rァ 沙都子かもしれない

俺以外にまだ眠れない奴がいるのかと思い。そっと布団から抜け出し、障子へと移動する。
「沙都子? お前まだ起きてたのかよ?」
戸を開けると、そこには沙都子が立っていた。
「圭一さんには言われたくありませんわね。圭一さんも同じじゃありませんこと?」
若干むくれながら言い返してくる沙都子に、俺は苦笑を返した。
「それもそうだな。……魅音に知られたら何て言われることだか……」
「その魅音さんが凄いいびきなんですのよ? おかげで眠れないったらないですわ」
「そうなのか? じゃあひょっとしてレナや梨花ちゃん、羽入も起きてるのか?」
「皆さんはすぐに寝付いたようですわね。……あのいびきの中でも眠ったままというのが信じられませんけど……」
羨ましい限りですわ、と沙都子は肩をすくめた。
「なるほどな。……でも沙都子、いつまでも夜風に当たっているとよくないぞ? 何てったって、明日の作戦にはお前とお前のトラップが鍵を握ってるんだからな」
「そんなこと分かってますわよ。……でもそんな心配をするなら、レディーを部屋の中に入れるぐらいの甲斐性を見せたらどうなんですの? まったく気が利かないんですから……」
そう言ってずかずかと沙都子は寝室に入り込んできた。
いや……でも沙都子……普通は用も無しにレディーをこんな深夜に寝室に連れ込む方が問題ないか?
でもそれは沙都子が俺を信頼しているからこその行動であり……そう考えると、俺はそんな沙都子に微笑ましいものを感じた。
ちょこんと布団の上に座る沙都子。
俺はその隣に腰掛けた。
沙都子の頭に手を置いて撫でてやると、不思議と気分が落ち着いた。
そうだよな……俺一人がうじうじしていてもみっともないだけだよな。俺達は仲間で、互いに協力しあい、背中を預け合えばそれでどんな困難だって打ち破れるんだもんな。
沙都子の兄貴が帰ってくるまで、みんなで沙都子を守る。俺が沙都子のにーにーとなる。それが俺の役目だよな。
ぽふっ
沙都子は俺の体に体重を預けてきた。
「圭一さんは……優しいんですのね」
ぽつりと沙都子は呟いた。
「本当に……人の頭を撫でる癖とかもにーにーそっくりなんですから……」
小さく俯く。
「いきなりどうしたよ? 沙都子?」
沙都子の妙に神妙な態度に、俺は首を傾げた。
「圭一さんは……どうして私に優しくしてくれるんですの?」
「おい? 沙都子……?」
ぎゅっ と沙都子は俺にしがみついてきた。
「ごめんなさい。……そんなはずないって分かってる。ちゃんと分かってるんですのよ? 圭一さんはただ、にーにーの代わりをしてくれてるだけなんだって……」
沙都子の腕に力がこもる。
「圭一さんから見て、わたくしはまだ甘ったれで我が儘で泣き虫なままなんですのよね?」
「沙都子、そんなわけ……」
「だから、にーにーの代わりをしてくれるんですのよね? だからいつまでも圭一さんにとって私は妹なんですのよね?」
「違う……それは違う」
「どう違うって言うんですの? このままじゃ私、今度は圭一さんに甘えたままになってしまう。いつまで経ってもにーにーが帰ってきてくれなくなってしまう」
「馬鹿。……何言ってんだよ。俺は悟史じゃないし、悟史だって必ず帰ってくる」
俺は落ち着いた口調で沙都子を諭す。でも自分で言っていて……それが少し寂しかった。
俺は沙都子のにーにーとなることが出来ない。今さらながらに思い出す、当たり前の事実。
「分かってる。……それも本当は分かってるんですの。でも、圭一さんをにーにーだと思ってしまうと、今度は圭一さんまでどこかに行ってしまう気がして……」
沙都子は顔を上げた。
その瞳は、普段の沙都子は絶対に見せることのない……切なさを湛えていた。
「ごめんなさい。勝手なこと言っているっていうのは分かっていますわ。……でも圭一さん、北条沙都子はもう……圭一さんをにーにーだとは思いたくないんですの」
あまりにもあっけない、今までの関係の終わり。
「そっか……、それは……ちょっと寂しいけど、沙都子が望むなら仕方ないよな」
でも俺は、不思議と笑う事が出来た。
元々、いつかは来る日だった。ある意味、これは沙都子の成長の証でもある。だから俺はそれを祝福すべきことだと受け止めていた。
俺の頬に、沙都子の手が添えられる。
……………………………………………………え?
沙都子が何をしようとしているのかを理解するより早く、沙都子の顔が俺の視界いっぱいに広がっていた。
俺の唇に沙都子の小さな唇が押し付けられる。
それはまるで、子猫が甘えるかのように……。でもそれよりも遙かに決意が込められていて……。
沙都子が俺に何をしているのか、それを理解し始めた頃、沙都子はキスをやめた。
「あの……圭一さん。だから今度からは……私を妹なんかじゃなくて……その、こういう風に見て頂けませんこと?」
無言で見つめ合う俺達。
そんな俺達を月明かりだけが眺めていた。
先に静寂を破ったのは沙都子だった。
「……せめて何か言ってくださいませんこと? このままじゃ私、落ち着きませんでしてよ?」
「ありがとう…………沙都子」
別にそんな下心を持ってやっていたつもりは無かった。けれど沙都子は俺に、にーにー以上の感情を持ってくれていた。
俺は沙都子を抱きしめることでその想いに応えることにした。
そして、今度は俺から沙都子とキスを交わした。
「今までありがとう。そして、これからもよろしくですわ。圭一さん」
「ああ、こちらこそよろしく頼むぜ。沙都子」
俺達は互いに微笑みを交わした。
「よかった……圭一さんは、私を一人前と見てくれているんですのね」
「ああ……当たり前じゃないか、沙都子」
俺がそう言うと、沙都子はほんの少しだけ俯いて、顔を赤らめた。
「じゃあ……圭一さん。私と****してくださいませんこと?」
えっ? ****? 沙都子。お前今何て言ったんだ?
「ごめん。沙都子。よく聞こえなかった。もう一度言ってくれないか?」
うぐっ
沙都子が軽く呻く。
「だから……『アレ』ですわ……『アレ』……」
「『アレ』……? アレはthatだぞ? 沙都子」
というか、はっきり言ってもらわないと分からないんだが……。
「だ……だから……『アレ』ですの。…………セッ……………ク……ス…………」
恥ずかしさで息も絶え絶えになりながら、沙都子はとんでもないことを口走ってきた。
俺のCPUが一気に熱暴走を開始する。
あーそうか、さっき聞き逃したのはあまりにも予想外な発言だったからだなー。
て、んなこと分析してる場合じゃなくて。
「ちょっ……ちょちょ……ちょっと待て沙都子。それはあまりにも急というか……だいたいなんで今……」
「か……勘違いしないでくださいませ。圭一さんが嫌ならいいんですのよ? ただ……その……前に……したことのある男の人は、戦いで生き残る確率が高いって聞いたことがある気がして……。少しでもその……圭一さんの無事を……」
ああ……そういうことか。沙都子は、俺がいなくなるのを何よりも恐れている。
だから、少しでも俺がそうなる可能性が低くなるよう努力しようとしている。
なら、俺はその想いに応えて、少しでも沙都子の不安を和らげてやるべきだ。
そしてそれ以上に、こんな真似までして、俺のことを想ってくれる沙都子の気持ちが、痛いほど嬉しかった。
「あ……あの……圭一さん……それ以上は……」
小さく声を震わせる沙都子。
チラリと沙都子のスジを見てみると、そこはうっすらと開いていた。
はむっ
俺は沙都子のスジに口を当てた。
「ひうっ!? 圭一さん。……何をするんですの……やめて下さいましっ!!」
でも、俺はそんな言葉を聞くことは出来ない。
大慌てで俺の頭に手をやる沙都子。
「そんな……あ…………こんなのって……ヘン……ヘンですわ。あうぅっ!!」
未だ毛も生え始めていない沙都子のスジの中に舌を入れ、丹念に舐め回す。
そこは小さいながらも熱く、そしてとろとろとした液体が滲み出していた。
ちゅくちゅくとそれをすすり、そしてもっと溢れさせようと沙都子のスジに舌を何度も出し入れする。
「あ……あっ……あううっ……くんっ。やだ…………やだ……、こんなの……なに…………私こんなので……」
沙都子は身悶えしながら、俺の背中に両脚をまわした。
ヒクヒクと震える沙都子のスジ。
俺の吐息に応じるように、沙都子の腰も小刻みに揺れる。
「んっ…………んふうぅ……」
やがて……びくりと沙都子は大きく痙攣し、そこで俺は沙都子のスジから顔を離した。
「感じてたのか? 沙都子」
「しっ、知りません。そんなの知りませんでしてよ……だいたいこんなヘンなところ――」
「ヘンなんかじゃないさ。沙都子のここは、可愛いと思うぜ?」
俺がそう言うと、沙都子は一瞬言葉に詰まった。
「け……けけ、圭一さんの感性は独特なんですのねぇ……」
「そんなことない。……俺は沙都子のすべてが可愛いと思うぜ?」
ぽむっ と沙都子の頭から蒸気が噴き出した。
「ま……まあ圭一さんがそう言うなら、そういうことにしておいてもよろしいですわよ?」
ぷいっと沙都子は顔を背けた。
俺はそんな沙都子が堪らなく可愛くて……小さく笑った。
「なあ沙都子……俺は沙都子の全部が欲しいって思ってる。だから……」
沙都子は、ほんの少したじろいだけれど……。
「いいですわよ。……好きになさいませ」
はっきりと、そう口にしてくれた。
俺はズボンを下ろして自分のものを取り出し、俺の唾液と沙都子の愛液でぬるぬるになったスジに亀頭を押し付けた。
スジをこねるように、粘液を俺のものに絡み付ける。
亀頭でスジを擦るたびに、沙都子は身を震わせた。
「沙都子……恐いか?」
「恐くなんかありませんわ。……それより、するなら早くしてくださいまし……」
拗ねるように、沙都子は唇を尖らせた。
「ああ……いくぜ……」
舌で何度も刺激した沙都子の入り口に……ゆっくりと自分のものを押し込んでいく。
「ぐっ……うううぅっ」
「大丈夫か……沙都子?」
「平気……ですわ。沙都子は……一人前なんですのよ?」
そうは言っても、沙都子の入り口は狭い。沙都子にとって俺のものは飲み込むには厳しいに違いなかった。
結合部から、粘液とは違った感触の液体が零れ出す。
俺のものが沙都子の奥まで届いても、俺のものはまだ収まりきっていなかった。
それでも、沙都子の中は俺の先端に貪欲に吸い付いて……ひだが俺のものを刺激してくる。
抜き挿しすることは出来ない。俺にとって少しの動きでも、沙都子にとってそれは違う。
俺は自分の根本の部分を掴んだ。
そして、そのまま小刻みに震わせるような形で、沙都子の中を掻き回す。
「ああっ……圭一さんのものが……私の中にいっぱいに……」
「沙都子……沙都子っ!!」
沙都子もまた小刻みに腰を震わせてくる。
俺が沙都子の中を掻き回すたびに、沙都子の息が荒くなる。
沙都子が腰を動かすたびに、俺の息も荒くなる。
「圭一さん……私……またヘンに……ヘンな……」
「大丈夫。……大丈夫だから沙都子。……そのまま……」
きゅうっ と沙都子の締め付けがよりいっそう強いものとなる。
俺のものも同様に、ぎゅっと力が込もっていく。
限界が………………近い。
「圭一さん……圭一さん…………ああっ!!」
「さ……沙都子っ!! うううあうあっ!!」
俺は沙都子の中に精液を放出した。
こぷこぷと……沙都子の小さなスジには収まりきらず、精液が結合部から零れ出てくる。
ぴくん ぴくんと、沙都子は俺のものが脈打つたびに体を仰け反らせて……。
やがて、射精も止まり。俺は沙都子のスジから自分のものを抜いた。
くったりと力無く横たわる沙都子。
俺はそんな沙都子を、優しく抱きしめた。

翌日。
「うわあああああ~~~~~っ!!」
沙都子のトラップが発動し、山狗の一人を今度は逆さに吊し上げる。
「大丈夫か、白鷺11っ! 今助けに……ぎゃっ……ごふっ……きゅ~っ」
今度は巨大な丸太を括った振り子が別の山狗を吹き飛ばした。
「どうした? 何があった? ……マジかよおい? なんなんだこのトラップの数は」
「待て……油断するな。不用意に近づくな白鷺7。慎重になれ……狙われるぞ。それこそが罠だ」
「あ……ああ、分かってる。まずは周囲をよく見ないとな……」
きょろきょろと周囲の様子をうかがう山狗二人。
がさがさがさがさっ!!
びくり と二人は音の鳴った方向へ振り向く。
「あぅあぅあぅあぅっ!!」
そこには羽入が立っていた。
「いたぞっ!! Rの仲間だ。テーサーを打ち込めっ!! って……なにぃっ!?」
しかし羽入は囮。
本命は彼らの両サイドから現れた俺とレナだ。
「うおおおおおっ! バスターホームランッ!!!」
カキイイイイイイイイイィィィィィィィンンッ!!!
「おっ持ち帰り~っ☆」
ドッゴオオオオオオオオオオオオオンンッ!!
俺のバットとレナの萌える拳をそれぞれ打ち込まれ、彼らはコテンとその場に転がった。
「凄いね圭一君。沙都子ちゃんのトラップ絶好調だよ☆」
「おうっ。まったくだぜ」
いくら今回が沙都子のトラップの最大の見せ場だとはいえ、ここまでの威力を発揮するとは思ってもみなかった。
「いやはや……常日頃から沙都子のトラップには並々ならぬものがあると思ってたけど、まさかここまでとはね。今後の沙都子の成長には恐ろしいものを感じるよ。おじさんもうかうかしてられないね……」
「おーっほっほっほっ。どんなものでして皆さん? 今日の私はギンギンにトラップ脳が冴え渡ってましてよ~っ?」
裏山に沙都子の哄笑が響き渡る。
「100年一緒にいたけど、ここまで元気な沙都子は見たこと無いわね……。トラップを思う存分使えるっていうだけで、こうなるものかしら? 何か知ってる? 羽入?」
「さあ? 僕は何も知らないのですよ? きっと愛の力なのです。あぅあぅあぅあぅ☆」
そう、北条沙都子とそのトラップにもはや敵はなかった。
「さぁ皆さん。早く次に行きますわよ~っ!!」
元気にはしゃぎまわる沙都子を見ながら、俺は自然と笑みがこぼれるのを感じていた。

―沙都子END―

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2007年03月09日 23:49