魅音の白いからだが跳ねた。
先ほどまであれだけ嫌がっていた、背中の刺青が見えてしまうのも気にせず、
魅音はただ快感に酔ったように、体をくねらせていた。
それが俺には、たまらなくうれしかった。
俺がする行為で感じてくれていること。
俺がする行為を受け入れてくれること。
そのことが、たまらなくうれしかった。

俺は、魅音の乳房の先にある、
桜色の突起に吸い付いた。
「あふっ!」
苦しそうに息を切らしていた魅音が、
突如として声を上げる。
これは良かったようだ。
その突起を俺は、甘く噛んだ。
「だ、だめっ、けぃちゃっ……ごめっ、ごめんなさい、男扱いしないでごめんなさぃ、
やめてぇ、ごめんなさいぃぃ」
魅音が泣きそうな顔で、俺にやめるように懇願する。
それは、俺に対しての静止になるはずも無かった。
「いいや、許さないね。だって……魅音が綺麗だ」
その言葉を聞いた魅音は、みるみるうちに顔が赤くなった。
俺と、俺自身の意識は、がちがちに充血してしまった一点に集まってしまう。
脳が溶けそうだった。
もはや自分が、何のために魅音の胸を責めたてているのかもわからない。

「な、なぁ、魅音、いいか? 魅音んん!」
「ダメ、ダメだよ、それ、あふぅ! だって、私たちまだ……ちゅうがっ、あうぅ!」
俺のベルトで魅音の手は縛ってあるが、
魅音なら何の造作もなく抜け出せるほどの、甘い縛りだった。
それを、いままで解かなかったのに、
俺が魅音と一つになりたいという意思を表した途端、するすると魅音の手から抜け落ちていく。
ただの偶然かもしれないそれに、
俺は悲しみと憤りを感じていた。

なんで……これだけ俺は魅音が好きなのに。
これは、一方的な愛だった?
俺が触って魅音が感じてくれているのは、
やさしい魅音の嘘で……
本当は、俺のことなんか、どうだってよかったんだろう。
悔しかった。
涙が出た。
雫になって落ちるほどの涙だった。

「け、圭ちゃ…・・・ん?」
「そ、そうだよなぁ、魅音、お前は、俺のことが嫌いだったんだよなぁ!」
俺の内在する暴力性が、一気に加速した。
俺は魅音を思いっきり押し倒し

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ワッフルワッフル
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(中略)
「圭ちゃんおっはよー!」
寝ぼけた頭に、魅音の馬鹿でかい声が響いた。
それと同時に、この夏の暑い日に涼しさを感じた。
特に股間あたり。

「う……ん? 魅音?」
俺は魅音を抱き寄せた。
「ちょ、ちょっと圭ちゃん! 何寝ぼけてんの! って、あ、うあ……これって……」
バランスが崩れた魅音は、俺の太ももあたりを触って、
すぐに飛びのいた。
「あ、あたし何にも見なかったから、は、早く起きてきてね、け、圭ちゃん」
「ん? あー、あ? ああ! 俺、何して……って、この臭いは……」
逆順で快感を思い出した。
俺……夢精した?
……魅音……うわっ! 魅音これ見たのか?
っていうか、勃ったまま、じゃない、この濡れたのとか、臭いとか……

居間の向こうの玄関から、レナの元気な声が聞こえてくる。
「魅ぃちゃんどうしたの? 圭一くんは?」
「は、はは、まだ、まだ寝てた!」
「魅ぃちゃん何それ? ドレッシング?」
「あ、そ、そうそう、ドレッシングドレッシング、私朝にサラダ食べててさ!」
「ちょっと魅ぃちゃん、そんな舐め取らなくても、私ハンカチ持ってたのに……」
「あは、あはは!」

ど、どうしよう……
まだおさまらないし、これ、絶対母さんにバレるよな……
とりあえず、このおさまらない疼きを沈めるため、
俺は必死になって夢での魅音との行為を思い出した。
現実の俺は、十五秒だった。

たった一つの冴えたワッフル ―完―

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最終更新:2008年04月03日 19:09