前回


沈黙。
重い空気がダム工事現場跡に流れる。いつの間にか蝉の鳴声も聞こえなくなっていた。
今日は暑い。真夏の太陽が容赦無く、私達の上に降り注いでいる。
「・・・あ、あはははははは!じょ、冗談が過ぎるよ?詩音。」
お姉が真っ青な顔で問い掛けてくる。
レナさんも「そ、そうだよ!何で圭一君の名前が出てくるのかな?かな?」と続けて言う。顔は笑っているが目は笑って無い。
レナさんの目に、いつもの可愛らしさは無く、怒りが渦巻いているのが分かる。この目で見られると怖い。正直逃げ出したくなる。
「・・・すいません。本当です」
だが逃げてどうなる。私は圭ちゃんと一緒に居たいのだ。私は絶対に引かない。
また沈黙が訪れる。しばらくしてお姉が、うわ言の様に「こりゃ参ったね・・・」と言って片腕で自分の視界を遮り顔を上に向ける。その頬を涙が流れていった。
「詩ぃちゃん。何でそうなったか話してくれないかな?」
レナさんは、そう私に促した。
「わかりました。」
私は半キャップをバイクのシートに置き、口を開いた。



ありがとう。



第二部 『予想外』


悟史君に告白を断られた事。
何も考えたく無くて彷徨った事。
傷ついた心が癒されるかもしれない。と思い煙草を吸おうとして、圭ちゃんに怒られた事。
そんな私を優しく諭してくれ嬉しかった事。
一目惚れしてしまい、一週間悩んだ事。
そして昨日の事。
何時間も掛けて話した。お姉もレナさんも黙って聞いてくれた。
「・・・これで全部です」私は話し終わり、二人を見る。
「詩音・・・。私は・・・アンタを責める気は無い。ただ、一つだけ気に食わない事があるんだよ・・・」
お姉が私を睨み付ける。
そしてレナさんも
「圭一君は別に誰と付き合っているって訳じゃないしね。だからレナも詩ぃちゃんに対して文句を言うつもりは無い。 けど一つだけ間違っている事があるよ。それは魅ぃちゃんが考えている事と同じかな?」
と言ってお姉の顔を見た。
パンッ!
お姉がレナさんに頷いて私の左頬を張り「相手の事が好きでも、付き合う前から身体を許す様な真似をするなっ!子供のする事じゃ無いよ!」と怒鳴る。
パシンッ!
「そうだよ。詩ぃちゃんが圭一君の事が好きなのは分かるけど、それじゃあ色仕掛けしたのと変わらないよ?」とレナさんも同じように私の右頬を張った。
確かにその通りだ。実際、私は色仕掛けを使ったも同然なのだから。
しかし予想外だった。てっきり私は罵倒されたり、二人と大立ち回りをするとばかり思っていた。
だが二人は私の過ちを咎めただけだった。
「私は身を引くよ。悔しいけど、詩音の想いには勝てない。簡単に身体を許した事は間違っているけど、そこまで覚悟してるんなら・・・私は詩音を応援するよ」
と言ってお姉が私の頭を撫でる。
「レナも圭一くんの事、諦めるよ。何より圭一くんが詩ぃちゃんの事が好きなら、レナ達が入り込む余地は無いしね」
とレナさんも言ってくれた。
「・・・ごめんなさい。そして、二人ともありがとう・・・」
そんな二人の優しさに触れ、涙が溢れてくる。
ありがとう・・・。
私は二人の事を勘違いしていた。
きっと悲しいだろう。悔しいだろう。けど、私を許してくれた。
「圭ちゃんに大切にしてもらいなよ?」とお姉が言ってくれ、私は泣いた。

こうして『問題』はケリが付いた。
私は泣きやんだ後、二人に感謝の気持ちを伝えてダム工事現場跡から圭ちゃんの家に向かう。
気が付けば夕日が沈みかけていた。



水車小屋の裏にバイクを停め、歩いて圭ちゃんの家まで行った。
そして二階の部屋の窓に小石を投げて圭ちゃんに合図する。気が付くだろうか?
何回か繰り返すと、圭ちゃんが窓から外を見た。どうやら気付いてくれた様だ。
少しして圭ちゃんが玄関から出て来て、私に近付き「詩音。その頬どうしたんだ?」と心配そうに口を開く。
「まあ、アレです。『問題』のケリを付ける為の『ケジメ』って所ですね☆名誉の負傷です♪」
私は笑ってそう言って「少し散歩でもしませんか?」と聞いてみる。
「ああ。じゃあ行くか!」
と圭ちゃんが言って、二人で散歩を始めた。
「とりあえず河原にでも行こうぜ」
圭ちゃんが私を促す。

二十分程歩き、河原に到着した。
手頃な大きさの石の上に二人で座って川の流れを見る。
「涼しいですね・・・」
「そうだな」
そんな取り留めの無い会話をして私達は沈黙する。私は告白されるのを待っている。
圭ちゃんはタイミングを見計らっているのだろう。
少しだけ緊張する。虫の鳴声と川の流れる音だけが辺りに響く。
どのくらい時間が過ぎただろう。圭ちゃんが私に話掛けてきた。
「なあ詩音。話聞いて貰って良いか?」
「はい・・・」
私は圭ちゃんと顔を合わせない様に下を向いて言う。今、真っ赤な顔をしているだろうから、見られるのは恥ずかしい。
「昨日から家に帰って考えてたんだ。詩音との事・・・」
私は少しだけ顔を上げて圭ちゃんの顔を見る。
すっかり辺りは暗くなって、月明りに照らされた圭ちゃんは・・・何処か中性的で綺麗だった。
「俺。詩音の知らない所が、いっぱい有る。詩音も俺の知らない所があるだろ?」
圭ちゃんが私の手の上に手を重ねる。
「そうですね。いっぱい有りますよ。」
私はドキドキして、そう言うのが精一杯だった。
「だから、詩音の事いっぱい知りたい。そして俺の事も知って欲しい」
私も圭ちゃんの事、いっぱい知りたい・・・。私の全てを見せても良い。圭ちゃんは全てを見せてくれるだろうから。
圭ちゃんが私の方を向き「詩音。好きだ!俺と付き合ってください!」と言ってくれた。
凄く嬉しい。昨日から告白されるのは分かってた。けど予想外な告白の仕方が嬉しかった。圭ちゃんなら一言「付き合ってくれ!」みたいな事を言って終わるかと思った。
でも圭ちゃんなりに精一杯頑張って、想いを告げてくれた。短い告白だったけど、しっかり想いの詰まった告白。
「もちろんです!私を圭ちゃんの彼女にしてください」
圭ちゃんの手を握り返して、私は目を閉じる。
「詩音の事。大切にするからな」
圭ちゃんの顔が私の顔に近付くのが分かる。
唇に柔らかい感触・・・。ただ唇同士が触れただけの軽いキス。でも凄く甘い気分になる。
どちらともなく唇を離し見つめ合った。
「圭ちゃん☆これからもヨロシクお願いします♪」
私は圭ちゃんに微笑みかけて言った。
「ああ!こちらこそヨロシクな!」
圭ちゃんも、そう言って二人で笑い合った。
昭和58年8月。
ほんの少しロマンチックな雰囲気の中で、私達は付き合い始めた。
少女漫画の様なベタな展開に笑ってしまいそうになる。でも、こんなに感動する告白は無いだろう。
もう少しで、お盆の時期だ。
多分バイトも忙しくなるだろう。でも出来るだけ時間を作って会いたいな・・・。

その後、私達は寄り添って二人だけの時間を過ごした。
そして、別れを惜しみながら帰宅した。
家に辿り着いた時、夜の十一時過ぎだった。母さんに少し怒られた。



お盆の間、バイトが忙しくて、なかなか圭ちゃんとは逢えなかった。何でこの時期、飲食業はこんなに忙しいんだろう。シフトなんか関係なく毎日働いた。
ともかく、明日からは通常営業になる。つまりシフト通りのバイトだ。
そして明日から二日間、バイトは無い。
やっと圭ちゃんと一緒に居れる。
バイトが終わり、私は自室で圭ちゃんと電話していた。
「と言う訳で、今年のお盆は大変でした。まさに戦場でしたね」
「ははは!まあ仕方無いぜ。ところで明日からは暇なんだろ?」
「ええ♪二日間だけですがバイトは休みですよ☆」
「じゃ、じゃあデートでもしないか?まだ付き合ってデートらしい事してないし・・・」
「喜んで♪あの・・・突然ですがデートの後、私のマンションに泊まっていきませんか?」
「え・・・。い、良いのか?」
「はい・・・」
「じゃあ泊まらせて貰うぜ!あ。明日は何時に迎えに行こうか?」
「早く圭ちゃんに会いたい・・・だから朝の九時はどうですか?」
「分かった!じゃあ九時に興宮の図書館の前で良いか?」
「はい♪じゃあ、そろそろ寝ますね☆おやすみなさい☆」
「ああ。おやすみ、詩音」
カチャ。
明日はデート♪楽しみで仕方無い。ああ。ちなみにマンションに泊まらないか、と聞いたのには理由がある。
あの日以来、お姉とレナさんが私に協力してくれている。
そしてレナさんが、圭ちゃんに電話する前に電話してきて教えてくれた。
『明日。圭一君の御両親は愛知県に行くから帰って来ないんだよ』
『魅ぃちゃんにはレナから[魅ぃちゃんの家に泊まってる事にして]って伝えておくから、二人で一緒に過ごしたら、どう?』と。
私は有り難い提案に感謝しつつ、圭ちゃんに電話したという訳だ。
明日は九時に待ち合わせ。という事は、七時には起きねばなるまい。女の子は準備に時間が掛かる。
さて。寝よう。明日は早く起きないと・・・。



朝六時。私は目覚ましが鳴る前に起きた。遠足に行く子供の様な心境だ。
初デートにワクワクして寝てなんかいられない。という感じだろうか?
とりあえず準備等はマンションに行ってしよう。
私は適当に荷物をまとめて、何故か早くから起きてた母さんに「ちょっと用事があるんで、お姉の所に行って来ます。あと今日は本家に泊まります。」と言って家を出た。
ちなみに鬼婆様は今日、鹿骨市に行って明日まで帰って来ないらしい。
だから本家に泊まった事に出来る。
お姉とレナさんのアシストに心の中で感謝して、マンションのエントランスに入った。

私は今、図書館の前で圭ちゃんを待ってる。軽く部屋の掃除をしたり、シャワーを浴びたり等、準備を朝早くからしたら時間は余る訳で、八時過ぎには図書館に歩いて向かったのだ。
あと少ししたら圭ちゃんも来るだろう。
いつもより少しだけ力の入ったメイクをしたし、服もおかしく無い筈・・・うん大丈夫。ときたま鞄からコンパクトを取り出して化粧が崩れて無いか確認したり、ソワソワしながら待っている。
「お~い。詩音~。気付いてるか~?」
「は、はひぃ!?」
驚いた。いつの間にか圭ちゃんが来ていた様だ。
「ははは!ようやく気付いたか!なんか話掛けても気付いて無いみたいだし、寂しかったぞ?」
と圭ちゃんが笑って言う。
「・・・すいません」私は圭ちゃんに謝った。なんだか恥ずかしい。
私は顔が熱くなるのを感じつつ、圭ちゃんに言った。
「デートが楽しみ過ぎて、ソワソワしちゃって気付けませんでした」
「気にするな!とりあえず荷物置きたいんだが・・・」
圭ちゃんがそう言ってリュックサックを私に見せる。多分着替えが入っているのだろう。
「じゃあ部屋に荷物を置きに行きますか♪」
私たちは一緒にマンションに向かった。

マンションに荷物とMTBを置いた後、私達はデートを開始した。
服を買ったり、ゲームセンターで遊んだり。まあ普通のデートである。
そして現在。昼過ぎのエンジェル・モートで遅めの昼食を取っている。
バイト仲間がニヤニヤしながら見てきたり、やたらテーブルに近付いて来ようとする。
多分、次のバイトの時に根掘り葉掘り聞かれるだろう。まあ・・・良いか。
それより今日一番の難題を圭ちゃんに切り出さねばなるまい。私は圭ちゃんの耳に顔を近付けて言う。
「あの・・・。後で良いんですけど、薬局に行きませんか?その・・・アレを買いたいんですけど」
薬局に恋人と買いに行くアレとはアレである。コンドームだ。流石に毎回膣内射精はさせれない。それに今日は危険日だ。
バイトが忙しくて事前準備出来なかったし、どれを買えば良いのか分からないから、デートのついでに買っておこうというヤツだ。
「別に良いけど。アレって何だよ?」
と圭ちゃんが聞いてくる。
「アレって言ったらアレですよ。コンドームです。」
「あ、ああ!なるほどな!そうかアレか!」
と圭ちゃんは、ようやく気付いた様である。
「とりあえずデザートにケーキでも食べてから行きますか♪」
私は近くのバイト仲間に声を掛けてケーキを注文した。
ちなみベークドチーズケーキとモンブランである。この二つはエンジェル・モートのオススメで、かなり美味しい。
その後ケーキを所謂『あーん』で食べさせたり、食べさせて貰ったりと周囲に甘い雰囲気を漂わせ「K!お前が羨ましい!極刑に値する!」と叫ぶ常連客達を私は睨み付けたりした後、店を出た。手を繋いで。
これで次のバイトからは『お触り』等をしてくる客は減るだろう。
圭ちゃんは何故かエンジェル・モートの常連客に慕われている。その圭ちゃんの彼女に、ちょっかいを出す様な真似はしてこない筈だ。
圭ちゃんと手を繋いで歩きながら、ふとした疑問を私は聞いてみた。
「ところで圭ちゃんは、私と逢えなくて寂しかったですか?」と。
ちなみに私は寂しくて、泣いてしまいそうだった。付き合い始めて間もないが、私は本当に圭ちゃんの事が好きだから、たまに不安になったりする。
別にお姉やレナさんを疑う訳では無いが、圭ちゃんを誘惑する輩が居ないとは限らない。
圭ちゃんはモテる。自分では気付いて無いが、周囲にフラグを立て過ぎだ。
「そりゃもう寂しかったぞ!逢いたくて仕方無かったぜ!」
と圭ちゃんが言ってくれてホッとする。凄く嬉しいので圭ちゃんの腕に抱き付いてみた。
「えへへ♪何か嬉しいです☆」
「そ、そう言う詩音は寂しかったか?」
圭ちゃんが顔を真っ赤にして言う。
「寂しかったですよ・・・。それこそ泣いてしまいそうになる程。まあ我慢しましたけど」
私はそう返して、圭ちゃんを見た。
「そうか。偉いぞ。良く我慢してくれたな。」
と圭ちゃんが言って私の頭を撫でてくれる。
「ん・・・」
やっぱり圭ちゃんに頭を撫でて貰うのは気持ち良い。圭ちゃんからの御褒美を堪能したいが、街中で蕩けた顔をして甘える訳にもいかない。ちょっと残念。

「「・・・」」
そして目的地である薬局の前に私達は着いた。
親類の経営する店では無いのが、せめてもの救いである。近頃増えてきたドラッグ・ストアという店だ。
緊張する。
圭ちゃんが「じゃあ詩音、行こうか」と言った。
「はい」
私達は自動ドアに向かって進み出した。
いらっしゃいませー!
そんな店員の挨拶を聞きながら、店の中を見渡す。意外と店内は広い。
コンドームは生理用品コーナー辺りにあるだろうか。
繋いだ手が汗ばむのを感じる。何事も最初は緊張するものだ。
私達は生理用品コーナーに素早く移動した。
・・・あった。
薄いのやら、分厚いのやら色々有る。うわ。イボイボなんてのも有る。これから御世話になる機会が増えるだろうから、勉強しておこう。
「け、圭ちゃん。ど、どれが良いですか?」
私は平然を装って聞いてみた。
「あ、ああ。こ、これなんてどうだ?」
そう言って、スタンダードなコンドームを指差す。やはり圭ちゃんも緊張しているのだろう。何処か頼りない。
「ま、まあ。良く分からないんで、い、色々買ってみますか!」
と言って、種類の違う物を二、三品手に取って圭ちゃんに渡す。ちなみにイボイボは渡して無い。
「そ、そうだな!んじゃ、さっさと買って店を出ようぜ!」
と慌ただしくレジに一緒に向かった。
生暖い視線を送る奥様方に見送られながら私達はレジの前に並ぶ。やたら時間が長く感じる。
しばらくして私達の番になった。
やたら良い笑みを浮かべたお姉さんが、コンドームを会計して紙袋に入れてくれ、圭ちゃんと折半して代金を払う。
「スタンプ・カード作っておきますんで、また御利用して下さい☆」
とお姉さんがスタンプ・カードを私に手渡してくれたので財布にしまった。
私は鞄の中に紙袋を手早く入れて圭ちゃんと逃げる様に店を後にした。ああ恥ずかしかった。
そして店から少し離れた場所で圭ちゃんが口を開いた。
「は、恥ずかしかったな」
「ええ・・・」
圭ちゃんが先程買った服と、ゲームセンターで取ったぬいぐるみの入った袋を見せて「とりあえず、荷物を置きたいぜ。そろそろマンションに帰らないか?」と言ってくる。
「そうですね。ついでにセブンス・マートに寄って買い物をして行きましょう☆」
そこで私たちはセブンス・マートに向かった。

その後、買い物を済ませてマンションに帰ったら、四時すこし前。圭ちゃんに振る舞う夕飯の準備を開始する。
ちなみにシーフードカレーとポテトサラダだ。圭ちゃんのリクエストだったりする。
圭ちゃんも出来る範囲内で手伝ってくれて、新婚みたいだなとか思ったりと楽しい時間を過ごす。
あとは煮込んで完成という所で、米を砥ぎ、炊飯器に掛けた。

「圭ちゃん。お手伝いありがとうございます☆おかげで早く終わりました♪」
私は圭ちゃんに御礼を言って、テーブルの椅子に座った。
「手伝うのは当り前だろ!にしても今日は楽しかったな!」
圭ちゃんも同じく椅子に就いた。
「はい!凄く楽しかったです☆あっという間に時間が過ぎちゃいましたね♪」
今日の感想をお互い言いあっている内に御飯が炊け、カレーもいい感じに出来ていたので夕飯を食べる事にした。

夕飯を食べ終えて、一緒に後片付けをした後、私は圭ちゃんにシャワーを浴びる様に促した。
部屋の中に入り、今日取って貰ったぬいぐるみを棚に飾った。
どこか間の抜けた顔の子犬のぬいぐるみを見ていると、微笑ましくなる。
とりあえず、圭ちゃんが戻って来るまでに自分の着替えを出しておこう。彼氏の目の前でタンスを開けるのは抵抗がある。
着替えをバスタオルで隠しベッドの上に置いて、想いに耽る。
この前、処女を散らして以来、初めてのH。今日はどんな事をするのだろう。口で愛撫とかした方が良いのだろうか。雑誌にやり方載ってたな。予習しておこう。
私はそこら辺に積んである本の束から、件の雑誌を引っ張りだして読み始めた。
・・・なるほど。
少し抵抗があるが、やってみよう。圭ちゃんが喜んでくれるかも知れないし・・・。
私は雑誌を閉じて、机の上に置いた。
まあ二人で試行錯誤しながら、色々試してみれば良いだろう。時間はたくさん有る。
いや。その前に体力が持つか分からないし。
それにしても圭ちゃん遅いな・・・。
とか考えていると、圭ちゃんが戻って来た。さて私もシャワーを浴びよう。
「じゃあ私もシャワー浴びて来ます♪待ってて下さいね☆」
「おう!ごゆっくり!」
私は着替えを持って風呂場に向かう。それにしても少し前まで圭ちゃんとこんな状況になるとは、想像も出来なかった。
まあ想像出来たら、出来たで凄い訳だが。
服と下着を脱いで、シャワーを浴びる。
「~♪」
軽く鼻歌なんか歌いながら、身体を隅々までボディーソープで洗う。特に大事な所は念入りにね☆
泡を洗い流し、髪を洗い始める。長い髪というのは、洗うのに時間が掛かる。でも優しく丁寧に洗って同じく綺麗にシャワーで洗い流す。リンスも同様に丁寧にした。
ああ。洗顔と歯磨きもした。これはエチケットである。
身体と髪を拭き終わった後、私はバスタオルを巻いて脱衣所を出た。パジャマを着ようかと思ったが、どうせすぐに脱がされる。
それに、こっちの方がそそられるでしょ?
用意していた着替えを持って部屋に向かう。
コンコン
ドアを開けて中に入る。
「圭ちゃん♪お待たせしました♪」
私は圭ちゃんに近付く。
「し、詩音。その・・・あの」
圭ちゃんは照れてる。何か可愛い。
「どうせ、すぐに脱がされちゃいますしね☆だから楽な格好で来ました☆どうですか?」
私はベッドの上に足を組みながら聞いてみた。
「・・・凄く堪りません」
と圭ちゃんが顔を真っ赤にして言った。
ちなみにこの格好は先程の雑誌で『H前のそそられる格好ランキング』No.1だった。
「まあまあ圭ちゃん♪そんなに硬くならずに、隣りに来て下さいよ。初めてって訳じゃないんですし☆」
と笑いながら圭ちゃんに手招きする。
「そうなんだけど。何でか緊張しちまってるんだよ」
圭ちゃんが苦笑いしながら私の横に座った。
「圭ちゃんって結構シャイな所でもあるんですか?フフ♪」とからかってみた。
こういう反応をされると、母性本能がくすぐられる。私は圭ちゃんの唇に指でそっと触れた。
「今日はいっぱいしましょうね☆時間はたくさん有ります」
そう言って私は目を閉じる。
「詩音」
圭ちゃんが私の唇に軽く吸い付いてくる。
ドサッ!
「ん・・・」
そのままベッドに押し倒され、啄み合う様なキスをする。
しばらくすると圭ちゃんの舌が私の唇をノックしてきた。私は圭ちゃんの舌を受け入れる。
くちゅ・・・。ぴちゃ。
舌同士を絡ませて、口の中を蹂躙される。次に私は圭ちゃんの口の中に舌を入れて口内を舐め回す。
キスって気持ち良いんだな。
私達は何分も口の中で愛し合った。
そして私は口を離して言った「Hなキスしちゃいましたね☆」と。
「やっちまったな」
と圭ちゃんが笑いながら言った。良かった。緊張もほぐれた様だ。
「ん。ふぅ・・・」
圭ちゃんが私の胸をバスタオル越しに揉み始める。少しすると、バスタオルを剥れる。
「私だけ裸なんて恥ずかしいです・・・。圭ちゃんも脱いで下さい」
圭ちゃんに服を脱ぐ様にお願いする。
「悪い、いま脱ぐから待っててくれ」
と圭ちゃんが慌てて服を脱いで下着一枚の姿になる。
そして再び私にのしかかってきた。片方の胸を揉まれながら、反対の胸を口で愛撫される。
「んぅ!あっ!ふぁ!」
胸に甘い刺激を加えられたと思うと乳首を噛まれ、強い刺激が脳を揺さぶる。
ペロッ。ちゅぱ、じゅっ!
「はうっ!はあ!んあっ!」
ランダムに胸を愛撫され先程より大きな声が出る。
「ひあっ!あっ!」
突然圭ちゃんが胸から口を離し、耳に舌を這わしてくる。と同時に太股を手で撫でてくる。
そして股間に手を滑り込ませる。私は少しだけ足を広げて、手を動かしやすい様にした。
「あっ!」
私の秘部を圭ちゃんの指がなぞる。ゆっくり滑らせる様に愛撫した後、膣に指が侵入してきた。
「指一本でもキツキツだな」
と圭ちゃんが言って指を根本まで沈め円を描く様に動かす。
「あっ・・・。あふ・・・」
くちゅくちゅ。
自分の手でするのとは違う『痒い所に手が届かない』様なもどかしい感覚に襲われる。
「け、圭ちゃん・・・。もう一本指増やして下さい・・・」
その感覚に耐える事が出来ず、更なる快感を求めて、そうお願いする。
圭ちゃんが「でも今でもキツキツなんだぜ?」と言ってくるが私は
「大丈夫です。女の子の身体はそんなに柔じゃないですよ」と言って促した。
「分かった。痛かったら無理するなよ?」
指を二本に増やして愛撫を始める。
「あっ!!あんっ!!」
二本の指が私の中で動き回る。先程より強い刺激に身体が跳ねる。
ぐちゅぐちゅ!
「っ!?ひぅっ!ふあ!!あっ!!あっ!!」
中で指が、くの字に曲げられ膣壁を擦られる。何処でこんな技を知ったんだ。このスケベめ。
「圭ちゃんっ!!それ!だ、駄目っ!ああっ!!」
更にクリトリスまで弄られたら無理である。我慢出来ない。後は絶頂まで登り詰めるだけである。
「あっ!!ああっ!!ひぃっ!!あっ!!ああっ!!!!」
全身に力が入り、一瞬意識が飛ぶ。目の前が真っ白になって、私は絶頂を迎えた。
「はあはあ・・・。あう・・・」
凄く気持ち良かった・・・。雑誌でH好きな人の体験談を見た事があるが、確かにハマるかも知れない。
「凄いイキっぷりだったな。手がベショベショだぜ」
と圭ちゃんが笑いながら、手を私に見せる。まるで水でも被った様に、ずぶ濡れだった。
「そ、そんな事言わないで下さい。恥ずかしいじゃないですか・・・」
私は照れ隠しに顔を背けて圭ちゃんに言った。
そして「私ばっかり気持ち良くなってたら、圭ちゃんに悪いです。そ、そのフェ、フェラチオ・・・して良いですか?」と控え目に聞いてみる。
「・・・お願いします。」
圭ちゃんが控えめに返してくれる。
私は起き上がって「じゃあ・・・。ここに寝て下さい。」と今まで自分が寝ていた場所をポンポンと手で叩く。
「分かりました」
圭ちゃんと場所を移動し、仰向けに寝転がる。
私は圭ちゃんの、テントを張った様になったトランクスに手を掛けて脱がせる。
「すごっ・・・」こうして間近で勃起したオットセイを見るのは初めてだ。こうして見ると、なかなかデカい。よくこんなにデカいモノが入ったものだ。
「じゃあ・・・しますよ?」
いつまでも見ている訳にはいかない。私は圭ちゃんの顔の方を見て、そう言った。
「おう」
上下に優しく擦った後、舌でつついてみる。
「う」
痛かったのかと思って圭ちゃんの方を見ると、気持ち良さそうな顔をしていたので、次は舌で全体を舐めてみる。
ぴちゃぴちゃ・・・。
要領が分からないので、舌に力を込めて舐めてみる。確か・・・雑誌の説明だと次は・・・。
パクッ。
私は口でオットセイの頭を咥えてみる。歯が当たると痛いらしい。顎が外れそうだ。とりあえず、舌で舐め回してみようか。
くちゅくちゅ・・・。
「うあっ!」
かなり気持ち良いらしい。
ちゅぶ・・・。
そのまま、口を沈めていく。そして吸いながら一気に口を引き戻す。雑誌だと、これを繰り返しながら舐めたりすると書いてあったが、なかなか難しい。
ジュポジュポ!
だが何回か繰り返すうちに段々慣れてきた。チラッと目だけ動かして圭ちゃんの反応を確認する。
「うあっ!!はあはあ!」
凄く気持ち良さそうだ。私が圭ちゃんを感じさせている。嬉しくなってペースを速めつつ、手で根本の方を強めに扱いてみる。
じゅっぱ!じゅぷ!じゅぷ!
「し、詩音!イッちまいそうだ!はあはあ!イ、イクッ!」
ビュルッ!
「んっ!?んんッ・・・」
口の中に精液を出される。意外とたくさん出るんだな。精液って。とりあえず全部出しきるまで、舌で刺激してみる。
「んあ・・・」
舌を動かす度に反応してくれるので、楽しくなる。私はオットセイから口を離し、口の中で唾液と精液をクチュクチュと混ぜ合わせて飲み込む。
ゴクン。
「うぇ・・・。苦いですね精液って・・・。圭ちゃん。気持ち良かったですか?」
私は圭ちゃんに感想を聞いてみる。
「凄く、・・・ハッ・・・気持ち良かった・・・」
肩で息をしながら圭ちゃんが惚けた表情で言った。
「フフ♪良かった☆」
私は嬉しくなって圭ちゃんの上に跨がる。
「圭ちゃん知ってます?騎乗位って奥まで入って気持ち良いらしいんですよ。試してみます?」
バイト先の先輩の女子高生が、そう言っていたのを思い出したので言ってみる。
「じゃあ、お願いしようかな?」
と圭ちゃんが言ったのを聞いて、私は鞄を手繰り寄せて中から紙袋を取り出す。
「ん~。どれにしましょうか?」
袋の中からコンドームの箱を三つ取り出して圭ちゃんに聞いてみる。
「じゃあ、そのうす☆うすメントールを使ってみようぜ」
と言うので後の二つをベッドの壁際の方に置き、箱を開けて小さな箱を一つ取り出す。中から注意書も取り出して読む。
「じゃあ付けますね」
包装を開けて中からコンドームを出す。オットセイの頭に被せて、ゆっくり根本まで巻き下ろして装着した。何だか卑猥な光景だ。
「よしっ☆入れちゃって良いですか?」
圭ちゃんが頷いたのを確認して、私は腰を浮かせてオットセイを膣口にあてがう。そのまま腰を下げて、ゆっくり挿入した。
ちゅぷぷ。
「ん・・・。ふぅ・・・ッ、ん」
入れる時はまだ少し痛い。でも気持ち良い。それにアソコがスースーする・・・。
根本まで挿入し終わり、私は圭ちゃんの胸に軽く手を置いた。
「少しスースーして変な感じですね」
腰を前後に動かしてみる。
「んう!はあ・・・はあ」
私の中でオットセイが暴れる。確かにこの前より少し奥にオットセイの頭を感じる。少し腰を回してみると更に気持ち良い。
「詩音。焦らすなよ・・・。もっと、動いて、みてくれ・・・」
ああ。焦らされた様に感じたんだ。私は腰を上下に動かして、抽出を開始する。
ぱちゅ!ぱちゅ!
「ん!あっ!あっ!あっ!」
腰を動かす度に膣内を抉られる様な感覚が襲ってくる。腰砕けになりそうな程、気持ち良くて喘ぎ声が洩れる。
「んあっ!あっ!あっ!ふあ!!」
圭ちゃんが私の胸を両手で揉みながら親指で乳首を転がす。
「はんっ!ふあっ!あっ!」
と同時に下から圭ちゃんが突き上げてくる。子宮口を刺激されて、イッてしまいそうになった。
「け、圭ひゃん!そんなに突いたら!アソコが壊れひゃいそうれふ!!ふあっらめぇ!!」
腰砕けになり、圭ちゃんの上に倒れ込む。すると圭ちゃんが私のお尻を掴んで上下に動かして、さらに突き上げ始めた。
パン!パン!パン!
「あっ!あっ!あっ!ああっ~!!!」
短い感覚で快感の波が押し寄せる。段々頭がボーッとしてきた。
「ふあっ!らめぇ!らめぇ!あっ!あっ!あっああっ!!」
呂律も回らなくなり、私の身体は快感に支配される。圭ちゃんの胸を唇で吸ってみたり、肩を噛んでみたり。無意識の内に色々していた。
「あっ!!あっ!!ああっ!んあっ!!イッひゃう!圭ひゃんっ!!イッひゃいまふ!!」
私の限界が近付くと同時に圭ちゃんの限界も近いのだろう。圭ちゃんが激しく突いてくる。
パコ!パコ!!
「詩音っ!一緒にイクぞ!」
肉のぶつかり合う音に水音が交ざった、激しい音を聞きながら二人で唇を貪り合う。
「んう!んちゅ!ちゅ!あっ!ちゅぱ!」
私は舌を圭ちゃんの口の中に入れて、絡ませ合いながら必死に絶頂を堪える。圭ちゃんが一緒にイキたいって言ったから。
「ぷはっ!詩音!イクぞ!!うあっ!」
オットセイが深々と奥まで入って射精する。コンドーム越しだが熱い。オットセイが暴れて私の膣内を刺激する。
「んうっ!!ふうっ!!あうっ!」
それが切っ掛けで私もイッた。さっきよりは軽めだが、痺れる様な気持ち良さだ。
圭ちゃんにまたキスをしてもらい、呼吸が落ち着くまで、二人で抱き合った。

事が終わったあと、オットセイを引き抜いてコンドームを外す。ティッシュを何重にもして包んで丸めた後、ゴミ箱に入れる。
「凄く気持ち良かったです☆」
私は圭ちゃんの身体に抱き付いて、そう言った。
「俺も気持ち良かったぜ。なんか猿みたいに何回でも出来そうな予感がするぜ!」
と笑いながら言って、私の背中を撫でる。
「そうですね♪じゃあ朝まで何回もヤッちゃいましょう♪」
私はニヤリと笑って、圭ちゃんを押し倒す。
「出なくなるまで、搾り取ってあげますから☆」
と私が言うと圭ちゃんが私を抱き抱えてクルッと上下を入れ替える。つまり私の上に圭ちゃんが跨がっている状態だ。
「そりゃ楽しみだな!今夜は寝かせ無いぜ!」
と含むのある笑いを浮かべながら私の首に強く吸い付いてきた。
長い長い夜の始まりだった。

<続く>


Tips『僕の目撃談』
その日、僕はセブンス・マートでシュークリームを買っていたのです。
どのシュークリームが重いか両手に乗せて測っていると、少し離れた場所に圭一と詩音がカゴを持って歩いているのを見つけたのです。
あうあう・・・。しかも手を繋いで、まるで恋人同士の様なのでした。
流石に邪魔するのは悪いと思ったのです。僕は分かってしまったのです。あの詩音の目は恋する女の子の目だったのです!一大事です!
悟史ではなく、何故圭一と仲睦まじくしているのか?
あう!帰って梨花に報告するのですよ!
僕はシュークリームを買って、急いで家に帰ったのです!
そして梨花にさっき見た二人の光景を報告すると・・・あうあう・・・。キムチを無理矢理、口の中に押し込まれてしまったのです!
梨花は酷いのです!貧乳だからって、美乳な僕に嫉妬している上に、丁寧に説明してやったのに逆ギレして、僕にいっぱい酷い事をするのですよ!!あうあう!
「へぇ~。私が貧乳?羽入。覚悟は出来ているわね?」
そんな声がして後ろを見ると・・・キムチの瓶を持った梨花が僕の・・・
ちょ!り、梨花!やめ!あうあうあうっ!!!辛い!辛い!あう!あうあう!!

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最終更新:2007年11月26日 00:49