3.
 しばらくして、俺の顔を照らしていた淡い光が、突然何かに遮られた。驚き、俺はその何かへ視線を向ける。
「……魅音?」
 そこに立っていたのは魅音だった。闇に覆われていて、表情はわからない。
 いつの間にこんな所へ移動したのか。俺がそれに気付かなかっただけなのか。いずれにしろ、魅音が何をしようとしているのかわからず、俺はただ気の抜けた顔で魅音を見上げていた。
「圭ちゃん……!」
 その時、突然魅音がこちらへ飛びかかってきた。いや、座ってる俺に対して、倒れこんできたという方が適切か。
 人間というものは本当に驚いた時、金縛りになったように動けなくなる。俺もその例に漏れず、間抜けな顔をする以外、倒れてくる魅音に対して何をする事もできなかった。
 完全に不意打ちだった。さっきの真剣な問いかけは何だったのか。俺は、相手が魅音という事から何らかの攻撃を予想し、せめてそれに備えて目を瞑って体を強張らせる。……だが、どれだけ待ってもそれらしい動きは無かった。
 不思議に思い目を開ける。すると、魅音は俺の背中に両手を回し、俺の胸に顔を埋めていた。つまり、俺に抱きついた形になっているのだ。こちらに攻撃を加える様子など、微塵も感じられない。
「み、魅音……!?」
 俺は何が何だが理解できず、自分でもおかしく聞こえるくらいに甲高い声を上げた。わかるのは、魅音がこちらに攻撃する意思は持ってない事と、これがいつもの魅音とのじゃれ合いとは種類が全然に違うという事だけだった。
 魅音は、またしても何も喋らない。俺の胸に顔を埋めているので、どんな表情をしているのかすらわからない。そもそも、何でこんな事をしているのかすら、意味不明だ。
 そして、この体勢のまま、しばらく時間が過ぎる。体内時計がすっかり狂ってるしまっていて、何分経ったかは、検討のしようもなかった。しかし、時間の経過は確実に俺を落ち着かせてくれた。
 だが、落ち着きは俺に更なる動揺も与えた。今、俺は「女の子」に抱きつかれているという事を、頭がようやく理解したのだ。
 心臓がトクンと跳ね上がる。……おいおい、俺は何を動揺しているんだ。女の子と言っても、抱きついてるのはあの魅音だぞ? いつ関節技を極めてきてもおかしくない。そして、まんまと色仕掛けに引っ掛かった俺を大笑いしてくるに違いない。魅音とは、そういう奴だ。だから、この状況では、俺はさっさと魅音から離れなければいけないはずだ。
 しかし、何故か今日は魅音の「女の子」の部分を必要以上に意識してしまう。妙な違和感のせいか。魅音が水着を着ているせいか。さっきの真剣な問いかけのせいか。体が触れるにしても、いつもと明らかに様子がおかしいせいか。……恐らく、全部かもしれない。
 そもそも、初対面の時以来、俺は魅音を女の子として意識した事は一度も無かった。気の合う親友という感じか。その男臭い性格や行動から、ほとんど男友達のように今まで接してきた。だから、今の魅音はいつもと全くの別人のように錯覚してしまう。いや、だからこそ今、魅音の「女の子」の部分を意識してしまうのかもしれない。
 そして、腕に伝わる柔らかい感触が、更に俺を動揺させる。以前にコブラツイストを極められた時もそれが背中に触れたが、今回ほど気にはならなかった。だが、魅音を「女の子」として意識している今は、思春期の男子として気にならない訳が無かった。
 俺の腕の形に沿って、その形を変えている魅音の大きな乳房に目を落し、俺は唾を飲み込んだ。最早、いつもの魅音がどうのこうのという余計な事は、どうしようもなく価値が無く、下らない事のように思えてくる。そんなものより、今の目の前の現実の方が、遙かに興味があった。
 俺の異変を感づいたのか、魅音はようやく俺の胸から顔を離し、俺の顔を見上げた。そして、目が合う。それでようやく、今まで魅音がどんな表情をしていたのかわかった。それを見て、俺は一瞬驚いてしまう。あれ、魅音の顔ってこんなにも女の子らしかったっけ……。
 魅音は、一言で言えば真っ赤だった。頬は異常なほど赤く染まり、それは頬のみに収まらず、耳にまで及んでいる。口が半開きで、目は焦点が定まらない。その動揺ぶりは、俺よりも上かもしれない。だが、それは間違いなく女の子の顔だった。
 お互いに顔を見つめ合ったまま、静かに時間が過ぎてゆく。
 そして魅音は、俺の表情から何かを読み取ったのか、とても小さく、意識しなければ聞き逃しそうな声で、少し俯きながら呟いた。
「……胸、……手で、さ、触っても、……ぃ、良いよ……」
「え……?」
「あ、……い、いや、あの、圭ちゃん、……私の胸、……さっきから、……き、気になってるみたいだから……。だ、だから……」
 そう言って、魅音は恥ずかしそうに顔を逸らす。
 それを聞いて、俺は自分の体の芯が、徐々に熱くなってゆくのを感じた。体の奥底から、情欲という名の炎が燃え上がり始めていた。心臓が、うるさいほどに脈を打っている。
「ほ、本当に良いのか……?」
 俺が期待を込めて聞くと、魅音は相変わらず目を逸らしながら頷いた。恥ずかしくて、もう声も出ないらしい。
 俺はその返事を確認すると、魅音の両肩を掴んで俺の体から少し起き上がらせ、所謂膝立ちの状態にした。そうして、その大きな胸が丁度俺の目の前に現れる。魅音の顔を見上げると、まだ目を瞑っていた。
 魅音の肢体から突き出たその乳房を、俺は改めて観察する。スクール水着越しだが、そのボリューム感は十二分にこちらへ伝わってくる。まだ成長途上なのか、その周辺の水着の布は伸びきっていて、かなり窮屈そうだった。
 心臓の脈が、更に早くなる。呼吸も荒い。いつの間にか、体中からぬめった汗が噴き出していた。それは魅音も同じのようで、水着の所々が少し黒色に滲んでいる。夏場にこんな洞窟に入っているからだろうか。いや、それもあるだろうが、少し違う。雰囲気だ。この場の雰囲気が、俺たちに汗を流させているのだ。
 二人でいるには狭い、この空間。薄暗く、淡い光と闇の境界を作る電灯。俺たちの呼吸音以外は水滴の落ちる音しか聞こえず、また俺たちの声も外部には届かない。外からは、何か間違いが起こらない限り、誰も入って来ない。つまり、俺たちが何をしようと、邪魔をするモノは存在しない。完全な、閉鎖空間。そんな場所で、俺たちはこれから卑猥な行為に走ろうとしているのだ。
 さっきまでこの場を支配していた重い空気は、いつの間にか撫子色に濡れていた。
「……そ、それじゃ、いくぞ」
 言うが、魅音は何も応えない。俺はその無言を了承と受け取った。
 そして、自らの右手をゆっくり、魅音の胸へと近づけてゆく。途中、右手だけでなく、地面に置いていた左手も緊張でガクガクと震えた。これが本当に自分の手なのか、鉛でも入っているのではないかという程、力を入れないと動かない。だが、乳房との距離は着実に狭まっている。魅音の顔をチラチラと見上げた。さっき以上に、顔をトマトのように真っ赤にしながら、俺の手が触れるのを待っている。それを見て、俺の手は更に痙攣した。
 距離は後数センチ、数ミリと縮まり続け、……そして、遂に右手が魅音の左胸に触れる。
「……ぁ」
 触れた瞬間、魅音の口から切ない声が零れた。俺はそれに仰天し、そのまま体中が固まってしまう。何か変な事をしてしまったのではないか。何か間違った事をしてしまったの
ではないか。と、明らかに普通では無い事を既にやっていると言うのに、そんな矛盾した思考が俺の脳内を駆け巡った。
 だが、右手の平からは、確実にその感触を感じる。
 ……柔らかい。それが、まずの第一に思った印象だった。じんわりと魅音の汗で濡れた水着の感触の向こうから、柔らかさが手の平全体に伝わってくる。五指一本一本で、魅音の温かい体温を感じる。それは、これまで一度も触れたことのない柔らかさだった。
 そして、次第に俺の中で、次のステップへ進みたいという欲望が大きくなって来る。そう、魅音への心配よりも、自分の手の平にもっと強くこの新鮮な感触を味わわせたいという気持ちが勝ったのだ。
 俺は無言で右手に力を込めた。
「……! ……ぁ、圭ちゃ……」
 魅音が驚いたような声を上げる。まだ、その段階までは覚悟をしていなかったらしい。だが、俺はそんな事は既に気にならなくなっていた。
 魅音の左胸は、俺が力を込めた通りに形を変え、俺の右手には、込めた力が強さに比例して柔らかさが跳ね返ってくる。その感触は触れるだけよりも遙かに心地よく、俺は無我夢中で手を動かした。初めの一回、二回はゆっくりだったのが、次第に早くなり、もう何回揉んだのかわからない。いや、そんな回数に気を取られるよりも、右手に伝わる快感を少しでも大きく楽しみたかった。
「……ぁん」
 魅音は、俺が揉む力を強めるたびに、掠れるような声を出した。魅音の顔を見上げると、何かに耐えるように目を瞑り、口は半開きになっている。俺はふと手の平の中心に伝わる柔らかさの中に、少しだけ硬いモノがある事に気づいた。何だろうと一旦手をどけてその部分を見つめると、水着の下から突起物のようなモノが浮き出ている。位置的に、それは魅音の乳首に違いなかった。そう、魅音は俺に乳房を揉みしだかれて、感じているのだ。
それも、喘ぎ声を洩らす程に。
 それを理解した時、俺の中で僅かに残っていた、魅音に対する遠慮の壁が崩れた。地面で弄んでいた左手を、魅音の右胸へと這わせる。そして、両手で一斉に揉みしだき始めた。
「んぁ……ん!」
 魅音の喘ぎ声が更に強くなる。その反応が妙に面白く、俺は両手を動かすたびに魅音の顔へ目を向けた。魅音は、額から大量の汗を流し、口を大きく開け荒い呼吸をし、俺が乳房を強く揉むと、そこから大きな喘ぎ声を上げた。
 だがそれは、揉んでいる俺も似たような状態だった。体はいたる所が汗でぬめり、顔中から玉のような汗が噴き出し、半開きになった口からは生ぬるい息が荒く漏れる。手で胸を揉んでいるだけだというのに、自分で自慰行為に耽る時よりも、遙かに気持ちが高ぶり、興奮していた。
「…………ぁあ」
 突然魅音がこちらへ倒れこんでくる。とうとう膝に力が入らなくなったらしい。再び、最初の抱き合うような形になる。魅音は、肩で息をしていた。俺の胸に柔らかさと、僅かの水着の感触が伝わる。見ると、魅音の胸がそこに押し当てられていた。潰れた乳房は魅音の呼吸に合わせて細かく動き、その度に俺の胸が擦り上げられる。それは、たまらない気持ちよさだった。
「……うっ?!」
 その時、俺の股間に電流のような刺激が走った。見れば、俺の水着の膨らんだ部分に、魅音の太ももが触れたのだ。俺は、今頃になって自分の陰茎がガチガチに勃起している事に気付いた。魅音の乳房を揉むことに夢中で、全く気付かなかったのだ。
 魅音の太ももは、柔らかい上に汗をかいているせいでヌルヌルとしていて、そのひどく艶やかな感触は、水着の上からでも十分に伝わってきた。
「……圭ちゃんの、ここ……硬くなって、動いてる……」
 魅音が、自身の太ももに触れたまま、ビクビクと震えてる俺の股間を凝視し、そんな事を言う。俺は、顔から火が出る程の恥ずかしさを感じた。平常時でも凝視されるのに抵抗があるというのに、こんな勃起した状態で見られるなんて……。
 だが、それは凝視だけに留まらなかった。
「……じ、じゃぁ、……だ、出させて、……あげようか?」
「えぇっ……!?」
 俺は訳の分からない音程の声を出した。
「だ、だって……、すんごいビクビクしてるし……。……だ、大丈夫だよ」
 そう言って、魅音は突然俺の水着の腰丈部分に手を掛け、下に降ろそうとする。
「ぅ、あ、ちょ、ちょっと待った……!」
 俺は魅音の手を掴み、間一髪でそれを防いだ。何が大丈夫なのか意味不明だ。
 ここまでやっておいて、今更何を言っているんだとは、俺自身も思う。だが、これ以上先に進むのは、どうしても抵抗があるのだ。それは、単純な羞恥心からだけではない。相手が普段いつも一緒にいる、魅音だからというのが理由の大部分を占めていた。つまり、これ以上の段階に進んで、普段の付き合いに影響が出ることに一種の恐怖を感じたのだ。その恐怖は、興奮しきっていた俺の体を、一瞬で冷静に戻す程に強かった。 馬鹿な考えかもしれないが、今までの行為なら、まだ引き返せると思ってる。だが、ここから先は、どうしても禁断の領域のように思えてしまう。それは、普通の付き合いだけなら絶対日に出る事のない、生殖器を使うからかもしれない。
「さ、さすがにそれはやめておこうぜ……」
 しどろもどろになりながらも、とにかく俺は一旦の中止を魅音に呼びかけた。
「……どうして?」
 だが、想定外の返答をされ、俺は戸惑い、同時に驚愕する。魅音は、ここから先の行為へ進むことに、何の疑問も持たないというのか?
「ど、どうしてって、……その、何というか」
「脱ぐのが恥ずかしいの? ……だったら、大丈夫だって」
 それだけを再び言うと、魅音は突然力を込めてこちらを押し倒してきた。完全に力が抜けていた俺は、それに対して何の抵抗をすることもできなかった。
 背中に地面が触る。気づけば、俺は魅音に馬乗りの体勢で押さえつけられていた。
「お、おい魅音……!?」
「……大丈夫。大丈夫だって……」
 魅音は俺の呼びかけには全く反応せず、うわ言のように大丈夫という言葉を繰り返している。気のせいかだろうか。それは、まるで自分に言い聞かせているふうに見えた。
 俺はふと淡い光の中に浮かぶ魅音の顔を見て、またしても違和感を覚える。その顔からは、明らかに何らかの使命感のような物と、僅かの怯えを感じるのだ。性欲のあまりに暴走しているとか、そう言った類の物は、魅音の表情からは間違っても感じられない。それは、今の魅音の行動とはどう考えてもチグハグで、だからこそ俺は強烈な違和感を覚えた。
 ――そして俺は何となく確信する。今の行動は魅音の本意ではないのではと。何かの目的のために、仕方なくやっている事ではないかと。
「……っ!?」
 だが、そこで思考は中断される。俺の陰部に、突然何かが押し当てられたのだ。
「……ほら、こうすれば、お互い裸にならなくても大丈夫……」
 魅音の言葉は、やはり震えていた。
 魅音が何をしたのかわからず、俺は自分の未だに勃起している股間を見下ろす。一瞬、そこから魅音の体が生えているように見えて驚く。……いや、違う。魅音は、俺の股間に、自分の股間を押し当てているのだ。
「な……、何やってんだよっ……?」
「大丈夫……。私の……、女の子の大事な所で、気持ちよくしてあげる……」
 もはや、魅音に俺の言葉は伝わらない。自分の目的の達成以外、眼中に無いといった感じだ。
「……ぅあ……み、みお……」
 魅音の股間が、更に強くギチギチと俺の股間に押し当てられる。その折に、一番敏感な先端部分が、魅音の股間の妙に柔らかい部分で擦られ、俺は思わず喘ぎ声のような物を出してしまった。それは、魅音の割れ目だったのかもしれない。
 体は、燃え盛る様に熱く。心臓は、壊れてしまうのではないかと思う程に鼓動した。
 これが魅音の本意ではないという事はわかっている。だからこそ、止めさせなければいけないという事も、理解している。だが、自分の股間に、たった二枚の布を隔てて、魅音の、女の子の大事な部分が触っているという事実が、不覚にも俺の冷静な思考を破壊し、何も考えられないでいた。
「……じゃあ、動くね……」
 魅音が、そんな事を言ったかもしれない。音が耳から入っても、それが何なのか脳味噌が正確に働かない。
 だが、股間への刺激に変化が起こると、間抜けな事に、脳味噌はイの一番にそれをキャッチした。
「……ぅぁあっ!」
 自分の陰部へ初めて加えられる、他人からの積極的な運動。その強すぎる刺激に、俺の口から無意識に悲鳴のような声が漏れた。
 俺の股間を、柔らかい物が激しく擦り上げる。更に、俺自身の水着も、自身の特殊な感触で俺の肉棒を擦ってくる。それらは、撫でるように先端と裏筋を上下し、自分の手だけでは絶対に得られない快感をこちらへぶつけてきた。
 ぼんやりとした視界の先では、魅音が自分の体を大きく上下させているのが見える。その様子は、まるで本当に性行為をしているように見え、俺の中の邪な妄想を激しいものにした。
「……圭ちゃんの、……また硬くなってるよぉ……」
 俺の上で揺れている魅音が、今にも空気に溶けそうな声を零した。
「はぁっ……ぁあっ……!」
 それに呼応するように、俺も激しい息継ぎをする。
 そしていつからか、それまで水着が擦れる音だけが無機質に鳴っていた俺たちの接触部から、新たにグチュグチュと瑞々しい音が鳴り始めた。それは始め、俺の先走り汁だけだと思った。だが、違った。接触部をよく見ると、俺の肉棒がある部分以外もビチョビチョに濡れていて、何より魅音の水着の股間部分も、陰部を中心に、円のように広く真っ黒に滲んでいるのだ。だからその音は、俺の先走り汁と魅音の愛液が混ざり合って鳴っているに違いなかった。
 ふっと、突然視界から光が飛んだ。魅音か俺の脚が、傍らに立ててあった懐中電灯に触れ、倒れてしまったらしい。倒れた懐中電灯は、グルグルと回って窟内を不規則に照らし、それが止まったかと思えば、なんと俺たちの接触部を強い光で照らした。そのお陰で、今まで薄暗くしか見えなかったその部分が、ハッキリと見えてしまう。それは始め、強い羞恥心を俺に与えた。しかし、股間と股間が擦り合う激しい動き、そしてその間で伸びるネバネバとした透明の糸を見ている内に、羞恥心を超える興奮を俺に与えてきた。
「……はぁっ……うっぁ……、み、魅音……も、出る……」
 段々と、自分の肉棒から明らかな限界を感じ始め、俺は掠れた声で魅音に言う。
「……だ、大丈夫! だ、出しても、良いよ……」
 その大丈夫は、これまでよりもやけに強く言っているように聞こえた。
 と、急に股間への刺激が更に強くなる。魅音が体の動きを強めたのだ。それに連動して、接触部のグチュグチュとして音も、早く激しくなった。
 そして、体の奥底から射精への願望が込み上げ、……遂に、俺の肉棒は限界を迎えた。
「……ぅ、ああっぁあぁ……! ……はぁ……はぁ……」
 瞬間、落雷を受けたかのような衝撃が、俺の体を走る。だが、その衝撃は一気に引き、今度は目の前が真っ白になった。何も考えられず、何も喋られない。ただ、荒い息だけが俺の口を通る。所謂、放心状態というヤツかもしれない。
 股間部に目を落とす。水着の肉棒を包んでいる部分が、真っ黒に染みている。射精した精子の量がよっぽど凄まじかったのか、水着の中に閉じ込められた精子で自分の肉棒がグチャグチャになっているのを感じ、少し気持ち悪かった。だが、水着の中の俺の肉棒は、嬉しそうにビクビクと震えている。
 魅音は、そのまま動かず、肩で息をしていた。俯いているので、どんな表情をしているかはわからない。


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最終更新:2007年10月11日 13:51