「魅……魅音?」
「うふふふふふふふふ。圭ちゃん…………」
確か俺は寝ていて……。
人の気配がして目を開けると、魅音が俺の上でにっこりと笑っていた。
「お前……。どうしてこんなところに?」
魅音はゆっくりと俺にのしかかってきた。
俺の体に、魅音の温もりと重みが伝わってくる。
「圭ちゃんに会いたくなったから……」
それは、あまりにも単純な理由。しかも、俺が聞きたかった意味とは違った答え。
でも、それでも俺にとっては十分だった。
俺は魅音の背中に腕をまわし、抱き締めた。
甘えるように、魅音は頬をすり寄せてくる。それがとても可愛らしくて、柔らかくて、嬉しかった。
「圭ちゃん……」
やがて頬擦りを止め、魅音は上半身を起こした。
その顔は桜色に染まっている。
「魅音……」
「なぁに? 圭ちゃん?」
「好きだ」
俺は、初めて魅音の前で素直に自分の気持ちを伝えることが出来た。もうきっと、誤魔化す必要も無いだろうから……。
魅音は、目を瞑ってゆっくりと……俺の言葉を噛み締めるように頷いた。
「ありがとう。……圭ちゃん。私も、圭ちゃんのこと大好きだよ」
「悪い。……今まで言えなくてよ……」
「ううん、そんなの全然構わないよ。今言ってくれたから……」
そう言って魅音は、幸せそうに笑みを浮かべてくれた。そしてその笑顔が、俺には何よりも嬉しかった。
俺達は互いに見つめ合う。
その距離はとても近くて……。
魅音は目を閉じた。
俺は背中から首筋、そして髪を撫でながら、魅音の頭に右手を当てた。
そして、魅音の顔を俺に近付けていく。
俺も目を閉じて……魅音と唇を重ねた。
キスなんて、今までの人生でしたことなんかなかったから、きっと俺は上手く出来なかったと思う。ただ唇を押し付け合うだけの拙いものだ。
けれど俺には、魅音の柔らかさ、温かさ、優しさ、そんなものが唇から伝わってきて……俺もそれに応えるように、唇に想いを込めた。
長く……長くキスをして、俺達は同時に唇を離した。
俺は魅音の頭から頬、首筋へと右手を撫で下ろし、そして胸へと……。
「……んっ」
俺の手のひらにふにっとした感触と温もりが伝わるのと同時、魅音は目を瞑った。
服の上から魅音の胸を揉み、その柔らかさと重さを愉しむ。
魅音は抵抗しなかった。それどころか、嬉しそうに微笑んでいた。
じゃれつく子犬のように、魅音はぴすぴすと鼻息を漏らした。
そんな光景が、何だか非現実的で……俺の頭が痺れてくる。
「魅音……俺、直接魅音の胸……見てみたい」
「うん。……いいよ。圭ちゃん」
そう言って魅音は上着を捲り上げた。
白と淡いピンクのチェック柄のブラに包まれた、魅音の大きな乳房。
魅音は脱いだ上着を脇に脱ぎ捨てた。
ブラを外そうと、魅音は少し前屈みになる。当然、魅音の胸はその分俺の顔に近付いてきて……。
俺は、たったそれだけのことに息を呑んだ。
「………………んっ……」
ぷちっ と音を立てて、ブラのホックが外れる。
固定していたものが無くなり、こぼれ落ちてきた魅音の乳房は……その柔らかさを訴えるかのように、俺の目の前でふるふると揺れた。
俺は無言でそれに手を伸ばして……直接触れた。
「んっ……」
びくりと体を震わせる魅音。
服の上から触っていたときと同じように、包み込むように魅音の乳房を愛撫する。
けれど、手のひらから伝えられるその温もりや弾力の気持ちよさは、服越しとは比較にならなくて……。
固く尖った乳首を軽くつねると、魅音が甘い吐息を吐いた。
ぐにぐにと俺の手のひらが埋まるほど押し付けると、魅音の表情が切なく悶えた。
自分の欲望の赴くままに弄んで……そして、その欲望には歯止めがきかなくて……。俺のオットセイ☆にどんどん熱が篭もっていく。
「魅音。……ごめん。俺、もう我慢出来ない。……俺の…………を……手でしごいてくれないか?」
「うん。……分かった」
おずおずと聞き返してくる魅音の瞳が少し潤んで……それでいて熱っぽい。その表情だけで、俺の限界がまた近付く。
「……じゃあ、いくよ?」
振り返り、躊躇いがちに魅音はその手を俺の膨らんだ股間へと近付けていく。
そして、パジャマのズボンを軽くめくり、オットセイ☆に細い指を絡めた。
けれど、魅音はそこからただそうしているだけで……。
魅音の顔が赤い。
「頼むよ。魅音……早く、擦ってくれ。こんなの……生殺しだし……よ……」
「う……うん」
そう言って、触れるか触れないかのような力加減で、魅音は俺のものを擦り上げる。
「うあっ」
それはとても気持ちいいけれど……、でもそれ故に俺にはとても我慢出来ない。
「魅音。……頼む。頼むからもっと強くしてくれっ!」
叫びながら、俺は魅音の手に俺のものを擦りつけていく。
「う。……うんっ!」
魅音が頷き、目を瞑るのと同時に、きゅっと俺のものが締め上げられる。
それは絶妙な力加減と言うには強すぎたかもしれない。けれど、今の俺のものはそれに負けないくらい固くなっていた。
ごしごしと、ある意味、乱暴に擦られながら俺の性感はどんどん高まっていって……。
「あぅっ……ぐっ……ううっ!」
「ひゃぅっ!!」
どくんどくん と俺は盛大に欲望を吐きだした。
熱く煮えたぎったそれは、俺のパジャマの上着まで飛び散り、汚した。
『………………あっ……』
思わず、俺と魅音は顔を見合わせて――。
「ぷっ……くっくっ」
「くっ……はははははははははっ!」
それが何だかおかしくて、俺達は笑った。
「気持ちよかった? 圭ちゃん」
「ああ……。こんな結果になることも思い付かないぐらいにな」
つまり、俺達はそんなにもこの行為に没頭していたということだ。
「でも、どうする? これ?」
「後でトイレかどこかでも行って洗っとくさ。上手くいけば、朝には乾くだろ」
そう言って俺も上着を脱ぎ、上半身裸になった。
火照った体に夜の冷えた空気が心地いい。
けれど、俺のオットセイ☆はまだ萎えようとはしなかった。
「魅音。あのよ……今度は……」
「うん。……最後まで……ね……」
俺達はどちらからともなくキスを交わし、互いのズボンを脱いだ。
裸の俺を見て、魅音は微笑んだ。
「やっぱり圭ちゃんも男の子だね。おじさんとは体付きっていうか……筋肉の付き方が全然違う」
ぺたりと、魅音は俺の胸板に手を置いた。
「魅音の方こそ。……凄く、女の子らしい体じゃねぇか。その……胸も大きいし、腰だって括れてるしよ。……あと、なんて言うかこう……やぁらかくてさ」
こうして見ると、普段の男勝りな言動や行動の方が、何かの間違いのような気がしてくる。
「ありがとう。圭ちゃん☆」
たったそれだけの言葉なのに、魅音は本当に嬉しそうに笑ってくれた。見ているこっちの方が嬉しくなるような笑顔だった。さっき告白したときもそうだったが……何で俺は今まで、魅音を女の子として見ることから逃げていたんだろう。
魅音と出会ってからこれまでの時間が、物凄くもったいなかった気がしてくる。
「ねぇ? ……圭ちゃん?」
「何だよ?」
「私の……触ってくれる?」
若干上目遣いになりながら、魅音は俺の右手を取った。
「ああ」
俺だって男だ、触ってみたくないわけがない。まして、魅音のものとくればなおさらだった。
魅音は膝を立て、俺の手のひらを自分の秘部へと当てた。
柔らかい恥毛を掻き分け、その奥にある割れ目に中指を添える。
初めて触れる女の子のそこは……なんて言うか、熱くて……そして意外なほど柔らかかった。
割れ目の脇にある、ぷっくりとした膨らみをふにふにと揉み、そして撫で回す。
俺の中指に、粘っこい露の感触が伝わってきた。
「魅音?」
「う……うん。えへへ……」
赤くなりながら、魅音ははにかんだ。
その露を塗りたくるように、俺は更に魅音の秘部を愛撫し続ける。
魅音の秘部は俺が触れれば触れるほど、柔らかくほぐれ、とろけてくる。
その感触に……俺の思考は酔っていく。
魅音を見上げて見ると、彼女もまた熱に浮かされた瞳をしていた。
「魅音」
「……うん」
もう俺達に言葉はいらなかった。
座っている俺と向かい合う形で、魅音は俺のものへと腰を下ろしていく。
「んうっ」
ちゅくっ
粘り気のある感触と一緒に、俺のものが魅音の中へと包み込まれていく。
そして、完全に奥まで届いたところで、俺達はそのまま抱き合い……唇を重ねた。
互いに互いの舌を絡め、唾液を貪り合う。
たっぷりとキスを味わって……やがて俺達は唇を離した。
粘っこい唾液が俺達の舌から糸を引いた。
俺は魅音の後頭部に右手をまわし、抱き締め……互いの体を密着させた。
俺の胸に魅音の乳房の感触がいっぱいに広がる。
俺の頬に魅音の頬が触れる。
魅音の匂いが、俺の肺を満たしていく。
魅音の温もりが、俺の肌に直接伝わってくる。
俺が魅音の中に融け、そして俺の中に魅音が融けていって……俺達は、完全に一つになった。
ゆっくりと腰を振ると、くちゅくちゅと結合部から粘り気のある音が響いた。
奥に俺のものが当たる度、俺の耳元で魅音が甘い声を漏らす。
俺の腕の中にある魅音の温もりが、どうしようもなく愛しい。
激しくはないけれど、それでも……物理的な刺激には乏しくとも、魅音の中に俺のものがあるという事実を確認するだけで、俺のものはより固さを増していく。
俺のものの付け根に、ぎゅうっと力が込もる。
「んっ……くっうっ」
「あ……んんっ」
力一杯抱き締めたまま、呻き声と共に、俺は魅音の中に射精した。
びくんびくんと、俺のものが魅音の中を掻き回して……やがて、収まる。
強ばっていた俺と魅音の体から、力が抜けていく……。
優しく魅音の髪を撫でながら、俺は呟いた。
「魅音。……ずっと、もう放さない。俺達は、これからずっと一緒だから」
「うん」
魅音もまた、俺を抱き締める腕に力を込めた。
どこまでも安らかな余韻に、俺達は浸る。
そしてそのまま、どこまでも優しくて……どこまでも暖かい安らぎのまどろみに、俺は意識を委ねていった。


ミーンミンミンミィー
雲一つ無い空から熱い日差しが降り注ぐ。
どこまでも騒がしい蝉の合唱だったが、今の彼女の耳には届いていない。
やがて……少女は深い黙祷から戻り、目を開けた。
(とうとう……独りぼっちになっちゃったんだね)
その話を聞いたときに、流し尽くしたと思ったのに……それでも、涙が流れそうになる。
「レナちゃん。……圭一のために、わざわざこんなところまで来てくれて、本当にありがとう」
「ああ。きっと、圭一も喜んでいるよ。ありがとう、レナちゃん」
こんなところに圭一が眠っているなんて、それでもまだ……彼女には信じられなかった。
レナは立ち上がり、彼の墓に背を向けた。
「あの。……圭一君は、どんな風に……?」
ふぅ と深い息を彼の両親は吐いた。
それを見て、レナは後悔した。それは……彼らにとって傷をえぐる行為に他ならない。
「圭一の死に顔は……とても安らかだったよ。どこまでも幸せそうに、眠るように逝ったよ」
「そうね。なんだか、笑ってるみたいだったわ。それだけは……せめてもの救いだったかもしれないわね」
「そう……ですか……」
そして、レナは胸に手を当てた。
(圭一君。魅ぃちゃんが迎えに来てくれたんだね……)
それは確信だった。
ならきっと、今はもう彼はみんなと一緒に部活をしているのだろう。
(ズルイなあ。……みんな)
レナは心の中で呟いた。
帰り際に、もう一度だけレナは彼の墓へと振り返った。
(また、会いに来るね)
そう、ひぐらしのなく頃に。

―END―

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最終更新:2007年04月01日 11:23