いて来たのだろう。布団に圭一くんが横になった。

「レナも来いよ。一緒に昼寝でもしようぜ。あぁ~。別に何もしないから安心しろ」

布団をポンポン叩いて私に来る様促す。

「何か緊張しちゃうよ」

私は大人しく横になり、圭一くんがしてくれた腕枕に頭を乗せて言った。その優しさが嬉しい。恥ずかしいけど折角の好意を無駄にしたくない。

「俺も同じく。あ、扇風機掛けて良いか?」

私は軽くうなずいた。
扇風機の涼しい風が心地良い。

おやすみ圭一くん…。

<続く>
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最終更新:2023年06月10日 06:47